• このエントリーをはてなブックマークに追加

今なら、継続入会で月額会員費が1ヶ月分無料!

記事 3件
  • 【第177-180号】岩上安身のIWJ特報!自民党の議員が、集団的自衛権行使容認と特定秘密保護法に反対する理由 村上誠一郎参議院議員インタビュー

    2014-11-29 16:09  
    244pt
     11月21日(金)、衆議院が解散した。
     安倍総理は、その日の夕方に開かれた記者会見で、「この解散は、アベノミクス解散だ」と宣言。「私たちの経済政策が間違っているのか、正しいのか、本当に他に選択肢があるのか、国民に聞きたい」と語り、アベノミクスの是非が今回の選挙の争点であると強調した。
     しかし、アベノミクスだけが選挙の争点なのだろうか。問われるのが安倍政権の信任ならば、他の政策への賛否も問われてしかるべきではないだろうか。
     2012年末に発足した第2次安倍政権は、まさに国論を2分する多くの政策について、圧倒的な数の力にものをいわせ、時にはNHKをはじめとする大手メディアを巧みに利用し、少数派の「正論」をねじ伏せて、次々と断行してきた。
     国民の「知る権利」を侵害する恐れのある特定秘密保護法の制定、日本の国富をまるまる米国に譲り渡すTPP交渉への参加、2期連続のGDPマイナスをもたらした消費税増税、自衛隊を米軍の傭兵として差し出すための解釈改憲による集団的自衛権行使容認、河野談話見直しの動きを中心とする歴史修正主義の台頭と日中・日韓関係の悪化など、あげれば枚挙にいとまがない。
     これらはいずれも、今回の解散総選挙において、重要な争点であるはずである。しかし、政府・自民党は、今回の解散をあくまで「アベノミクス解散」であると位置づけ、その他の争点を、意図的にぼやかそうとしている。菅義偉官房長官は、11月19日の記者会見で、集団的自衛権行使容認や特定秘密保護法について、「いちいち信を問うべきではない」などと述べ、争点にはならないとの認識を示した。
    ※集団的自衛権争点でない 菅官房長官、秘密法も(共同通信、11月19日【URL】http://bit.ly/1uvhTlO )
     しかし、自民党のすべての議員が、こうした安倍政権による暴走を、追認していたわけではない。
     単騎、盲従を拒んだ議員がいた。村上誠一郎参議院議員である。
     村上誠一郎参議院議員は、国会に特定秘密保護法が上程された際も、自民・公明間で解釈改憲による集団的自衛権行使容認が議論された際も、ひとり、自民党の中で、真っ向から反対する論陣を張った。
     自らを「ザ・自民党」と称する村上議員が、なぜ、政府と自民党執行部が強引に成立に持ち込もうとした、特定秘密保護法と解釈改憲による集団的自衛権行使容認に反対したのか。
     選挙選が実質的に幕を開けた今、安倍総理の言う「アベノミクス解散」という言葉に惑わされず、争点をしっかりと見極めるためにも、必読のインタビューである。===================================
    ◆集団的自衛権行使容認に反対する理由と、政治家としての覚悟◆
    ===================================


    ▲岩上安身の取材に応じる村上誠一郎氏(右)岩上安身(以下、岩上)「ジャーナリストの岩上安身です。本日は、いまや時の人といいましょうか、たいへんインパクトのあるゲストをお招きいたしました。自民党衆議院議員の村上誠一郎さんです。村上先生、よろしくお願い致します」
    村上誠一郎議員(以下、村上・敬称略)「よろしくお願いいたします」
    岩上「村上先生には、以前、ずっと昔の話なんですけれども、文藝春秋に『二世の時代』というルポを書くときに、取り上げさせていただいた機会があったんですが、それ以来、すれ違いになってしまいまして、いつかお会いしてお話をうかがいたいなと思っておりました。
