●怪談の闇を見るの巻
[日本はなぜ滅亡したか ~天皇と原発 その秘密④]
子供の頃に不思議に思ったのは、本当に〝一億玉砕〟していたら天皇と軍部はどうするつもりだったのかということだ。もちろんこれは子供だから不思議に思うことで、実際に〝一億玉砕〟する気など軍部にはなかったのである。彼らが恐れていたのは敗戦がもたらす国民の反乱であり、それを防ぐためには国民を鼓舞する形でエネルギーをすり減らす必要があった。後述するが、神風特別攻撃隊にも秘密があった。
子供の頃に、私はこう考えた。玉砕する気なら戦争が終わろうが何だろうが玉砕すべきなのである。いまからでもやるべきである。働く暇があるなら玉砕せよ! それをやる気配もなく、へらへらと高度成長だの所得倍増だの昭和元禄だのと言って過ごしてきたのは何なのか。支配層が替わったからか。だが天皇は戦時と同じ天皇ではないか――このような疑問を持つ人は子供にしろ大人にしろ周囲には皆無だったため、なぜ自分はこんなことを考えているのか、しだいに私はそのこと自体を不思議に思うようになった。
戦前の日本が本当の日本なら、戦後の日本は消えるべきである。しかし、戦後が本当の日本なら、戦前の日本は紙芝居だったとでもいうのか。こういうことを考えて暮らしている子供も世のなかにはいることを大人は知るべきだろう。幸いにも私は小泉八雲の著作に出会ったから、子供でも結論はすぐに出せた。戦前の日本も、戦後の日本も、どちらも偽者だとわかってみれば、やるべきことはひとつである。いつから偽者になったのか。その探求しかないではないか。
すべての話はそれからだ。人生論だの哲学だのと言ったところで始まらない。宗教? 科学? なんだそれは。政治だの、法律だの、経済だの、娯楽だの、今日は燃えるゴミの日だのと言ったところで、それを語る根幹が根も葉もないノッペラボーなら意味がない。いわんや文学をや、である。幻想を現実だと思っているうちは幻想すら語れない。しかしそれを現代人はやっている。インチキの自覚もなしにだ。それに比べれば回転寿司のネタの方がまだましなのだ。少なくともインチキだとわかって食べている。
すべての話はそれからだ。人生論だの哲学だのと言ったところで始まらない。宗教? 科学? なんだそれは。政治だの、法律だの、経済だの、娯楽だの、今日は燃えるゴミの日だのと言ったところで、それを語る根幹が根も葉もないノッペラボーなら意味がない。いわんや文学をや、である。幻想を現実だと思っているうちは幻想すら語れない。しかしそれを現代人はやっている。インチキの自覚もなしにだ。それに比べれば回転寿司のネタの方がまだましなのだ。少なくともインチキだとわかって食べている。
ところが、ここに大きな闇がある……。