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  • 【第113-115号】岩上安身のIWJ特報!特定秘密保護法は「ツワネ原則」にもとづき白紙撤回すべき! ~海渡雄一弁護士インタビュー

    2013-11-30 15:34  
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    第113・114・115号
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
              岩上安身のIWJ特報!
        特定秘密保護法は「ツワネ原則」にもとづき白紙撤回すべき!
            ~海渡雄一弁護士インタビュー
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 11月26日、衆議院特別委員会で強行採決が行われ、たった40時間、審議ともいえない形ばかりの審議を行っただけで、稀代の悪法・特定秘密保護法が衆院で可決されてしまった。
     
     その翌日からは、さっそく参議院で審議が開始された。政府・与党は、会期末である12月6日までに、同法案を成立させる構えである。
     
     この特定秘密保護法は、つい先日の11月27日に参議院で可決され、12月4日にも発足する見込みとなった、日本版NSC(国家安全保障会議)と一セットである。
     
     さらに、解釈改憲による集団的自衛権の行使容認とあわせ、米国の引き起こす戦争に、地球の裏側であろうと、宇宙の彼方であろうと(安保法制懇座長代理・北岡伸一氏の発言【URL】http://on.wsj.com/1astlJ6)、自衛隊がつき従ってゆく体制ができ上がってしまうのである。
     
     前号の「IWJ特報~元内閣法制局長官・阪田雅裕氏インタビュー」でも明らかとなったように、日本の領土が侵されたり、日本の近海で起こった有事に関しては、憲法9条の現行解釈でも、個別的自衛権の発動によって対処することができる。
     
    ※IWJ特報111・112号 「解釈改憲はありえない」 安倍政権がつき進む集団的自衛権行使容認を批判 「とんでもない戦争に巻き込まれるのは目に見えている」~元内閣法制局長官・阪田雅裕氏インタビュー
    http://iwj.co.jp/wj/open/archives/112572
     
    集団的自衛権の行使容認論者は、中国や北朝鮮を念頭に、周辺諸国との安全保障環境の悪化をあげるが、いったん行使を容認すれば、自衛隊の人員や艦船が米国につき従って世界中に分散することになり、逆に日本周辺の防衛力は低下してしまう。矛盾もいいところである。
     
     なぜ、このような論理破綻もはなはだしい、集団的自衛権の行使容認、そして特定秘密保護法の制定を、安倍政権は急ぐのか。
     
     日本政府と日本国民の情報を献上させ、米国が今以上に日本という国を操れるようにする。そして米国と軍事的一体化をはかり、日本を米国の侵略に加担させ、その負担を肩代わりさせる「軍事的属国」に改造するためである。
     
     「IWJウィークリー」23号に掲載した「ニュースのトリセツ~特定秘密保護法案は”貧ぼっちゃまくん”!」でも指摘したように、特定秘密保護法案の第9条には、「外国の政府又は当該機関」に「特定秘密を提供することができる」という、驚くべき文言がある。
     
    ※【緊急掲載】特定秘密保護法案は「貧ぼっちゃまくん」!!(IWJウィークリー23号 岩上安身の「ニュースのトリセツ」より)
    http://iwj.co.jp/wj/open/archives/109476
     
     つまり、国民には開示しない「特定秘密」を、「外国の政府」つまり米国には提供する、ということが堂々と明記されているのである。
     
     では、そのような法案を日本に強く要請する米国の真意とは何か。そもそも、この特定秘密保護法により、私たちの日常生活はどのように規制されるのか。そして、特定秘密保護法が完全に反しているとされる、安全保障と情報公開に関する国際指針「ツワネ原則」とは、いったい何か。
     
     これらの疑問に対し、日弁連で秘密保護法制対策本部副部長を務める弁護士の海渡雄一氏に、詳しく解説していただいた。 
     
     特定秘密保護法に対する参議院での審議が進むなか、必読のインタビューである。
     
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    ◆インタビューのポイント◆
     
    ①元CIA職員のエドワード・スノーデン氏の暴露により、NSA(米国家安全保障局)が「PRISM」というプログラムで大手IT企業9社から網羅的にデータを収集していたことが明らかになった。その後も、ブラジルやメキシコ、さらにはドイツのメルケル大統領の携帯電話を盗聴していたことが発覚。日本も在米日本大使館がNSAに盗聴されっていたことが明らかとなったが、日本政府は他の国々と異なり、米国側にまったく抗議をしていない。
    ②「適正評価制度」(セキュリティクリアランス)を通過して「特定秘密」にアクセスできるのは、政府の中の一握りの人間だけ。各省庁の内部でも、「特定秘密」にアクセスできる官僚とできない官僚が分断され、省庁間の情報共有もできなくなる。したがって、日本の官僚機構は脳細胞の神経が切れたような状態となり、機能マヒに陥る可能性がある。
     
