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  • 【第315-321号】岩上安身のIWJ特報!国家戦略特区で国民の財産を私物化!? 加計学園による獣医学部新設問題の真相に迫る 日本獣医師会顧問・北村直人氏インタビュー

    2017-07-02 07:00  
    244pt
     学校法人・加計学園が運営する岡山理科大学による愛媛県今治市での獣医学部新設問題が、ここにきて急展開を迎えている。
     5月17日、朝日新聞が「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だと聞いている」などと記された文部科学省の内部文書の存在を報道。さらに25日、当時の事務方トップだった前川喜平・前文部科学事務次官が記者会見を開き、「私が実際に在職中に共有していた文書だ」とその存在を明確に認めた。
    ▲記者会見する前川喜平・前文部科学事務次官――5月25日、弁護士会館
    (写真URL:http://bit.ly/2qlQmcV)
     加計学園に対しては、36億7500万円相当の市有地を無償譲渡する予算案が既に承認され、さらに校舎の設置経費として96億円を今治市の補助金から交付することも決定されている。森友学園に対する約8億円の値引きを大きく上回る、異例の「好待遇」だ。
     加計学園が破格値で公有地を取得できた背景には、第2次安倍政権で創設された「国家戦略特区」の存在がある。2015年12月15日、国家戦略特区諮問会議は全国で10番目の特区に広島県と愛媛県今治市を指定。翌2016年11月9日には、同会議で獣医学部新設に関する制度改正が決定された。そして2017年1月20日、唯一認可申請を出していた加計学園による獣医学部新設が認定されたのである。
     加計学園の理事長である加計孝太郎氏は、安倍総理が留学先のカリフォルニア州立大学ロングビーチ校で知り合って以来のゴルフ仲間で、総理自身が「腹心の友」と呼ぶほどの間柄として知られる。国家戦略特区諮問会議では、その権限が議長である安倍総理に集中する仕組みとなっていることから、総理がトップダウンの指示で「腹心の友」への利益供与を図っていたことになるのだ。まさに、開発独裁国家並みの「縁故主義(ネポティズム)」である。

    ▲加計学園公式ホームページより(写真URL:http://bit.ly/2qpASUK)
     こうした国家戦略特区を用いての獣医学部新設に対して一貫して反対してきたのが、日本獣医師会である。獣医は家庭で飼われているペットの治療のみならず、口蹄疫や鳥インフルエンザといった家畜由来の感染症を防疫する重要な役割を負っている。そうした国民の「いのち」と「くらし」を守る獣医師の養成において、規制緩和によって学部を新設されたところで、養成教員の人員が足りず、またそもそもが、今後の日本の獣医の需給バランスと見合わない――。
     日本獣医師会はそう考え、かねてから特区指定による獣医学部新設に反対する声明を発出してきた。
     私は、加計学園の問題が週刊誌などで取り上げられ始めた4月4日、日本獣医師会顧問で前衆議院議員の北村直人氏に単独インタビューを行った。かつて政界に身を置いていただけあり、加計学園に利益を誘導しようとする首相官邸の生々しい政治的思惑が次々と語られる、スクープインタビューとなった。
     「IWJは編集加工なしで生中継で好きなだけ喋らせてくれる。私の話を曲げて伝えられる恐れがない。だから出演を了承した」と北村氏はおっしゃったが、その後、北村氏はこのようなロングインタビューはどこの媒体でも応じていない。ここで語られていることは、手前味噌ではなく、極めて貴重な証言でばかりである。
     一読していただければ、加計学園のみならず、国家戦略特区という枠組みが一部の特権層の私腹を肥やすものでしかなく、いかに「国民益」を損なう制度であるか、お分かりいただけると思う。ぜひ、最後までお読みいただきたい。(岩上安身)
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    ◆加計学園問題を読み解くキーパーソン・北村直人氏に初のロングインタビューを敢行!「IWJは道徳的にも常識的にも、日本人として頼りになる方が見ていると思った」◆
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    ▲日本獣医師会顧問・北村直人氏――2017年4月4日、IWJ事務所
    (写真URL:http://bit.ly/2qKtQeU)
    岩上安身(以下、岩上)「皆さん、こんにちは。ジャーナリストの岩上安身です。森友学園に対する追及が国会で連日続いていますが、『第2の森友学園』ともいわれ、むしろ問題の広がりや根深さがはるかに大きいのではないかといわれているのが、加計学園の問題です。
     この加計学園の問題について、野党の追及もメディアの報道も決して十分ではないという中、本日はキーマンともいうべき方をお招きいたしました。日本獣医師会顧問、そしてかつては自民党、新進党で政治家をなさっていた北村直人先生です。北村先生、はじめまして。よろしくお願いいたします」
    北村直人氏(以下敬称略、北村)「はじめまして。よろしくお願いいたします」
    岩上「この加計学園の報道が一部で始まって、私どもはちょっと出遅れていると思いながらも、問題となっている今治、岡山、淡路にも記者を派遣して、写真を撮ったり、聞き込みをしたりしてきました。しかしキーパーソンにお話をうかがうということは、森友問題でいっぱいいっぱいだったということもあり、十分にはできませんでした。
