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  • 【第220-224】岩上安身のIWJ特報!3.11以降、日本人は大きな謎を解くための旅をしている ~戦後日本の「闇の奥」に迫る! 『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』著者 矢部宏治氏インタビュー 第1弾

    2015-09-07 16:31  
    244pt
     原発再稼働、オスプレイ配備、特定秘密保護法、消費税増税、TPP、集団的自衛権行使容認、平和安全法制、辺野古新基地建設・・・。
     いずれも、各種世論調査で「反対」の声が過半数を占める「愚策」ばかりだ。
     明らかに民意に反し、日本の国益にも反するこうした政策の数々が、反対の声を振り切るようにして強行されるたび、私たちは日本国民は、ひとつの問いの前に立ちすくむ。なぜ、私たちの意志を代弁するはずの政治家たちは、彼らを選出した、主権者である私たちの意志を踏みにじるのか、と。
     2014年10月29日に上梓された矢部宏治氏の『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』(集英社インターナショナル)は、そのタイトルの通り、そうした問いにひとつの回答をもたらす渾身の一冊である。
     沖縄の米軍基地問題から戦後日本の社会構造に肉迫するシリーズ、「<戦後再発見>双書」(創元社)を、編集者として手がけてきた矢部氏は、著者たちとの交流のなかで、アメリカによる日本支配の実態についての理解を深めたという。そこで氏が直面したものは、終戦直後から着々と構築されてきた、日本の富をアメリカの国益へと転化するための壮大な仕組みの存在だった。
     サンフランシスコ講和条約と日米安全保障条約。さらに、その具体的取りきめである日米地位協定。そして、この日米地位協定にもとづいて設置された、日本を陰で動かす統治の仕組み、日米合同委員会・・・。
     こうして、幾重にも織りなされた法的セーフティネットのもとで、在日米軍は、行動を制限されることなく、傍若無人に振る舞ってきた。しかし、日本の国内法はそれに立ち向かうことができない。なぜなら、そこには抜け道が仕込まれているからである。膨大な条文の中にさりげなく忍び込む、「適用除外」という文言が、それである。
     矢部氏は、アメリカを主体とするこうした法の構造が、原発関連の諸問題にも通底していることに気づいた。
     実際、パテントの形でアメリカへ莫大な富をもたらす原発事業は、日米原子力協定によって、その半永久的な維持を保証されているのみならず、放射性物質による環境被害についても、各種環境法に忍び込む「放射性物質による汚染は適用除外」の規定に基づき、その責任を問うことがない。
     そのうえ、原子力の開発・利用を平和の目的に限ることを宣誓するはずの原子力基本法が、福島第一原発事故後に改正され、「安全保障に資する」という文言が書き加えられた――ここにおいて、在日米軍基地問題と原発問題とが、明確な形でリンクするのである。
     国民の最後の砦である日本国憲法。そして、法にもとづく司法の主権。だがこれも、アメリカの圧力の元に下された砂川事件最高裁判決によって、本来の機能を縮小されている。ちなみに砂川判決は、今回の安保法制に関する議論でも、自民党によって「合憲」の根拠として持ちだされている。私たちは、この現実に『絶望』するか、それとも、厳しい現実を受け入れたうえで、主権を取り戻すための『希望』の旅に出発するか。
     『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』の前半部分を中心に、矢部氏に戦後日本のタブーについて話を聞いた。===================================
    ◆本というメディアにふさわしい新しい広告戦略の開拓~最初200部と言われた本が、全文ダウンロードにすることで、最終的に2万部売れた◆
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    ▲矢部宏治氏岩上安身「ジャーナリストの岩上安身です。『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること-沖縄米軍基地観光ガイド』(※1)の著者で、『<戦後再発見>双書』、これは、ベストセラーとなった孫崎享さんの『戦後史の正体』、前泊博盛さんの『日米地位協定入門』、そして吉田敏浩さんの『法治国家崩壊-砂川事件と日米密約交渉』の3作ですが(※2)、<沖縄を原点に日米関係を考えるシリーズ>とも言うべきこの双書のプロデューサーである方ご自身が、編集者としての気概を込めて、このたび集英社インターナショナルから新たな一冊を上梓されました。