    また、先般、特定秘密保護法に反対されたときに取材の申し込みをさせていただいたんですけれども、お忙しいということで、残念ながらその時は取材の機会をいだけませんでした」
    村上「どうも失礼しました」
    岩上「いえいえ。いま、先生は、集団的自衛権の行使容認に、自民党のなかでただ一人、反対論陣を終始一貫張り続けておられ、その姿勢に、全国から、感動した、感服した、あるいはいろいろ考えさせられたという声があがっています。
     私どもIWJの、先生に関連した記事についても、アップした動画、あるいはアップしたテキストが異例の回数で見られたり、あるいは読まれたりしていまして、注目度が大変高いのです。こうした中で、今回は取材をお受けいただくことができ、本当に感謝申し上げます。よろしくお願いいたします」
    村上「よろしくお願いいたします」
    岩上「今日は、お時間がだいぶおありとのことですので、たっぷりお話をうかがいたいと思っております」
    村上「なんでも聞いてください」
    岩上「ありがとうございます。そこで、おうかがいしたい論点ですが、いくつかあります。
     まず、集団的自衛権容認をめぐる手続きの問題、このようなものをこういうやり方で変えていいのかという点、また、憲法とはなんぞや、立憲主義とはなんぞや、という問題です。
     それから、集団的自衛権と個別的自衛権の中身の問題、安全保障の中身の論議もあるだろうと思います。
    あるいはその法律論とは別に、安全保障環境の変化といわれるものが、集団的自衛権行使の容認を急ぐ背景としてあげられますけれども、その実態はどうなのか、そこで、何か我が国なりにすべきことがあるとしたら、それは何なのか。こうした点についても、それぞれ少し区切りながら、お考えをうかがってまいりたいと思います。
     それでは最初に、ストレートにお聞きしたいのですが、今回、閣議によって憲法の解釈を変更しようとした、あるいは、したと称していることについて、これは、許されないと村上先生はおっしゃっておられるわけですが、なぜ許されないのでしょうか?」
     
  • 【第175-176号】岩上安身のIWJ特報!「アメリカ帝国」はどこに向かっているのか その世界戦略を読み解く~アメリカン大学ピーター・カズニック教授&乗松聡子氏インタビュー

    2014-11-27 14:32  
    244pt
     2014年は、第一次世界大戦開戦から、ちょうど100年目にあたる。冷戦の終結からは約四半世紀が経過した。冷戦の終わりにともない、世界は、「世界戦争」からは次第に遠ざかっているように思われた。ついこの間までは、そう考え、また、そう信じようとしてきたのだ。
     しかし、ここにきて、ウクライナが内戦状態に陥り、「イスラム国」が台頭し、イスラエルがガザを空爆するなど、世界を揺るがす出来事が立て続けに起こっている。そこには、アメリカとロシアの対立(というか、アメリカによるロシアへの言いがかり)があり、アメリカによる介入や爆撃がある。
     しかし、アメリカによるあらゆる地域への介入や爆撃は、今に始まったことではない。我々は認識を根本的に改める必要がありそうだ。冷戦の終わりによって、平和の配当は行われたか? 言うまでもなく、答えは「ノー」だ。あるいは、こう問いなおすべきなのかもしれない。そもそも「冷戦」の「終わり」は現実に起こったのか、と。
     ピーター・カズニック氏は、「冷戦は終わっていない」と強調する。アメリカによる、第三世界への戦争はいまなお継続中なのだというのだ。
     たしかに、戦後のアメリカ、あるいは冷戦後のアメリカによる継続的な軍事行動がなかったとしたら、現在の状況はまるで違ったものになっていたはずである。アメリカの誰が、何を求めているのか? アメリカとともにある世界はどこに向かっているのか?
