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「Histoire of June~麻枝 准作品の軌跡~」第2回 『ONE~輝く季節へ~』のまばゆい“日常”
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「Histoire of June~麻枝 准作品の軌跡~」第2回 『ONE~輝く季節へ~』のまばゆい“日常”

2020-06-12 20:10
  • 16
著者:坂上秋成

 みなさんこんにちは、坂上秋成です。
 麻枝ラボが立ち上げられてから一月ほど経ちました。対談・コラムなど楽しんでいただけているでしょうか。自分としても、ラボやコンテンツがみなさんの“日常”を豊かにできるものになるよう、精いっぱい動いていきたいと思っています。

 そんな感じで第2回は、前回取り上げた『MOON.』と同じく麻枝 准さんがTactics時代に企画・ライターを務めた作品『ONE~輝く季節へ~』(以下、『ONE』)を取り上げます。

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 この作品は実に多様な側面を持っていますが、大きな主題として“日常の尊さ”を挙げることができます。
 本作の主人公・折原浩平は幼馴染の長森瑞佳や友人の住井護といった人々と一緒にまぶしすぎる日常を送っています。しかし物語が進むに連れ、彼の日常に不穏な気配が漂うことになります。自分がいつか「永遠の世界」に連れていかれてしまうのではないかという恐怖が、浩平の生活に忍び込んでくるのです。
 今ここにある日常から切り離され、どこか遠くにある世界に向かわなければいけなくなるだろうという、漠然とした不安。こうした、日常の豊かさと「永遠の世界」がもたらす影との対比が『ONE』という作品の根幹に置かれています。

 『ONE』に関して、麻枝さんは久弥直樹さんの担当キャラの方が人気だったことから(とあるキャラクター人気投票では、上位三名が久弥さん担当の里村茜・川名みさき・上月澪であり、麻枝さんが手がけた長森瑞佳・七瀬留美・椎名繭の三名は全員四位以下となっています)ご自身を“ハズレライター”と感じてしまっていました(『ONE』については今も思っているのかも)。
 ですが、久弥さんのシナリオ・キャラが魅力的だったことを差し引いても、僕は『ONE』という作品の中核には、麻枝さんだからこそ描けるにぎやかな日常とその儚さがあると感じています。
 自分の趣味も混じった話になってしまいますが、僕はこの作品の中で、長森と七瀬のシナリオがダントツで好きです。シナリオで泣けるということもありますが、それ以上に、長森や七瀬とただ一緒に登校し、会話し、はしゃいでいるというそれだけのことが、とてつもなく尊いものに感じられるというのが大きな理由です。
 実際、これは凄いことで、大きな事件が起こらない平凡な日常をプレイしているだけで、「このゲーム面白い!」とユーザーに感じてもらうことはとんでもなく高度な技術が必要になるものだと思います。ただキャラクターとやり取りをしているだけのシーンで飽きさせず、「この日常にマジ感謝……」と思えるようなシナリオを書けるライターとなると、麻枝さん以外に、『それは舞い散る桜のように』『俺たちに翼はない』の王雀孫さん、『家族計画』『CROSS†CHANNEL』の田中ロミオさん(前者は山田一名義)といった人が思い浮かびますが、決して多くはないように感じます。

 本来ならメインヒロインである長森ルートの話をしていきたいところですが、そちらは『Keyの軌跡』でこれでもかというくらいに書いたので、今回は七瀬留美ルートを中心に少し『ONE』の世界を語ってみます。

