IBMの大規模調査「IBM GLOBAL CEO Study 2012」では、ソーシャルメディア時代における新戦略として、多くのCEOが「顧客・社員・パートナー」との関係性を深め、競合優位の構築を推進していることを明らかにした。この記事では、先日開催されたセールスフォースのイベント「ドリームフォース」にて、この絆による価値創造を具体的にどのようにしていくか、発表された情報をベースに詳細に踏みこみたい。今回は最終回として、「社員とパートナー、さらに機械をつなぐことによる価値創造」を、ゼネラル・エレクトリックの事例をもとに紹介したい。
セールスフォースのCEO、マーク・ベニオフ氏は「昨年すばらしいことが起きました」とGEとのコラボレーションを語り始めた。それによると、昨年のイベント「ドリームフォース」の後、GEのCEO、ジェフ・イメルト氏から電話をもらい、GEの将来についてアイデアが欲しいと依頼されたいう。彼がヒントを欲しいと問うたところ、イメルト氏から返ってきたのは二つのビジョンだった。一つはインテリジェンスを持つ機械とコミュニケーションすること、二つ目はその機械に対してのカスタマーサービスを行うことだ。それを基にできたのが「GE Share」というコンセプトだ。
この画面は、Chatterを使って、機械(エンジン)と顧客(JAL)、そしてGEの社員が、まさにリアルタイムに対話しているものだ。彼らのエンジンはインテリジェンスでAPIを持っており、人間のようにChatterにさまざまなステイタスをつぶやく。その言葉に呼応して自社やパートナー、お客様のエンジニアとコラボレーションを行い、さらにエンドユーザを含めたコミュニケーションを行う。つまり、エンジンの周りに「ソーシャルネットワーク」が生まれるコンセプトだ。
なお、この「GE Share」の機能は次のような組み合わせで構成される。
- Salesforce Platformを使うことで、様々なGE製品と連携し、エラーメッセージなどをすばやく関係者間で共有することができる
- Service CloudやChatterを組み合わせることで、GE製品の状況を写真を含めてリアルタイムに把握し、的確なサポートを顧客に提供できる
- Chatter Communitiesを使うことで、GE製品の顧客(GE Aviationの場合はJAL)と同じ情報を共有し、製品の改善を共同で行うことができる
- Sales Cloudと一緒に使うことで、営業活動をデジタル化し、エンジニアとの共同活動を迅速に進めることができる
- Chatterを使うことでコミュニケーションが変わり、ノウハウが簡単に共有・検索できるようになることで、学習が加速化される
デモンストレーションの最後に、GE のGlobal CIO、シャーリーン氏はGEの将来像をこう話した。「これからはビジネスの方法が変わると思います。私にとってのソーシャルというのは、新しい売り上げ、新しい価値です。非常にシンプルですよ。それは学習を加速化することです。コミュニケーションをよくすることです。正しい人間と正しい情報を正しい時期に正しいデバイスへ、どこにいてもつなぐことです。GEには30万人の社員がいます。インストールベースもたくさんあります。非常に大切なのはコミュニケーションをよくすることです。学習を加速化すること。新しい形でお客様にバリューを持つこと。機械はいろいろなデータを持ってます。そのデータを早くつかんで、それを本当に意味のある情報。例えば機関車を速く走らせるようにする。飛行機の燃費をよくする。これがすばらしい価値になるのです」
なお、GEグループは「GE Share」以外にもSalesforceを多面的に活用している。当イベントでは、GE CapitalがChatterとコミュニティ活用事例として取り上げられた。彼らはChatterを活用し、社内のコミュニケーションやコラボレーションを活性化。さらに社外のパートナーも巻き込むプラットフォームを構築している。その様子は次のビデオでご覧いただきたい。
Click here to view the embedded video.
閲覧できない方は YouTube へ [GE Capital creates a branded social experience]
■ セールスフォース・イベント「ドリームフォース」特集記事
・第一回「セールスフォース、全製品ラインを統合する新たなソーシャル戦略を発表」
・第二回「顧客との絆を深める。バージンアメリカが目指すソーシャル革命」
・第三回「人事は管理からエンパワーメントへ。Facebook社内のソーシャルな社員評価システム」
・第四回「社員とパートナーと機械をリアルタイムにつなぐ。GEが目指すソーシャル革命」
by 斉藤 徹