     他方、今やアメリカの「一部」、従属物のようになりはててしまった、日本の政治の急激に加速する右傾化は、何を意味しているのだろうか? 我々は、望むと望まないとにかかわらず、つねに世界の情勢に巻き込まれている。現内閣が好き勝手に決めてしまった「集団的自衛権の行使容認」は私たちに重大な影響を及ぼすことになるだろう。
     世界の情勢をマクロ的視点で的確にとらえることで、私たち自身がミクロなレベルで何ができるのか、何をなすべきかが見えてくるのではないか。
     原爆投下から69年目を迎えた長崎の地で、8月8日、アメリカン大学教授のピーター・カズニック氏と「ピース・フィロソフィー・センター」の乗松聡子氏にインタビューを行った。===================================
    ◆核兵器の脅威と通常兵器の脅威◆
    ===================================

    ▲ピーター・カズニック氏(右)と乗松聡子氏(左)岩上安身「ジャーナリストの岩上安身です。私はいま、長崎に来ております。原爆が投下された記念日が近づいている、このタイミングで、今日は大事なお客様をお迎えしています。
    ピーター・カズニック教授は、オリバー・ストーン監督とともに、『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』(※1)という全3冊の本をお書きになられました。
    さらに、『広島・長崎への原爆投下再考』(※2)という本を、鹿児島大学の木村朗教授と、ピース・フィロソフィー・センターの乗松聡子さんとお書きになっていらっしゃいます。訳は乗松さんです。
    今日、この長崎の地にふたたびピーター・カズニックさんがいらっしゃいました。そして乗松さんもいらっしゃっています。今日はよろしくお願いします」
    乗松「よろしくお願いします」
    岩上「一年前にピーター・カズニック教授のインタビュー(※3)のときに、乗松さんに通訳をしていただきました。そして、さらに、乗松さんの単独インタビュー(※4)もさせていただきました。本日は、乗松さんにピーターさんの通訳をしていただきながら、コメントもしていただきたいと思います」
    ピーター・カズニック「もう一冊紹介したい本があります。重要な本です」
    乗松「オーストラリアのガバン・マコーマックという人と書いた『Resistant Islands(抵抗する島々)』(※5)です。沖縄の普天間移設問題と称される新基地建設問題について、歴史的、地理的、いろんな背景も含めて批判する本です。日本語では『沖縄の<怒>』という本で、法律文化社から出ています」
    岩上「今年になってますます読む価値が高まっている本ばかりですね。
     一年前に、ピーターさんにお話をうかがった時に、非常に印象的だった言葉がいくつもありました。そのうちの一つとして、『みなさんは核の脅威にだけとらわれている。もちろん、核は危険だが、通常兵器のレベルが上がっている。特に、サイバー、スペース、ドローン、アメリカはこの通常兵器を駆使して、より好戦的に世界を支配していくだろう。それに気をつけなくてはいけない』ということをおっしゃいました。(★)
    (★)ピーター・カズニック氏は、2013年8月11日に岩上安身のインタビューに応じ、以下のように語った。
     「アメリカは、かなり、核兵器を手放しても大丈夫な状態にきています。サイバー、スペース、ドローンの分野において、総合的な覇権を発揮するわけで、核兵器に頼る必要はありません。通常兵器が、非常に強力になっていますので。そういう意味でも、アメリカは、日本に核武装をしてもらう必要はないのではないでしょうか」
    (2013/08/11 「沖縄の米軍基地が拡大される可能性」 核兵器に代わる米国の新戦略とは ~岩上安身によるアメリカン大学・ピーター・カズニック教授インタビュー【URL】http://iwj.co.jp/wj/open/archives/95813 )
     一年経って、こんなふうになるとは、と驚いています。ひとつは東ウクライナで起こっていることです(※6)。これは、その地域だけの問題ではありません。もし、ひどくなれば、世界戦争にでもなりかねないような大変な問題です。そして、もうひとつは、ガザでのイスラエル軍の侵攻です(※7)。このような暴虐が許されているのも、アメリカが背景にいるからですね。
     そして日本は、集団的自衛権行使容認をしてしまいました。アメリカや、アメリカの同盟国、つまりイスラエルとかNATOにくっついて戦争をしていくという準備が整いつつあるわけです。大変なことだと思います。この問題について、カズニックさんや乗松さんはどのように考えていらっしゃいますか」
