2014年04月01日発行 第0791号 特別
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 ■■■    日本国の研究           
 ■■■    不安との訣別/再生のカルテ
 ■■■                       編集長 猪瀬直樹
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「猪瀬直樹 記者会見」(3月28日)

 公職選挙法違反(収支報告書の虚偽記載)の略式命令を受けて3月28日、猪
瀬直樹は東京・霞が関の司法記者クラブで会見いたしました。会見内容を配信
いたします。

(弁護団による経過説明)
 
●弁護人〇 ご参集をいただきまして、ありがとうございます。また、本日ま
      での間、皆様方の当職らへの取材対応にあたり、至らぬ点があり
ましたことをお詫びいたします。
 
 猪瀬氏本人の会見に先立ち、ここで、弁護人として、本件についての経過を
簡単にご説明させていただきます。
 
 捜査に対する対応ですが、猪瀬氏及び周囲の方々は東京地検特捜部の捜査に
全面的に協力し、これまで率直に事実を説明し、資料等も求められた以上に提
出して参りました。
 
 問題とされている5000万円については、弁護人の理解では、実質的にも形式
的にも借入金です。借入後にすぐに妻に渡して妻名義の貸金庫に保管させ、秘
書らにも知らせておりませんでした。そのうち500万円については、知人か
らの依頼により、貸し付けましたが、選挙とは無関係の貸付です。
 
 遅くとも翌年2月初めには、返済に向けての行動を開始しました。4500万円
については、手つかずのまま保管し、500万円については、知人からの返済
を受けて、合計5000万円を返済しました。したがって、「寄附」にはあたらず、
かつ、個人資金と選挙資金の区分について、選挙に使えば選挙資金で、それに
使わなければ、個人資金との解釈が成り立つことから、本件5000万円は個人資
金と判断致しました。
 
 弁護人はその観点から猪瀬氏に助言し、かつ、特捜部に対しても、その旨の
上申書を提出しました。しかし、猪瀬氏から、「検事に対して自分の主張を十
分に述べ、また、弁護人からも法的な観点に基づく主張を特捜部に提出しても
らったので、自分の言い分は尽くした。一方で、今回の私の行為は多くの方々
の信頼を裏切るものであり、けじめを付けたいと思っている。そのため、処罰
を受け入れたいとの旨を検事に申し出るつもりである」との話しがありました。
弁護人としても猪瀬氏の決意を尊重することとしました。
 
 猪瀬氏は、3月上旬、検事に自らの決意を記した上申書を提出し、本日の処
分に至ったものです。なお、このような経過の中で、様々な報道がなされ、弁
護人として反論したいこともありましたが、猪瀬氏は、あらゆる批判を甘んじ
て受け入れる、との姿勢を貫いておりました。弁護人も猪瀬氏の意向を尊重し
て行動を差し控えてきたことを申し添えます。
 
 
(猪瀬直樹の会見冒頭発言)
 
●猪瀬〇 今回の件では、都民、国民の皆さま、都議会、都庁職員、メディア
     の皆さま、さらには遅滞を許されないオリンピック準備に携わられ
ている方々に大変なご迷惑とご心配をおかけしたことをあらためて深くお詫び
申し上げます。

 本日は、今回の5000万円の問題に関する事実経過そして、私が処罰を受け入
れることになったいきさつをご説明いたします。
 
1、 今回の5000万円の問題に関する事実経過についてご説明します。
 
(1)昨年の都議会の答弁や記者会見では、自分の認識に正直に答えたつもり
   でしたが、記憶があいまいなまま十分に事実を確認せずにお答えをして、
   皆様に不信感を持たれてしまいました。今回、あらためて時間をかけて
   事実の経緯を確認していくなかで、自分の認識に正確でなかった点があ
   ると理解するに至りました。
 
(2)私は、知人の紹介により徳田虎雄氏を訪ねて都知事選での支援をお願い
   したことを契機として、徳田虎雄氏や徳田毅氏に対して、知人を介した
   り、直接お願いしたりして資金面での支援をお願いしました。初めての
   選挙でもあり、どのくらいの資金が必要なのか不安があったためです。
   その過程において、私自身が1億円という金額を口にしたことがあった
   ことにも思い至りました。

    最終的に徳田毅氏から5000万円を借りることに決まりましたが、その
   頃には、多くの皆様のご支援を得て支持基盤も固まり、自己資金で賄え
   る見込みになっておりました。

    しかし、選挙では何が起きるか分からないとの思いもあり、自己資金
   が不足した場合に選挙資金に充てることや、落選した場合の当座の生活
   資金等に充てることを念頭において、徳田毅氏から5000万円をお借りし
   ました。

