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  • 【第254-260号】岩上安身のIWJ特報!災害対応に「緊急事態条項」は不要! ~安倍政権の卑劣な「惨事便乗型全体主義」を警戒せよ! 永井幸寿弁護士インタビュー

    2016-05-22 16:54  
    244pt
    第254-260号
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                                 岩上安身のIWJ特報!
                       災害対応に「緊急事態条項」は不要!
            ~安倍政権の卑劣な「惨事便乗型全体主義」を警戒せよ!
                              永井幸寿弁護士インタビュー
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     4月14日夜と16日未明に発生した熊本・大分大地震は、2週間以上が経過した今もなお、観測史上、例がないほど頻回の余震が続いている。震度1以上の地震は30日午後5時までに1087回にも上った。4月29日には、大分県中部を震源とする震度5強の地震も発生した。4月30日現在で、一連の地震による死者は49人にのぼり、今もなお3万7000人の人々が避難所での生活を余儀なくされている。
     この震災を受けて、政府が示した姿勢は、「愚劣」、もっとストレートに表現するなら、「卑劣」と言ってよいものであった。菅義偉官房長官は、最初の地震が発生した翌日である4月15日の会見の中で、安倍政権が改憲による創設を目指している「緊急事態条項」について、「極めて重く大切な課題だ」と述べたのである。
     しかも、菅氏のこの回答は、事前に用意された「八百長芝居」だった可能性が高い。
     ニコニコ動画の記者(七尾功氏)が「今回のように予想もしなかった大きな地震が発生したことを踏まえ、早急な緊急事態条項の検討の必要性について、どうお考えになりますか?」と質問した。
     これに対し、菅氏は手元のペーパーを読み上げ、「今回のような大規模災害が発生したような緊急時において、国民の安全を守るために国家国民自らがどのような役割を果たすべきかを、憲法にどのように位置付けていくかということについては、極めて重く、大切な課題であるというふうに思っています」と述べたのである。
     事前に記者から質問取りをしていなければ、こんなペーパーは用意できない。しかも地震発生を受けての緊急会見である。常日頃から「何か重大事が起きたら、記者の質問にあわせ、緊急事態宣言の必要性を匂わせよう」という合意と準備が、政府内で、なかんずく官邸でできていなければ、こんなにスムーズに原稿を用意できるはずがない。
    ※2016/04/17 【緊急UP】あらかじめ原稿を用意していた菅官房長官の「緊急事態条項は重い課題」発言!会見は八百長芝居か!?ドサクサまぎれの「惨事便乗型全体主義」改憲を許すな! 
    http://iwj.co.jp/wj/open/archives/297427 
     菅氏が緊急事態条項について「極めて重く大切な課題だ」と述べたことは、熊本・大分大地震という「惨事」を政治的に悪用し、国民にその中身を周知していない「緊急事態条項」の必要性をすり込んでゆく、悪質な「ドサクサ・ドクトリン」とでも呼ぶべき手法である。これは決して見過ごすことはできない。
     私およびIWJでは、これまで、自民党改憲草案第98・99条に規定された緊急事態条項を創設することは、「ナチスの手口」に他ならないということを、繰り返し報じ、論じ、主張してきた。
     改憲によって緊急事態条項が創設され、時の内閣によって緊急事態が発令されると、生存権も財産権も含めて、あらゆる国民の基本的人権は停止され、内閣が法律に代わる政令を自由に出し、予算措置も行うことができるようになり、地方自治はなくなり、あらゆる国民が国家権力に従属しなくてはならないと、憲法に書き込まれてしまうのである。
     事実、ナチス・ドイツは、1933年2月27日に発生した国会議事堂放火事件をきっかけとしてワイマール憲法に書き込まれてしまっていた国家緊急権を発動させ、ヒンデンブルク大統領に緊急事態宣言を発令させ、共産党員ら反ナチス派をプロイセン州だけで5000人も逮捕した。そのことで反ナチスの勢力は潰え、約1ヶ月後の3月23日にはヒトラーに全権を与える全権委任法(授権法)が成立。ナチスによる独裁体制が確立されることになった。
     今月、「岩上安身のIWJ特報!」としてお届けするのは、2015年12月19日に行われた、永井幸寿弁護士へのインタビューのフルテキストである。永井氏は、最も早く、この緊急事態条項の危険性を見抜き、発言してきた人物である。阪神・淡路大震災の際にはご自身も被災し、被災者支援法の成立に尽力し、東日本大震災の際にも被災者支援にかかわった立場から、「大災害の発生時において、必要なのはむしろ現場に最も近い市町村への権限の移譲。災害時に国家緊急権の発動は必要ないばかりか、危険である」と主張。その理由について、私に詳細に語った。
     改憲をかけて「天下分け目の戦い」となる夏の参院選を目前に控え、大げさでなく、全国民、全有権者必読のインタビューである。ぜひ、全編をお読みいただきたい。(岩上安身)===================================
    ◆「緊急事態条項」の危険性を説き、対談で小林節・慶應義塾大学名誉教授を“説得”した永井幸寿弁護士が登場~「国家緊急権」の危険性、ナチスは緊急事態宣言によって独裁権力を手にした!◆
    ===================================
    ▲永井幸寿弁護士岩上安身「みなさんこんにちは。ジャーナリストの岩上安身です。本日は、『饗宴VI(※1)』の前日にあたるんですけれども、今回、『饗宴』でメインテーマにしている国家緊急権について、本編よりもより濃厚にとことんお話をうかがおうではないかということで、前日にもかかわらず、たっぷりお時間をいただきました。ご登場いただきますのは、日弁連(※2)災害復興支援委員会前委員長の永井幸寿先生。弁護士の方です。永井先生、よろしくお願いいたします」
    永井幸寿氏(以下、敬称略)「よろしくお願いします」
    岩上「永井先生は、IWJを実は全然ご存知なかったと」
    永井「昨日まで知りませんでした。すいません、申し訳ない」
    岩上「ありがとうございます。知らないままIWJにご登場いただいております(笑)」
    永井「はい、すいません」
    岩上「知らないまま、明日、『饗宴』にもご登場いただきます(笑)。『饗宴』とはどういうものか、どういうふうにしゃべるか、という打ち合わせを、先ほどさせていただいていたような次第です。先生ご自身でいわく、ちょっと世間には疎くなっているらしいんですけど。どうしてそんなに疎くなられたのかといえば、災害問題に取り組んで20年ということなんですよね?」
    永井「そうですね。阪神淡路大震災(※4)で、事務所が全壊しまして、それ以降です」
    岩上「先生、どこに事務所があったんですか?」
    永井「神戸です」
    岩上「神戸。じゃあ、被害はものすごかったでしょうね」
    永井「もっとひどい被害にあった方はいっぱいいましたけどね」
    岩上「直後に僕も現場に取材に入りました」
    永井「そうですか」
    岩上「三ノ宮の交差点とか、もうビルがぐちゃぐちゃになっていました。電車で大阪から神戸に近づくにつれ、だんだんだんだん倒壊している家が増えていく」
    永井「はい。そのとおりです」