    ③特定秘密保護法は、2007年に日米で締結されたGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の延長線上に位置づけられる。米国は、GSOMIAによって日米間で共有した軍事・防衛上の機密が日本側から漏洩しないよう、特定秘密保護法の制定を急がせているのだと考えられる。
     
    ④さらにGSOMIAの締結後、日本の武器輸出を規制する「武器輸出三原則」の緩和が決定した他、宇宙航空開発機構(JAXA)の事業を「平和目的に限る」とする規定をなくし防衛利用を可能とする改正法が可決するなど、軍事技術の開発に道を開く措置が立て続けに決定している。そのことと、原子力基本法に「安全保障に資する」という文言が加えられたことをあわせて考えれば、特定秘密保護法と日本版NSC設置法の背景には、軍事機密の共有による日米での武器共同開発、さらには潜在的な核保有の欲望が存在する。
     
    ⑤特定秘密保護法は、国連関係者や、米州機構、欧州安全保障協力機構が策定に関わり、世界70ヶ国以上約500人の専門家が会議を重ねて今年6月に発表した国際指針「ツワネ原則」に多くの点で反している。例えば「ツワネ原則」では、政府が秘密を指定する場合には、政府に対し、合理的な説明を求めている。しかし、特定秘密保護法ではそのような規定はまったくなく、「特定秘密」の内容と指定された理由が明らかになることはない。
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    ◆真の対立軸は何か◆
    ================================▲岩上安身のインタビューに応じる海渡雄一弁護士
    岩上安身「ジャーナリストの岩上安身です。日本版NSC法案と特定秘密保護法案が秋の国会で上程されました。政府は12月初旬には可決させたいと考えているようです。NSC法案、特定秘密保護法案と、さらにこのあとに待ち受けていると言われている共謀罪があります。

     これらは、治安強化、あるいは戦争遂行のための準備と思われる法案です。これらの法案がどのような原則に違反しているのか。これについて、弁護士の海渡雄一先生にお話をうかがいます。

     大変問題をはらんだ法案が一挙に可決されるのではないかという危惧があります。最近になって急に非常に押取り刀で既存メディアでも反対の声が上がるようになりました。これによって、ひょっとしたら世論の声で廃案、もしくは抜本的な修正ができるかもしれないと思いますが、崖っぷちですよね」

    海渡雄一氏(以下、敬称略)「そうですね。実は今日、国会で参考人の調べをやっているんですね(※1)。

    今日の段階で、明日一日審議することが決まっているので、政府の考えでは来週ぐらいに衆議院採決に持ち込もうとしているのではないでしょうか(注:このインタビューが行われたのは11月13日)」

    岩上「NSC法案にいたっては、もう衆議院はクリアしてしまいました。たいへん怖い問題がいっぱいあります。

     さて、まず最初のテーマは、『スノーデン事件から見えてきた監視国家アメリカ、そして日本ー秘密保全法制と盗聴法拡大・共謀罪とアメリカの影』です。『スノーデン事件から見えてきた』とありますが、スノーデンさんというのは、CIAの元職員で、アメリカのプリズムという盗聴プログラムの実態について暴露した方です。スノーデンさんが暴露したアメリカの盗聴システムの向こう側には、監視国家が見えます」

    岩上「アメリカはものすごい勢いで変貌していて、たいへんな監視国家になっていて、全体主義国家になりつつあります。永続する警戒態勢と、永続する戦争体制を築き上げ、実行に移しつつあるわけですね。そこに日本は巻き込まれつつあります。NSC法案や特定秘密保護法案は、実は日米隷属関係抜きには語れないと思います」

    海渡「去年の衆議院選挙、そして今年の参議院選挙で、自民党を勝たせてしまいました。そのあとにどういう未来が待ち受けるのか。それが今、我々の目前に迫ってきているような気がします。アベノミクスがいいのか悪いのか。今日はそれを議論する場ではないのですが、日本国民は騙されてしまったのではないかと思います。

     憲法は人権を保証するものであり、国家権力にくびきをかけていくものです。それを安倍さんは否定したがっているわけです。そして、アメリカと一緒に戦争ができる国家に日本を仕立て上げていきたいということがあり、そのために集団的自衛権を認めるよう進めています。