     『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』。本日は著者である矢部宏治さんに、本のご紹介をかねてお話をうかがいます」
    ▲矢部宏治氏の新刊『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』矢部宏治氏(以下、矢部・敬称略)「矢部です。よろしくお願いします」
    岩上「IWJはこれまでも『<戦後再発見>双書』に注目してきましたし、著者の方々へのインタビューも重ねてきました。その際には矢部さんも立ち会われることがありました。そのうえ、IWJを広告媒体としても存分にご活用下さっていますね」
    矢部「私はIWJの会員番号135番ですから、かなり初期からのユーザーです。バッヂはもちろん、オリジナルTシャツも持っていますからね。サポーターとしてはかなりのものと自負しています。もちろんサポート会員として、滞納も一度もありません(笑)」
    岩上「ただただ頭が下がるのみです(笑)。さて、このたびは矢部さんご自身から広告の申し出をいただきまして、ではその広告と連動したインタビュー企画とさせていただこう、ということになったわけです。
     そもそもIWJに広告を出してくださる企業さんなど、皆無に等しいのです。ところが矢部さんは、IWJに広告出稿して、IWJという媒体を活用しながら、ご自身が手がけた本を広く認知させる道、ひいては、『戦後史の正体』のようにそれをベストセラーへと導く道を開拓しました。その発端は第一作、『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること-沖縄米軍基地観光ガイド』でした。
     矢部さんがカメラマンと一緒に沖縄へ取材に行かれ、その成果を本にまとめました。そしてある日、私宛にメールを下さったのです。『この本の内容をpdfで載せてください』、と。まだ矢部さんをよく存じ上げない頃でもあり、困惑しながら返事をしあぐねていたら、再度、掲載依頼のメールが届きました」
    ▲『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること』矢部「この本を作るにあたっては、ずいぶん資金を投じていたんです。須田慎太郎さんという一流の写真家を連れて行き、普天間にアパートも借りて、半年かけて作った。なのに、取次(とりつぎ=書籍の流通を牛耳る卸業者。トーハン、日販が最大手)からは最初、配本200部と言われたんです。日本全国でその部数ですよ。私は地方・小出版というところでずっと仕事をしているのですが、そんなことをされたら、もはやそれは自費出版です。出版業者、編集者、著者、三者共倒れです。
     追い詰められて、こうなったら全文ダウンロードだと思い立ちました。この本をこのまま人目に触れぬままにするわけにはいかない、と。そこで、ある人を介して岩上さんにお願いすることになったのですが、その時、岩上さんがツイッターで一言、『ぜひ、ダウンロードを。アドレスは….』とつぶやいてくださって。すると、たった1日で、なんと2000ダウンロードに上りました」
    岩上「いわば2000部売ったのと同じですね。お金が入るわけではありませんけど(笑)」
    矢部「でも、そこから広がっていきました。その時、まさに目からうろこだったんですが、全文ダウンロードにしても売れ行きは落ちないどころか、知名度の低い本は売れるのです。まさに、発想の転換でした」
    岩上「私も同じく小さな出版社出身の人間で、編集社として単行本を地道に作るかたわら、営業がいかに大事かということを叩きこまれて育ちました。とはいえ、矢部さんはもっとハイソなところにおられた方で――慶應義塾大学出身で、博報堂ですからね。そんな華やかなところにいたのに、小出版なんていう、ずいぶん地味なところに来られた。
     そもそもこの業界には、時には原稿を書く側でさえそうですが、一文字いくらで本を作っているんだから、中身を公開なんてしていたら商売にならない、そんなのダメに決まっている、なんて風潮がありますよね。だからネットがものすごく憎くてしかたがない。『ネットはなぜ無料で情報を流しているんだ!?』と。以前は矢部さんも、ネットをそうした目で見ていらっしゃったのではないですか?」