    ▲灘区国道43号線岩屋交差点周辺(1995年1月17日)ウィキメディア・コモンズより岩上「すごかったですね。本当にあの時、この世のものとは思えない光景だと思いましたが、そのあと、東日本大震災(※4)で、もっとこの世のものと思えない、本当にあり得ない光景を目にすることになりました。民家の上に船がのっかっている(※5)なんていう、そういう信じがたい光景もありました。先生はその東日本大震災の時にも現地で復興支援をなさったと」
    ▲民宿の上に乗った遊覧船「はまゆり」――岩手県大槌町永井「日弁連の災害復興支援委員会の委員長をやっていまして、それで日弁連の災害対策本部では、副本部長をやっていました。日弁連会長が本部長だったのですが、私は副本部長という立場でした。あの時はバタバタしておりました」
    岩上「大変な思いをされていたんですね」
    永井「日弁連だと、被災者支援法をだいたい12,3本作ったり(※6)だとか、4万件の法律相談(※7)をやったりだとか、ADR(※8)をやったりだとか、いろんな支援を行いました」
    岩上「ADRってなんですか?」
    永井「裁判外の紛争解決手続き。だから、調停みたいなもので」
    岩上「ゆっくりやっていられないから」
    永井「そうそう」
    岩上「もうどんどん解決していかないと」
    永井「そうです。原発の賠償のため、あるいは二重ローン解決のためのADRをつくったり。そんなことですね」
    岩上「大変ですよね。被災している人、住宅ローンがまだ残っている家を失い、新たに家を買うと、ローンを二つ抱えることになっちゃう。もう一回、住居を持とうとすると、前の倒壊してしまった家とかマンションのローンの残債が残っている。これが、棒引きにならないんですよね」
    永井「そうです。ならないんです」
    岩上「本当に多くの人が苦しみましたよね。阪神淡路大震災で。神戸などは、一見すると、建物とかはきれいになりました。だけれども、そういう目に見えない問題が何年も何年も人を苦しめる。
     そこへきて東日本大震災。今度は地震だけでなく、津波も。阪神淡路大震災の時には、津波はなく、人を苦しめていたのは、地震と火災だったと思うのですが、東日本大震災では地震、火災に加えて津波、そして原発と」
    永井「そうですね」
    岩上「これでは何年経っても、元の姿に戻れない。元の暮らしに戻れないという人たちがたくさん出て、今も続いているわけですよね」
    永井「そうです」
    岩上「本当にこういう状態の中、20年間ずーっとその被災地の人たちの苦しみに向き合っていれば、ちょっと世間については疎くなって、IWJなんて知らないとか、岩上安身って誰? ということになるのは本当に仕方がないことだと思います。
     ですが、先生、ずっと僕ら、被災地のことを報じ続けてきました(※9)。これからお見知りおきいただければと思います」
    永井「はい。ありがとうございます」
    岩上「永井先生は災害のことだけにお詳しいのではなく、この国家緊急権についても大変お詳しい。国家緊急権(※10)とはなんぞやっていうことから、今日はお話をしていただくんですけれども。この問題が大変重大な問題である。少なくともこれから7ヵ月間、来年2016年夏の参院選、もしかしたら、衆参ダブルになるかもしれませんが(※11)、その時に、この問題が最大のイシューになるだろうと私は思っており、この問題について語れる論客はいないかと、実はここしばらく、あちこちを探していたんです。そうしたらいらっしゃいました、永井先生です。
     永井先生は小林節(※12)先生との公開討論を行い、IWJではこれも中継しました。申し訳ないですけれども、永井先生がちょっと可愛らしい感じに見えました。小林先生はやっぱりちょっと圧倒的な迫力を持った――こう言っちゃあ悪いですが、ダースベイダー然としている感じで、圧倒的に強そうに見えるんです。
     その小林先生が国家緊急権を必要だと言って、永井先生が、いや必要じゃないと真っ向から反論する。二人が公開の場でディベート、討論をし、一時間半経ったら、永井先生の言い分を小林節先生が全面的に受け入れて、『私は考えを改めた。国家緊急権は必要ない。特に今の権力に渡してはならない』と。こう小林先生がおっしゃった。
     普通ディベートなんかやると、何が何でも自説を、牽強付会(※13)でもなんでも押し通す、我を通す。それで平行線で終わる。だいたい『朝まで生テレビ(※14)』なんてそうですよね。だいたいギャーギャー言って終わっちゃう。
     しかし先日のお二人の討論は、すごく実があり、かつ理路整然としていて、転向と言うか、改心と言うか、そうしたドラマを小林先生が演じた――「演じた」というと言葉はちょっとおかしいと思いますが、見せてくださったわけですね。これには、ちょっと感動しました」
    ※2015/10/21 「災害時に、国家緊急権は役に立たない」緊急事態条項・反対派の永井幸寿弁護士との議論で、賛成派の小林節氏に「地殻変動」 ~国家緊急権を徹底討論!  
    http://iwj.co.jp/wj/open/archives/271317 
    ▲慶應義塾大学名誉教授・小林節氏永井「やっぱり、小林先生、潔いというか、理屈がきちんと通っていれば、理解してくださる。公の場で、どこの馬の骨か分からない永井の話をちゃんと聞いてくださって、私も感動しました。あんなことって起きるんですね」
    岩上「小林先生は本気で現在の政権の危険性というものを感じている人です。そうすると、『ちょっと待てよ』と。国家緊急権は必要だと、自分は考えてきたけれども、しかしそれは間違っていたんじゃないか、と。こういうふうに思い至るその道筋も、ご自身で口にしていました。とても分かりやすかったし、あの模様をIWJは全部中継して、しかも今ずっとフルオープンにしています(※15)」
    永井「そうですか」
    岩上「みなさんもぜひご覧になってください。永井先生が小林節先生を折伏している。そういうビデオなんですけども、これを見て、永井先生にお話をうかがわなければならないなと思いました。それでインタビューの申し込みをしたのですが、私、体調を崩したりなんかして、延期したりしまして、結局、饗宴の前日に実現したわけです。饗宴にご登壇いただけることにもなりまして、本当にありがとうございます。
     なんと、昨日そのワイシャツを買ったそうですね。糊が効いてて、いい感じですが。どなたかにワイシャツとネクタイぐらい買えって言われて、昨日買ったって聞いたんですけれども」
    永井「今日、映像に出るって知らなかったもんですから」
    岩上「知らなかった(笑)。周りの人に『IWJに出る』と言ったんですよね?」
    永井「はい。それで災害復興支援委員会の副委員長にコンビニに連れていかれて、それでこれを」
    岩上「災害復興支援委員会の副委員長というのは、弁護士の先生ですか?」
    永井「はい。女性の弁護士さん」
    岩上「若い人たちはIWJを知っていたんですか?」
    永井「みなさんご存知でした」
    岩上「そうですか。みなさんありがとうございます」
    永井「失礼いたしました」
    岩上「その女性の若い弁護士さんたちがIWJを知っていたおかげで、くたくたのワイシャツでなく、パリッとしたワイシャツで今日お越し願えたわけですね。ネクタイもなんか新しく買われたとか」
    永井「私の還暦祝いです。災害復興支援委員会の副委員長の女性二人と、あとはお医者さん。被災者の支援をやっている三人の方が」
    岩上「お医者さんとは、青木正美(※16)先生ですか?」
    永井「青木先生です」
    岩上「青木先生には、IWJのサポート会員になってもらっているんです。私も患者としてお世話になっておりますが。青木先生がネクタイのプレゼントですか。そうですか。素晴らしい。ということで、本当に皆さまのサポートのおかげで、永井先生、今日バシッとしたお姿でおいでいただいて何よりです」
    永井「ありがとうございます」
    岩上「みなさんにも絶対に明日の『饗宴Ⅵ』を見に来ていただきたいんですが、ご登壇いただく第二部では、まさに国家緊急権の問題や立憲主義とか憲法について語るわけです。そこで最初にご登場いただこうと思っているのが、一人一票裁判、憲法の一票の格差問題の件で裁判を起こしていらっしゃる升永英俊(※17)先生です。全国で裁判起こしていますけど、そのリーダー格ですよね。升永先生も二ヵ月前まで、『国家緊急権、別にいいんじゃないの?』ぐらいで、『そんなに危ないもんじゃないだろう』と思っていたとか。
     升永先生はナチス・ドイツの、授権法、全権委任法(※18)とも言われますが、この法律を通してナチスは独裁を確立したんだと思っていたと、昔からの知識で思っていたそうです。それが違うと。なんと、緊急事態宣言によって、独裁権力を手にした(※19)んだと気づいて、これは大変だということで、また自費で新聞広告をお出しになって(※20)、そういうふうに何人かの方々は危機感に火がついている。ここにもこの問題の大変さをご理解された方がいる。
     それで明日は、升永先生にまずご登場いただきます。そしてそのあと、永井先生にご登場いただき解説していただこうと思っています。ほかにも何人かいらっしゃいますが、同じパートの中でSEALDs(※21)の奥田愛基(※22)さんも来る予定になっております。奥田君は若い人たちを率いているわけですが、若い人たちだけではなく老若男女の市民運動にも大きな影響とかリーダーシップを発揮している。そういう人にもお話を聞いてもらいたいなと思います」
    永井「はい、そうですね」
    岩上「また奥田さんがどう考えたかについてもお話いただこうと思っております。そんな構成になりますので、明日の『饗宴Ⅵ』にはみなさん、ぜひいらしていただければなと思います」。
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    (※1)饗宴VI:2015年12月20日、IWJは品川のTHE GRAND HALLにおいて「『国民』非常事態宣言! 露わになった『ナチスの手口』/国家緊急権を阻止せよ!」と題したシンポジウムを開催した。
     テーマ1「米国の経済覇権の終わり?~AIIBの衝撃とTPP『砲艦外交』の正体」には、PARC事務局長の内田聖子氏、岩月浩二弁護士、政治経済学者の植草一秀氏、国際情勢解説者の田中宇氏、中央大学名誉教授の富岡幸雄氏、横浜市立大学名誉教授の矢吹晋氏が登壇。
     テーマ2「違憲の『戦争法』強行可決から『明文改憲』による緊急事態条項導入へ~属国のファシズムを阻み、立憲民主主義を救い出せるか」には、学習院大・青井未帆教授、元宜野湾市長の伊波洋一氏、水上貴央弁護士、SEALDs奥田愛基氏、永井幸寿弁護士、升永英俊弁護士。
     テーマ3の「『戦争』の過去・現在・未来~安倍政権の目指す『戦争遂行国家化』その帰結は!?」では、ジャーナリストの志葉玲氏、元陸上自衛隊レンジャー部隊所属の井筒高雄氏、元内閣官房副長官補の柳澤協二氏、元外務省国際情報局長の孫崎享氏が登壇した。
     IWJでは現在、この「饗宴VI」の模様を収録したオリジナルDVDを発売中である(ご購入はこちらから【URL】http://bit.ly/205psAg)。 
    (※2)日弁連:日本弁護士連合会の略。1949年(昭和24年)、弁護士法第45条から第50条に基づき設立。日本では弁護士・外国事務弁護士として活動する場合、事務所を置く地域の弁護士会を通じて日弁連への登録が義務付けられている。
     弁護士等は弁護士法22条に基づき、日弁連の定めた会則に従わなければならない。日弁連は、弁護士・弁護士法人・弁護士会の指導・連絡・監督・弁護士会への入会資格審査・懲戒に関する事務を扱うほか、さまざまな社会制度の整備に関する活動も行っている。死刑廃止、君が代斉唱時の不起立の自由のほか、安保関連法に対する抗議活動なども行っている(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1Xp3Vmf)。
    (※3)阪神淡路大震災:1995年(平成7年)1月17日に発生した兵庫県南部地震による大規模地震災害。淡路島北部沖の明石海峡を震源とし、M7.3の兵庫県南部地震が発生。近畿圏の広域(兵庫県を中心に、大阪府、京都府も)が甚大な被害を受けた。
    特に震源に近い神戸市市街地の被害は凄まじく、世界中に衝撃を与えた。戦後に発生した地震災害としては、その後に発災した東日本大震災に次ぐ規模である。死者 : 6,434名、行方不明者 : 3名、負傷者 : 43,792名(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1KkKYtG)。
    (※4)東日本大震災:2011年(平成23年)3月11日午後2時46分に発生した東北地方太平洋沖地震とそれに伴って発生した津波、およびその後の余震により引き起こされた大規模地震災害。
     地震の規模はM9.0で、発生時点において日本周辺における観測史上最大の地震であり、さらにこの地震により巨大な津波が発生し、東北地方と関東地方の太平洋沿岸部に壊滅的な被害をもたらした。また、巨大津波以外にも、地震の揺れや液状化現象、地盤沈下、ダムの決壊などにより、各種インフラ、ライフラインが寸断された。
     そして特筆しておかなければならないことは、この地震と津波により福島第一原子力発電所事故が発生したことである。震災による死者・行方不明者は18,455人(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1Rap7gh)。
    (※5)民宿の上に船がのっかっている:岩手県大槌町で、遊覧船「はまゆり」が大津波によって建物の上に打ち上げられ、人々に衝撃を与えた。震災後、約2か月民宿のうえに乗ったままだったが、のちに撤去された(参考:Youtube ANNnewsCH【URL】http://bit.ly/1Ynh6nL)。
    (※6)被災者支援法をだいたい12,3本作ったり:阪神淡路大震災で日弁連は震災関連立法を目指したが、成立しなかった。一方、東日本大震災では、各種立法の成立を実現している。
    リンク先の日弁連のWEBサイトでは、東日本震災後の活動についてまとめた永井氏の文章がPDFで公開されている(参考:日本弁護士連合会【URL】http://bit.ly/240rG83)。
    (※7)4万件の法律相談:日弁連では震災直後から各地で無料の面談及び電話法律相談を実施し、相談情報を集約・分析。東日本大震災無料法律相談情報分析結果として取りまとめる作業を行った。
    2012年10月公表の第5次分析では、相談情報は約4万件に上り、日弁連では前記分析結果から1000件を選び出し、具体的な相談内容を記した「東日本大震災無料法律相談事例集」を発行した。事例集の基本的な内容に関するQ&Aは現在、日本弁護士連合会ホームページでPDFファイルとして配布されている(参考:日本弁護士連合会【URL】http://bit.ly/20sl681)。
    (※8)ADR:インタビューでも語られているように、裁判外紛争解決手続のこと。一般にAlternative Dispute Resolutionの略称とされているが、「Alternative」ではなく「Appropriate」の略とする考え方もある(参考:独立行政法人国民生活センター【URL】http://bit.ly/1Q1NtCs)。
    (※9)被災地のことを報じ続けてきた:IWJは、2011年3月の地震発生後から、東日本大震災について報道し続けている。発生後の現地の様子や、被災地の政治家へインタビューするなど、独自取材を敢行。東京電力や原子力安全・保安院(現・原子力規制委員会)による記者会見の中継の他、汚染ガレキなどの災害廃棄物処理問題、被災者の生活再建問題などに関連した各種シンポジウム・講演などについて取り上げてきた。直近では、2016年3月11日(金)、東京都千代田区の憲政記念館で行われた、 第五回 三月十一日 東日本大震災「祈りの日」式典も中継・配信した(参考:IWJ【URL】http://bit.ly/1YnjVW1)。
    (※10)国家緊急権:戦争や災害など国家の平和と独立を脅かす緊急事態に際して、政府が平常の統治秩序では対応できないと判断した際に、憲法秩序を一時停止し、一部の機関に大幅な権限を与えたり、人権保護規定を停止するなどの非常措置をとることによって秩序の回復を図る権限のこと。
     国家緊急権の類型は、いくつかの分類があり、各国の法によって、規定などが異なる。日本国憲法においては国家緊急権に関する規定は存在しないとする見方が多数とされている(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1NAJRGC)。
    (※11)2016年夏の参院選、もしかしたら、衆参ダブルになるかもしれない:衆院選挙制度改革をめぐっては、安倍晋三首相が定数削減を含む公職選挙法改正案を、6月1日の今国会会期末までに成立させようと動いており、7月10日投開票が有力な参院選に合わせて、衆院選も行う「衆参同日選」の可能性が現実味を帯びている(産経ニュース、2016年2月24日【URL】http://www.sankei.com/politics/news/160223/plt1602230071-n1.html)。他方、大接戦を展開した4月24日投開票の北海道5区補選以後、衆参ダブル選挙は行わない、という情報が流されている(日テレニュース、2016年4月29日【URL】http://bit.ly/24ccSqm)。
    (※12)小林節:法学者、弁護士。専門は憲法学。慶應義塾大学名誉教授。2015年10月21日、東京・千代田区の霞ヶ関コモンゲート西館にて、被災者支援に携わる有志弁護士の会が主催する『災害対策を理由とする【憲法改正】についての報道及び関係者向け意見交換会 ~緊急事態条項「国家緊急権」の創設は必要か~』が行なわれ、永井氏と小林氏はゲストに招かれ、熱い議論を繰り広げた(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1kqswcX)(参考:IWJ【URL】http://bit.ly/1WlFoAa)。
    (※13)牽強付会:道理に合わないことを、自分に都合のよいように無理にこじつけること(参照:コトバンク【URL】http://bit.ly/1USWoy7)。
    (※14)朝まで生テレビ:1987年(昭和62年)に開始したテレビ朝日系列(ANN系列)で放送されている討論番組。略称は『朝生』。司会は田原総一朗が務めている。
    主たるテーマは政治、アメリカ、天皇、皇室、各種タブー、女性差別、朝鮮問題、原子力発電、部落差別、右翼、左翼、核兵器、経済、宗教、若者、戦後補償、安全保障、教育、援助交際、プロ野球、テレビ、メディア規制、憲法、年金、IT、中国、イラク、地方自治など(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1qgRq0Y)。
    (※15)今ずっとフルオープンにしています:いったんは会員限定となったが、2016年4月現在、記事・映像の完全版は、IWJ会員のみ閲覧・視聴可能な状態に変更されている。震災を受け、期間限定。(参考:IWJ【URL】http://bit.ly/1WlFoAa)。
    (※16)青木正美:青木クリニック院長、関西学院大学災害復興制度研究所客員研究員。阪神淡路大震災時には、発災三日目から神戸市役所を拠点に二週間活動。東日本大震災でも、原発事故被災者の健康を守る提言を執筆した。ロックの会にも登壇している(参考:全日本民医連【URL】http://bit.ly/1qH04GQ)(参考:青木正美Twitterアカウント【URL】http://bit.ly/1TKmHVU)(参考:青木クリニック【URL】http://bit.ly/1qgTS7J)(参考:ロックの会【URL】http://bit.ly/24cduwa)。
    (※17)升永英俊:弁護士(第一東京弁護士会)・弁理士。米国のコロンビア特別区及びニューヨーク州弁護士。
    「一人一票実現国民会議」を立ち上げ、いわゆる「一票の格差」問題の啓蒙活動を行うとともに、自ら多くの違憲訴訟を提起している。
    この運動組織には、升永氏のほか、元内閣官房・知的財産戦略推進事務局長である荒井寿光、株式会社角川グループホールディングス会長の角川歴彦、オリックス株式会社グループCEOである宮内義彦など、そうそうたるメンバーが顔を揃えている(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1MnXVtg)(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1SqdEUV)。
     岩上安身は、2012年12月21日と2016年1月11日の2回にわたり、升永弁護士への単独インタビューを行っている。
    ・2012/12/21 升永英俊弁護士インタビュー / 「一票の格差」違憲問題について(【URL】http://bit.ly/21gA41x) 
    ・2016/01/11 岩上安身による升永英俊・弁護士インタビュー ~緊急事態条項について(【URL】http://bit.ly/1Qzsasq) 
    (※18)授権法、全権委任法:全権委任法は、ドイツにおいて1933年3月23日に制定された法律で、アドルフ・ヒトラー首相が率いる政府に、ワイマール憲法に拘束されない無制限の立法権を授権したもの。この法律によって、国家社会主義ドイツ労働者党がすでに手中にしていた権力に一応の合法性が与えられることとなった。
    法律の正式名称は「民族および国家の危難を除去するための法律」。この法律は授権法と呼ばれる、立法府が行政府に立法権を含む一定の権利を認める法律の一種で、ドイツ語および英語では、他の授権法と用語上の区別がなされていない。このため日本語においても単に「授権法」と呼ばれることがある(NETIB-NEWS、2015年11月13日【URL】http://bit.ly/22tVolT)。
    (※19)緊急事態宣言によって、独裁権力を手にした:1933年2月28日、ドイツ、『緊急事態宣言』が出ると、わずか数日中に、プロイセン州だけで約5000人が司法手続きなしで逮捕・予防禁され、行方不明になった。1932年11月6日に行われた選挙では、66.9%の有権者がナチス以外の政党に投票していたにも関わらず、『緊急事態宣言』後の1933年11月12日の総選挙(投票率95%)では、ナチスを支持する票が、全体の92%になっていた。司法手続きなしの、逮捕・予防拘禁・その後の行方不明を知って、恐怖心と無力感と諦観から、ナチスを支持したと考えられる(NETIB-NEWS、2015年11月13日【URL】http://bit.ly/22tVolT)。
    (※20)自費で新聞広告をお出しになって:2015年10月、升永氏は新聞各社に麻生太郎の「ナチスの手口に学んだらどうか」発言を取り上げ、自民党憲法改正草案の「緊急事態宣言」条項の危険性を訴える意見広告を掲載した(参考:IWJ【URL】http://bit.ly/22moUr3)。
    (※21)SEALDs:日本の学生団体、Students Emergency Action for Liberal Democracy – s(自由と民主主義のための学生緊急行動)の略称。2015年5月3日、安倍首相の政権運営や憲法観に対して危機感を覚えた学生らがSASPL(Students Against Secret Protection Law:特定秘密保護法に反対する学生有志の会)の後続団体という形で発足させた。
     平和安全法制(安全保障関連法・安保法制、戦争法・戦争法案)に反対する国会前での抗議デモなどを行い、注目された(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1hOriH3)。
    (※22)奥田愛基:大学院生で日本の市民活動家。平和安全法制(安保法制)に反対する「自由と民主主義のための学生緊急行動」(シールズ:以下「SEALDs」)の創設メンバー。
     2015年9月15日、平和安全法制を審議する参院特別委員会の中央公聴会で、意見を表明する公述人として、奥田氏は大学の法学の名誉教授や元最高裁判所判事などと並んで意見を陳述した。
     2015年12月1日、奥田は政党への政策提言などを行う一般社団法人「ReDEMOS -市民のためのシンクタンク-」を設立し、代表理事に就任している(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1RMOB2u)。
     