     日本版NSC設置法を作り、そして戦争ムードを煽り立てるために、秘密保全法を制定しようとしているのではないかと思います。

     そして原発の問題があります。原発事故は汚染水の問題を見ても分かるように、収束してないのですが、そういう状況のなかで、次の事故を引き起こしかねないにも関わらず、再稼働して、原発を輸出していくということも言っています。ここに来て、小泉さんが、それはダメだと言い出して、ちょっと面白い状態になっていますね」

    岩上「小泉さんは昨日、日本記者クラブで、講演と記者会見を行いました。小泉さんの発言についてはどう思われますか?」

    海渡「彼自身が自民党の首相で原発を推進した側にいた人ですから、そのことを深く反省していただかなければいけないのですが、今おっしゃっていることはたいへんまっとうですよね。

     小泉さんは、いったん思い込んだら最後までやる人じゃないかと思います。郵政が良かったか悪かったかは別にしても。だから、脱原発はまっしぐらでやってほしいと思います」

    岩上「なるほど。原発輸出や原発再稼働に歯止めをかけるかどうかという問題が、真の対立軸にあります。安倍政権になってから、何回も外遊をしていますが、それは原発を輸出するためのトップセールスをやるという目的です。この背景には何があるのでしょうか。

     なぜ、こんな大事故を起こした直後の日本が、これほど焦って財界と政界のトップが一体となって、世界一安全な技術を提供するなどと言いながら兵器を世界中に売りまくろうとしているのか。また、それを買おうとする国々があります。これはどういうことなのでしょうか?」

    海渡「私の見るところでは、やはり安倍さんの周りには原子力ムラがビターっとくっついています。自民党の中ではバラつきがあると思いますが、そのなかでも一番コアになる原発推進派が安倍さんの周りを固めていると見るしかないと思います」

    岩上「非常に強力な利権がまとわりついていて、安全や、エネルギーの転換や、将来的な原発維持の莫大なコスト、それらに目をつぶってしまっています」

    海渡「小泉さんの発言を少し読んだのですが、一番いいことを言ってると思ったのは、これは首相の洞察力と決断力の問題だという部分です。なかなか名言ですね。だから、安倍さんが、洞察力と決断力のない人なのかなと」

    岩上「2つの論点のひとつは、戦争遂行可能な国家を作るということ、そしてもうひとつは原発を維持するということです。原発に関しては、さらに拡大、輸出までやろうとしています。この2点は、実は、掛け算でも考えられるべきことで、国内に54基もの原発を抱えたまま戦争に突入してしまうという状況になりえます。

     日本が戦場になったとき、原発をそのままにしてどうするのかという、本当にリアルな問題が差し迫っています。そういうことを全然考えていないということなのです」

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    (※1)2013年11月13日、衆院国家安全保障特別委員会で秘密保護法案についての参考人質疑が行われた。田島泰彦上智大教授など4人の参考人が問題点を指摘した。(2013年11月13日毎日新聞「秘密保護法案:衆院委で参考人質疑 田島氏ら4教授が意見」【URL】http://bit.ly/1gHV1xT)

    田島氏は「国家の秘密は保護する必要があり、認めないということではないが、国家の安全であれ、十分アクセスする権利があり、かつそれを保障する情報公開という枠組みを担保されることが必要であることを前提に、必要最小限度に、保護される秘密をできるだけ限定し調和していくというのが現代の民主主義の在り方ではないかと言っている」と述べた(民主党のホームページに田島氏の回答の内容が詳しく記載されている【URL】http://bit.ly/1cbwMV7)。

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  • 【第111-112号】岩上安身のIWJ特報!「解釈改憲はありえない」 安倍政権がつき進む集団的自衛権行使容認を批判 「とんでもない戦争に巻き込まれるのは目に見えている」~元内閣法制局長官・阪田雅裕氏インタビュー

