[コラム] なぜかずれているピリオドの謎 ~HG明朝E系~
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[コラム] なぜかずれているピリオドの謎 ~HG明朝E系~

2013-11-23 09:39
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HG明朝E系のピリオドが、
ベースラインよりも浮いている現象を調べてみた

はじめに

 フォントを扱う人ならば常識かもしれない。でも、どうしてもこの理由が知りたくてこの記事を書いてみた。
 この記事では「フォント」と「書体」は同じ意味で使っている。ただし、「書体」言葉はWindowsのアプリとかでフォント選択ダイアログで選べる1項目1ウェイト分「単体」の意味で使っている場合もある。
 また、フォントファミリ名は単体と区別するため、●●系としている。

 HG明朝系は、リコーが作った明朝体で、Microsoft Officeについているフォント。
 バリエーションは全部で6種類。
 全部の文字が固定幅の無印、半角文字のみ文字の幅が変わるプロポーショナルのS、全部の文字がプロポーショナルのP、の3種類がある。
 さらに、文字の太さ(ウェイト)はBとEの2種類がある。ちなみにEの方が太い。エキストラボールド(ExtraBold)の略ということだと思う。

 HG明朝系は元々リョービの本明朝が元になっている。これはMS 明朝系も同じ。
 そのため、これらのフォントは同じグループとみてもよさそうだ。

 Officeについているフォントだけあって、よく使われているフォントだ。
 なぜかその書体のうち、、ピリオドが英文ベースラインよりも高くなっており、文字通り「浮いている」ものが混ざってることがわかった。

 ベースラインとは、この画像の青線のこと。
 英語の文字の基準(ベース)になる線だから、ベースライン。
 日本語の縦書きだと文字を真ん中にそろえようとするが、あれも一つのベースラインといえそう。

 このように英語はピリオドなどの記号も、このベースラインに沿うように作られているものが多く、
 だいたいのフォントがこうなっている。
 なぜこのフォントを選んだのかは気にしてはいけない。ちなみにモリサワの中に入っている欧文フォントである。

実際に検証してみた

 HG明朝系とMS 明朝系はそれぞれ、リョービの本明朝をベースにしている。
 試しに、「フォント一覧印刷君」を使って、英語をHTML出力してみると、このような感じになる。


 HG明朝E系だけが、英文ベースラインよりもピリオドが少し浮いているのが分かる。
 もっとわかりやすくするために、HGP明朝BとHGP明朝Eだけで「I love a rabbit.」で比較してみよう。

 このように、「.」の部分だけ微妙に浮いており、ベースラインからずれているのである。

 興味を持ったので、大元の字母であるリョービの本明朝で確認してみることにした。
 HG明朝系は、Ro本明朝Std-E2とRo本明朝Std-B2を元にしていると思われ、ひらがなの字形もよく似ている。
 試しに、ひらがなの一部字形と、例の「Have a nice Nsen.」の言葉を並べてみた。
 縦をそろえるため、ひらがなが等幅のHGS明朝で確認している。
 なるほど……HG明朝Eだけ、ずれているようだ。それなりに、はっきりと……。
 どちらもCentury系統の何かの欧文フォントが元としているようだが、HG系はアルファベットが若干細長いため、同じ欧文書体が使われている、というわけではないようだ。

 もっと検証してみよう。
 Illustratorで塗りつぶしを透明に輪郭線だけにして、2つの書体を重ねてみると、このような感じになる。面倒なのでぴったり重ね合わせてはいない。雰囲気だけ。
 これを踏まえて、HGP明朝系を重ねてみると、
 はははwww ピリオドがだいぶ上にずれているのがよく分かる。
 というか、感嘆符がベースラインをはみ出しているのもちょっと面白い。これもどうなんだ……

 ちなみに、Ro本明朝Std-E2とHGP明朝Eを重ねるとこうなる。

 ちなみに、欧文フォントではこの通りの結果。
 そもそも、「!」もベースライン通りになるべきなのだと分かる比較結果となった。

 ポップ体や手書き書体など、ベースラインをあえて無視する作りとなっているものもあるが、オーソドックスなものは、コロンやセミコロンを除き、多くの場合はやはりベースラインが基準となっているのだろう。

 HG明朝系の従属欧文(日本語付属の英字のこと)には問題があることがよくわかった。
 理由は分からないし、英文の元になったフォント名も特定できないが、何ともお粗末な作り方ではないだろうか。
 ピリオドも不可解ではあるが、!や?がベースラインを割っているのもちょっといただけない。全体的に使うべきではない、そんな品質ではないかともいえそうだ。


 まさか! と思って、他のHG系の従属欧文についても調べてみることにした。


 結果はこの通り。創英角ポップ体もピリオドが、微妙に低くなっているが、まあ気になるほどではないかもしれない。
 HGゴシック系もピリオドこそベースライン通りであるが、感嘆符や疑問符がちょっとベースラインをはみ出ている。
 同種で比べても、やっぱり「HGP明朝E」のピリオドが、隣の感嘆符(!)の点の場所が下にずれているのもあって、無駄に目立つ見え方となってしまっている。まるで「n」と「!」に押し上げられているようだ。

さいごに

 HG明朝というのは使いやすく見やすい字形で、個人的にも大いに使うべしと思っていただけに、ちょっと残念な印象が強い。
 とはいえ、日本語ではなく英語の部分で残念なところが散見されるだけなので、日常では、CenturyやGeorgiaなどの本物の欧文フォントで代用できるところでもある。
 ワープロソフトでもプレゼンテーションソフトでも、基本は欧文フォントだけを選択する設定画面が用意されているはずだ。要は従属欧文をそのまま使わなければ良いだけだ。

 では、ニコカラではどうだろう。基本、書体の混植なんてやらない人が圧倒的に多いジャンルだが、HG明朝系はよく使われている。しかし、このように従属欧文にはちょっと問題があることが分かっていただけたと思う。
 私が推し進めている混植を積極的にやる根拠がまた一つ増えたわけだが、一度検討してみる価値はあるのではないだろうか。
 ピリオドが必要な日本語の途中に出てくる英語の歌詞程度ならば、新たにスタイル設定を用意し、別途、英語のフォントを当てるだけで済む。

 つまりは、「英語ならば英語専用フォントを使う」。それだけでこの変に気になる問題は起こらないのである。

 ASSの仕様に深い知識があるならば、ピリオドなどの問題のある部分だけ手修正という方法もあることはあるが、まあ、混植するのと同じくらいには手間がかかると思うのでおすすめはしない。

 


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全く気づかずに使ってました(英字に日本語フォントを使う機会がなかっただけかもですが・・・)
日本語の場合「.」はピリオドとしてではなく「3.14159265358979・・・」などのように小数点として使う等、数字や文字を区切る際に使われると思うので、その影響かなぁ
英字はベースライン上に記入するのに対して、日本語はマス目に記入する、あるいは線と線の間に書くという書式の違いから出たものかもしれませんね(でもそれだと「!」が飛び出す説明にならないなぁ・・・)
などと知識もないのに妄想してみたりしました。
59ヶ月前
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コメント、ありがとうございます。

いやあ、私もじっくり見て気付いたもので、よく分かってないです…。
ピリオドじゃなくてドット……ですか、なるほど~そのような考え方も納得です。

理由はメーカーのみぞ知るんでしょうね……。問い合わせしてみようかしら……
59ヶ月前
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