※様々な課題や限界がある中、提供会社の方と試行錯誤しながら作ったデータです。お気づきの点や、ご意見・ご要望などございましたら itl@looops.net まで是非ご連絡ください。参考にさせていただきたく存じます。

 

お世話になっております。

直人です。

 

In the looop では毎月「ソーシャルメディア視聴率」というシリーズで、ソーシャルメディアアクセス状況を定期的にお伝えしています。現時点での最新版は「2012年12月最新ニールセン調査」ですが、PCからのアクセスがスマホに移行してきたこともあり全体的に右肩下がりな状況が続いており、スマートフォン版のソーシャルメディア視聴率公開に関するご要望が日増しに多くなってきております。

 

先月、「【スマホ版】mixi, Twitter, Facebook, LINE, カカオ 2012年12月ソーシャルメディア最新視聴率調査【VRI】」と題してスマホ版を暫定的にださせていただきましたが、今回はPC版の指標と合わせてお送りいたします。尚、完全性を求めるのであれば「PC+スマホ(アプリ&ブラウザ)+ガラケー」が望ましいのだと思いますが、トレンドとニーズを鑑みて In the looop編集部で話し合った結果、ガラケー版ネット視聴率調査報告は「Ameba, GREE, Mobage, mixi, Facebook, Twitter, 2012年8月 最新ドコモ携帯ネット視聴率」で終了とさせていただいております。

 

尚、以下に掲載したグラフは株式会社ビデオリサーチインタラクティブよりデータ提供を受け、作成しております(PC版データはWebReport、スマホ版はSmartM3)。

 

 

各ソーシャルサービスの推定接触人数PC版 (千人)

まずはPCブラウザからの、各ソーシャルサービスへの接触人数を見てみたいと思います。

 

 

mixi, Twitter, Facebook, Google+, Linkedin 2012年12月最新ニールセン調査」と比較していただいても、グラフの形は大体一致すると思います(データ利用許諾上の問題で、本エントリにニールセンのグラフを掲載することができないため、リンク先にて確認をお願いいたします)。

 

接触人数の数値を比較すると、概ね20〜30ポイント程度ニールセンのデータが多くなっていますが、これはデータ取得方法やポリシーなどの違いによるものと思われます。

 

このあたりの話を細かく書くときりがないのでざっくり説明させていただきますが、VRIとニールセンの調査は、いずれも総務省統計局が実施した国勢調査に基づいて行われるインターネット基礎調査を参考に、標本調査(無作為抽出)のRDDパネルを作成しています。ただし、両社のデータ収集方法は完全には同じではなく、例えばニールセンでは無作為抽出パネルの標本数の限界を補完するために2008年10月からメガパネルサンプル(応募型)を追加して、データの収集を行うなど、それぞれ品質向上のため様々な取り組みをしており、それらがこのような差異につながっていると考えられます。

 

いずれにせよ、本エントリの目的は会社ごとのデータ収集方法の是非やその信頼性について論じるものではないため、詳細な情報をご希望の場合は各社窓口までへお問い合わせください。

 

ニールセン 問い合わせフォーム

VRI(ビデオリサーチインタラクティブ) 問い合わせフォーム

 

 

各ソーシャルサービスの推定リーチ率PC

続いて、リーチ率のグラフです。前述の接触者数のグラフに加えて、破線の系列が3つ追加されています。

 

 

この破線3系列はそれぞれ、APIやウィジェットで利用されていると思われるドメインを、アクセスとしてカウントした場合のリーチ率になります。

 

FacebookやTwitter、mixiなどオープンなプラットフォームは、サードパーティがウィジェットなどを自社サイトに設置できるため、ユーザーの知らないところでアクセスが発生していることがあります。このような影響を最小限にするため、データ提供各社は一部のサブドメインなど、特定の条件に合致するアクセスをそのサービスへのアクセスとしてカウントしない措置を採っています。

 