    2013-11-20 23:11  
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    第111・112号━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━            岩上安身のIWJ特報! 「解釈改憲はありえない」 安倍政権がつき進む集団的自衛権行使容認を批判    「とんでもない戦争に巻き込まれるのは目に見えている」 
          ~元内閣法制局長官・阪田雅裕氏インタビュー━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     「地球の外だってありえる。宇宙だってどこだって行くかもしれない」――。
     これは、安倍総理の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の座長代理を務める、国際大学学長の北岡伸一氏が10月16日、記者団に対して語った発言である。
    ※集団自衛権「地球の外でも」=北岡氏 (時事通信、10月16日【URL】http://on.wsj.com/1astlJ6)
     安倍政権が押し進める、解釈改憲による集団的自衛権の行使容認。安倍総理への政策提言を行う安保法制懇は、行使容認に向けた解釈改憲の必要性を明記した報告書原案をすでに取りまとめた。年明けにも総理に提出する見通しだと言われる。
    ※北岡氏、憲法解釈変更の原案策定 集団的自衛権で(共同通信、11月15日【URL】http://bit.ly/1at1PdB)
     集団的自衛権の行使を容認するということは、自衛隊が米軍の下請けとなり、米軍とともに戦争を行う「軍隊」と化す、ということを意味する。そしてその出動範囲は、北岡氏によれば、「地球の裏側」どころか「宇宙」にまで及ぶ、というのだ。
     米国に盲従し、自衛隊を宇宙にまで派遣するという集団的自衛権の行使容認。そのために政府が目指す解釈改憲について、「憲法の番人」である内閣法制局元長官の阪田雅裕氏は、「ありえない」と一刀両断する。
     歴代の内閣法制局が積み上げてきた憲法の解釈を変更するということは、いったい何を意味するのか。そして、集団的自衛権の行使を容認するということは、国際法と日本国憲法とのかねあいからどのように理解すればよいのか。そして、行使容認にこだわる安倍政権と、それを裏で支える勢力の思惑とはどのようなものなのか。
     「憲法の番人」が語る、必読のインタビューである。
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    ◆インタビューのポイント◆
    ①憲法解釈の変更は、時の政権の恣意的な判断で勝手に行ってよいものではない。これは過去の自民党政権の判断の否定にもつながる。変更するのであれば、内閣法制局と過去の自民党政権が60年にわたって積み上げてきた解釈が間違っていたということを、国民に対して論理的に示さなければならない。
    ②国際法が定める集団的自衛権の行使や集団安全保障措置は、あくまでも「権利」であって「義務」ではない。「権利」である以上、主権国家である日本がこれらを行使する「義務」を負っているわけではない。日本は、アジア・太平洋戦争という苦い経験と反省のもと、このような「権利」を行使しないという立場を一貫して取ってきた。
    ③集団的自衛権の行使容認論者は、北朝鮮や中国の脅威をことさらに言い立てる。しかし、日本近海における米艦船への攻撃は、日本に対する武力攻撃だと認定することができるので、従来の個別的自衛権で対処が可能である。従って、集団的自衛権の行使とは、日本の防衛とはまったく関係のない、ハワイやインド洋沖での有事を想定している。これが集団的自衛権行使容認論者らの言いがかりであり、目的である。
    ④集団的自衛権の行使を容認すれば、米軍と一体化して、地球の裏側の軍事行動も行うことになり、これまで保有していなかった長距離ミサイル、航空母艦、長距離爆撃機を保有することもありうる。そのことは、周辺諸国に対し、不必要な脅威を与えることになる。
    ⑤集団的自衛権の行使容認に火をつけているのは、実は外務省である。外務省には、軍事力を背景に外交を有利に進めようという思惑がある。アーミテージ氏ら「ジャパンハンドラー」が集団的自衛権の行使容認を日本側に要求してきているのも、外務省側の要求に応えてのものであり、マッチポンプであると言える。「安保法制懇」の北岡伸一氏も、外務省内にグループを形成し、「火つけ役」の一翼を担っている。
    ⑥逆に、防衛省の側は、実際に戦場で血を流すのは自分たちだということで、集団的自衛権の行使容認に否定的な立場を取る人物が多い。元防衛官僚で、内閣官房副長官補を務めた柳澤協二氏もその一人である。
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    ◆60年に渡って積み重ねられてきた憲法第9条の解釈が一内閣の判断だけで変えられようとしている◆
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    ▲岩上安身のインタビューに応じる阪田雅裕・元内閣法制局長官――9月18日、都内岩上安身「ジャーナリストの岩上安身です。本日は、元内閣法制局長官で弁護士の阪田雅裕先生にお話をうかがいたいと思います。阪田先生、よろしくお願いいたします」
    阪田雅裕氏(以下敬称略)「よろしくお願いします」
    岩上「集団的自衛権、その行使容認ということをめぐって、今、議論がたいへんホットになっております。阪田さんの何代か後の後任である内閣法制局長官、山本庸幸さんが先日退任され、最高裁の判事に就任された際に、記者会見を開かれました(※1)。
     8月20日のことですけれども、このときに、今、自民党政府は、解釈改憲によって集団的自衛権行使を容認しようとしている。しかし、これは非常に難しいのではないかと山本氏は発言しています」