  • 【第250-253号】岩上安身のIWJ特報!進む日米の軍事一体化と自衛隊の従属化 ~法を超えた日米ガイドラインと同盟調整メカニズム 青井未帆・学習院大学大学院教授インタビュー

    2016-05-22 16:18  
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    第250-253号
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               岩上安身のIWJ特報!
           進む日米の軍事一体化と自衛隊の従属化
         ~法を超えた日米ガイドラインと同盟調整メカニズム
           青井未帆・学習院大学大学院教授インタビュー
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     2015年9月19日未明、集団的自衛権行使容認にもとづく安全保障関連法案が、参議院本会議で「可決」されてしまった。これまで、「専守防衛」に徹してきた日本の安全保障政策が、根本的な転換を迎えた瞬間だった。
     その安保法制が2016年3月29日、施行日を迎えた。施行日当日、国会前には安保法制廃止を訴える3万7000人(主催者発表)の市民が押し寄せたが、安倍政権は市民の声を押し切る形で、自らの悲願である「集団的自衛権行使容認」の同法施行に踏み切った。
     「敵国」から攻撃を受けた同盟国(主に米国)を防衛することを可能にする集団的自衛権。安倍政権は、この集団的自衛権行使容認にもとづく安保法制に関して、「抑止力を向上させるものだ」と一貫して説明してきた。
     しかし、本当にそうなのだろうか? 安保法制、さらにはそれを定めた「日米新ガイドライン」によって、「日本全体が、米軍の巨大な兵站(へいたん)になる懸念がある」――。そう指摘するのは、憲法学が専門で、学習院大学教授の青井未帆氏である。
     2015年4月27日に改定された「日米新ガイドライン」では、平時を含め、日本への武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」など、あらゆる段階における日米の調整の枠組みとして、「同盟調整メカニズム」(ACM)の常設化が取り決められた。
     この「同盟調整メカニズム」内で、中核的な役割を果たすとされるのが、「軍軍間の調整所」だ。2015年8月11日、日本共産党・小池晃議員が国会で暴露した自衛隊統合幕僚監部の内部文書には、安保法案の成立を前提に、詳細な部隊運用計画が記載され、「軍軍間の調整所の設置」が明記されていた。中谷元・防衛大臣は国会で、「(軍軍間の調整所は)すでに存在している」と述べ、さらには「軍軍間」とは「自衛隊と米軍だ」と答え、自衛隊を「軍」と記していることを認めている。
     具体的には、防衛省の地下に置かれる中央指揮所に、米軍幹部を常駐させること、また、在日米軍司令部のある横田基地には自衛隊幹部を派遣し、それぞれに「日米共同調整所」が設置されることなどが決まっている。
     日本全体が「米軍の巨大な兵站」になる可能性は、現在行われている米大統領選予備選挙の趨勢からも、現実になりつつあることがうかがえる。
     移民排斥や女性蔑視の暴言を繰り返しながらも、共和党指名候補争いのトップを独走するドナルド・トランプ氏は、3月26日の米紙「ニューヨーク・タイムズ」で、次のように述べた。
     「米国が国力衰退の道を進めば、日韓の核兵器の保有を認める」――。
     誰が「認めてくれ」と頼んだというのだろうか? 「認める」というよりも、これは「保有させる」という意思表明である。
     トランプ氏の発言は、米国が自国の軍事負担を軽減するために、各国へ負担を押し付ける「リバランシング戦略」の一環として、「ニュークリア・シェアリング(核共有)」策を用いることを示したものである。
     トランプ氏による「リバランシング」戦略の表明を、まるで先取りするかのように、3月18日、参議院議員予算委員会では、横畠裕介内閣法制局長官が次のような発言を行った。
     「わが国を防衛するための必要最小限度のものに限られるが、憲法上あらゆる種類の核兵器の使用がおよそ禁止されているとは考えてない」
     横畠内閣法制局長は、核兵器の使用が憲法違反に「あたらない」との見解を示したのだ。
    要するに、「同盟調整メカニズム」や「リバランシング」によって、日米の軍事的一体化と、自衛隊の米軍への従属化がいっそう進むのではないか。青井氏は、2015年7月8日に私が行なったインタビューにおいて、次のような見解を述べた。
     「今後、米軍と制服組が軍事上の観点から集団的自衛権を行使するかどうかを決め、内閣やNSC(国家安全保障会議)の決定は形式的なものになる可能性がある。実際には、自衛隊は米国とデータを共有しているので、事実上の指揮権が日本にあるとは考えられない。米軍の制服組を中心に決定されていくことになるのではないか」
     自衛隊をめぐっては、現在、「シビリアン・コントロール」(文民統制)に関して、防衛省内で「背広組」と「制服組」との間に対立が生じている。2016年2月22日に共同通信が第一報を伝えたところによると、安保法制を初めて全面的に反映させる自衛隊最高レベルの作戦計画策定にあたり、防衛省内で「制服組」が「背広組」に対して、権限の大幅移譲を要求している。
    ※制服組自衛官が権限大幅移譲要求 防衛省、背広組は拒否(共同通信、2016年2月22日【URL】http://bit.ly/1Umxe9u) 
     インタビューでは、こうした「シビリアン・コントロール」の問題も含め、「同盟調整メカニズム」による自衛隊の米軍に対する「下請け化」「軍事的従属化」について、お話をうかがった。安倍政権が進めている「軍事国家化」とは、実のところその動きは軍事的な主権を喪失した、「鉄砲玉」化なのではないか。今後の日本の外交・安全保障政策について考えるうえで、必読のインタビューである。
     冒頭、(その1)で維新の党(当時)の対案について論じているところは、今となっては少々間の抜けたものになっているかもしれない。一方、(その2)以降、「同盟調整メカニズム」について青井氏が論じているところは、今読みなおしても非常にアクチュアルである。ぜひ、最後まで読み通していただければと思う。(岩上安身)

