「JRDB鈴木永人・Nさんの日記」
菊池:JRDB鈴木永人さんによる競馬日記です。今週もよろしくお願いします。
鈴木:はい、よろしく。
菊池:先週はワールドオールスタージョッキーシリーズ(WAJS)が行われました。
集まったジョッキーのメンバーを見て、
何となくシリーズの名前負け感がありましたが(笑)。
鈴木:今年から「スーパー」ではなく「オールスター」になったので、
選出基準は誰でもいいじゃないの(笑)。
菊池:そうか、そうですね(笑)。以前のようにシーズンオフではないので、
欧米のトップジョッキーは来てくれない場合も多々ありそうです。
鈴木:そうだね。香港・豪州に期待か。
菊池:今年に関しては、何といっても、優勝したモレイラ騎手。
対象レース以外にも大暴れで強烈なインパクトを残しました。
鈴木:逃げた先行馬はどの馬もテンに仕掛けていってるんだけど、
そこでやる気になった馬を引っ張って喧嘩しない。
でも持っていかれる訳ではない。これが日本の騎手には出来ない。
まあ簡単じゃないと思うんだよ。彼が日本の免許取ったら凄いことになりそう…。
菊池:香港でもエライことになっていますしね。短期免許を含め、今後に注目です。
さて、2位は武豊騎手。まだまだ衰えませんね。
鈴木:小回り中距離戦での捲り合い、削り合いが激しい競馬だと、
技術が低い騎手は勝負所でどんどんポジションを悪くする。
流れと自分の位置を考えながら動くのが得意なのは豊だからね。
菊池:いよいよ、夏競馬の最終週です!新潟もラストですね。
芝も少し傷んできたでしょうか。
鈴木:みんな内を開けて走っているので、
馬場の真ん中が一番いいということなんでしょう。
今週で最終週だけど、この傾向は変わらないかな。
菊池:差し追い込み馬から、どのようなタイプをチョイスするかが課題ですね。
鈴木:方向としてはキレ味だけでは追い込みきれない状況で、
スピードがあるかどうか?が重要。
折り返し好走馬を信じちゃうと痛い目に会うと思うよ。
菊池:小倉は、上がり指数上位馬が好成績でした。
鈴木:小倉も時計は掛かり出しているんだけど、
レースの展開はいろいろなので、一概にこの方向で、というのは言い辛い。
菊池:内の悪化はそこまで進んでいないですね。
3場では札幌が最もフラットでしょうか?
鈴木:ただWAJSのせいかもしれないけど、結構差しが届いているような。
でも逃げ切り勝ちもあるので、フラットということでいいんだとは思う。
菊池:昔のように、最終週だからと馬場は悪化しなくなりましたね。
では、今週もいつもどおりにストックホースからいきましょう。
■:『ストックホース』のページ
~パドックから見た、今後条件付きで狙える馬~
菊池:週ごとに、鈴木さんがパドックで見た馬の中で、
今後条件が合えば活躍できそうな馬。
まずは、ここから聞いていきましょう。
鈴木:なんだろ。今週は結構時間かけていろいろと洗ったんだけど、
ネタになりそうな馬が何にもいない週だった。
菊池:開催末期ですしね。
鈴木:3歳未勝利はもう終わるから対象外に近いし。
無理やりピックUPしても良いことはないと思うので、
今週は3頭だけで勘弁してください。
菊池:最近、特によく勝っているとは言え、ストックはたくさんありますから!
(僕のまとめ作業が楽になるからっていうわけじゃないですよ!)