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    (※1)集団的自衛権行使容認「非常に難しい」 最高裁判事会見 朝日新聞2013年8月20日 【URL】http://bit.ly/14fR10T
    安倍政権は憲法解釈を変更することによって集団的自衛権行使をすすめようとしており、解釈変更に前向きな小松一郎氏を2013年8月8日付で内閣法制局長官に起用した。これに伴い、2011年12月から内閣法制局長官を務めていた山本庸幸氏は最高裁判事に転じた。8月20日、山本氏の最高裁判事就任の記者会見を行った。このときに、山本氏は、憲法の解釈を変更して集団的自衛権行使を認めることは「非常に難しいと思っている」、「実現するには憲法改正しない」と述べた。
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    岩上「同日、菅官房長官が、これを受けて、こうしたことに口を出すのは、たいへん問題だ、という批判をしました(※2)。しかし、この批判は、司法府に入られ最高裁の判事になられた山本さんに向けられたものでしたから、そういう立場の方へ内閣からの批判は、少々行き過ぎたものではないか、司法の独立に対する侵害ではないかとおっしゃる弁護士さんもいました。また、逆に、山本さんの発言は最高裁の判事にしては言いすぎなのではないかという声も出ました。まずは冒頭に、この話題からお話をうかがっていきたいと思います」
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    (※2)菅官房長官、最高裁判事を批判 集団的自衛権の発言巡り 朝日新聞2013年8月21日 【URL】http://bit.ly/12o8eEg
    山本氏の意見に対して、「最高裁判事が憲法改正の必要性まで言及することには違和感を感じる」と述べた。菅官房長官のこの発言は、集団的自衛権の行使を憲法解釈の変更で押し進めようとする内閣の姿勢を示している。
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    岩上「この山本さんが内閣法制局長官を退任された後、後任として、小松一郎さんが法制局長官になられたわけですけれども、この方は、外務省出身でして、外交官としては初めての法制局長官になるということです。
     大変異例の人事と言われました。また、この小松さんはたいへん熱心な集団的自衛権行使容認論者であるとうかがっています。そのように、人事を入れ替えることによって、第二次安倍内閣がやりたいと思っている、解釈改憲による集団的自衛権の行使容認が容易になります。このやり方について、どのようにお考えでしょうか?」
    阪田「人事については、コメントする立場にはありません。しかし、これまで60年に渡って積み上げられてきた憲法第9条の解釈を一内閣の判断だけで変えるということについては、やはり法治国家としていかがなものかという思いは持っております」
    岩上「憲法の解釈については、最後は内閣が変えることができるのでしょうか? 最終的には裁判所がするべきことなのでしょうか?」
    阪田「そうですね。できるできない、というようなレベルの議論として言えば、それは物理の問題ではないので、やってしまえばできる、ということかもしれません」
    岩上「できるというのは、内閣が憲法の解釈を変えることができるということですか?」
    阪田「ええ。内閣がです。けれども、それが適当であると思わないというのは、冒頭で申し上げたとおりであります。それから司法判断うんぬんということについて申し上げますと、これは、裁判の問題には、なかなかなりにくいのかなと思っています。一つは、訴えの利益という問題があります。これは個別の事件として裁かれるようなものではないですが、一般的・抽象的な違憲立法審査権(※3)というのは、今の日本の司法にはないということになっています」
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    (※3)違憲立法審査権とは、法律や行政行為が憲法に違反していないかを審査する権限のこと。日本国憲法第81条には「最高裁判所は一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」と書かれ、最高裁に最終的な権限が与えられている。
    (朝日新聞掲載「キーワード」より【URL】http://bit.ly/1bQ31sV)
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    阪田「それからもう一つ、具体的に事件になったとしても、いわゆる統治行為論(※4)に代表されるような高度に政治的で、政治の判断に回すべき問題というものについては、裁判所は割合、禁欲的です。
    それを考えると、もちろん裁判所が判断する場面というのもありうるとは思うんですけれども、最終的には、たとえば自衛隊の憲法上の位置づけはどうかということについて、これまで裁判所が判断してこなかったように、それと同じようなことになる可能性もあると思っています」
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    (※4)統治行為論とは、国家機関の行為のうち極めて高度の政治性を有するものについては、裁判所の審査の対象とならないとする理論。
    (大辞林 第三版より【URL】http://bit.ly/IfWY5x)
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    岩上「そうしますと、仮にどなたかがこの問題について、訴訟を起こしたとしても、最後の判断をする最高裁でも、これが違憲かどうか判断をしないこともありうるということですか?」
    阪田「かなりありうると思いますね」