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【第152-154号】岩上安身のIWJ特報!ウクライナで何が起こっているのか~米国の思惑とロシアの思惑 ロシアNIS経済研究所・服部倫卓氏インタビュー
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【第152-154号】岩上安身のIWJ特報!ウクライナで何が起こっているのか~米国の思惑とロシアの思惑 ロシアNIS経済研究所・服部倫卓氏インタビュー

2014-06-12 15:40
    第152・153・154号
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               岩上安身のIWJ特報
     ウクライナで何が起こっているのか~米国の思惑とロシアの思惑
               ロシアNIS経済研究所・服部倫卓氏インタビュー
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     5月25日、ウクライナで大統領選挙が行われた。当選したのはペトロ・ポロシェンコ氏。「チョコレート王」として知られる富豪である。新しい大統領が選ばれたことによって、ウクライナの情勢は落ち着いていくのかとも思われたが、雲行きはどうも怪しい。

     ロシアへの侵入が行われたクリミアの「奪還」を、本気かどうかはともかく公表している。実際に武力をもってクリミアの「奪還」を「実行」しようとしたら、間違いなくロシアとウクライナの間で戦争が頻発し、他国も巻き込まれていくだろう。大きな嵐の予感がぬぐえない。

     この半年をふり返ってみよう。

     ヤヌコビッチ元大統領がEUとの連合協定の締結を見送ったことをきっかけとして、昨年11月から始まったウクライナの首都キエフでの反政府デモは、今年2月になって武力闘争へと発展し、とうとうヤヌコビッチ政権打倒へと至った。

     日本では大雪に見舞われ、山梨県を筆頭に東日本大震災で大雪害が起きていた時期である。ロシアのソチで冬季五輪が開催されていた時期であった。週末、五輪観戦に夢中になっていた安倍総理が、雪害対策に乗り出さず、高級天ぷらを食べていて批判された時期でもあった。

     同じ頃、ロシアのプーチン大統領は、ソチ五輪のホスト国の元首として身動きがとれず、キエフの動きに素早い反応ができなかった。そういうタイミングでの「政権転覆」だった。

     キエフの独立広場での運動によって、暫定政権が樹立されたが、同時に、親欧米の路線に反発する親ロシア派の人々の動きも活発になった。そのひとつの現れが、3月に住民投票を経て行われたクリミア自治共和国とセヴァストーポリ特別市のロシア編入である。

     4月になると、ウクライナの東部では、親ロシア派住民が市庁舎などの建物を占拠し、それを鎮圧しようとするウクライナ軍との闘いが繰り広げられた。

     情勢がますます緊迫していく中で、5月2日、ウクライナ南部のオデッサでは大虐殺事件が起こった。親ロシア派住民が立てこもった建物が放火され、少なくとも、40人以上の市民が死亡したのである。犠牲者の中には、女性も含まれていた。放火は右派勢力によるものとみられているが、右派勢力からはひとりの逮捕者も出ていない。法治システムが破綻していることを端的に示す事件である。

     5月25日の大統領選後も事実上の「内戦」状態が続き、26日にはドネツク空港を占拠した親ロシア派勢力に対してウクライナ軍が攻撃し、40名以上が死亡した。ウクライナは東西で分裂状態が続き、ひとつの国家として機能していくことが危ぶまれている。

     このウクライナ危機は、日本にとって対岸の火事ではありえない。

     安倍総理は5月15日、私的諮問機関「安保法制懇(安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会)」からの報告書提出を受け、記者会見を行い、解釈改憲による集団的自衛権行使容認に向け、公明党との間で与党協議を開始することを表明した。

     公明党との与党協議は、6月10日現在のところ、難航しているようにみえる。閣議決定の文言に「集団的」の文言を入れることに難色を示し、連立からの離脱をもちらつかせる公明党に対し、安倍総理と自民党の高村正彦副総裁は、あくまで強気の姿勢だ。6月10日、安倍総理は、閣議決定の文案に「集団的自衛権」と明記する意向を高村副総裁に伝え、今国会の会期中、6月20日(金)に閣議決定する考えを示した。あと10日である。

    ※「集団的」明記を指示=安倍首相、20日閣議決定目指す
    (時事通信、6月10日【URL】 http://bit.ly/1ijFhye

     公明党の抵抗がどこまで続くかわからない。自民党は公明党が連立を解消しても、衆参ともに単独で過半数を占めている。さらに、新たなパートナー候補として、日本維新の会を「分割」した石原慎太郎前共同代表の率いる石原新党の合流も取り沙汰されており、自民党が折れて妥協する可能性はほとんどない。