    矢部「いや、私は元々広告の出身ですから、その辺のことはどう考えるべきか、よくわかっていました。小さいパイを取り合っても、そんなに利益は出ない。つまるところ、その商品のことを皆が知らないことが問題なのですから、そこを知らしめれば大きなところに広がっていくわけです。だから、中身を見せたら商売にならないとか、そんなことに目くじらを立てる必要は全くない。
     だから私は、その後思い切って、このシリーズを3分の1、あるいは半分を立ち読みにしたわけです。出版社からは最初、怪訝な顔をされたけれども、200部と言われたこの本が、全文ダウンロードにするや、最終的に2万部売れました」
    岩上「すごいことですよ。1万部ぐらいは沖縄で売れたと聞いています」
    矢部「沖縄で1万部といえば、全国で100万部売ったに等しいですからね。以後、無料ダウンロードとツイッターでつぶやいてもらうことを連動させるようになりました。本というメディアの広告媒体として、このやり方はすごく相性がいいのです。実際、何作もヒットが出ておりますので、皆さんもぜひIWJに広告を(笑)」
    岩上「うちの広告部長になっていただこうかな(笑)」
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    (※1)須田慎太郎(写真)、矢部宏治(文)、前泊博盛(監修)『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること-沖縄米軍基地観光ガイド』(書籍情報社、2011年)「この島の米軍基地には、日本の、そして世界の秘密を解くカギが隠されていた」――在日米軍基地の7割を、その小さな面積の2割近くで抱える沖縄。本書は、普天間、辺野古、嘉手納、ホワイトビーチなど、沖縄にある米軍基地全28施設のありのままの姿を、歴史的・政治的背景の解説も織りまぜながら読者に提供する。
    詳細な地図、交通アクセス、周辺施設、見どころ情報など、観光旅行ガイドブックとしての要素や体裁はすべてそなえている。しかし、本書が読者を誘うところは、美しい沖縄の自然と人々のぬくもりに抱かれる非日常のひとときではない。むしろそれは、横たわる無機質な建造物、青空を切り裂く鉄塔、鉄条網、迷彩服の男たち、無人の野をゆくがごとく飛び回る黒い鉄塊… これらのものを受け入れざるを得ない、沖縄の人々の日常である。
    そこから生まれる共感は、さらなる旅へと読者を駆り立てよう――。本土の人々の目から巧みに遠ざけられてきた、だが、終戦以来変わらず日本の<日常>であり続けている、アメリカによる「主権国家日本」支配システムを、明らかにする旅へと。戦後日本の「闇の奥」を背負ってきた沖縄の人々とともに、真の主権国家として新たな歩みを模索するための「旅行」ガイドである(参照:書籍情報社HP【URL】http://bit.ly/1wgemdn)(写真URL:http://bit.ly/1Gig87U )。
     
    (※2)IWJでは、話題の「<戦後再発見>双書」三部作(孫崎享著『戦後史の正体』、前泊博盛著『本当は憲法より大切な「日米地位協定」入門』、吉田敏浩著『検証・法治国家崩壊-砂川事件と日米密約交渉』)の著者たちにインタビューを行ってきた。ぜひ参照していただきたい。
    ・IWJ「孫崎亨(まごさき・うける)氏インタビュー:政界でも話題になっている『戦後史の正体』(創元社刊)を読み解く(2012年8月23日)」
    【URL】http://iwj.co.jp/wj/open/archives/27537
    ・IWJ「前泊博盛(まえどまりひろもり)氏インタビュー:「日米地位協定」から見える属国日本の姿(2013年3月5日)」
    【URL】 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/63401
    ・IWJ「吉田敏浩(よしだとしひろ)氏インタビュー:集団的自衛権とともに安保法体系に呑み込まれる日本(2014年7月24日)」
    【URL】 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/156320

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    ◆孫崎享氏らに一時的な「弟子入り」をし、「両手ぶらり、ノーガードで全部書いた」~いまこそ求められる編集者の矜持とは◆
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