⌘                  2014年12月04日発行 第0825号 特別
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 ■■■    日本国の研究           
 ■■■    不安との訣別/再生のカルテ
 ■■■                       編集長 猪瀬直樹
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 ツイッターでもお知らせしましたが、11月26日付け中日スポーツ1面「月刊
猪瀬直樹」連載を再開し、「作家としてもう一度生きる」を寄稿しました。メ
ルマガでもご紹介します。

                *

「作家としてもう一度生きる」

◆格別に早い一年

 年の瀬が迫ると誰もが、何と一年たつのは早いものだ、と感慨に浸る。僕の
場合は格別である。昨年のいまごろ、僕はほぼ1カ月にわたって“炎上”中だ
ったのである。

 12月24日に都知事を辞任し、今年3月28日に公職選挙法違反で略式起
訴(罰金50万円)され、ようやく渦中の人から解放された。有権者の皆さん
にご迷惑ご心配をおかけしてほんとうに申し訳ないと反省している。

 4月から別の面で僕は気ぜわしかった。妻ゆり子が、2020東京オリンピ
ック・パラリンピック招致活動の最中の昨年5月26日、悪性脳腫瘍で余命数
カ月と宣告され、7月21日に急逝した。9月7日のブエノスアイレスで「T
OKYO」が決定したその日、ゆり子の49日であった。

 12月には徳洲会の5000万円問題の中で、やり残した課題があった。妻
の納骨法要である。葬式後に骨壺(こつつぼ)を仏壇に安置したままであった。
まずお墓を決めなければならない。どこのお寺にするか、お墓の形はどうする
かなど専門業者と打ち合わせをしなければいけない。命日の7月までに一周忌
を執り行い、納骨する必要があった。お墓の場所選びでも悩んだ。郊外の霊園
では遠くてお参りにいけないので都心の仕事場に近い場所に決めたのは、何軒
もお寺を見て歩いて得た結論だった。

◆妻への思い形に

 お墓の目処(めど)がつくと、40余年ともに過ごしたゆり子への思いをど
う形にしたらよいのか悩んだ。家には遺品が残っている。段ボール箱に保育園
の連絡ノートが詰まっていた。僕が作家として自立する前、必死の思いで若い
夫婦は共働きで子どもを育てたのである。

 そんな折り、「奥さまとともに過ごした時代を一冊にまとめたらいかがでし
ょうか」と編集者から手紙をいただき、7月の一周忌を自らの締め切りと設定
して、このほどようやく『さようならと言ってなかった わが愛 わが罪』(マ
ガジンハウス)を上梓(じょうし)した。5000万円についても真相を記し
た。

◆予期せぬ出来事

 ゆり子が余命数カ月を宣告されたのは突然だった。ロシアのサンクトペテル
ブルクで最初のプレゼンテーションのために出発する前日、トランクを2つ並
べて荷造りをした直後、少しだけ言葉に漢字変換ミスのような言い間違いがあ
るので軽い脳梗塞かもしれない、と念のため病院で検査をしてみた結果だった。
 人生には予期せぬ出来事が起きる。僕は作家としてもう一度、生き直そうと
机に向かっている。この経験を人のために生かすことができれば、長い一年も
意味をもつだろうと信じている。     (11月26日付「中日スポーツ」)

                *

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ンハウス刊)はこちらから→ http://goo.gl/Rjm9TB 

■東浩紀×猪瀬直樹『さようならと言ってなかった』刊行記念トークイベント
(11月29日)はニコ生タイムシフト視聴できます。12月6日土曜日まで(有料)。

■11月25日発売の「クロワッサン」12月10日号の「著者に会いたい」というペ
ージで紹介されました(檀れいさんが表紙)。http://goo.gl/yzRf4v 

■11月25日発売の月刊「宝島」の「過去・現在・未来 あの人はいま」という
ページで紹介されました。http://goo.gl/G85XeK

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「日本国の研究」事務局 info@inose.gr.jp

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