近年、日本のエンターテイメントを世界に輸出するというニュースをよくやっている。日本のアイドルが海外で人気が高いとか、きゃりーぱみゅばみゅのパリ公演が盛況だったとか、日本の文学も海外での評価が高まっているからもっと外国で売り出したらどうかとか、そのたぐいのニュースである。表面的にはけっこうなことだが、何やら様子がおかしい気もする。
先日もNHKの番組でその手の特集をやっていたが、番組のなかのひとつの話題として取り上げたのかと思ったら、数十分も時間を割いていて、何やら必死な印象だった。やるなら普通にやればいいと思うが、番組のムードになぜか焦りのようなものが感じられた。
その変なムードとともに私の頭に浮かんだのは〝閉店セール〟という言葉だった。いまのうちに日本の売れるものは売っておく。これはオリンピックの招致運動にも言えることで、いまのうちに招致しないといけないという奇妙な必死さに通じるものがある。
テレビの番組にしろ招致運動にしろ、現場では深い意味など考えずにロボットのように言われたことをやっているに違いないが、この流れを作っている命令の側、つまり〝上〟の方には実際に〝閉店セール〟の意識があるのかもしれない。もちろん〝日本の閉店セール〟である。
2030年から50年頃というのが、いまのところ〝閉店〟の予測である。すでにいろいろなシミュレーションがなされているが、この予測が大きく外れることはなさそうである。