例えば、Facebookのいいねボタンを表示しているページにアクセスすると、アクセスしたユーザーはFacebookを全く使う意図がなかったとしてもブラウザからはFacebookサーバへのアクセスが発生します。通常、このようなユーザーが意図しないアクセスは極力取り除く方が望ましいと考えられますが、サービス提供者それぞれのポリシーや技術的な問題のため完全に除外することはできません。できる範囲内で最大限の対応をしているというのが実際のところです。本エントリ下部に、除外対象ドメインを挙げておりますので気になる方はご確認ください。また、明らかな誤り等お気づきになった方がいらっしゃいましたら、 itl@looops.net までご連絡いただけると助かります。

 

要するに、ウィジェットやAPIへのアクセスも含めるとFacebook、Twitter、mixiの各サービスは同色破線の位置までリーチが増大するということです。このデータからは、ウィジェットやAPIの普及度合いを読み取ることができます。ウィジェットやAPIへのアクセスを含めた場合に最もリーチ率が伸びるのがFacebookであり、その普及度合いが見て取れると思います。

 

かつてmixiが「ソーシャルグラフプロバイダ」というコンセプトを発表していましたが、本体サイトへのアクセスがなかったとしてもサードパーティのWEBサイトを経由して影響力を行使するプラットフォームビジネスの実態が垣間見れ、非常に興味深いと感じました。極端な話、自社が保有するソーシャルグラフが徹頭徹尾普及した世の中では、プラットフォーマーは「WEBサイト」というコンタクトポイントを維持し続ける必要がないのかもしれません。それは住基ネットや行政サービスに近い、さながら「個人情報の元締め」のようなものでしょう。

 

で、なんでわざわざこの「API等へのアクセスを含む版」を持ちだしたかと申しますと、Facebookが抱えるソーシャルグラフの拡大に警鐘を鳴らしたいわけでもなく、Facebookをヨイショしたいわけでもなく、スマホ版リーチ率ではこれらの数値を除外できないからなんですね。

 

以下のグラフが、スマホ版ソーシャルサービスの接触率になります。

 

 

上記リーチ率は、ブラウザからのアクセスだけでなく、アプリからのアクセス、そしてどちらからかわからないSSL暗号化されたアクセスを全て含んだものです。

 

VRIスマホ版視聴率調査(SmartM3)のサンプルはiPhoneユーザーを対象に行われていますが、「プロキシ型」という、インターネット上に集計サーバを立て、そこを経由するユーザーのトラフィックを集計する形を採っています。(※誤解のないように申し添えておきますが、一般ユーザーのトラフィックを勝手に解析しているわけではなく、サンプル調査に応募したユーザーから許可を取ってデータ収集しています)そのため、ユーザーの端末側で暗号化され、通信相手(例えばFacebookとかTwitterとかmixi)側で復号化されるようなやり取りはその内容について多くの情報が得られません。

 

特にFacebookはほとんど全てのやり取りが暗号化されており、このようなケースではUserAgentや滞在時間などの情報は取得できません。収集方法としては、プロキシサーバで取得したIPを逆引きしてドメインを割り当て、利用動向として蓄積しているとのこです。詳細は以下の記事を御覧ください。

 

【スマホ版】mixi, Twitter, Facebook, LINE, カカオ 2012年12月ソーシャルメディア最新視聴率調査【VRI】

 

なので、スマホ版のリーチをご覧になる際はこれらAPIやウィジェットなど第三者サービスの影響を割り引いて考える必要があります。その一助になればとPC版では除外しないデータを記載しました。

 

LINE、mixiの減少については正直よくわからない

データの内容で気になる点として、LINE/mixiのリーチ率が大きく下がっている点が挙げられます。

 

通常であれば食らいつきたくなるところですが、元来測定出来る内容が少ない点や、12月から1月にかけてサンプル数が大きく下がっている点などを踏まえると、「うーん、しばらく様子見てみようかな」という気持ちです。そういう気持ちにならざるをえないというのが実感です。はい。

