『レッドタートル ある島の物語』
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『レッドタートル ある島の物語』

2016-09-30 22:14

    愛と自由の映画。
    重力が愛の障壁となるが故、陸上では重い甲羅を背負った亀が主役となる。海中から女が筏を突き上げる、陸上で男が甲羅を踏みつける。女が甲羅を海へ放つ場面では男が山上から見下ろす。逆に男が筏を放つ場面では女が見下ろす。
    故に2人が愛へと解き放たれるシーンでは無重力となる。
    終盤でも2人で海面を泳ぐ姿が映し出され、その後の軽やかなダンスシーンの不意打ちが美しい。

    家を建てない、言葉を持たない、原子共産主義的。「所有」という概念がないので他人を
    「所有」することもない。序盤を除いて本人の自由意思によってのみ居場所が決定される。生殺与奪の権利は大自然のみが掌握する。

    伏線と反復の網の目。
    浜辺から藪、竹林を抜け池を横目に見やりながら禿山へと至る道は単純化され、反復される度にその差異が違う風景を生み出す。セイウチは死骸となり革となり、崖から滑り落ちた時見上げた空にいた鳥は息子が崖から落ちるきっかけとなる。

    言葉を介することなく息子を都会へ旅立たせる為に用意されたマクガフィン「ガラス瓶」。
    自然界では手に入らないモノであり、内部の水平と外部の水平線が合致した瞬間に彼の疼く旅心が可視化される。父は砂絵で他者を描き、災害の時に水没したモノから希望を拾う。
    言語ではなく映像で映画を顕わす。




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