    カズニック「この一年は大変良くない年となりました。坂道を転げ落ちるような年となりました。世の中の暴力は増えて非常に混沌として、爆撃も増えたし、テロも増えたし、貧困も増えました。何一つ良くなったことはないかのように見えます。
     もちろん、もっと悪くなり得たかもしれません。アメリカがシリアを空爆する可能性がありましたし、イラクに増兵するという選択肢もありえましたが、実際にはやりませんでした。ですから、最悪の事態にならなかったこともいくつかはありました。ですが、全体的には非常に悪い一年であって、今なお、そうですね。
     おっしゃるとおり、アメリカは通常兵器の拡散を行っています。アメリカやいくつかの国は核兵器の戦略を縮小していて、核ではない兵器の性能を高めようとしていますが、この二つは密接に絡み合っているのです。例えば、現在、ロシアとアメリカはそれぞれ8,000ずつぐらい核兵器を持っています。 他の国々も合わせると、もう2,000ぐらいあります。
     多くの人が核兵器の縮小をしなければいけないと言いますが、ロシアは、今、核軍縮できない状況にあります。核兵器を持ち続けるということは費用がかかりますが、核軍縮ができない。なぜなら、アメリカが、通常兵器で非常に優位性を持っているからです。
    ロシアは、アメリカが通常兵器で優位性を保ち続けている限り、核軍縮してしまうと力関係が弱くなってしまいますから、ロシアとしては核兵器にしがみつかざるを得ない状況になっているわけですね。
     アメリカが核兵器を減らすと、それは逆にロシアに取っては非常に大きな脅威になるわけです。
     核兵器を使うことはタブーだと思われています。アメリカがヒロシマとナガサキに原爆を落とし、ここはすべて破壊されてしまいました。それ以来、核兵器を使うことは、国際的に、倫理的に抵抗感があります。アメリカは、核兵器は問題ないということを世界に説得しようとしてきました。
     例えば、アイゼンハワー大統領は、『平和のための核』(Atoms for Peace)ということを言いました。これは、通常兵器と核兵器の境目をなくすことでした。核兵器も普通の銃もアイゼンハワーにとっては同じことだったのです。
     アイゼンハワーは、一番最初の国際的な原子炉を広島に建てたかったのです。なぜなら、どれだけ日本の人々が核エネルギーや核兵器に反対するか、知りたかったからです」
    乗松「付け加えますと、広島市立大学平和研究所の田中利幸さんとピーター・カズニックが共著で、岩波ブックレットで2011年に『原発とヒロシマ――「原子力平和利用」の真相』(※8)という本を出しています。
     そこで、日本にとって必要のなかった原発をどうやって、アイゼンハワーの『平和のための核』政策の一環として日本に導入したかを書いています。アメリカの情報局、CIAや、正力松太郎などが絡んでいました。日米の共謀で心理作戦を行いました。全国で何十万人も動員して、広島で原子力博覧会をやって、日本人の核アレルギーをなくそうとしたという歴史がありました。
     この本に、ピーターのアイゼンハワーの核政策についての論文と、田中利幸先生の論文がありますので、詳しく知りたい方は読んでください」
    カズニック「アイゼンハワーは世界を説得することはできませんでした。世界は原子力実験に反対しました。アイゼンハワーとケネディは国際的な圧力に応えるかたちで、1963年にアメリカ、ソ連間で部分的核実験禁止条約(※9)を結びました。
     核兵器と通常兵器とのあいだの境界線を再び積極的に取り去ろうとしたのがジョージ・W・ブッシュです。2002年にアメリカで核体制の見直しが発表されました(※10)。
     ブッシュは、100メガトンもあるような強力な核兵器はなかなか使えないから、もっと小規模の戦術的核兵器などを推進しようとしました。それは、ニューヨーク・タイムズなどによって非常に非難されています。アメリカは核における最大のならず者国家であり、人類の道義的基準を超えて世界で優越性を保とうとしているのだと非難されたのです。
     核兵器はいまだに人類にとって、地球上の生物にとって、大きな脅威です。ですが、私の学生などを見ていると、核の脅威をそれほど身近に感じている人はいません。昔のアメリカでは、人々は眠れなくなるほど核戦争に対する恐怖を持っていましたが。核兵器がなくなったわけでもないのに、その恐怖感は、なぜかなくなってしまったのです。
     今、核兵器と同じくらいの破壊力を持つ通常兵器が開発されています。
     2003年にアメリカがイラクに侵攻したとき、最初の戦略は『Shock and Awe(衝撃と畏怖)』と呼ばれていました。 ハーラン・ウルマン(Harlan K. Ullman)が考案したのですが、アメリカがかつてヒロシマに対して与えたのと同じような効果を、核兵器を使わずにバグダッドに与えようとする戦略でした。