    過去の記者会見などでは、「1億円を要請したことは100%ない」、
   「選挙資金でないと断言できる」などと発言しましたが、これらの発言
   は、十分に記憶を整理せず、自分がそのようなことをするはずがないと
   いう奢りがあったゆえに述べてしまったものであり、深く反省をしてお
   り、お詫びいたします。
 
(3)実際に5000万円を目の前にしたときに、特定の人から多額のお金を借り
   ることを躊躇しましたが、その場でお断りをするまでの決断はできませ
   んでした。そこでこの5000万円は使わず、選挙終了後速やかに返済しよ
   うと考え、妻に指示して全額を貸金庫に保管し、秘書らにもそのことを
   一切伝えていませんでした。

    なお、その5000万円のうち500万円については、知人から依頼があ
   り、選挙後にその知人に貸しましたが、それは選挙とは無関係に貸した
   ものですし、残りの4500万円はそのまま貸金庫に保管していました。
 
(4)翌年2月上旬に、その5000万円をお返しする算段のため徳田毅氏に面談
   を申し入れましたが、徳田毅氏側の都合でキャンセルになりました。そ
   の後、私は、知事の仕事、とりわけオリンピックの招致活動等で多忙を
   極めました。そのさなかに、妻の病気が判明し、2か月間、公務と看病
   が重なり、その後妻が亡くなりました。そして、貸金庫が妻名義であっ
   たため相続手続きを経なければ貸金庫を開けることができず、そのため
   時間がかかったことなどから、返済が遅れてしまいました。早く返済す
   るためには秘書に返済手続きを任せるしかないと思い、妻が亡くなった
   後、秘書に事情を話して、徳田毅氏への返済を行わせました。返済に当
   たっては、知人から500万円を返してもらい、それと貸金庫の4500万
   円を合わせて返済しました。

    なお、徳田虎雄氏との間で、東電病院の話題が出たことは詳細な記憶
   がありませんが、私としては公表された範囲で説明をしたと思いますし、
   徳田虎雄氏からは何らの依頼も受けた覚えがなく、また、私が徳洲会の
   ために便宜を図った事実は一切ありません。
 
2、次に、私が処罰を受け入れることを決意したいきさつについて話します。

 私自身、5000万円を選挙には使っていないこと、基本的には個人の借入金に
すぎないことなどを分かって頂きたく、検事さんに説明してきました。検事さ
んとは主張が対立するところもありましたが、私の言い分にも十分に耳を傾け
てもらったと思っています。

 また、弁護人からは、今回の件は罪にあたらない可能性があると言われ、法
律解釈などについても詳しく説明してもらいました。

 その上で、最後には責任をとってけじめをつけたいと考えていましたから、
検事さんに処罰を受け入れたいと自ら申し出ました。
 
3、私が、今までの様々な場面で、今回の5000万円につき、選挙後の生活
費等として使うかもしれない個人の資金として説明してきましたが、それは事
実です。反面において、徳田虎雄氏や徳田毅氏に対して選挙を前提に話す中で
資金を用立てて欲しいとお願いし、実際にも万が一自己資金で足りなければ選
挙資金として使う可能性があったことも事実であり、5000万円が選挙資金とし
ての側面があることは否定できないと考えています。

 そのことを率直に認め、選挙の収支報告書も既に訂正しました。

 私の都議会での答弁やメディアの皆様に対する説明では、5000万円が個人資
金であると言ってきましたが、それは一方の側面を強調して話したものです。
また、それ以外にも、事実確認が不十分であったり、記憶が薄れたりしていた
こともあって、不正確な説明をしてしまい、深くお詫びします。

 私なりに東京都の未来像を真剣に思い描き、2007年の副知事就任以降、その
実現を自分の使命とし全力で取り組んできたつもりでしたが、どうしてこんな
ことをしてしまったのか、日々、後悔と反省にさいなまれております。

 また、都知事選挙を差配してくれた特別秘書ら私を支えてくれたスタッフま
でもが疑いの目でみられ、彼らにも耐えがたい苦痛を与えてしまいました。も
とより、彼らには何ら罪はなく、責められるべきは私一人です。加えて私は妻
を亡くしましたが、妻に対しても今回の私の自分勝手な行為について詫びる機
会を得ぬままに別れたことが痛恨の極みです。

 今後は、許されるならば、今回の過ちを反省の糧にして、作家として、以前
の志に立ち返り真摯に仕事に励んでいきたいと思っております。

 最後にあらためて、私に期待をかけてくださった都民のみなさま、私を長き
にわたり支えてくださった知人・友人、編集者をはじめとする多くの方々の信
頼を損なう結果となり、多大なご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げ
ます。              (2014年3月28日 於・司法記者クラブ)

               *
                                       
「日本国の研究」事務局 info@inose.gr.jp

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