• 勝つための要素は技術以外の割合も高い

    2019-09-08 00:37
    下の図は第32期竜王戦挑戦者決定三番勝負第三局
    の中盤の山場の局面です。
    先手は豊島将之名人、後手は木村一基九段です。


    先手の豊島名人が4六にいた角を9一に香車を取りながら馬を作った局面で、
    後手の木村九段の手番ととなっています。

    ここで、木村九段は持ち駒の角を8七に打ちました。(下図)



    今までの木村九段なら、思い浮かんでも指す事はまず無い手だと思います。
    中継ブログをリアルタイムで筆者は見ていたのですが、この指し手を見た時は、
    正直この対局は多分木村先生負けちゃうのではと思ってしまいました。

    プロのトップ棋士ですら、過ちを犯すのは人間ですから当然だとは言えますが、
    この種の指し手を見ると、やはり将棋は心理的な要素も大きく影響するゲームだなと
    思わされます。

    龍が作れるとはいえ、持ち駒の角を相手にあげてしまう順なので、
    (8七角以下、7七金、6九角成、同飛、8八飛成と進行)
    少なくとも優勢の側は一目避ける手順だと思います。

    それまでは脅威の粘りで豊島名人に逆転勝ちしてきた木村先生でしたが。。

    色々と考えさせられる一局でした。

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  • 2019年 名人戦 予想 佐藤天彦名人vs 豊島将之二冠

    2019-03-26 14:29
    みなさん、こんにちは。
    久しぶりの更新です。
    前回の記事は、去年の12月19日でしたので、
    今回この記事は約3ヶ月振りの更新となります。

    2019年の、このブログに関する今年の目標として、
    最低月2回、できれば、毎週1回は記事を書いていきたいなと
    考えています。

    それでは今回のブログのタイトルにある
    本題に入っていきたいと思います。

    ついに、将棋の
    第77期名人戦
    が来月から始まります。

    日程は、下記のHP↓に詳細が載っています。
    https://www.shogi.or.jp/match/junni/

    第一局目の日程は、
    4月10・11日(水・木)となっています。

    今回、佐藤天彦名人に挑戦するのは豊島将之二冠 (王位・棋聖)となります。
    豊島先生は現在最強の棋士の一人といって文句が無いでしょう。
    現将棋界で、複数タイトルを保持しているのは、他に渡辺明二冠(棋王・王将)が
    いますが、今期の渡辺二冠はB級1組に在籍していた為、名人挑戦の可能性は
    ありませんでした。(しかし、今期渡辺二冠はB1全勝でA級復帰が決定しています)。

    筆者が思うに、これは完全に個人的な見解ですが
    現在の将棋界トップ5を挙げるとすれば、下記の5人ではないかと思っております。
    1.渡辺明 二冠
    2.豊島将之 二冠
    3.藤井聡太 七段
    4.広瀬章人 竜王
    5.佐藤天彦 名人

    もちろん、この他にも上記5人に劣らないと思われる棋士はいます。
    羽生善治九段、永瀬拓矢七段、菅井竜也七段、久保利明九段、等々数え上げれば
    まだまだおられることと思います。

    佐藤天彦先生は、トップ棋士の一人であることに疑いはありませんが、
    ちょっと勝ち方が特殊というか、不思議な感じがする棋士です。
    ま、簡単に言ってしまえば、名人戦の時に一番強い状態に仕上げてくる、といった
    感じがしています。

    羽生さんから名人位を奪って以降、佐藤名人は2期連続防衛を果たしているのですから、
    さすがというか、名人戦での佐藤先生は特別強いといった感じがしてきます。

    対する豊島さんですが、こちらも相変わらず安定して
    勝っているという感じで不安を全く感じさせません。
    今ちょっと豊島さんの少年時代を調べたところ、
    小学校1年生で何とアマ四段の腕前に達していたらしいですね。。
    小学1年で本当にアマ四段の実力に達していたとしたら、本当の天才ですね。

    さて、戦型や勝敗の予想についてですが、
    このお二人、年代も同年代(佐藤名人が3歳年長)ですし、
    両者とも生粋の居飛車党。

    さらに、大舞台でのソフトとの対局経験もあり、
    (両者とも電王戦で回は違うが出場経験有り)
    将棋ソフトについての知識や、
    研究への活用法についても熟知していることでしょう。

    話は変わりますが、今回の記事はあくまで予想です。
    どちらか一方を応援しているわけではありません。
    (何故なら筆者は羽生先生のファンですから)

    戦型は当然、相居飛車になるでしょう。角換わりかor横歩取りの戦型が
    濃厚だと思われます。

    どちらかというと、横歩取りは佐藤先生が好まれていて、
    角換わりは豊島先生が好まれている印象があります。

    両者とも序盤の研究が非常に深いという印象が筆者にはあります。
    例えば、佐藤名人に関しては羽生先生との名人戦で序盤で作戦勝ちになっていた
    パターンが非常に多かった気がしています。
    特に横歩取りの戦型で羽生先生相手に序盤で作戦勝ちをおさめていることが多く、
    非常に深く研究している様子が感じ取れました。