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    ◆2015年7月8日、維新の党が対案を提出。維新案は「政府解釈」を前提としており、「武力攻撃危機事態」は個別的自衛権の範囲とは言い難い◆
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    ▲学習院大学教授・青井未帆氏岩上安身(以下、岩上)「皆さん、こんばんは。ジャーナリストの岩上安身です。慌ただしくなってまいりました。いわゆる戦争法案(*1)の行方ですけれども、これまで賛否がくっきり分かれていました。ところが維新が対案を出すことになり、それをめぐって、非常に各方面で動きが慌ただしくなっております。また、この維新の対案をどう考えるのかという問題がでてきました。
     維新案は合憲なのか、それとも違憲なのか。これまで自民党案、与党案を、違憲だと言っている人たちのなかでも考えが分かれているようです。そういうタイミングに大変ふさわしいお客様に今日はお越しいただいております。学習院大学法科大学院教授、青井未帆先生です。憲法学のご専攻です。青井先生、よろしくお願いいたします」
    青井未帆氏(以下、青井・敬称略)「よろしくお願いします」
    岩上「国民安保法制懇(*2)にも加わっておられ、一度記者会見などでご挨拶させていただきました。本日は大変な混乱のなか、先生もここへ来るまで、きっと大変な情報の収集をして、いろいろなものに目を通さなければならず、慌ただしい時期だったとは思うのですが」
    青井「そうですね」
    岩上「逆に言えば、大変よいタイミングでお越しいただけたと思っております。本日はよろしくお願いいたします」
    青井「よろしくお願いいたします」
    岩上「最初に、『維新の対案をめぐる動き』から始めたいと思います。みんな、これをどう考えたらいいだろうかと思っている。民主党もこれに乗るか乗らないかで、いったんは乗ると言い、それから乗らないと言う。二転三転しています。
     民主党の枝野幸男(*3)さんによると、いったんこれを蹴った。しかし、代表同士が話し合って、『いや、やっぱり維新案に乗るよ』ということになり、共同提案することになったそうです。
     でも国民はそもそもこの対案の中身が分かりませんし、分かったとしてもこれが合憲か、あるいは違憲か、スパッと判断するのは難しい。自民党案とはずいぶん違うということはだいたい分かるのですが、まずその内容からうかがいたいと思います。先生はこの案をざっとご覧になっているとお聞きしていますので、まずご解説いただきたいと思っております」
    青井「この案に関して、まだ私も詳細までは読めていないのですが。これまで、世界で戦えるような自衛隊であってはいけなかった。だから自分たちの案ではそこを限定したのだと。こういうふれ込みといいますか、前提で出されたものなので、『地理的な限界』をつけ、また『存立危機』ということではなく、あくまでも日米同盟、日米安全保障条約に基づく活動への支援への対応だと、射程を限定しています。文言上そうであることは確かですね」
    岩上「なるほど。前提をご存じない人のために申し上げておくと、与党案といいますか、自民党案、政府案というのは、この『地理的制限』を取っ払って、地球の裏側まででもアメリカについていくと。もしくはアメリカ以外の同盟国、それはNATO(*4)かもしれないし、イスラエルかもしれません。オーストラリアかもしれないし、どこか分かりません。
     よく分からないけれども、よその国で自分と親しいと思われる国、あるいは向こう側がそう思っている国、そこがはっきりしないのですが、戦争が起こった場合には、日本が駆けつけなくてはいけないという案だった、これが政府案です。そこで維新案ではまずその点ですね、つまり『地理的な制限』を設けると。これは一つ大きい点ですね」
    青井「これが維新案の特徴と言われていて、その点でこれは個別的自衛権の範囲内であるという合憲意見も出てきている。憲法学者のなかでもですね」
    岩上「小林節(*5)先生とか」
    青井「ええ、小林先生」

    ▲慶應義塾大学名誉教授・小林節氏岩上「そうですよね。で、小林先生の話については、今度近々に私はインタビューをしますので、そこで直接お聞きしようと思っているのですけど」
    青井「そうですね」
    岩上「その前に確か明日だったと思うのですが、小林先生がFCCJ(*6)で会見をされるそうで、確か維新と一緒に会見をするという話がある。小林先生はご意見をどんどんお出しになっていくようです。青井先生は国民安保法制懇で小林先生とご一緒されていたわけですよね。小林先生はメンバーの方々に、『自分はこの維新の案に乗った、合憲だ』とはアナウンスされているのでしょうか」
    青井「メーリングリスト上で、小林先生がそのような立場をお示しになったことは確かです」
    岩上「これについては小林先生に直接お聞きするべきだし、お聞きいたします。しかし先取りでここでもちょっとお聞きしておきたいのですが、小林先生はなぜこの維新の案を良しとして、ここまで太鼓判を押して前へ進めようとお考えなのでしょうか」
    青井「これは本当に、ご本人にお聞きするよりほかはないのですが、個別的自衛権の理屈の範囲内かあるいは範囲外かというところで言えば、小林先生、阪田雅裕(*7)先生、長谷部恭男(*8)先生につきましては『範囲内である』というご意見をお持ちになったています。なぜ範囲内だとお考えになるのかという点については、ご本人にお聞きしたいと思います」
    岩上「なるほど。青井先生はまたちょっと違う考えをお持ちだと」
    青井「そうですね。私はその見解には乗ることは全くできないですね」
    岩上「青井先生は乗ることはできない。なるほど。
     維新の対案ですが、内容としてはまず日米連携を基礎としている。日米同盟を基盤として、『武力攻撃危機事態(*9)』という概念を入れている。この武力攻撃危機事態という新しい概念が出てきます。この概念を設けたうえで、抑止力と対処能力は充実させ、しかしあくまで存立危機事態(*10)に基づく集団的自衛権行使を認めないとしているのが維新案です。
     この存立危機事態という概念は非常に曖昧です。自分たちが攻撃されているわけではないんだけれども、なにかしら大変不利な状況、例えば石油が入ってこない場合なども含めて集団的自衛権行使ができる。そう言ってしまったらそれはなんでもできるという話になりかねない。こうしたことは以前から言われていて、批判されていました。
     対して、維新案の武力攻撃危機事態という概念は、これまでの存立危機事態という概念とは異なり、より明確に日本、あるいはその同盟国が攻撃されているということに対し、集団的自衛権を行使するのかしないのか――実はこのあたり僕らもちょっとよく分からないのですが――つまり個別的自衛権の話だけに完全に終始しているのか、それとも同盟国が攻撃された時、例えば米艦船が攻撃された時には、日本の自衛隊も駆けつけるのか、そのへんがよくわからないのです。そのあたりについては、青井さんはどのようにお考えですか」
    青井「2014年7月1日の閣議決定(*11)でも、憲法9条のもとでの自衛措置として行使できるという説明の後に、『国際法上は集団的自衛権の行使と理解されるものもある』と言うにとどまっています。集団的自衛権を行使するか否かというのは、基本的には国際法のお話ですから。国内法でどこまでが自衛の措置としてできるかという議論とはもともと位相が違う。
     今回、維新の党は個別的自衛権で読んでいこうと説明しているようですが、これまでのわが国の定義からすると、他国防衛か否かで個別的自衛権と集団的自衛権とは分かれますので、日本に対する武力攻撃がない時点で反撃するというのは、国際法上は集団的自衛権にあたるだろうと思います。水島朝穂(*12)先生も指摘されているように、武力行使の要件については自衛隊法88条(*13)」
    岩上「自衛隊法なんですね」
    青井「そうですね。自衛隊法76条(*14)で防衛出動が下令されて、次に自衛隊法88条で武力行使ができるわけですが、武力行使できるのはあくまでも武力攻撃があったときであると。そういうこれまでの枠組みは変えていない。このことから、やっぱり個別的自衛権の範囲には入っておらず、集団的自衛権なのではないのかと。これはこれまでの議論を前提としても、個別的自衛権の範囲内とはちょっと言い難いことになります」