 
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最終更新日:2020-09-18 20:00
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他6件のコメントを表示
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自分が初めてプレイしたのも七瀬シナリオでしたね。
「何がなんだか理解できないけれど、とにかくとんでもないものをプレイしてしまった」という衝撃と興奮を今でも憶えています。
わけがわからずとも、有無を言わさず圧倒するほどの熱量・切なさが七瀬シナリオにはありました。
で、丁寧に作品の全体像を解説してくれる茜シナリオでようやくシナリオ構造が理解でき、素直に涙を流せたわけですが・・・。
桜の木で例えれば、ONEでの麻枝さんは巨大な幹のようなものだと思います。
久弥さんは確かにONEで立派な花を咲かせて花見客に大絶賛されましたが、それは麻枝さんという幹が無ければ咲かなかっただろうと当時も今も思っています。
幹の異様な重厚さに圧倒され、花の見事さに感動できる。
今思い返しても、実に贅沢な体験でした。
3ヶ月前
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麻枝准研究所
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>>1
坂上です。七瀬の漢字テストについては、誰がどう読んだか分かるようになってるんですよ。
たとえば「儚い」を住井の答にすると「ねむい」と出てくるのでこいつは間違いだなとか。
それで正解してる人を見つけ出していけば満点とれる仕様になってるかと。
3ヶ月前
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麻枝准研究所
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>>3
こんにちは、坂上です。記事をきっかけにプレイしてもらえるのは凄く嬉しいです!
ついでに僕もポニーテール七瀬が好きです。
3ヶ月前
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麻枝准研究所
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>>6
坂上です。プレイヤー=浩平じゃないというのはONEの面白い部分ですよね。
長森ルートで長森に冷たくし続ける箇所とかはプレイしてて心がエグられる感じがありました……。
3ヶ月前
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瑞佳「ねえ、浩平ってさぁ・・・」
浩平「な、なんだよ」
瑞佳「・・・一口(ひとくち)が大きいよねっ」
浩平(そんな事はどうでもいい)
いつもここで吹きます(私的ツボ)
、、、
ONEは初めてプレイした麻枝作品で、麻枝さんに嵌まるきっかけになった記念碑的存在です。めちゃくちゃ影響受けましたねぇ。今でも夕陽を見ると(共通ルートで浩平がふいにおセンチになるシーンが好きなのです)無性に切なくなって「海鳴り」や「永遠」が頭の中で鳴り始めたり(w 実にイタイです。
作品論的なものを語る力量もありませんが、ひとつだけ、現在の浩平の心のどこかに永遠の世界への憧れがあったんじゃないかと思うんです。だから一度永遠に行く必要があって、「追思」が始まるのかな、と。ONEはトリッキーな選択肢が多用されてますが、それはまだ永遠に居たい浩平の意識がプレイヤーを邪魔しているんじゃないか、とか、考え出したら切り無しです。つくづくとんでもない器量をもった作品だと思う次第です。それを為せたのは麻枝さんの強烈なイメージ喚起力・世界観の構築力と久弥さんの繊細な舞いだった訳ですよね。図らずとも。
でも、そこを意識せずともキャラの魅力テキストのパワーCGの味わいすばらしいBGMで純粋に笑い、泣き...お互いを補強しあっているのがすばらしい。麻枝シナリオでいえば七瀬の「・・・あれ?」の意味に気付いた瞬間、繭の仔犬を拾うシーン、瑞佳の「・・・つかまえたっ」etc.etc...などは涙腺決壊不可避でした。
、、、
長くなりましたがONEは自分にとって「一瞬で青春に戻れる至極の一本」です。
別離を乗り越えた二人を待っているのは新緑輝く季節ーーー
真に"EverGreen"なのです。
3ヶ月前
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麻枝准研究所
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>>2
いまさらキャラメルのおまけなんていらなかったんだよ!(坂)
3ヶ月前
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>>10
浩平は、瑞佳を母親と妹の身代わりにしている、つまりマザコン&シスコンで、瑞佳を拒絶し続けたのは反抗期みたいなもので、瑞佳と浩平が仲を深めるには必要なことだったんじゃないかなと思っています。
3ヶ月前
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key作品は日常会話が面白いよね。
3ヶ月前
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語るまでもないことかもしれませんが、永遠の世界が浩平を飲み込みだすスイッチは「長森との距離感の変化」だと思っています
浩平は幼いころに、妹のみさおとの病気を切っ掛けに、みさおとずっと遊んでいたいという"えいえん"を望んだが得られず、ふさぎ込んでいたところに瑞佳と出会い、瑞佳との永遠の約束を機に、みさおと瑞佳を同一視 (実際に浩平がみさおとの思い出を瑞佳との思い出と勘違いする場面がある) し、ずっと変わらない関係を続けることで心の平穏を保っていたと思われます
だから、瑞佳ルートのあの酷い行為は、酷いことをしても一緒に居てくれるという思いと、恋人になることで、妹と重ねてきた距離感が変化し、"えいえん"が失われてしまうことへの恐怖からああいう行為に至ってしまったのかなと思っています
1ヶ月前
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個人的に、瑞佳ルートの交差点のシーンで浩平が「痛くない、痛いのは俺だけだから」的なことを思うシーンは刺さりました
そこから瑞佳の「つかまえたっ」はとんでもない威力でしたね
私はPS移植版からプレイした口で、初めにPS版で追加されたヒロイン「なつき」をプレイして、浩平が帰ってこなかったこともあり、その後に七瀬プレイしたルートで浩平が帰って来たときは心底ほっとしました
1ヶ月前
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