では、いつもどおり見ていきましょう。
◆「ストーミングスカイ」(美浦・伊藤圭三厩舎)
【日曜・新潟5R 2歳新馬・3着】
菊池:芝1200mの新馬戦でした。今回のパドックでの状態からお願いします。
鈴木:幅は薄い馬だけど、完成度は高いし細身ながらしっかりした馬。
菊池:人気薄でしたが3着に健闘しました。
鈴木:出脚がそれほど速くなくて好位の内からの競馬。
馬場も渋ってたし、この馬のパワーだとしっかり差すことができなかった感じ。
菊池:今後狙いたい条件はどのあたりでしょうか。
鈴木:距離は1200mだと少し忙しそうで1400mくらいでいいかもしれない。
器用に動けるタイプだけど、2戦目は時計速くなると思うので、
そこに対応できるかどうか?が鍵。
菊池:このタイミングだと、次走は中山か。
或いは東京で使ってくれると狙いやすいですね。
◆「ライオンズハイツ」(栗東・浜田多実雄厩舎)
【土曜・札幌12R ポプラ特別・3着】
菊池:今回のパドックでの状態からお願いします。
鈴木:腰が甘いけど、体の柔軟性が高くて状態自体はかなり良さそう。
菊池:今回は、最後の最後で3着争いに加わってきました。
鈴木:腰が甘いので出遅れるのは仕方ない。
ただ押すと掛かる面があるので先行もさせられないという難しい馬。
速い上がりは使えるから外から脚は使ったけれど前も止まってくれなかった。
菊池:今後狙いたい条件はどのあたりでしょうか。
鈴木:ダート1400mで3勝している馬。
ただ1000万下だと4着続きで微妙に足りてない成績。
多分スピードが足りなくなってる。なのでこの馬の不器用さを考えたら
東京ダート1600mで差し脚を活かす、というのが一つ。
あるいは1700mと違いコーナーが緩いダート1800m、
後方で我慢させて直線の脚を活かすという方法。
馬体見ても1400mベストには感じないから。
菊池:距離延長で人気落ちがあれば面白いですが、
印象の良い馬なのか売れやすいですね。
鞍上弱化とか、何か人気が落ちる要素が欲しいように思います。
◆「エノラブエナ」(栗東・宮本博厩舎)
【土曜・小倉11R 釜山特別・4着】
菊池:巨漢馬ですよね。今回の状態からお願いします。
鈴木:胴も脚も長い大型馬。動きは良くて変わらず順調に来ていると思う。
菊池:個人的には、1700mは忙しいと思っているんですが。
鈴木:そうそう。この体型だから小回りの1700m自体が向いてない。
それに今回はトップハンデで終始外々を回る競馬。いろいろと悪条件が重なってた。
菊池:距離延長で巻き返してきそうですよね。
鈴木:中京・阪神・京都の1800mで3連勝した馬。
速い時計にはそこそこ対応できるし、速い上がりも使える。
スタミナ面が強化されていけばOPでも戦える可能性はあるんじゃないかな?
菊池:この連敗で少し人気を落として欲しいですね。
菊池:このタイミングだと、次走は中山か。
或いは東京で使ってくれると狙いやすいですね。
■:『余談と呼ぶには勿体無い話のページ』
(先週の重賞について・キーンランドカップ)
菊池:キーンランドCはウキヨノカゼが勝ちました。
勝ちパターンとしては前走と同じ、後方からのマクリ差しでしたね。
鈴木:ペースは決して速くなくて、スローの上がり勝負みたいな競馬。
ただ先行馬に瞬発力が使えるような馬がいなくて、
絶好位にいたエポワスは壁で万事休す。
菊池:バテたのではなく、渋滞や瞬発力で劣った馬が多かったということですね。
鈴木:短い直線なので4コーナーから綺麗にスピードに乗せた
ウキノヨカゼが最速上がりを使えたという競馬だった。
菊池:2~5着あたりも外優勢で決着しましたね。
さて、ウキヨノカゼですが、完全復調は良しとして。
今回の競馬がスプリンターズSに繋がるかというと、微妙ですよね。
鈴木:それはまた違う話でしょ(笑)。底力が問われるレース展開でもないし。
この馬自身が才能を秘めていて、ここに来て開花したとなれば話は別だけど。
菊池:2着はトーホウアマポーラ。
この馬も、昨夏の蹄不安から不振が続いていましたが、立て直してきましたね。
外枠の方が成績も安定するようですね。
鈴木:この馬も速い上がりも使える馬。
今回は外枠で上手くスピードに乗せられた競馬だったね。
たしかにデキは良さそうで、このまま順調ならもう一花咲かせられるかな?