    ▲早稲田大学教授・水島朝穂氏岩上「なるほど。昨日の今日ぐらいの話ですから、よくまあ、こんな200ページにもわたる大部の本を用意できたなと。どこの誰が考えたんだろうと、そんなことも言われていますが、これに対してスピーディに反応され、昨日おとといぐらいまでの時点で持論を示されたのは、合憲論としては小林先生、そして違憲論としては水島先生ですね」
    青井「そうですね」
    岩上「どちらかというと、青井先生は水島先生の言っていることに近い?」
    青井「はい。水島先生がおっしゃるように、元々政府解釈として内閣の憲法解釈が示され、それに対して国会が憲法解釈をどうするのかが問われているわけですから、これは政府の解釈を前提にしつつ限定にすると。政府の憲法解釈を認めていることになってしまう」
    岩上「維新の対案のなかには、昨年7月1日の閣議決定は無効である、集団的自衛権の行使は認められない、個別的自衛権のみである、という文言は入ってないのですね?」
    青井「そうですね」
    岩上「入っていない」
    青井「わたくしの理解しているところではそうですね。読み落としているかもしれませんけれど」
    岩上「詳細にではないかもしれない・・・」
    青井「詳細にではないのですが、そもそもその文言は入れることができないのじゃないかなと。つまり集団的自衛権として、自衛の措置として、行使するか否かというのは、概念そのものとしては国際法上のお話ですよね。
     個別的自衛権云々と法律でいくら書いたところで、あとから『国際法違反じゃないか』と言われてしまったら、それこそ国際法違反なわけですから。つまりその文言が入っていたとしても、それはあまり有効ではないのではないか。
     仮に明文で規定が入っていたとしても、後ほど国際法との適合性が争われた時に、『いや、うちは国内法でこう書いてあるから』と言ってもそれは通用しないわけなので。仮にその規定が入っていたとしても、有効性は疑問です」
    岩上「憲法には9条が書かれてあり、そしてその憲法解釈を政府が去年の7月1日に閣議で変えてしまったわけですよね。この政府の解釈自体がおかしいという申し立てを国会がする、あるいは国民がする。なんとかできないものかと、そう思っている人はいっぱいいると思うんです。そもそも解釈の仕方自体が違憲だと、こういうことは言えないんですか?」
    青井「私はそういう立場なんです」
    岩上「そうですよね。それで、その歯止めを明確にすることはできないのでしょうか? こういう対抗案を出すことではできないんですね」
    青井「あれは内閣の解釈であって、今は国会の解釈が問われている。仮に内閣の解釈がおかしいということであるならば、絶対にいじってはいけないと思います。改正してはいけない」
    岩上「いじらない?」
    青井「自衛隊法などを改正してはいけないということですね。今の時点で改正してしまうなら、それで限定をかけたと言うのであれば、それは去年の内閣の政府解釈をとりあえず飲んだうえで限定するという理屈になります」
    岩上「そうなんですね」
    青井「だから政府の去年の解釈がおかしいと言うのであれば、徹底的に批判をし、改正をさせないということが一番筋が通っているはずです。そうだとすると、いくら内閣が自分たちだけで、憲法に適合しています、という解釈をしたところで、それを具体化できない、ならばそれは封ずることができますよね。
     でも維新の党の対案、これをしちゃったら、それこそ水島先生もおっしゃっているように、基本的には政府の解釈にのっとって文言、条文の解釈をするということになりますので、ある意味でお墨付きを与えたことにもなりかねない」
    岩上「なるほど。それじゃあここは廃案にして、そしてとうとう解釈は変えたけれども、この安倍内閣というのはちょっとイレギュラーな内閣で、そんなことを言ったけれども、結局国民は支持せず法案は流れましたと、そしてそういう責任を取って内閣に総辞職してもらって、選挙をやってやり直してもらって、別の内閣が『いや、あれは解釈間違っていました』と。そう次の内閣が言えば、『もう一回出直しましょう』ということになる」
    青井「ええ。それが一番シンプルでいいと私は思いますけど」
    岩上「そうなって改めて例えば個別的自衛権強化のため、従来の解釈のもとにこうしたことを論ずるというのであれば、また違ってくる」
    青井「そうですね。従来の解釈からは、他国防衛か自国防衛かというところで線を引いている以上無理だと思うんですね」
    岩上「やっぱり、それが入っちゃっているんですね」
    青井「そうですね。だから、いま二重の意味でおかしいと言いますか。まず政府解釈を前提とする点でおかしいですし、これまでの政府解釈との整合性の意味でもかなり厳しい。というか、もう無理じゃないかと思いますが、人によっては個別的自衛権の拡大の範囲内だ、という人は出てくるでしょうね」
    岩上「『領域警備法を制定してわが国の領土・領空・領海を徹底的に守る』。聞こえはいいですよね。それで『現行の周辺事態法を維持し、安保条約に基づく日米連携強化、自衛隊を地球の裏側まで派遣させない』と。これだけ聞いていると、まあいいじゃないかと思うんですけど。でもやっぱりこのなかには、字面、表には出てこない点、つまり結局は他国防衛ですよ、という話が潜んじゃっているような状態にあるということですかね。もうちょっと続きを見ますね」
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    (※1)戦争法案:第2次安倍改造内閣が進めている集団的自衛権の行使容認についての法案を、「戦争を可能にする法案」という意味で解釈した際の呼称。とりわけ、社民党の参議院議員・福島みずほが用いている。福島みずほ議員は公式ブログの2015年4月19日付け記事で、同月1日の参議院予算委員会で「戦争法案」という語句を用いて質問を行ったことについて、同月17日に表現の修正を求められたと述べている(参照:Weblio 新時事用語【URL】http://bit.ly/1Pph7qC)。
    (※2)国民安保法制懇:2014年5月、安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」、いわゆる「安保法制懇」が「限定的に集団的自衛権を行使することは許される」として、憲法解釈の変更を求める提言を安倍首相に提出した。これを批判することを主たる目的として、大学教授や弁護士、政治家などが集結し、国民安保法制懇設立委員(国民安保法制懇)が発足した。
     青井氏以外のメンバーは以下のとおり。愛敬浩二(名古屋大学教授、憲法)、伊勢崎賢治(東京外国語大学教授、平和構築・紛争予防)、伊藤真(法学館憲法研究所所長、弁護士)、大森政輔(元第58代内閣法制局長官)、小林節(慶応大学名誉教授、憲法)、長谷部恭男(早稲田大学教授、憲法)、樋口陽一(東大名誉教授、憲法)、孫崎享(元防衛大学校教授、元外務省情報局長)、最上敏樹(早稲田大学教授、国際法)、柳澤協二(元防衛省防衛研究所長・元内閣官房副長官補)(参考:国民安保法制懇【URL】http://bit.ly/1Skb3x7)。
    (※3)枝野幸男:民主党所属の衆議院議員、民主党幹事長。民主党政権時は、予算委員会等の答弁で、内閣法制局長官に代わって、憲法及び法律解釈も担当した。
     憲法9条の改正については、2013年9月10日、民主党憲法総合調査会長時代に、改正私案を発表している。
     自衛権行使の要件を明文化した条項を9条に追加し、憲法解釈の幅を極力狭めることで、無原則な軍拡に歯止めをかける必要性を打ち出した。「時の内閣の判断で憲法解釈を変更できる可能性がある」ことが現行憲法の最大の問題だと指摘している(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1O4QELH)。
    (※4)NATO:North Atlantic Treaty Organizationの略称、北大西洋条約機構。北大西洋条約に基づき、アメリカ合衆国を中心とした北アメリカ(=アメリカ合衆国とカナダ)およびヨーロッパ諸国によって結成された軍事同盟。2010年時点で28カ国が加盟している(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1JTE0NP)。
    (※5)小林節:法学者、弁護士。専門は憲法学。慶應義塾大学名誉教授。青井氏とともに、国民安保法制懇にも参加している。IWJは数多くの小林氏の講演などを報道してきたほか、岩上安身がインタビューを行ってきた。本インタビューの8日後、与党による安全保障関連法案の強行採決が行われた翌日の7月16日(木)にも岩上安身によるインタビューの模様が実況された。
     同法案で小林氏はいわゆる「戦争法案」が成立し、海外派兵が可能になると国民は常に戦争の脅威と隣り合わせになるため、その苦痛は「生存権の侵害」にあたるとし、各界の有名人・大物100人を集め、1000人の弁護団を結成して損害賠償請求をする、という戦略を語った。小林氏は、「裁判でケリをつけようとは思っていません。何より重要なのは政権交代です」とも岩上安身に語った。
    ・2014/11/28 【大義なき解散総選挙12】「これでは北朝鮮と同じ」 自民党改憲案と集団的自衛権行使容認を徹底批判~岩上安身による小林節・慶応大学名誉教授インタビュー(【URL】http://bit.ly/24qTWBW) 
    ・2015/07/16 安保法制「予定通り」の衆院突破 小林節氏が岩上安身のインタビューで「共産党を入れた野党連立」を提言!自民党を牛耳る日本会議は「おかしな人たち」(【URL】http://bit.ly/1jiHvEd) 
    (※6)FCCJ:The Foreign Correspondents' Club of Japanの略称、日本外国特派員協会。日本の大手マスコミの記者ではなく、外国人記者が会員の多くを占めることから、日本の大手メディアにおけるタブー、あるいはそれにまつわる通常は躊躇されるような質問も多く行われる。本文中に登場するように、この翌日、維新の党による記者会見が行われた。維新案を審査し、「合憲」だと判断した小林氏が会見に同席。IWJがその模様を取材・中継した(参考:FCCJ【URL】http://www.fccj.or.jp/)(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1PDlGfs)。
    ・2015/07/09 維新案も「違憲」との憲法学者の指摘に小林節氏「維新案をまっすぐ見て評価を」 昨年の政府閣議決定について維新・松野代表「違憲か合憲かの論評ありえない」 IWJの質問に(【URL】http://bit.ly/1WKOrs0) 
    (※7)阪田雅裕:大蔵省を経て、第61代内閣法制局長官などを歴任した。現在は弁護士。『「法の番人」内閣法制局の矜持』を出版しているほか、集団的自衛権についてたびたびメディアなどで発言している。
     IWJでも2013年から阪田氏の参加するシンポジウムなどについて中継しているほか、2013年9月18日には岩上安身がインタビューを行なった。同インタビューで阪田氏は、憲法解釈の変更が、時の政権の恣意的な判断で行われることを中心に、安倍政権の集団的自衛権についてのスタンスを批判した(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1MLvXRE)。
    ・2013/09/18 解釈改憲に理はない 安倍政権が進める集団的自衛権行使容認に元内閣法制局長官が警鐘 ~岩上安身による阪田雅裕・元内閣法制局長官インタビュー(【URL】http://bit.ly/1kqwpPh) 
    (※8)長谷部恭男:早稲田大学法学学術院教授。専門は公法学、憲法学。国際憲法学会(IACL)副会長、過去に、学習院大学教授、東京大学教授等を歴任してきた。「国民安保法制懇」のメンバー。著書に『憲法とは何か』(岩波新書)、『法とは何か』(河出書房新社)、『憲法と平和を問い直す』(ちくま新書)などがある。
     IWJでは、2015年6月26日に岩上安身によるインタビューを配信した。
     インタビューで長谷部氏は、安倍政権が推し進める安全保障関連法案を「違憲」としたうえで、外交・安全保障両方の観点から批判した(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1O4TY9G)。
    (※9)武力攻撃危機事態:2015年7月1日、維新の党は安全保障調査会を衆院議員会館で開き、安全保障関連法案の対案を修正した。修正案は「自国防衛」が法律の目的であることを明確にするよう求めた橋下徹最高顧問氏の主張を反映させた内容となっている(時事通信、2015年7月1日【URL】http://bit.ly/1PpxfZ8)。
    (※10)存立危機事態:2014年7月の閣議決定では、集団的自衛権行使の前提条件として新3要件が示された。存立危機事態はこのうちのひとつで、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」とされる(参照:コトバンク【URL】http://bit.ly/1QwD1aI)。
    (※11)2014年7月1日の閣議決定:第2次安倍内閣において、集団的自衛権を限定的に行使できるという、憲法解釈を変更する閣議決定がなされた。この閣議決定によれば、日本における集団的自衛権行使の要件が挙げられ、日本に対する武力攻撃または日本と密接な関係にある国に対する武力攻撃と、それによる国民への危険、これに加えて集団的自衛権行使以外に方法がない場合、必要最小限度の実力行使ができる。解釈変更の動機について安倍総理は「紛争中の外国から避難する邦人を乗せた米輸送艦を自衛隊が守れるようにする」と説明した。
     また、菅義偉内閣官房長官は「新三要件を満たせば、中東ペルシア湾のホルムズ海峡で機雷除去が可能だ」とし、「原油を輸送する重要な航路に機雷がまかれれば、国民生活にとって死活的な問題になる」と語った。
     さらに2014年7月14日の国会答弁で、安倍総理は「世界的な石油の供給不足が生じて国民生活に死活的な影響が生じ、わが国の存立が脅かされる事態は生じ得る」と語り、エネルギー問題での行使が含まれるかのような発言をしている。
     集団的自衛権の行使を容認した閣議決定の無効を求める裁判が起こされたが、2015年7月29日、最高裁判所は訴えを却下。行使を容認する政府解釈は、内閣法制局で1日しか審議されずに通過している(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1RPRNYx)。
    (※12)水島朝穂:早稲田大学法学学術院教授。専門は憲法学。リンク先のホームページの記事で現在の法改正案の問題について述べている。同記事で水島氏は、「7・1閣議決定」を受けた改正法案では、自衛隊法76条により防衛出動ができる場合として、「存立危機事態」を加えているが、改正法案では自衛隊法88条の改正をしておらず、現行の88条のままであり、76条1項の「存立危機事態」による防衛出動において88条1項の武力行使がどこまでできるかは、「政府の憲法解釈」によって決まることになっている、と解説した(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1MCfyTQ)(参考:水島朝穂ホームページ【URL】http://bit.ly/1U7Eum0)。
     IWJではこれまで、岩上安身による水島氏へのインタビューを3回にわたり配信している。
    ・2013/09/10 「憲法は守るものではなく守らせるもの」~岩上安身による水島朝穂教授インタビュー(【URL】http://bit.ly/1S3hHef) 
    ・2015/07/12 「自国が攻められたとき」という自衛権のハードルを下げ、戦争に突入した日本 水島朝穂・早大教授が岩上安身のインタビューで政府案・維新案を「違憲」と徹底批判!(【URL】http://bit.ly/1L5CI5b) 
    ・2016/02/13 岩上安身による水島朝穂・早稲田大学教授インタビュー(【URL】http://bit.ly/1QzRwX2) 
    (※13)自衛隊法88条:自衛隊は防衛出動時には自衛隊法88条に基づき、「わが国を防衛するため、必要な武力を行使」できる。一方、防衛出動以外の行動においては、自衛隊であっても、警察官職務執行法を準用した武器使用が認められるにとどまる。防衛出動以外の行動については、「軍服を着た警察官」としての行動であるのに対し、防衛出動は侵略行為への対処が目的であることによる(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1NsoUOf)。
    (※14)自衛隊法76条:自衛隊法第6章「自衛隊の行動」のうち第76条には、日本に対する外部からの武力攻撃が発生した事態、または武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至る事態に際し、日本を防衛する必要があると認める場合には、内閣総理大臣の命により、自衛隊の一部または全部が出動できることが規定されている。ただし、戦時国際法上の宣戦布告には該当せず、自衛権を行使することはできても、交戦権は認められない(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1NsoUOf)。
     
  • 【第246-249号】岩上安身のIWJ特報!パリ同時多発テロ事件で得したのは誰か? ~混乱続くシリア情勢と、アメリカ、ロシアの思惑 カレル・ヴァン・ウォルフレン氏インタビュー

    2016-05-22 15:34  
    244pt
    第246-249号
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
               岩上安身のIWJ特報!
          パリ同時多発テロ事件で得したのは誰か?
       ~混乱続くシリア情勢と、アメリカ、ロシアの思惑
          カレル・ヴァン・ウォルフレン氏インタビュー
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2016年2月26日、シリアのアサド政権と反体制派との間で長らく続いていた内戦について、停戦が発効した。今回の停戦は、アメリカとロシアが呼びかけたもので、政権側と反体制派の主要な勢力の双方が受け入れることで実現したものである。しかし、停戦発効から3日が経過した現在でも、シリアの北部アレッポなどでは、散発的な戦闘が続いているという。
     停戦が発効したといっても、シリア情勢は依然として予断を許さない状況が続いている。シリアとイラクで勢力の拡大を続けるIS(イスラム国)に関しては、停戦の対象に含まれておらず、米国をはじめとする有志国連合とロシアはISに対しては空爆を続けている。シリアからは、今も難民が戦闘を逃れて欧州各地に流入し続けている。
     昨年、2015年11月13日の夜に、パリで発生した同時多発テロ事件は、世界中に衝撃を与えた。127人が死亡したこの事件を受け、フランスのオランド大統領は「非常事態宣言」を発令。テロへの報復として米国が率いる有志国連合に参加し、IS(イスラム国)への空爆を強化した。極右政党「国民戦線」のマリーヌ・ルペン代表が、シリア難民をはじめとするイスラム教徒への排外主義的な発言を繰り返すに至っている。
     私が2015年11月17日にインタビューしたジャーナリストのカレル・ヴァン・ウォルフレン氏は、今回のパリでの同時多発テロ事件が「偽旗事件」である可能性を示唆した。事件発生直後の11月14日、自爆して死亡した容疑者の遺体から、シリア国籍のパスポートが見つかっている。2011年9月11日のアメリカ同時多発テロでも、さらには2015年1月7日の「シャルリ―・エブド事件」でも、現場からパスポートが見つかっている。テロリストがわざわざ、犯行の際にパスポートを身につけているだろうか? ターゲットとして狙っている国に対し、「報復」の名目で攻撃を仕掛けるために、事件を仕立てあげた、という可能性はないだろうか。
     「偽旗作戦」は、決して現実にはありえない妄想にひたる陰謀論者のファンタジーなどではなく、満州事変を引き起こした柳条湖事件、ベトナム戦争において米国が北爆を開始するきっかけとなったトンキン湾事件、いずれも、最初に「攻撃を受けた」と称して「報復」の乗り出した日本、アメリカが自作自演した「偽旗作戦」だった。歴史上、実例のある謀略の一典型である。
     現在、アメリカがターゲットとしているのが、シリアのアサド政権である。2013年8月21日にシリアの首都ダマスカスで化学兵器が使用された際、アメリカとフランスは一気にシリアへの軍事介入の姿勢を強め、それをロシアが巧みな外交交渉により、寸前のところでストップさせた。
     IS(イスラム国)を泳がせつつ、シリア国内の混乱を醸成し、アサド政権の打倒を目指すアメリカと、それを阻止しようとするロシア。停戦が合意されたといっても、シリアをめぐるアメリカとロシアの対立構図は温存されたままだ。
     そのような中で、日本は、安倍政権のもとで集団的自衛権行使容認にもとづく安全保障関連法案が「可決・成立」し、アメリカとともに戦争を遂行できる体制を着々と整えつつある。
     ウォルフレン氏は、著書『日本/権力構造の謎』(1990年)を発表するなど、政官財そしてマスコミによって形成される日本特有の権力構造に対して、鋭い分析を続けてきた。今回のインタビューでは、中東問題だけにとどまらず、安倍政権による「軍事国家化」や極端な右傾化、改憲による「緊急事態条項」創設の動きなどについて、詳しくお話をうかがった。詳細な注釈を付したので、ぜひ、最後までお読みいただければと思う。(岩上安身)