     侵攻が始まった日の朝のことを憶えています。ある学生が電話してきて、CNNの映像にバグダッドの空にキノコ雲のような雲が出ていたと言ったのです。核兵器を使わずに、生活と街を一瞬にして破壊したのです。通常兵器は、非常に効果的で、正確で、非常に強い力を持っていたのです」
    ----------------------------------------------------------------------
    (※1)『オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史』オリバー・ストーン、ピーター・カズニック著、早川書房、2013年。
    「歴史上、ファシストや全体主義者を打倒したアメリカには、『自由世界の擁護者』というイメージがある。しかし、それは真の姿だろうか? 2度のアカデミー賞に輝く、過激な政治的発言でも知られるオリバー・ストーンによれば、それは嘘だ。じつはアメリカはかつてのローマ帝国や大英帝国と同じ、人民を抑圧・搾取した実績にことかかない、ドス黒い側面をもつ「帝国」なのだ。その真実の歴史は、この帝国に翳りの見えてきた今こそ暴かれねばならない。最新資料の裏付けをもって明かすさまざまな事実によって、全米を論争の渦に巻き込んだ歴史大作(全3巻)」(紹介文より【URL】http://bit.ly/1w9Mhcq)
    (※2)『広島・長崎への原爆投下再考』木村朗、ピーター・カズニック著、法律文化社、2010年。
    「史実に基づく多数の研究成果をふまえ、広島・長崎への原爆投下を批判的に再考。『原爆神話』や原爆投下決定過程を日米双方から分析する試みは、「核兵器のない世界」へ向け多くの示唆を与える」(【URL】 http://bit.ly/1z2aIF0)
    (※3)「2013/08/11 『沖縄の米軍基地が拡大される可能性』 核兵器に代わる米国の新戦略とは ~岩上安身によるアメリカン大学・ピーター・カズニック教授インタビュー」【URL】 http://bit.ly/XAU4Rx この中で、カズニック氏は、サイバー、スペース、ドローンの威力について、「アメリカは、かなり、核兵器を手放しても大丈夫な状態にきています。サイバー、スペース、ドローンの分野において、総合的な覇権を発揮するわけで、核兵器に頼る必要はありません」と警告。それが、今回のインタビューの布石となっている。
    (※4)「2013/08/19 『歴史は文明の糸のようなもの』 オリバー・ストーン監督とピーター・カズニック教授が日本人に伝えたかった本当のこと ~岩上安身による乗松聡子氏インタビュー」【URL】 http://bit.ly/1tqykBu
    (※5)『沖縄の〈怒〉』ガバン・マコーマック、乗松聡子著、法律文化社、2013年。「沖縄問題の核心を通史の展開をふまえ実証的に追究した沖縄研究にとって必読の書。沖縄に正義と平和をもたらす責務がある日本の私たちに重い問いを投げかけるべく、原書を加筆修正」(【URL】 http://bit.ly/1oefDN5)
    (※6)2014年4月に、ウクライナ東部のドネツク、ルガンスク、ハリコフで親ロシア派のデモ隊が州庁舎などを占拠し、その後「ドネツク人民共和国」「ハリコフ人民共和国」「ルガンスク人民共和国」の創設宣言がなされた。これに対してキエフ政府は「反テロ作戦」と称して軍事行動を行い、現在に至るまで政府軍と親ロシア派武装勢力の戦闘が続けられている。
    (※7)2014年7月8日からイスラエル軍がパレスチナ空爆を始めた。8月中旬までで2000人を超える死者が出ている。(参照「IWJ特報157・158号】イスラエル>アメリカ>日本、倒錯した偏愛の同盟 ~「価値観を共有する」 虐殺に加担する日本」【URL】 http://bit.ly/Xc8Wp9)
    (※8)『原発とヒロシマ――「原子力平和利用」の真相』田中利幸、ピーター・カズニック著、岩波書店、2011年。「原爆の惨劇を経験した日本は,なぜ戦後,核の危険性に目をつむり,原発政策に邁進していったのか.その背景には,1950年代,アメリカが自らの核戦略を推進するために生み出した「原子力平和利用」政策がある.そして被爆地・広島をその戦略のために利用したのだった――.歴史の真相を紐解き,日本の原発政策の「原点」を問う」【URL】 http://bit.ly/1tmwRwR)
    (※9)「部分的核実験禁止条約」は、正式名称「大気圏内,宇宙空間および水中における核兵器実験を禁止する条約」。1963年にアメリカ、イギリス、ソ連のあいだで発効された条約である。地下を除く、大気圏内や宇宙空間や水中における核爆発を伴う実験が禁止された。(大辞林第三版より【URL】 http://bit.ly/1qqWito)
