●怪談の闇を見るの巻

[天皇と原発 その秘密③ ~明治天皇すりかえ説の真相と皇統をめぐる内ゲバ]

 冷戦構造の終焉とともに昭和が終わったことについて、国際金融資本系エージェントと目されるアリサ・ローレンは「欧米資本と昭和天皇の契約期間終了」と表現している。確かに1989年は重要な年だった。第2次世界大戦時には、あちらの世界での昭和天皇の序列はチャーチルやルーズベルトより格下だったが、大戦を指揮した欧米の指導者が60年代から70年代にすべて他界したことで、相対的に昭和天皇の地位にまさる者がいなくなった。父ブッシュなどは昭和天皇から見れば子供に過ぎず、1952年に即位したエリザベス女王もしかりであった。

 昭和天皇崩御のおり、大統領に就任したばかりの父ブッシュが大喪の礼への参列を決めたとき、アメリカの世論には反対論も根強かった。「なぜあなたは参列するのか?」というマスコミの取材に、父ブッシュは「日本の天皇が亡くなったからだ」と答えた。「副大統領クラスの参列でもいいのでは?」という質問に対しては、「選択肢はひとつだ。大統領が行くしかない」と答えている。そういうorderだったのだ。しかし、昭和天皇の崩御は同時に〝序列〟のリセットも意味していた。

 平成の御世になり、天皇の序列はリセットされた。1993年発足のクリントン政権が対日政策を転換したのは必然だった。そしてこの頃から日本側では、昭和皇統の見直し政策が水面下で進んでいく。昭和皇統とはすなわち明治皇統のことであり、明治天皇の直系を万世一系とする近代日本テーゼの見直しである。そのための既成事実作りとして、皇太子に男子の跡継ぎが生まれないという現象が作られた。同時に、明治天皇替え玉説という宣伝戦略が行われた。

 昭和の終焉を待ったかのように現れた明治天皇替え玉説は、ネットが普及するまではほとんど世間に関心を持たれていなかった。どうせ左翼による誹謗だろうと見た人も多いと思われる。私もそのひとりだった。しかし、曲がりなりにも近代史の不思議な展開に首を傾げたことのある人なら、明治天皇を南朝天皇と仮定することで解ける謎があることにも気づくはずだ。まさかと思いながらも、この説の当否について調べる意味を感じた人も多いだろう。私もそうだった。

 そこで、この説が流布された背景に焦点を当てて調べると、話の出所と目される人物の素性がいずれも現在の皇統から見て反体制とも言える旧公家勢力であることがわかった。それに加担する宗教勢力も動いていた。彼らにはこのような説を流す動機がある。すなわち、まとめて言えば、明治天皇替え玉説の正体は、以下のようなことになる。