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    ◆都合よく実行犯のパスポートが見つかった3つのテロ事件~フランス・パリ同時多発テロが「偽旗」である可能性――テロで得をしたのは、アメリカ、フランス、そしてイスラエル◆
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    ▲カレル・ヴァン・ウォルフレン氏岩上安身(以下、岩上)「みなさん、こんにちは。ジャーナリストの岩上安身です。2015年11月13日、パリで大変痛ましい事件が起こりました。その直後、この問題をディスカッションするのに大変ふさわしいゲストをお迎えすることができました。カレル・ヴァン・ウォルフレンさんです」
    カレル・ヴァン・ウォルフレン氏(以下、ウォルフレン・敬称略)「またお目にかかれて光栄です」
    岩上「11月13日夜、 フランスのパリで同時多発テロ事件(*1)が発生し、少なくとも127人が死亡、約300人が負傷しました。犯行声明を出した『IS(*2)フランス州』によると、米国がイラクで継続している空爆の報復であるとしていますが、フランスはこのテロへの報復として、ISへの空爆を強化しました。この事件が起きてから、直ちに報復をするということで、フランスもアメリカも足並みをそろえています。まずこの事件の印象についてお聞かせください」
    ウォルフレン「第一に、最も重要なのは、現時点では誰がやったのか我々には分からないということです。第二に、このような恐るべき事件が起きた場合、ジャーナリストあるいはコメンテーターという立場として、この事件へ関心を抱いているのであれば、まず『偽旗作戦(*3)』の可能性を問うことから始めるべきでしょう。
     今回の事件にはさまざまな側面があります。恐るべき事件ですが、『偽旗作戦』を示唆するものがあります。 特にパスポートが見つかった(*4)と聞いたとき、すぐに今年1月のシャルリー・エブド襲撃事件(*5)のことを思いました。私はあれも『偽旗』だったと思っています。9.11でもマンハッタンの世界貿易センターの瓦礫の中からパスポートが見つかっています(*6)が、私は時々これは世界の誰かが発した、『事件が「偽旗」である、それを知るべきだ』というシグナルなのではないかとすら思います。誰かが『現実はここにある』と。
     もちろん間違っているかもしれませんが、そういうことも考えています。これをどう考えるべきか。このような事件で誰が得をするのかを問うべきです。もちろんイスラム国が犯人だとみなされているわけですが。
     しかし、今回の事件がイスラム国にとってどんな得になるというのでしょうか。何の得にもなりません。何もです! では誰が得をするのか。
     まず、フランス大統領は間違いないでしょう。それからイスラエル、米国もです。米国にはヨーロッパ諸国を自分のエージェントのように扱いたいという狙いがあるのだと思います。米国は好戦的なムードで、何かと戦いたいと熱望しています。
     NATO(*7)にとっての大きな利益もあります。NATO事務総長(*8)はすでに、フランスが求めるならば、全加盟国が戦闘でフランスを援助しなければならないという条項を発動させると述べました。得をするのはこうした国や機関だと思います」
    ▲パリ同時多発テロの事件現場で献花するアメリカのオバマ大統領とフランスのオランド大統領(出典:ウィキメディア・コモンズ)岩上「『偽旗作戦』だともう断定しますか。都合良くパスポートが見つかったことについてバカバカしいとお感じになっている?」
    ウォルフレン「『偽旗作戦』だと断定してはいません。まず問うべきことが『偽旗作戦の可能性』だということです。犯人が誰かは私には分かりません。私たちが予想もしないような誰かかもしれませんし、その可能性はあります。私は違うだろうと思っています。個人的には『偽旗作戦』だと思いますが、もちろん疑問は残っています。誰がやったのかを私たちは知りません。シャルリ・エブドの犯人も、9.11の犯人もわかっていません。容疑はいくつかありますが、それはまた別問題です」 
    岩上「誰が利益を得るかということを考えると、この事件は大変奇っ怪で、一般のフランス市民を殺すことで何のメリットを得るのだろうと考えると、本当にバカバカしいと思いますね」
    ウォルフレン「事態の推移を考えてみましょう。ヨーロッパでは難民が来る、シリアがどうなっているのか、市民は不安に駆られています。もちろん難民が生じる原因は米国です。米国はリビアにつぎ、シリアでも大混乱をもたらしました。難民はこの双方から来るのです。
     そういうわけで、戦争で人々は不安に駆られています。ウクライナでのある種の戦争、ロシアのウクライナ侵攻に対する経済制裁のことも含めてです。人々は政府の対応が正しいのか、進むべき道があっているのか、疑問を持ち始めていました。
     しかしパリで起こった事件のせいで、 急に、9.11事件直後の心理的状態に戻ってしまった。皆が敵に対する戦闘意欲に燃えている感じです。ヨーロッパと米国に再び支配関係が築き上げられたのです。またもや支配者層は疑惑を持たれず、非難されることもなくなりました」
    岩上「犯人は本当にISなのでしょうか? なぜ、フランスの諜報機関(*9)は、シャルリ・エブド事件に続き、犯行を防げなかったのか。あれだけ厳戒態勢をとっていたのに。なぜか9.11以降、シャルリ・エブド事件でもそうですが、犯人は死亡・射殺されてしまい、死人に口なしとなってしまう。しかも、どういうわけか、パスポートが都合よくみつかっている。この疑問には最初にお答えいただきました。もし犯人がISであるとして、犯行の動機は何なのか。これも、犯行の動機がおかしいとお答えをいただきました」

    ▲シャルリ・エブド襲撃事件後、”JE SUIS CHARLIE”(私はシャルリ)というフレーズが世界中に溢れた(出典:ウィキメディア・コモンズ)(*1)パリ同時多発テロ事件:2015年11月13日、フランスのパリ市街と郊外のサン=ドニ地区の商業施設において、イスラム国(別称ISIL、IS)の戦闘員と見られる複数のジハーディストのグループによる銃撃および爆発が同時多発的に発生した。
     事件発生時、サン=ドニにあるスタジアムスタッド・ド・フランスでは、男子サッカーのフランス対ドイツ戦が行われており、オランド大統領とドイツのシュタインマイアー外務大臣が観戦していたが、現地時間午後9時ごろ、同スタジアムの入り口付近や近隣のファストフード店で爆弾とみられる爆発音が3回鳴り、実行犯とみられる人物が自爆テロにより4人死亡したほか、1人が巻き込まれて死亡した。
     その後、午後9時30分ごろより、パリ10区と11区の料理店やバーなど4か所の飲食店で発砲事件が発生。犯人らはイーグルス・オブ・デス・メタルのコンサートが行われていたバタクラン劇場で観客に向けて銃を乱射した後、観客を人質として立てこもった。14日未明、フランス国家警察の特殊部隊が突入し、犯行グループ3人のうち1人を射殺。犯人グループのうち2人は自爆により死亡し、観客89人が死亡したほか、多数の負傷者が出た(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1PQkKV9)。
    (*2)IS:Islamic Stateの略。ISIL、ISIS、イスラム国とも呼ばれる。サラフィー・ジハード主義を標榜し、イラク、シリア周辺地域の国家を自称する武装組織(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1mUi2mK)。
     2015年1月には、後藤健二さんと湯川遥菜さんを拘束し、動画を公開。その後、2人を殺害した。IWJでは、ISの知られざる実相について、岩上安身のインタビューを多数配信している。
    ・2015/01/21 2人の邦人の命を救うため、イスラム国を挑発した張本人、安倍首相が「辞任」することを提案~岩上安身による元内閣官房副長官補・柳澤協二氏緊急インタビュー(【URL】http://bit.ly/1zu8Ebj)
    ・2015/01/24 衝突する米国発のグローバリゼーションとイスラム世界 「近代国民国家」から「グローバル・リヴァイアサン」へ ~岩上安身による桜美林大学教授・加藤朗氏インタビュー(【URL】http://bit.ly/1ovkEbE) 
    ・2015/01/25 「米軍がシーア派を使いスンニ派を虐殺。そのスンニ派から生まれたのがイスラム国」 ~岩上安身による志葉玲氏インタビュー/イラク戦争の傷あとから立ち上がった怪物・イスラム国の正体(【URL】http://bit.ly/1EL6o0I) 
    (*3)偽旗作戦:あたかも他の存在によって実施されているように見せかける、政府、法人、あるいはその他の団体が行う秘密作戦。敵になりすまして行動し、結果を敵になすりつける作戦のこと。 
     具体的には、満州事変の発端となった1931年9月18日の柳条湖事件、米軍がベトナム戦争に介入するきっかけとなった1964年8月2日のトンキン湾事件などがあげられる(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1TN5yrO)。
    (*4)パスポートが見つかった:パリ同時多発事件後の11月14日、仏検察当局は死亡した容疑者の遺体のそばから、シリア国籍のパスポート(旅券)が見つかったと発表。自爆した容疑者の遺体のそばから「1990年9月にシリアで生まれた人物の名前が書かれたシリア国籍のパスポートが見つかった」という。
     このパスポートは10月にギリシャのレロス島で登録された難民申請者のもので、この発見により、事件の実行犯あるいは共犯者は、内戦が続くシリアから逃れた人々に紛れ込んで欧州入りしていたという疑いが浮上している(AFPBB News、2015年11月15日【URL】http://bit.ly/1lr6Z3q)。
     この事件をきっかけとして、フランスの極右政党「国民戦線」代表のマリーヌ・ルペン代表を中心に、欧州では難民とイスラム教徒を排斥する声が高まった。
    (*5)シャルリ・エブド襲撃事件:2015年1月7日に発売された「シャルリ・エブド」に、イスラム過激派を挑発する風刺画が掲載。同日11時30分、「シャルリ・エブド」本社に覆面をした複数の武装した犯人が襲撃し、編集長と風刺漫画の担当者、コラム執筆者、警官など、12人を殺害。この事件をきっかけに報道と表現の自由をめぐる議論が起こった。
     事件以降、フランス各地では「報復」ともみられる、嫌がらせや暴力・発砲事件が数十件発生し、イスラム教徒やその関連施設などが標的となった。また、テロ事件約1時間後、フランス人ジャーナリストのジョアシャン・ロンシャンが、Twitter上に、「Je suis Charlie(私はシャルリー)」というスローガンを抱えた画像を掲載。攻撃を非難し、犠牲者との連帯を示すキャンペーンが、自然発生的に始まった。
     シャルリー・エブドは、これ以前にもイスラム教の預言者ムハンマド・イブン=アブドゥッラーフを題材にした風刺画を度々掲載して、イスラム教徒の反発を招いており、世界各国で抗議デモに発展していた。2006年のムハンマド風刺画掲載後、シャルリー・エブド関係者は絶えず『殺害する』と脅迫され、警察の警護対象になっており、2011年には同紙編集部に火炎瓶が投げ込まれて全焼する事件が起きていた(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1RcHNfQ)(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1ZUCVNj)。
     日が経って振り返ってみると、「シャルリ・エブド」による執拗な挑発と、それに対するイスラム教徒によるテロにより、フランスの中でイスラム移民等に対する反発が生まれつつあった。
    (*6)9.11でもマンハッタンの世界貿易センターの瓦礫の中からパスポートが見つかっています:パリ同時多発テロ後、アメリカの政治家ジャック・リンドブラードは、9.11、シャルリー・エブドの事件で、現場にパスポートが見つかった不自然さを指摘したうえで、「偽旗事件」の可能性を示唆した。リンブラードは「この殺戮はテロリストによるものではなく、アメリカとモサドがイスラエルの現首相の権力を維持する目的で行ったと考えている」としている(Independent、2015年1月15日【URL】http://ind.pn/23cjhyT)。
    (*7)NATO:北大西洋条約に基づき、アメリカ合衆国を中心とした北アメリカ(=アメリカ合衆国とカナダ)およびヨーロッパ諸国によって結成された軍事同盟。北大西洋条約機構(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1JTE0NP)。
    (*8)NATO事務総長のパリ同時多発テロ後のコメント:パリ同時多発テロを受け、NATO事務総長のストルテンベルグ氏は、「結束してテロと戦う。テロでは民主主義は倒せない」と表明している(時事通信、2015年11月14日【URL】http://bit.ly/1Wr0cEm)。
     NATOも、中東に軍事介入するために、「テロ」という「敵」を必要としていた。
    (*9)フランスの諜報機関:フランスには国内治安総局と呼ばれるフランス内務省直下の組織があり、フランス国内を対象としたテロリズムやサイバー犯罪などに対抗する業務および防諜を担当している(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1JCVXU5)。
     