    (※10)「核戦略の見直し(Nuclear Posture Review: NPR)とは、今後 5 年から 10 年間のアメリカの核抑止政策、戦略や態勢を包括的に見直すもの。1994年と2002年に公表され、さらに2010年にオバマ政権によって発表された。(国立国会図書館調査及び立法考査局「【アメリカ】 核戦略の見直し(NPR)公表」【URL】 http://bit.ly/1BDcikM)
     
  • 【第170-174号】岩上安身のIWJ特報!「日露エネルギー同盟を締結せよ!」現役の経産官僚が語るエネルギー地政学~世界平和研究所主任研究員・藤和彦氏インタビュー

    2014-11-01 15:52  
    244pt
     2014年5月21日、ロシアと中国の間で今後の世界情勢を左右するほどの重要な契約が結ばれた。中国へのロシア産天然ガスの供給が正式に決定したのである。期間は2018年から30年間の予定。年間380億立方メートルもの天然ガスが中国に供給され、供給総額は4000億ドルを上回るとみられる。
     しかし、現役の経産官僚で、世界平和研究所主任研究員の藤和彦氏は、今回の中露の接近を「日本にとっては、むしろ追い風だと思います」と分析する。東シベリア地区のガス田開発をするということは、この地域での天然ガスセールスを本格化することであり、その先には当然、日本にガスを売るヴィジョンもあるはずだというのだ。
     それを踏まえ、藤氏は驚きの構想を紹介した。「サハリンから首都圏までに天然ガスのパイプラインをひく」というのだ。藤氏によれば、天然ガスの移送手段としてパイプラインを通すか、液体化させたLNGで運ぶかの分岐点は、距離にして4000キロだという。サハリンから首都圏までは約1500キロなのでパイプラインは極めて現実的な手段であり、コストの面でもLNGで輸入するよりもメリットが多いという。
     さらに、ロシアからパイプラインをひくメリットは安価なエネルギーの確保というだけに留まらない。パイプラインがもたらす副産物について藤氏は「旧ソ連と西欧で、この30年で、網の目のようなパイプラインが引かれ、この状況で、相互確証抑制効果を発揮している」とした上で、「北東アジア地域でパイプライン網ができれば、結果的に、本当のこの地域の安全に資することになるんじゃないかと、私は思います」と述べた。
     果たして、日露エネルギー同盟が締結される日はやってくるのか。経済産業省の現役官僚である藤氏が、エネルギーと平和を巡る日本の未来を読み解く。
    ===================================
    ◆エネルギー供給の安全保障の要諦は「多様性」にある◆
    ===================================
    岩上安身「ジャーナリストの岩上安身です。今日は大変ユニークなゲストをお迎えしております。
     『シェール革命の正体~ロシアの天然ガスが日本を救う』(※1)と『日露エネルギー同盟』(※2)。こういうご本を書く人は、ちょっとメインストリームから外れている、変わった人ではないかと、皆さんは思われるかもしれませんが、なんと、まだ経済産業省に籍がある、現役の官僚です。
     現在は、世界平和研究所(※3)に出向中で、主任研究員をお務めになっている、藤和彦さんです。よろしくお願いいたします」
    藤和彦氏(以下、敬称略)「よろしくお願いいたします」
    岩上「この『シェール革命の正体 ~ロシアの天然ガスが日本を救う』は、今回のウクライナ危機が起こってから出版されました。ウクライナ危機は、多くの人は、しょせんウクライナという小さな国の中の内政問題だろうと高をくくっていたと思います。しかし、私は、これは相当くさいぞ、注目しなければいけないと思って、ずっと見ていました。
     しつこくレポートも書いていたんですが、どんどん大きな広がりになってきて、ユーラシア大陸を挟んで、欧州とロシアが分断され、そのロシアに中国がくっついてくるかもしれない、大変大きな対立軸のようなものが浮かび上がってきました。
     その対立軸にどうも、日本も巻き込まれそうになってきているわけですね。さらに資源の問題、エネルギーの問題もからんでくる、と。このウクライナ問題は、これから先、大変注目しなければいけないテーマになってきました。
     これまでも、シェールガスのことは大変気になっていたんですけれども、不勉強で、なかなかその実態が分からずにいました。そんな時に、この『シェール革命の正体』を拝読して、これは実は、虚実皮膜の世界だということが分かってきました。