 

公式情報としてアクティブ率が下がっているという話は聞きませんし、コミュニケーションサービス関連のリサーチャーに意見を求めたところ12月は利用者が増える時期らしく、その影響を指摘していました(あくまでも個人の意見です)。

 

とりあえず11月下旬から1月にかけての週次データをグラフにしてみました。

 

コミュニケーションって年末年始に集中するのかと思ったらクリスマス前にピークがありますね。12月のサンプル数は736ですが、同一サンプルでもこれくらい差が出るものかとびっくりしました。

 

LINEに関してはこれまでずっと急速な右肩上がりだったため、意外な感じはありましたが、今後の動向についてしばらく注視してみたいと思います。

 

参考 : 【2012年12月最新版】Skype・LINE・comm・カカオ認知度調査 

 

 

終わりに

ここまでお伝えしたデータは、いずれもいくつかの発見をもたらしてくれますが信ぴょう性やバイアスも含め見る人を選ぶ難しいものだったと思います。

 

それでも、「ネット視聴率界隈では、今こういうデータがあって、現場ではこういう課題があるんだよ」みたいな、なんとなくの雰囲気だけでも伝わればと思い、あえて公開させていただきました。

 

スマホ版はAndroid対応や調査方法も含めまだまだ精度を上げている途中のようですが、PC版は視聴ページ数やユーザー属性データも取れますので、もし需要があれば今後も続けていきたいな、と考えております。

 

 

調査概要

PC版調査(WebReport)

分析対象期間: 2012年01月01日(日) 〜 2013年01月31日(木)
エリア区分: 全エリア
アンケート項目絞込: 無
有効サンプル: 13203

 

■PC版パネル割付

◎調査方法:RDD調査
◎調査対象数:年間18,000世帯 *個人ベースで50,000人程度
◎人口推定方法
1.調査世帯に同居している人数を把握
2. 1のうち、インターネットを利用している人を把握
3. 2÷1 でインターネット利用率を算出
4. 住民基本台帳の人口に3の利用率を掛けてインターネット利用人口を算出 *性/年齢×エリア別に算出
ex.調査対象世帯内人数が合計5万人で利用者が3万人の場合、利用率=60%、全国の人口が1億人の場合、1億人×利用率60% = 6,000万人
◎人口更新頻度:毎年7月にインターネット利用推定人口を更新

 

 スマホ版調査(SmartM3)

■ 調査対象者

関東地区在住の15~59才のiPhoneユーザー 約500サンプル

※2012年2月実施の「SmartPhone Contents Report vol2」予備調査結果に準拠し、性年齢構成を設定

 

■ 調査対象者獲得方法

外部協力機関のインターネット調査モニターより条件に基づきリクルーティング

 

■ 取得データ

iPhoneユーザーのインターネット経由でのブラウジング/アプリ接触状況データ

※3G(UQ含む)/Wi-Fi経由とも取得

※オフラインでのアプリ利用等については、捕捉できません。

 

詳しくは、株式会社ビデオリサーチインタラクティブお問い合わせページよりお問い合わせください。

尚、この記事は株式会社ループス・コミュニケーションズが株式会社ビデオリサーチインタラクティブのから同意を得た上で記事化・掲載しています。このような形で調査内容を開示・転載する際はデータ提供元にご確認いただけますようお願いいたします。

 

除外ドメイン(判別できる場合のみ)

■Facebook
api.facebook.com, static.ak.facebook.com, api.ak.facebook.com, s-static.ak.facebook.com, s-static.ak.facebook.com,static.ak.connect.facebook.com, api.connect.facebook.com, s-static.ak.facebook.com,

 

■Twitter
platform.twitter.com, platform0.twitter.com,

 

■mixi
plugin.mixi.jp, static.mixi.jp,

 

■linkedin
platform.linkedin.com,

※除外条件その他に関する詳しい情報は、itl@looops.net までお問い合わせください。


by 許 直人
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