  • 【第241-245号】岩上安身のIWJ特報!社会全体が「山谷」化している現代日本 ~山谷争議団事件と新宿西口バス放火事件から、差別と搾取の構造を問う 安田好弘弁護士インタビュー

    2016-05-22 14:39  
    244pt

    第241-245号
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                                岩上安身のIWJ特報!
                   社会全体が「山谷」化している現代日本
     ~山谷争議団事件と新宿西口バス放火事件から、差別と搾取の構造を問う
                            安田好弘弁護士インタビュー
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     安田氏との接点は、昨年の2月21日、北海道の帯広で開かれた石川知裕元衆議院議員(小沢一郎氏の元公設第一秘書)の、陸山会事件の「裁判報告会」だった。石川氏から司会を依頼された私は、石川氏の弁護をつとめた安田好弘氏の基調報告を聞きながら、パネルディスカッションをさばいた。
     安田氏の印象は強烈だった。◆衝撃的だった陸山会事件「裁判報告会」での安田好弘氏との出会い――突飛でも、理屈っぽくもなく、万人にわかる言葉で丁寧な口調で説いてゆく姿に感銘を受ける 山谷争議団事件、新宿西口バス放火事件、宇都宮病院事件、ドバイ日航機ハイジャック事件、あさま山荘事件、オウム真理教事件、和歌山カレー事件、光市母子殺害事件、陸山会事件・・・。
     この40年、安田好弘弁護士は、時代の転換点となった数々の重大事件の弁護人を引き受けてきた。2008年4月には『死刑弁護人~生きるという権利』(講談社+@文庫)を刊行し、弁護士としてのこれまでの仕事を振り返っている。

     一度も会ったことがないのに、私の中には、すでに安田弁護士のイメージが積み上げられていた。個性的で、偏屈、かたくな、厳格で独善的、偏狭・・・といったイメージであり、言うまでもなくそれは、マスコミを通じて形成されてきたものだ。
     ところが実際にお会いした安田好弘弁護士は、温厚で、微笑みを絶やさず、人当たりもやわらかい。会う前に抱いていたイメージと、まったく違う人格が、わかりづらい陸山会事件の真相を、淡々と解き明かしてゆく。その説明の仕方も、決して突飛でも理屈っぽくもなく、万人にわかる言葉で、しかも丁寧な口調で説いてゆく。
     まいった、と思った。マスメディアは平然と、情報操作や、人格のイメージ操作を行う。決してそれらをうのみにしてはいけないと、私自身、常に戒め、世間にもメディアの作る虚像にだまされないようにと、たびたび呼びかけてきた。
     だが、安田弁護士に関しては、私はうかつにも、流布された虚像をさして疑うことなく、受け入れてきたのである。安田氏の実像に驚くと同時に、私は自分の不明も大いに恥じた。
     1947年生まれの安田氏は、学生時代には全共闘運動に傾倒し、この世代に共通の「革命幻想」を持っていたという。弁護士となってからは、学生時代への痛切な思いから、政治的な問題には一切接触しないと決めていた。
     だが、ほとんど仕事がないなかで、話が舞い込んできたのが山谷の労働争議だったという。
     1980年代、山谷では建設業者や暴力団、警察までが結びついた「搾取」の構造に抵抗しようと、日雇い労働者たちが「山谷争議団」を結成し、激しい団体交渉を繰り返していた。安田氏は山谷の労働者たちが置かれている不条理な現実を知るにつれ、この問題に次第に深く関わっていくようになる。
     インタビューの後半では1980年8月に起きた「新宿西口バス放火事件」に話が及ぶ。犠牲者6名、重軽傷者22名を出し、豊かさを達成した戦後日本で、公然と行われた無差別殺人事件の原点とも言われたこの事件は、当初警察やマスメディアによって、加害者による「鬱憤晴らし」による犯行とされてきた。しかし安田氏は、加害者Mの生い立ちや事件に至るまでの詳細な過程を追うなかで、先行していた事件のイメージとは異なる「別の真相」をつかんでいく。
     安田氏は、数多くの事件を担当してきた実感として、事件に巻き込まれる人間たちの多くが「弱い人」だったと語る。「弱い人」とは、経済的な条件だけでなく、人間的なネットワークや、精神的な愛情、教育など、当人を支えるはずの様々な条件に恵まれずに生きてきた者のことだ。「弱い人」であるがゆえに、「事件」を引き寄せてしまうのだと安田氏は言う。
     インタビューの中で「なぜ、死刑囚の弁護人をされるのか」と問うと、安田氏は「ただ頼まれただけの話です」と、素っ気なく答えている。だが、これだけの重大事件を数々引き受けて来られたのには、弁護士としての特有の視座や考え方、あるいは安田氏自身に、そうした時代を象徴する事件を呼び込んでしまう磁力のような何かが備わっているのではないか。
     安田好弘氏に、お話をじっくりとうかがいたい、と思った。安田氏が手がけた事件についての、安田氏の語りを聞きながら、安田氏が向き合ってきた「時代」をつかまえ直してみたいと思ったのだ。我々がマスメディアの作り出す偽りのイメージに目をくもらされてきたように、我々が「大事件」として記憶している事件の数々が、安田氏の視座からは、まったく別の相貌を見せるかもしれない。
     安田氏はほとんどインタビューを受けることがない、徹底したマスコミ嫌いで知られており、これまで大手メディアやテレビの取材はほとんど断ってきたという。しかし、ありがたいことに、このたびは、安田氏からロングインタビューの快諾をいただけた。貴重なインタビューである。その点は、ぜひとも強調しておきたい。(岩上安身)
    ===================================
    ◆山谷争議団事件、新宿西口バス放火事件、あさま山荘事件、オウム真理教事件、光市母子殺害事件、和歌山カレー事件・・・この40年間の日本を形作ってきた数々の重大事件の弁護人を引き受けてきた安田氏◆
    ===================================

