お世話になっております。

直人です。

 

In the looop では毎月「ソーシャルメディア視聴率」というシリーズで、ソーシャルメディアアクセス状況を定期的にお伝えしています。現時点での最新版は「2012年12月最新ニールセン調査」ですが、PCからのアクセスがスマホに移行してきたこともあり全体的に右肩下がりな状況が続いており、スマートフォン版のソーシャルメディア視聴率公開に関するご要望が日増しに多くなってきております。

 

スマートフォン版の視聴動向調査は調査パネルの確保や技術的な問題などがあり、スタンダードが確立していないのが現状ですが、少しでも皆様のお役に立てばと思い、VRIさんのご協力をいただいて暫定版を公開いたします。

 

スマートフォン版ソーシャルメディア視聴率

下図は、iPhoneからソーシャルサービスへのリーチ率(到達率)を表したものです。

 


データはVRIさんの「Smart M3」からご提供いただいております。同サービスは「スマートフォン版視聴率調査」を目的として運用されているものですが、最新版である2013年1月調査時点ではパネルがiPhoneユーザーに限られているため、図表タイトルでは「iPhoneユーザー」と表記しました。調査概要は文末をご参照ください。

 

調査対象は以下の9サービスです。

 

サービス名 対象ドメイン(SSL+非SSL通信) 対象アプリ 除外対象 mixi mixi.jp, mixi-reverse.com, mixi-platform.com, mixi   Twitter twitter.com, twttr.com Twitter rackcdn.com Facebook facebook.com Facebook apple.com Google+ - -   LinkedIn - -   LINE naver.jp, navercorp.jp,  LINE naver.jp(ブラウザからの利用)、LINE camera カカオトーク kakao.com カカオトーク kakao.co.kr Mobage mbga.jp     GREE gree.jp, gree.net, gree.co.jp GREE Wacky Motors、メタルギアソリッド ソーシャル・オプス、現金が当たる懸賞アプリ!スマホでCHANCE、大河ドラマ50ドライブラリー

スマートフォンにおけるサービス利用形態は「アプリ」と「ブラウザ(WEB)」に大別されます。また、調査方式がプロキシサーバを使ったものであるため通信がSSLで暗号化されているとアプリ利用なのかブラウザ利用なのか判別が付きません。そのため、各サービスを上記のように「対象ドメイン(SSL+非SSL通信)」と「アプリ」でくくりました。対象ドメインへの通信があるもののうち、一部アプリ等はメインのサービスでないとして除外しています。それらは「除外対象」に含まれます。PC版調査対象である Google+、LinkedIn は、今回の調査では十分なサンプル数が得られませんでした。API利用やソーシャルブックマークによる他WEBページからの通信は、VRI側でスクリーニングをかけているようです(例えば connect.facebook.com や developer.facebook.com )。ただ、それも完璧である保証はないためご留意の上ご覧ください。

 

また、この調査の開始は2012年4月ですが開始2ヶ月までのデータはばらつきが大きいため掲載していません。

 

 

Facebook、Twitterは非常に広いカバレッジ

トップであるFacebookのリーチ率は92.3%、次いでTwitterが88%と、調査対象のほぼ全てが利用していることがわかります。今回はアプリとSSL通信もリーチに含めているため、利用頻度まではわかりません。

 

ただ、Facebookのリーチ率には私自身にもやや違和感があります。iPhoneユーザーのFacebook利用率がいくらたかいとしてもちょっと高すぎるかな、と。日本のスマホ契約者を3,000万人、iOS普及率を40%と保守的に見積もると、それだけでユーザー数1,100万人超となる見積もりです。ほぼ重複しないであろうAndroidからの利用者が同等数いるとすれば、Facebookの国内利用者1,700万人(推計)を大きく超えることになります。

 

このあたりをそのまま信頼するか、もしくはパネル特性やスクリーニング等の計測方法起因のバイアスと見るかは意見の別れるところかと思いますが、何か思うところのある方いらっしゃいましたら是非ご意見いただきたいと思います。

 

関連しそうなデータとして、Facebookの利用動向内訳の変化を挙げておきます。Facebookは、アプリからの利用が全く測定できません。そのため、アプリとサーバ間の通信が全てSSL暗号化されていると思われます。

 

