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病院(十一回戦)
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病院(十一回戦)

2013-06-24 18:14
    先々週の金曜日、私の生活費は一時的に著しく苦しくなった。誰だって苦しいことからは逃げたい。逃避したい。立ち向かいたいと考えるのは勝利が確定されている物語の主人公くらいのものである。
     そこで私は、暇さえあれば酒を飲んで眠って過ごした。とにかく眠ってこの金がないという現実から逃避しようと考えたわけである。健康的に見れば最悪の逃避方法である。しかも私は病院(九回戦)で抗酒剤を処方されている。それを飲んだあとに酒を飲むと激しい苦しみに襲われる、というものである。私はそれを飲むことも放棄して酒を飲み続けた。まるで死のうとしているレミングのようである。群れていないところが唯一の相違点か。
     そして金が入り、ようやく私には抗取材を飲む心の余裕が生まれたのである。
     といったようなことを今回は二十七分待ちで診察室に案内した私の担当医は。
    「本当にお酒やめる気あるの?」
     と問うた。私はもちろんある、しかし金がなければ逃避しなければならず、当否のためには酒が必要だったのである。と弁解した。
    「そうですか」
     きっと本当に信用はされていないだろう。まあいい。心療内科の医師など薬を処方するマシンである。これまでの数々の転院の経験でそのくらいは学んでいる。医師というものはろくに信用してはならない。
     それから最近の私にはひとつ変化が現れた。それはあんパンと牛乳を同時に摂取すると必ず眠ってしまう、という症状である。きっと消化するのに体力を使っているからだろう、と私が予想を述べると、
    「それは危ないですね」
     との答えが返ってきた。
    「お酒を急にやめると糖分が取りたくなりますよね。それでパンとか牛乳とかで急に糖分を過剰に摂取すると、脳の血管が切れて白目剥いたまま気絶することもあるんですよ」
     病名も教えてもらったが思い出せない。
    「とにかく不安になるんですよね。じゃあ抗不安剤を増やしておきますんで」
     その代わり、効果があるのかないのかわからないリスパダールと酒をやめて以来一包も飲んでいない胃薬のマーズレンの処方をやめてもらった。これで薬代が少しは収まるはずである。
     そう思って薬局へ向かうと、薬代は100円増加していた。あの医師は私を薬代で破産させるつもりなのだろうか。
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