    ▲安田好弘弁護士

    岩上安身(以下、岩上)「皆さん、こんにちは。ジャーナリストの岩上安身です。本日は、『死刑弁護人~生きるという権利』(講談社+α文庫、2008年)をお書きになった、安田好弘弁護士にお話をうかがいます。これは、文庫にしては大変分厚い本です。
     安田先生は、なかなかメディアの取材を受けてくださらない方として有名で、これまでも我々も何度かお願いしていたんですけれども、けんもほろろでした。しかし今年の2月21日に、北海道の石川知裕さん(※1)の裁判報告会(※2)でご一緒して、初めてお話ししたら、大変温和な方で、そこで取材を申し込んだところ、ご快諾いただいたのです。ところがその日の夜、私が倒れてしまいまして(※3)、今日までインタビューが実現しませんでした。
     私にとって、本当に待望のインタビューです。ご紹介します。安田好弘弁護士です。よろしくお願いします」
    安田好弘氏(以下、敬称略)「こんにちは。よろしくお願いいたします」
    岩上「先生と呼ぶなと言われているのですが、ついつい言ってしまうかもしれません」
    安田「まあ、それは、極力少なくしていただければ結構です」
    岩上「本当に、2月にはお世話になりました。どうもありがとうございました」
    安田「いえ。こちらこそ」
    岩上「あんなこと(心臓の冠動脈の攣縮発作に見舞われ、救急搬送されたこと)になってしまいまして、その後、ご連絡もろくろくせず、大変失礼いたしました」
    安田「いや、大変楽しい集会だったですね。たくさんの人が見えて」
    岩上「ああいう政治家や後援者の集会の場に行くのは初めてだとおっしゃっていましたね」
    安田「ええ。初めてですね」
    岩上「今まで弁護してきた中で、政治家は少なかったということですか」
    安田「そうですね」
    岩上「ご著書の中で、死刑囚、社会の底辺で苦しんでいる人など、弁護士なら誰もが担当を嫌がるような人の弁護を引き受けてきたとお書きになっていますけれども、いったいなぜですか」
    安田「いや、たまたまです。政治家の弁護が少なかったのも、たまたま依頼されなかっただけの話。それだけのことです」
    岩上「そうですか」
    安田「たまたま依頼されて、受けてきた流れの一つだったということですね」
    岩上「なるほど。手がけられた事件の数々は、振り返ってみると、私が知らないものもずいぶんありましたけれども、山谷争議団事件(※4)、新宿クリスマスツリー爆弾事件(※5)、仙台米軍通信施設爆破事件(※6)、この辺は、新左翼のテロ事件と言っていいでしょうか。
     そして、新宿西口バス放火事件(※7)も大変大きな事件で、皆さんの注目を集めました。北海道庁爆破事件(※8)、ドバイ日航機ハイジャック事件(※9)、ダッカ日航機ハイジャック事件(※10)、山岳ベース事件(※11)、この辺は連合赤軍ですよね」
    安田「はい」
    岩上「あさま山荘事件(※12)、そしてオウム真理教事件(※13)、和歌山カレー事件(※14)、耐震強度偽装事件(※15)、光市母子殺害事件(※16)、そして、陸山会事件(※17)。私は、帯広の裁判報告会で、陸山会事件についての安田さんのお話を聞いて、これはやはり、安田さんの視座からの話を聞かないと真相がわからないと思いまして、ぜひお話を聞かせてくださいと申し上げていたんですけれども、ご著書を拝読して、これだけの事件が並んでいるのを見て、陸山会事件だけでなく上から順番に話を聞いていきたいと思いました」
    安田「ああ、そうですか。ほとんど忘れていますけれどもね」
    岩上「安田先生は、ご自身のことは語りたくない、自己宣伝などしたくないとおっしゃいますけれども、これは皆、時代を画した、時代を彩った事件です。この40年間の日本を形作ってきた事件と言ってもいいくらい、重要事件が並んでいて、安田好弘という人の視座を借りてものを見ると、マスメディアを通じて、あるいは政府発表や裁判所の決定を通じて形作られてきたイメージとは、全然違って見えてくるんですね。それをぜひお聞きしたいと思っています。
     安田先生個人にも興味はあるんですけれども、それは直接おたずねしても語っていただけそうもないので、先生の視座で、これらの事件を語っていただければと思います」
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    (※1)石川知裕:1973年北海道足寄町生まれ。早稲田大商学部卒。1996年2月から2005年7月まで小沢一郎秘書。
     同年衆院選で民主党公認で立候補し、中川昭一氏らを相手に落選するが、2007年3月に繰り上げ初当選する。
     2010年1月、政治資金規正法違反容疑で逮捕され、同年2月に起訴、民主党を離党する。2011年9月、執行猶予つきの一審有罪判決。2012年1月、鈴木宗男氏らとともに新党大地・真民主を立ち上げる。2013年3月、控訴棄却され、上告。同年5月、議員辞職。
     2014年9月30日付で最高裁判所は石川の上告を棄却し、禁錮2年執行猶予3年が確定する。15年4月30日付で民主党に復党(参照 wikipedia【URL】 http://bit.ly/1PJ1gTU )。
    (※2)裁判報告会:2015年2月21日、北海道帯広市のとかち館にて、石川ともひろの裁判を支援する会の主催による「石川知裕前衆議院議員 裁判報告会」が開催された。前衆議院議員の石川知裕氏と、石川氏の弁護を担当した安田好弘弁護士、河合匡秀弁護士をゲストに迎え、IWJ代表の岩上安身がコーディネーターを務めて、陸山会事件を振り返った。
     IWJではこの裁判報告会を動画配信している。こちらもご参照ください。(IWJ、2015月2月21日 【北海道】「石川さん、検察に対して『ツケを返せ!』と言ってくれ」 ──陸山会事件を振り返る 石川知裕前衆議院議員の裁判報告会【URL】 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/234574 )
    (※3)私が倒れてしまいまして:2015年2月21日夜10時半頃、北海道帯広市で開催された「石川知裕前衆議院議員 裁判報告会」での仕事を終えてホテルに戻った岩上は、激しい呼吸困難に襲われ、救急搬送された。「冠攣縮性狭心症(かんれんしゅくせいきょうしんしょう)」の診断を受け、緊急入院となった。詳しいいきさつは、以下のURLを参照のこと(http://iwj.co.jp/wj/open/archives/239339)。
    (※4)山谷争議団事件:1981年10月、日雇い労働者を斡旋して賃金をピンハネする「搾取」に対抗するため「山谷争議団(全国日雇労働者組合協議会山谷支部山谷争議団)」が結成された。争議団は「暴力団手配師の追放」「労働者の待遇改善」「労働争議解決」を主に訴えていた。
     1983年11月3日、山谷に利権を持つ国粋会金町一家の傘下組織、暴力団・西戸組皇誠会と争議団が衝突。乱闘となり、7名の逮捕者を出した。
     また1984年には、山谷の闘争に関わっていた佐藤満夫氏が映画のシナリオを描き、撮影を開始するが、労働者の生活に暴力団が介在していることを描いたことから、同年12月22日、暴力団組員により刺殺された。
     さらに、争議団の指導的立場にあり、映画製作の跡を継いだ山岡強一氏も1986年1月13日、暴力団組員の凶弾に倒れた(参照:Wikipedia【URL】 http://bit.ly/1R6dQw0 )。
    (※5)新宿クリスマスツリー爆弾事件:1971年12月24日、東京都新宿区新宿三丁目の警視庁四谷警察署追分派出所付近にあったクリスマスツリーに偽装された時限爆弾が爆発。警察官2人と通行人7人が重軽傷を負った。
     その後、新左翼とされる黒ヘルグループのリーダー・鎌田俊彦らによる犯行と判明。裁判では、鎌田に無期懲役、その他の共犯者に懲役10年から懲役20年の判決が言い渡された(参照 wikipedia【URL】 http://bit.ly/1LuXrtU )。
    (※6)仙台米軍通信施設爆破事件:1971年11月、米軍仙台国見通信所施設の一部が爆破。負傷者はなし。実行犯の鎌田俊彦は、新宿クリスマスツリー爆弾事件(1971年12月)の罪状と合わせ、無期懲役の判決を受ける。
    (※7)新宿西口バス放火事件:1980年8月19日の夜9時すぎ。新宿駅の西口バスターミナルで、京王帝都バスの後部乗車口から、中年男性が火のついた新聞紙とガソリンが入ったバケツを投げ込んだ。約30人の乗客のうち、6人が死亡、14人が重軽傷を負う。
     現行犯逮捕されたM氏(当時38歳)は北九州市で5人兄弟の末っ子として生まれたが、母を亡くし、父は定職がなく、小学5年生ごろから登校していなかった。農家手伝いや建設作業員として働き、1972年に結婚するが長男誕生の翌年離婚。子供を児童施設に預けて仕送りをしながら全国を転々として現場作業員として働いていた。
     判決は「心身耗弱」のためとして無期懲役となった。1997年、千葉刑務所で自死する(参照:本の話WEB 対談「杉原美津子×入江杏 喪失から甦生へ――『新宿西口バス放火事件』と『世田谷一家殺害事件』を語り合う」2014年8月18日【URL】 http://bit.ly/1I5zWg7 )。
    (※8)北海道庁爆破事件:1976年3月2日、北海道庁1階ロビーで消火器爆弾が爆発。同日、札幌市営地下鉄のコインロッカーから、「東アジア反日武装戦線」名の犯行声明文がみつかった。道警は大森勝久氏を殺人容疑などで逮捕したほか、前年7月に起きた道警爆破事件の容疑者としても逮捕した。札幌地検は、道警爆破は証拠不十分で処分保留とし、道庁爆破事件だけで起訴。
     大森氏は公判では無罪を主張したが、94年に最高裁で死刑判決が確定した。再審請求が2002年7月に出されたが、札幌地裁は2007年3月に棄却している(参照 コトバンク「道庁爆破事件」【URL】 http://bit.ly/1N3he4t )。
    (※9)ドバイ日航機ハイジャック事件:1973年7月20日、テルアビブ空港乱射事件に対する関与等で国際指名手配を受け逃亡していた日本赤軍の丸岡修らとパレスチナ解放人民戦線(PFLP)のメンバー4名という混成部隊が、日本航空機をハイジャックした。ハイジャック犯らはリビアのベンガジ空港へ向かい、乗員乗客141名を解放した後、機体を爆破し、投降した。
     逃亡を続けた丸岡は1987年に東京で潜伏していたところを逮捕され、無期懲役の判決を受けた。服役中の2011年5月28日、八王子医療刑務所にて病死(参照:wikipedia【URL】 http://bit.ly/1PJeVdI )。
    (※10)ダッカ日航機ハイジャック事件:1977年9月28日、フランスのパリ、シャルル・ド・ゴール国際空港発羽田空港行きの日本航空機が、日本赤軍グループ5名によりハイジャックされた。
     同機はバングラデシュのダッカ国際空港に強行着陸し、犯人グループは人質の身代金として600万ドルと、9名の囚人の釈放を要求した。
     日本政府は10月1日に福田赳夫首相が「人命は地球より重い」と述べて、身代金の支払いと、超法規的措置としてメンバーなどの引き渡しを決断。身代金と、釈放に応じたメンバーなどをダッカへ輸送した。
     10月2日、人質との交換が行われ、乗員乗客のうち118名が解放された。10月3日、残りの人質を乗せたままハイジャック機は離陸、クウェートとシリアのダマスカスを経て人質17名を解放、その後アルジェリアのダル・エル・ペイダ空港に着陸し、同国当局の管理下に置かれた。この時点で残りの乗客乗員も全員解放され、事件は終結した(参照:wikipedia【URL】 http://bit.ly/1X83TTs )。
    (※11)山岳ベース事件:連合赤軍の母体の一つである革命左派は、テロを行ったメンバーの多くが指名手配されるなどして都市部で自由に行動ができなくなっていた。そこで、警察の目の届かない山岳地帯に軍事訓練やテロ作戦のための拠点を設置し、これを「山岳ベース」と呼称した。
     また連合赤軍のもう一つの母体である赤軍派も、都内を拠点としつつ山岳ベースの設置を目指すようになった。
     1971年に両派が合流して結成された連合赤軍は、同年12月初頭から指導部会議において「新党」の結成を宣言し、山岳ベースに集合することとなった。そこでは仲間内で相手の人格にまで踏み込んだ猛烈な思想点検・討論を行うようになり、その末に「総括」と称したリンチを行い、メンバー29人中、12名を殺害した(参照:wikipedia【URL】 http://bit.ly/1OFl5L3 )。
    (※12)あさま山荘事件:山岳ベース事件の残党である連合赤軍の5名が、1972年2月19日から2月28日にかけて浅間山荘の管理人の妻を人質に長野県軽井沢町の別荘「あさま山荘」に立てこもった事件。
     山荘を包囲した警視庁機動隊と長野県警察機動隊が人質救出作戦を行うが難航し、死者3名、重軽傷者27名を出した。10日目の2月28日に部隊が強行突入し、人質を無事救出、犯人5名は全員逮捕された。
    (※13)オウム真理教事件:麻原彰晃を教祖とするオウム真理教が組織的に起こしたとされる一連の事件。
     1995年3月20日東京で11人の死者と約5500人の重軽症者をだす地下鉄サリン事件が発生、同22日教団の強制捜査が開始される。地下鉄サリン事件は公証役場の仮谷清志事務長拉致事件(1995)の強制捜査を予知した教団が、その捜査攪乱をねらって起こしたとされ、麻原は同年5月16日逮捕された。
     1989年の坂本堤弁護士一家失踪事件、1994年の松本サリン事件をはじめ、VXガス殺人事件、教団内リンチ殺人事件、警察庁長官襲撃事件や数々の拉致監禁事件にも教団の関与が問題となった(参照:コトバンク 世界大百科事典 第2版 【URL】 http://bit.ly/1HlEFdk )。
    (※14)和歌山カレー事件:1998年7月25日に園部地区で行われた夏祭りで、カレーを食べた67人が腹痛や吐き気などを訴えて病院に搬送され、4人が死亡した。
     和歌山県警は吐瀉物を検査し、青酸の反応が出たことから青酸中毒によるものと判断。しかし、症状が青酸中毒と合致しないという指摘を受け、警察庁の科学警察研究所が改めて調査して亜ヒ酸の混入が判明した。
     1998年10月4日、知人男性に対する殺人未遂と保険金詐欺の容疑で主婦・林眞須美が逮捕された。12月9日には、カレーへの亜ヒ酸の混入による殺人と殺人未遂の容疑で再逮捕された。
     林被告は容疑を全面否認したまま裁判に臨み、上告審では弁護側が「地域住民に対して無差別殺人を行う動機は全くない」と主張。それに対し、最高裁は判決で「動機が解明されていないことは、被告が犯人であるとの認定を左右するものではない」として、動機を解明することにこだわる必要がないという姿勢を示した。
     第一審・控訴審の大阪高裁において共に死刑判決。林被告は上告したが、2009年4月21日に最高裁判所が上告を棄却。判決訂正も5月18日付で棄却したため死刑が確定した(参照 wikipedia 【URL】 http://bit.ly/1P7Uzeb )。
    (※15)耐震強度偽装事件:2005年11月に国交省が、姉歯秀痔元1級建築士(建築基準法違反などの罪で懲役5年の判決が確定)が担当したホテルやマンションの耐震強度が不足していると発表したことで発覚化した。
     姉歯元建築士による偽装物件は計99件で、うち42件は自治体が建築確認を担当していた。建物の所有者らは、使用禁止や建て替えなどを余儀なくされたのは、偽造を見逃した自治体にも責任があると追及。愛知県や群馬県、京都府では、損害賠償を求める訴訟が起きた。
     07年6月には、耐震偽装の再発防止を狙った改正建築基準法が施行されている(参照:コトバンク 【URL】 http://bit.ly/1R6cgtT )。
    (※16)光市母子殺害事件:1999年4月14日に山口県光市で発生した少年犯罪事件。当時18歳1か月の少年により主婦が殺害後屍姦され、その娘の乳児も殺害された上財布が盗まれた。
     少年は強姦致死罪容疑・殺人罪容疑・窃盗罪容疑の罪状で裁判となり、死刑が確定した。現在再審請求中である(参照:wikipedia【URL】 http://bit.ly/1T2rYEO )。
    (※17)陸山会事件:2004年10月に陸山会が東京都世田谷区の土地を購入した際、小沢一郎氏が出した4億円の経理処理をめぐり、04、05、07年の政治資金収支報告書にうその記載をしたとされる事件。
     東京地検特捜部は2010年、石川議員ら元秘書3人を政治資金規正法違反容疑で逮捕・起訴し、小沢氏は不起訴(嫌疑不十分)とした。小沢氏はその後、検察審査会による「起訴すべきだ」という2度の議決を受け、同法違反の罪で強制起訴されたが、一、二審とも無罪となり、確定した(コトバンク【URL】 http://bit.ly/1MBI9aK )。
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    ◆「メディア嫌い」のわけ――「やはりメディアは、売らんかなの商売ですから、できるだけ面白おかしく、あるいは誇張して、強調して、デフォルメされたものが伝わっていくだろうと思う」「僕らは裁判所に向かって、あるいは検察官に向かって、あるいは警察に向かって仕事をしている」◆
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