幣原喜重郎のNWO思想
   ――平野メモという〝禁書〟①


▼敗戦は大成功だった

 日本が対米戦争に踏み切った背景として、アメリカに敗北することで日本の参謀本部をつぶしてもらうという青写真があったことを前回vol.63で述べた。これは国民に顔向けできる話ではないので、表向きは決して語られないことである。しかし、当時の政府関係者は真相をまったく隠していたわけでもなく、折りに触れて、ちょくちょく本音を漏らしていた。

 たとえば、昭和天皇の側近だった木戸幸一は、敗戦後に戦犯容疑で巣鴨プリズンに拘留されたとき、やはり戦犯として逮捕された重光葵にこう言ったという。

ちょうど軍部を倒したところで戦争が終了したので自分は大成功と思っている。

 木戸幸一にとって――ということは昭和天皇にとって、先の大戦は〝大成功〟だった。