Facebookのリーチ率は2012年4月の調査開始当初からずっと高い状態なのですが、暗号化されていないブラウザ利用の割合は徐々に減ってきているようです。

 

 Facebook JavaScriptSDK のプロトコルは呼び出し元に依存するように書くのが一般的ですし、画像等は非SSLで呼び出しているようですが、これらの利用が減っているとも思えません。Facebookはアプリの開発をずっとHTML5で行ってきましたが、昨年8月に方針を転換。ネイティブアプリに切り替えました。その影響もあるのかもしれません。
 
少なくとも言えるのは、傾向としてFacebookの通信内容はプロキシ型の調査手法では測定できないブラックボックスになりつつある、ということでしょうか。
 
 

Twitter、LINEのリーチは半年で大幅増加

2012年6月〜12月の半年間で、Twitterの利用率は「64.5%→77.9%→88%」と順調に伸びています。同様にLINEも「48.2%→55.4%→79.6%」と30ポイント以上大幅な増加を見せています。
 
いずれのサービスも1年以上の歴史がありますから、スマホ普及を超えるスピードで利用者が拡大していることが伺えます。
 
 

モバイルではmixiのリーチは落ちていない

mixiは調査対象の4割程度が利用していることがわかります。PC版利用者数は次第に減少していますが、モバイルでの利用者数は半年で微増しており、フィーチャーフォンからの移行が順調に進んでいると考えられます。
 
ちなみに、2012年12月時点での利用内訳はアプリ経由が16%程度、ブラウザ利用が31%程度、その他SSL通信が24%程度でした。気になる点としては、2012年6月調査から2012年12月調査で、mixiドメインに対する通信回数が418回→218回と大きく減っている点です。通信回数はアプリのアーキテクチャや形態に大きく依存するため、仕様変更によるものであるかもしれませんが、利用頻度が下がっているとしたら問題かもしれません。
 
 

mixi利用動向の変化


 mixi利用動向 リーチ 接触回数 視聴ページ数 通信回数 滞在時間 2012年12月 42.4 11.2 65.6 218.7 0:08:17 2012年9月 38.7 16.7 85 418.5 0:12:17 2012年6月 39 25 153 425.1 0:13:00

※接触回数、視聴ページ数、滞在時間は暗号化されていないブラウザ利用によるものです。アプリからの利用時間や暗号化された通信は含まれません。
※通信回数の値は、ブラウザのSSL通信、もしくはアプリから調査対象ドメインへのHTTP Requestが発生した回数です。アプリの実装方式に大きく依存するため、単純比較するものではないことをご承知おきください。
※視聴ページ数は、画面遷移の回数と相関するため、多ければよいというものではありません。
 
 

終わりに

・・・というわけで、ご要望の多かったスマホ版(といってもサンプルはiPhoneだけですけど)ソーシャルメディア視聴率をお届けしました。

 

調査手法が確立していないことや、利用者数が急速に伸びている背景など様々な要因があり、どうしても注釈だらけになってしまいます。このブログ記事をご覧になった方は、わかりやすい数字に振り回されるのではなく、黎明期のパネル調査の限界をよくご理解の上、温かいまなざしでご覧になっていただけますと幸いです。

 

調査概要

■ 調査対象者

関東地区在住の15~59才のiPhoneユーザー 約423〜736サンプル

※2012年2月実施の「SmartPhone Contents Report vol2」予備調査結果に準拠し、性年齢構成を設定

 

■ 調査対象者獲得方法

外部協力機関のインターネット調査モニターより条件に基づきリクルーティング

 

■ 取得データ

iPhoneユーザーのインターネット経由でのブラウジング/アプリ接触状況データ

※3G(UQ含む)/Wi-Fi経由とも取得

※オフラインでのアプリ利用等については、捕捉できません。

 

詳しくは、株式会社ビデオリサーチインタラクティブお問い合わせページよりお問い合わせください。

尚、この記事は株式会社ループス・コミュニケーションズが株式会社ビデオリサーチインタラクティブのから同意を得た上で記事化・掲載しています。このような形で調査内容を開示・転載する際はデータ提供元にご確認いただけますようお願いいたします。


by 許 直人
RSS情報:http://media.looops.net/naoto/2013/02/12/vri-sm3-2012-12/