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小説『神神化身』第三十二話 別解
「舞奏競・果ての月 決着」(闇夜衆勝利ver.) 終わって欲しくない、と昏見有貴は思ってしまった。
永遠に続くものなどない。それに、この舞奏競は昏見有貴にとっては通過点でしかない。目的を達成する為の幕間だ。
なのに、永遠がここにないことを惜しいと思ってしまった。何しろ、さっきまで舞台で鎬を削り合っていたのは、紛れもなく昏見が相対していた名探偵の皋所縁だった。彼と再び会えたのは、舞奏があったからだ。
昏見の愛する名探偵には、究極的には謎すら必要としないのかもしれない。舞奏に真摯に向き合っている皋は、誰かの幸せを必要以上に願い、目の前の人間の笑顔に至上の価値を置く、あの頃の皋所縁だった。そんな彼と真剣に競い合うのは楽しかった。
それに、萬燈夜帳と舞うのもそうだ。仲間であるはずなのに、一歩間違えれば焼き尽くされてしまいそうだった! 暴力的な才である。比類無きもの
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