    対する豊島さんは、将棋ソフトを最大限に活用している印象が強いです。
    研究会は基本やらずに自宅でソフトを相手にトレーニングしているとの話があります。

    現在の将棋ソフトは、おそらくフリーで手に入る最新最強のソフトとして
    「dolphin1/orqha1018」
    が挙げられると思います。
    筆者も自身のPCに入れてたまに検討に使用していますが、もう言葉では
    表現できないレベルの強さです。
    既に人間では誰も勝てないレベルにソフトは到達していますので、
    教師役として使用しています。

    当然、豊島さんも佐藤さんも最強ソフトを研究に活用しているでしょうから、
    序盤から本当に気が抜けない将棋になるのでしょう。

    どちらが勝つかはともかく、
    現在の相居飛車党同士の最高峰の戦いが繰り広げられるのは間違いないところ。

    特に筆者が注目としているのは、
    後手番となる側がどの戦型を選択するのか、というところ。

    後手側が横歩取りを選択するのか、角換わりを選択するのか、どちらも
    後手番が辛い状況かもしれませんが、個人的には角換わりの後手番より
    横歩取りの後手番(厳密には横歩取らせと言った方がいいかもですが)
    の方が、後手番としては面白みがあるというか、自由度が高いというか、
    そんな気がしています。

    特に豊島さんは、ソフトを駆使してかなり厳密に深いところまで、
    序盤を突き詰めている様子が伺えるので、
    佐藤名人がその序盤研究の精度の高さにしっかりと対抗できるのか、
    また、互角で中盤に入ったとして、終盤力はどちらが上なのか、
    今回の名人戦でそれが決着するわけです。

    正直言いますと、今回の名人戦、分が悪いのはやはり佐藤名人かと思います。
    両者の対戦成績は、現在佐藤名人から見て6勝11敗となっています。
    参考サイトはこちら↓
    http://kenyu1234.php.xdomain.jp/match2.php?name1=286&name2=287

    しかもこのデータによれば直近の対戦成績では、
    佐藤名人は豊島先生に4連敗しています。
    しかし佐藤名人にとっては、良いふうに見方を変えれば、
    絶好の借りを返す機会とも言えるわけです。

    日程的には、今回佐藤名人は研究の時間は割合確保出来ているのではないかと
    思われます。

    何にせよ、4月10・11日(水・木)の第1局が非常に楽しみですね。
  • 自然な手を指す事が出来るかは技術じゃなくて精神力

    2018-12-19 15:23


    上の局面図は先日行われた対局で、中盤の局面です。
    2018年12月18日藤井聡太七段VS門倉啓太五段【第77期順位戦】
    で、現局面は、
    後手番の藤井聡太七段が32手目に☖3二銀と指した局面です。
    この局面で、対戦相手の門倉啓太五段は44分の長考の末、
    ☗4七銀上と指しました。

    ここはプロでの実践例が2局あり、いずれも先手の振り飛車側が勝っています。
    ソフトの評価値もここで☗2五歩と指せば、先手に+400程振れていました。
    長考していた門倉五段も元々は振り飛車党の棋士ですし、当然実戦例のことも
    知っていた事と思います。

    読んでいる内に何か気になる変化があって、
    それで戦端を開かなかった(☗2五歩)のでしょう。 

    でも、その後の実戦の流れを見ていると、やはりここで行くべきだったと
    個人的には思います。

    門倉さんの代わりにもし渡辺棋王(振り飛車はやらないけど)や羽生竜王、
    久保王将であれば、多少は考えるかもしれませんが、まず間違いなく☗2五歩を
    指したものと思われます。
    ちなみに、☗2五歩に☖同歩は☗2五同桂と自然に取り返されて、角取りが
    残り、逃げれば素直に☗4五歩で後手潰れでしょう。
    なので、同歩とは取れないのですが玉頭に敵の歩が進んでいくのも非常に
    味が悪い。ま、色々と理屈は言えますが、とにかく、
    自然に行きたかったな、というのが気楽な観戦者の意見ですw

    でも、こういう風な、どっちかなという時に
    突っ込むか、突っ込まないかは、
    技術というよりは、まるで将棋の神様に
    『あなたは勇気がありますか』
    と問われているような気がしますね。

    羽生さんの名言にもあるじゃないですか。
    『運命は勇者に微笑む』って。

    さて。  今後楽しみな対局は、
    2019年1月1日に放映される新人王記念対局となる
    豊島2冠 vs 藤井七段 の対局ですね。
    ※対局自体は既に行われていて録画放送となりますが。

    先手が新人王側となる藤井七段となるはずですから、
    ここは後手となる豊島先生がどんな戦型選択を後手として採択するのか、
    それにまずは注目しています。

    対する藤井先生も、先手の得を最大限生かしにいくでしょうし、
    豊島先生は居飛車で来られるのはほぼ確実ですから、
    対策は立てやすいのではないかと思われます。

    その分、非常に狭く深い研究手順が実戦で現れるのではないかと、
    期待しております。

    と、その前に、まずは明日の竜王戦7番勝負最終局ですよね。
    非常にシビアな序盤が見られることでしょう。

    いやぁ、楽しみですね。
    それではまた次回。