     そういう中で、加計学園の獣医学部新設は獣医師会が反対していたのだから、やはり獣医師会の先生にお話を聞くべきだと思ってトライし、北村先生がお話をしてくださるというご回答をいただきました。このたびは、ご快諾いただきましてありがとうございました」
    北村「いえいえ」
    岩上「ほかのメディアからの取材も、先生は既にかなり受けているということを聞いていまして、われわれが見たところ、加計学園問題について雑誌などにはかなり詳しくお話しされていますね。」
    北村「はい。いくつか受けました。基本的に取材を拒否はしないというのが、日本獣医師会、そして北村のスタンスです。加計さんだからどうの、今治市さんだからどうこうということではありません。
     獣医師になるためには、高度な専門技術を身につけなければいけません。高度技能を身につけるための6年間の大学のあり方を、マスメディアの人たちに知っていただいて、なぜ獣医師会が今までもこれからも、学校新設について慎重に審議するのかわかっていただきたいと思っているのです。
     既存の16大学の中で、需要と供給のバランスを取りながら、将来、獣医師になりたいという学生全員が、6年間で高レベルの学問を身につけて、国家試験を受けて、そして学問も人格も非常に優秀な方々に対して、農林水産大臣から国家資格が付与される。
     こういうことを進めるのが獣医師会の役目ですので、そのためにはこうあるべきだということを、マスメディアに伝えていかなければならない責任、責務が私にはあると思って、拒否はしておりません。
     私はもう一民間人ですが、12年前までは国会議員をしておりました。今の政治の中で、もし岩上さんから『何が足りないですか』という問いがあるならば、『民主主義にとって、自由と平等のバランスを取るということが非常に大事だと思う』と答えます。今は、そのバランスをきちんと取れる政治家が少し足りなくなってきたのではないかと思います。
     マスメディアの皆さんが『自民党一強』と言っている今の状況の中で、やはり権力を持っている人には刃向かわないというか、イエスマンでいたほうがいいのではないかと思う人が少なくないのではないでしょうか」
    岩上「得である、あるいはマイナスが少ないとかね」
    北村「はい、そう見て取れますね。やはり正しいことをきちんと言っていかないとまずいだろうと思います。そういう中で、たまたま森友学園の問題に端を発するようなかたちで、加計学園の問題も出てきたということだと思います。
     われわれは、加計学園だから、今治市の国家戦略特区だから反対しているわけではなくて、特区というものに高度専門技術者の養成ということが馴染まないということで、今までも反対をしてきました。そしてこれからもずっと反対します」
    岩上「そういう長いいきさつ、特区問題という広がり、獣医学とはどういうものであるかということが絡まっての反対ですね。決して既得利権を守るために反対しているのではないと。
     加計学園問題は、森友学園問題と同じ構図であり、極めて似ているのですが、そこにはもっと大きな広がりがあると思います。しかし新聞などは忙しいし、非常に短いコメントしか出ないじゃないですか。一応お答えはするということでしたけれども、ロングインタビューはこれまでになかったんですか?」
     あるいはメディアが、北村さんが非常に重要なキーパーソンであるということに気づいていなくて、申し込み自体がほとんどなかったということでしょうか?」
    北村「いろいろな要素があると思いますね。今回、この問題について獣医師会に取材があるとうかがって、獣医師会側としてはこの経緯をよく知っている者がきちんと対応したほうが間違った情報が出て行かないと判断しました。それから、全国で活躍している獣医師会会員にもよく理解をしてもらうことにつながると思いました。
     私は昭和61年から20年間にわたり国会議員を務めまして、その時から獣医学教育の国際水準化という問題、それから、地域・分野での偏在をなくすこと、ひいては獣医師の職場環境、処遇待遇の改善、獣医師が関わっている法律の改正などに取り組んできましたので、窓口としては一番適任だろうという判断で、取材は拒否しないということになりました。たまたまテレビの取材もあったんですけれども、顔を映されるのは嫌で」
    岩上「そうですか。先生は副大臣までされていましたのに。しかも、今、顔出ししていますよ」
    北村「岩上さんからオファーがあって、IWJがどういうところかというのを見た時に、『ああ、なるほどな』と思ったんです。
     ネットで配信するということで、いろいろな方々が見ておられるだろうと思いました。道徳的にも常識的にも、やはり日本人として頼りになる人が見ておられるのではないだろうかと思いました」
    岩上「IWJの視聴者の皆さん、すごく褒められましたよ。ありがとうございます。それで、『IWJなら、顔出しして話してもいいだろう』と思ってくださったんですね」
    北村「はい、そういう結論になりました」
    岩上「テレビよりもうちを選んでいただいた、と。ありがとうございます。本当に先生は重要なキーパーソンですけれども、こうして顔出ししていただいて、しかも肉声でじっくりと、かなり長いインタビューをするのは初めてだと思います」
    北村「そうですね」
    岩上「インタビューは、テレビでも新聞でも、本当に短くなってしまいますし、雑誌なんて、本当にほんの3行程度ですよね。しかしIWJですと、インターネットですから、尺はいくらでも取れます。言葉足らずになったり、重要な説明をしたのにそこを消されたり、そうした懸念はありません。ぜひ、存分にお話し願えたらと思います」
    北村「ありがとうございます」