菊池:ティーハーフは、何とか3着を確保できましたが、
4角で進路がなくなって、かなり危ない状況でしたね。
鈴木:上位2頭の競馬に比べるとゴチャついてスムースさを欠いてしまったのが痛かった。
ただ脚が速くて立ち回りが上手いのでなんとか3着に間に合った、という形。
菊池:次走は少し人気落ちに期待ができるかもしれませんね。
(先週の重賞について・新潟2歳ステークス)
菊池:新潟2歳Sはロードクエストが勝ちました。
ほぼ最後方から直線はいつの間にか先頭。
相手が弱かったとは言え派手な勝ちっぷりでしたね。
鈴木:パドックで見渡しても「これは抜けてる」という馬が一頭もいない状況。
目線を切り替えて探していった場合に「ああ、この馬でもいいか」という感じの馬。
菊池:この馬自身、新馬戦を派手に勝った割には売れ方も甘かったですね。
パドックで見た上で、この馬の特長はどんなところでしょうか。
鈴木:450㎏に満たない薄い馬で目立ったないから、
ちゃんと見ないと良さが分からないタイプ。
イメージはマイラーというよりもステイヤーに近いかな。
菊池:ほう、ステイヤーですか。
鈴木:相手は弱かったけど、それでもこの時計で圧勝できるんだから大したもの。
近いイメージなのはドリームジャーニーで、
この馬もそんなイメージで見ていきたい。
菊池:なるほど。そうあってくれた方が血統的にも納得しやすいですね。
マツリダゴッホ産駒でキレキレというのはちょっと違和感がありますし。
鈴木:マツリダゴッホは思ったより良い産駒を出しているね。
菊池:2着は人気薄のウインファビラス。
先行してスタミナを生かす競馬がハマりましたね。
平間さんがパドックで、この馬に3番手の印を入れたのはお見事でしたね。
鈴木:いや~凄い。正直「こんなんパドック見たって当たらねーだろ」と思ってたから。
パドック担当を辞めて良かったとホッとしております(笑)。
菊池:そこまで言いますか!
鈴木:たしかにスタミナは感じられる馬で、
先行してどこまで踏ん張れるか?は分からなかったけど、
人気も無かったしチャレンジしても良い馬だったと思う。
菊池:3着のマコトルーメンはストックホース。
僕も狙っていたので複勝490円はまずまず美味しかったです。
でも、3連複とれたよなぁ…とちょっと残念な気持ちにも。
鈴木:3連複は56400.円かぁ。
ある程度荒れるのが想像できてたレースだったから、
印が回ったにせよ、これを獲るのは大変だよネ。
ウインファビラスと心中した時の爆発力を期待する気持ちがあれば
別かもしれないけど。
菊池:1・3着馬の2頭軸で買える範囲だったので…ですね。
またチャンスは来ると思いますから、頑張りましょう!
(今週末の重賞について・新潟記念)
菊池:今週末は新潟記念が行われます。
かなり人気が割れそうなメンバー構成で、配当はそれなりに望めそうですね!
鈴木:新潟記念らしいメンバーが揃ったネ。
ハンデ戦だし、難しいレースになりそうだね。
菊池:ハンデ53キロもあり、アヴニールマルシェは人気の1頭となりそうです。
鈴木:そう、この馬が出ることが一番驚いた。
クラシックを目指した3歳馬が、ここに回るなんてあまり聞いたことがない。
菊池:レアなローテですよね。毎日王冠が揃いすぎるから?
鈴木:なんだろうな、おっさんたちの社交場に活きのいい若者が入ってきて
「ここは来年はどうなるかも分からない場末の鉄火場だ。
オメーさんみたいな若いのが入ってくる場所じゃねー!」みたいな感じがある(笑)。
菊池:確かに新潟記念のように、言っちゃ悪いですけど
あまり将来性のない重賞だとね(笑)。鉄火場感は分かります。
鈴木:東京スポーツ杯でサトノクラウンと接戦を演じた馬なんだから
資質上位は分かってる。あとはその器にどれだけ水が満たされているか?
なんだと思う。
菊池:前走、関屋記念で2着に好走したマジェスティハーツはいかがでしょう。
戦歴から夏がいいタイプと思えますし、距離延長も好材料だと思います。
鈴木:ここのとこ2着続きだけど、いずれも中身は薄いよね。
昨年の新潟大賞典は55㎏でハナ差の2着というのがあるから
適性は高いと思うんだけど、今回56㎏でなんとなく「ワナかな?」と思ってしまう。
それは多分、新潟大賞典と比較すると、
新潟記念の方がもうちょっとスピードに寄ってる感があるってことかな。
菊池:アルフレードも復調していて、このレースは面白そうですよね。
鈴木:初の2000mの新潟大賞典だったので後方からじっくり乗った結果が
上がり2位の3着。距離もコースもいける、という実感があったんだと思う。
あとは正攻法で乗ってどこまでやれるか?だよ。
菊池:鈴木さんの注目馬は?
鈴木:変なとこだけどスイートサルサかな?新潟も高速決着も得意。
マイラーだと思ってたけど、愛知杯で追い込んで3着とか、
1800重賞を勝つとかね牝馬ということで片付けていいものかどうか?と考えてる。
菊池:僕は思ったより売れないなら4連勝中のメドウラーク。
開催後半の新潟とは好相性のタニノギムレット産駒でもありますし。
鈴木:あー、マジェスティーハーツと同じようなタイプの馬だね。
スピードは無いけど新潟大賞典は合っていそうな馬。
まあ選択肢としてはありじゃないのかな。
(今週末の重賞について・札幌2歳ステークス )
菊池:土曜日は札幌、日曜日は小倉で2歳ステークスが行われます
鈴木:夏競馬の終わりを感じる番組だね。
菊池:まずは、土曜日の札幌2歳S。
1番人気になりそうなのはレーヴディソールの仔、アラバスターです。
鈴木さんはこの馬をどのように評価されていますか?