     しかも、藤さんによれば、日本はロシアとエネルギー同盟を結んだほうがいいという。こういうことを、現役の経産省の官僚がお書きになるので、びっくりしまして、お越しいただいてお話をうかがおうと思いました。藤さんは、内閣官房に出向され、内閣情報調査室にいらっしゃったのですね」
    藤「ええ、内閣官房で、7年半ずっと内閣情報調査室にいました」
    岩上「なるほど。エネルギーや資源というと、経産省の官僚がおやりになるのは当たり前ですけれども、もう少し毛色の違うインテリジェンス、あるいは地政学とか安全保障とか、きな臭いにおいのするテーマもお得意にされていますね。資源外交を裏から見る視点もお持ちだと思うので、今日はぜひ、複雑な話をお聞かせいただきたいと思います」
    藤「はい。よろしくお願いします」
    岩上「このインタビューには、ご著書から頂戴して、『シェール革命の正体』と、タイトルをつけました」
    藤「ありがとうございます」
    岩上「サブタイトルには、『日露エネルギー同盟』の中から、『日露エネルギー同盟を締結せよ!』というコピーを拝借しました。この本の出版元、エネルギーフォーラムとは、どういう出版社なんですか」
    藤「株式会社エネルギーフォーラムというエネルギー専門の雑誌社がありまして、『日露エネルギー同盟』はそこの新書です」
    岩上「専門の出版社なんですね。ぜひ皆さん、これをお買い求めいただきたいと思います。今日はこうした宣伝もしたいと思います」
    藤「ありがとうございます。よろしくお願いします」
    岩上「まず、このご著書の『はじめに』にある言葉を引いてみました。『危機とは【危険】と【機会】の合成語』。『エネルギー供給の安全保障の要諦は【多様性】』である。これは『はじめに』でありながら結論のようでもありますが、つまり、日本は多様性がないということでしょうか」
    藤「はい。まず、最初に申し上げますが、先進国の中で、日本が一番石油を消費しています。しかも、そのうち9割が中東依存です。これはやはり、多様性ということから考えた場合には、非常に脆弱性が高いと言わざるをえないと思います」
    岩上「日本はイランにも油田の権益を持っていたのに、米国からの圧力で手放さなければいけないことになりましたね」
    藤「アザデガン(※4)ですね」
    岩上「日本の資源外交のこれまでの成果が、次々と潰されているような気がします。エネルギーは、中東に依存しなければいけなくて、軍事と安全保障はアメリカに依存という、一極依存のように狭まっている感じがしますよね」
    ----------------------------------------------------------------------
    (※1)藤和彦著『シェール革命の正体~ロシアの天然ガスが日本を救う』(PHP研究所、2013年11月)紹介文:日本のエネルギー問題のエキスパートによる一冊である。サブタイトルにもあるように、日本の最も取るべき戦略として、ロシアから天然ガスパイプラインをつなぐことを強く勧める。各国の国益が複雑に絡み合う、過渡期である今のエネルギー世界地図を明快に読み解く。
    (【URL】 http://amzn.to/1ijttvG )
    (※2)藤和彦著『日露エネルギー同盟』(エネルギーフォーラム新書、2013年2月)紹介文:シェールガス革命でエネルギー・モンロー主義化する米国、日本は米国との同盟関係を維持しつつ、中国とライバル関係にあるロシアと提携し、中国をけん制する発想が肝心だ。ロシアとの同盟をあえて「エネルギー同盟」としたのは、ゼロサムの安全保障とは異なりエネルギーの世界はプラスサムであり、これによって日本の国益増進はもとより東アジア地域の安定を確保できるからである。
    (【URL】 http://amzn.to/1n3ap7A )
    (※3)公益財団法人 世界平和研究所:安全保障を中心とする調査研究や、国際交流等を目的とする公益財団法人。以前は防衛省所管(厳密には総理府、外務省、財務省、防衛省、経済企画庁、経済産業省主務)の財団法人だったが、公益法人制度改革に伴い、2011年4月1日より公益財団法人に移行した。(【URL】 http://www.iips.org/ )
    (※4)アザデガン:イランのアザデガン油田は、埋蔵量が中東最大級。日本が75%の権益を持っていたが、イラン核問題をめぐる米国の制裁強化圧力で2010年までに撤退した。その後、中国石油天然ガス集団(CNPC)が70%の権益を取得している。しかし、イラン石油省は、南西部アザデガン油田の開発で契約上の義務違反があったとして、CNPCとの契約を解消する考えを明らかにした。イラン側は今年に入り開発の遅れを指摘していたが、改善されなかったという。
    (産経新聞、2014年4月30日【URL】 http://on-msn.com/TDPQ9j )