     加えて、「決定的」ともいえる報道が、同じく6月10日に流れた。”憲法の番人”として、憲法の解釈を司る内閣法制局が、これまでの解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定の原案を、既に了承していると共同通信が伝えたのである。公明党が踏ん張ってこれたのは、内閣法制局の憲法解釈があってのこと。「公明党は、与党協議における後ろ盾を失ったかたちだ」と共同は論じた。

     事実であれば、日本政府は歴史的な分岐点を踏み越えたことになる。

    ※法制局、閣議決定原案を了承 集団的自衛権容認へ転換
    (東京新聞、6月10日【URL】 http://bit.ly/1oHHXv6

     ここまでゴリ押しして安倍総理が、解釈改憲による集団的自衛権の行使容認を急ぐ理由は何なのか。ひとつには、安倍総理自身が国会でも答弁しているように、年末に改定される日米ガイドラインに間に合わせるためであると考えられるが、もうひとつ、隠された理由として、NATOの軍事行動に自衛隊を参加させようとの思惑があるのではないか。

     安倍政権は、5月9日、集団的自衛権の行使の対象国は、同盟国である米国に限らないことを明らかにした。

    ※集団的自衛権、行使対象国絞らず 米国以外も、政府方針
    (朝日新聞、5月9日【URL】 http://bit.ly/1u1uYDX

     安倍総理は4月末から5月上旬にかけて行われた欧州歴訪の際、ベルギーの首都ブリュッセルのNATO本部を訪れ、ラスムセン事務総長と会談した。安倍総理はNATO本部での演説で、「積極的平和主義」の名目のもと、解釈改憲による集団的自衛権行使容認の必要性を強調した。

    ※安倍首相、NATOとの新連携協定に調印
    (ロイター、5月7日【URL】 http://bit.ly/1mAIPid

     そのNATOは、ウクライナ東部の混乱をめぐり、ロシアに対して強硬な姿勢を崩していない。ウクライナはNATOの加盟国ではないが、6月3日には、国防相理事会を開き、ポロシェンコ政権の軍事能力向上に向けた包括的な支援を行うことで合意した。

     さらにVoice of Russiaが伝えるところによると、ウクライナ近郊で、米国、英国、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、カナダ、ラトビア、リトアニア、エストニアの約5000人の兵士が参加する、バルト三国史上最大のNATOの軍事演習が始まったという。

    ※ウクライナ近郊でバルト三国史上最大のNATOの演習始まる
    (Voice of Russia、6月10日【URL】 http://bit.ly/1u0XxBF

     ウクライナをめぐり、ロシアとNATOは、まさに一触即発の状態であると言える。集団的自衛権の行使を容認し、日本を「戦争のできる国」に作り変えるということは、万が一、ウクライナを主戦場とする戦争が勃発した場合、日本の自衛隊も参戦する可能性があることを意味する。

     その意味で、ウクライナ情勢は、日本にとって対岸の火事であるどころか、今まさにそこに迫った、緊急事態なのである。

     親ロシアと親欧米のあいだで揺れ続けるウクライナだが、この背景には破綻寸前の経済という問題があり、さらには多民族国家ウクライナの成り立ちという歴史的背景がある。こうした背景をふまえて、これからウクライナがどうなっていくのか。今号の「IWJ特報!」では、3月20日に行った、ロシアNIS貿易会・ロシアNIS経済研究所の服部倫卓氏のインタビュー全文をお届けする。

    【インタビューのポイント】

    ・ウクライナの経済的困窮ーーリーマンショック以降急激に落ち込んでいたウクライナ経済。国外からの支援を必要としており、EUに頼るのかロシアに頼るのかでウクライナ国内は揺れていた。経済破綻の理由と経緯はどのようなものだったのか。

    ・歴史的背景ーーウクライナは多民族国家であり、国内で文化圏・言語圏が分かれている。ソ連からの独立後、ひとつの国家としてのアイデンティティを確立させてきたが、今後どうなっていくのか。

    ・極右武装勢力の台頭ーーキエフの反政府デモで台頭してきた極右武装勢力。現在もウクライナ東部の親ロシア派勢力の鎮圧のために活動を続けている。この極右武装勢力はどのような影響を及ぼすのか。

    ・ロシアとアメリカの対立ーーロシアにとって要所であるクリミア、セヴァストーポリがロシアに編入された。ウクライナは、西側のNATO諸国とロシアとに挟まれている。ロシアの思惑と、アメリカの思惑はウクライナにどのような影響を与えるのか。

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    ◆歴史的に主権国家としての歴史性が乏しい「新興独立諸国」としてのウクライナ◆
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    ▲服部倫卓氏

     
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