鈴木:え?この馬人気なの?初戦は相手が弱かったので楽勝したけど、
デキも甘かったし、正直ここを走るイメージを全く持ってない。
菊池:辛口評価ですね。鈴木さんの注目馬は?
鈴木:新馬戦でIDM40を出したアドマイヤエイカンかな。
伊原君も新馬戦で◎。姿勢がいい馬でまだ伸びシロのある素材だと思ってる。
菊池:今回は初戦以上に仕上げてきそうですし、楽しみですね。
鈴木:あとはプロフェットか。この馬も伊原君が新馬戦で◎。
仕上がりが早かった感じの馬でちゃんとスピードに乗れる
ハービンジャー産駒らしくない馬。
(今週末の重賞について・小倉2歳ステークス)
菊池:小倉2歳Sは登録段階で14頭と、思ったより揃いませんね。
その要因にもなっていそうな?シュウジの1番人気が確実です。
この馬の評価をお聞かせください。
鈴木:太めに見えるのはほぼ体型で、トモや腰がしっかりしているスピード馬。
パワーがあるのでダートもいけそうなイメージだね。
菊池:その点は半兄ツルマルレオンとの共通点かもしれませんね。
鈴木:そうか、似たタイプかもしれないね。
徹底的にスピード持久力勝負なら強いと思うので
むしろこの馬の方が、1200mになるのはむしろ歓迎かも。
菊池:その他に注目馬はいますでしょうか?
ストックホースのレッドラウダは、今回いかがでしょう?
鈴木:それとか、レッドカーペットとか。
正直、小倉デビューの馬はかなりレベル低いと思うので、
中京組でいいんじゃないか?と考えてるよ。
まあそれだけで結論が出ると思ってないけど(笑)。
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菊池:8月が終わりました!もう9月です。残暑が帰ってくるなんて話はどこへやら…。
鈴木:このまま終わってはくれないよナ。まあこの程度の暑さなら何とでもなるから。
菊池:もう秋競馬がすぐそこですね。
鈴木:9月の中山かぁ。馬券的には結構得意の場所なのと、
ウチから近いので気楽に行けるのがイイネ。
菊池:秋パドチョクの話も動き始めました。
鈴木:今回は競馬BroadViewのデータと新聞を使って
展開していこうと思ってるので、楽しみに待っていてください。
菊池:鈴木さんのこの秋の目標、或いはテーマ等ありましたら。
鈴木:今、目指しているのは馬の適性コメントを作ること。
菊池:適性コメント。面白そうですね。
鈴木:Aという馬が何が得意で、何が不得意なのか?が1行読んだら分かる資料。
BroadViewではM-IDMで馬の能力も分かるし、軸馬も分かるし、
消し馬も分かるんだけど、そこから先の選択をする時の
「決め手」みたいなものが、馬の適性コメントから分かるようになればいいかな、と。
菊池:そこをキラーコンテンツにするってことですね。
鈴木:先週の日曜日のコラムで試験的に始めて見たけど、
朱鷺Sなんかはそれで馬券が獲れた。
「ベステゲシェンクの速い差し脚が活きそうなメンバーと状況だ」ということと
「他の馬は勝てそうなイメージが持てない」ということ。買う材料と同時に、
他の馬が勝てない材料が分かっていれば、単勝は非常に買いやすいと思うんだよね。
菊池:なるほど。使う側は、チョイスする能力を身につけないといけないですね。
そのあたりもサポートしてもらえると助かりますが。
鈴木:そういうこともパドチョクで試していけるといいね。
こちらも試行錯誤しながらにはなるけども。
菊池:僕は、馬券にこだわらず、もっと競馬を楽しむ・競馬でエンターテインメント!
ってことを今後のテーマにして、活動していきたいと思っています!
鈴木:大掴み過ぎないか?
菊池:秋のパドチョクで出せるようなコンテンツを作成しているというのも、
もちろんありますが、その他にイベントを企てたりとか、精力的に頑張ります!
鈴木:パドチョクを起点に、みんなで盛り上がっていければいいね。
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鈴木永人… 関東パドック馬体診断担当・パドチョク関東担当
ブログ競馬broadview http://blog.livedoor.jp/broad_view/
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