チャートの見方を簡単に説明したい。水色のラインは2013年2Q調査、紺色のラインが2013年4Q調査であり、二つの幅が広いほど半年間の成長率が高いことを示している。また右のピンク数値はこの半年間における成長率をあらわしている。
トップはFacebookで、普及率69%(半年成長率11%、以下成長率と略)だった。2位がYouTube 59%(成長率13%)、3位がGoogle+ 37%(成長率15%)と続く。モバイルやタブレット・アプリにおいても、現時点では「PC世代のソーシャルメディア」が上位を占めていることがわかる。ただし、それ以降はモバイルやタブレットに特化した新興勢力、いわば「モバイル世代のソーシャルメディア」が位置づけており、それらが旧世代を急追している様子が見てとれる。
最も成長が際立つのはメッセンジャー系アプリで、第4位にFacebook Messenger 37%(成長率13%)、第5位にWhatsApp 36%(成長率35%)、第9位にWeChat(成長率379%)、第10位にLINE 10%(成長率22%)、第14位にKakao Talk 6%(成長率23%)、第17位にKik Messenger 3%(成長率31%)と、6アプリが次世代トップを目指して凌ぎを削っている。
中でも注目されるのは、米国WhatsApp、中国WeChat、日本LINEという三大新興メッセンジャー系アプリによる世界市場における覇権争いだ。モバイルユーザーはシンプルな操作性を望むため、機能的な差別化をしにくい。またアプリに慣れ親しむと、ネットワーク外部性によって乗換えが困難だ。そのため、成長期にある今がまさに勝負時と言えるだろう。
ここで重要になるのが地域別の覇権争いだ。下記の図表はONAVO社による調査で、メッセンジャー系アプリの世界各国におけるシェアを表したものだ。調査タイミングは2013年6月、対象はiPhoneユーザーのみだが、国別の傾向はおよそ俯瞰できるだろう。半年前のデータだが、これを見る限り、世界的にみるとWhatsAppが圧倒的に強く、WeChatは中国、LINEは日本と、地域限定メッセンジャーとしての色合いが強い。そのため、両社にとっては、普及が遅れた東南アジアなどへの進出が重要課題となっている。
なお、各社が発表した最新MAU(月次アクティブユーザー)は、WhatsAppが4億人(2013/12)、WeChatが2.7億人(2013/9)だ。LINEはMAUを公表していないが、登録者数の3億人(2013/11)から、MAUは2〜2.5億人のレンジであると予想される。GlobalWebIndex調査の推定値とはやや隔たりがあるのは、WeChatおよびLINEの地域依存が高いことが原因かもしれない。いずれにしてもこの三つ巴の争いがソーシャルメディアの新しい勢力図に大きな影響を及ぼすことは間違いないだろう。
なお、メッセンジャー系とならんで強い分野が写真動画共有系アプリで、第8位にInstagram 21%(成長率33%)、第13位にFlickr 6%(成長率1%)、第15位にSnapchat 5%(成長率54%)、第16位にVine 4%(成長率105%)が入っている。中でも50%以上の成長率を誇る新興系アプリ、SnapchatとVineがどこまで伸びるかに注目したい。
【参考記事】
2014年、これからのソーシャルメディア・トレンドを探る [in the looop] (2014/1/14 斉藤記事)
by 斉藤 徹