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  • 「Soul Searching Journey」第1回 麻枝准・久弥直樹 同時インタビュー「彼らが見つけた“尊敬”のかたち」

    2020-05-10 15:00  
    聞き手・構成:坂上秋成

     麻枝 准とゲストとの対談企画「Soul Searching Journey ~麻枝准対談企画~」の第1回をお届けする。記念すべき初回のゲストとして、私たちはシナリオライターの久弥直樹氏を招き、お話をうかがうことができた。
     久弥氏はかつて麻枝氏とタッグを組むようなかたちで『MOON.』『ONE~輝く季節へ~』『Kanon』という三つの名作を生みだした人物である。いわばKeyおよび麻枝氏を非常に古くから知る人物であり、第1回のゲストとして最高の相手と言えるだろう。
     ただ、二人の“対談”は叶わなかった。
     私たちは久弥氏と麻枝氏のそれぞれにインタビューを行い、さまざまな角度から質問を投げかけ、熱の入った言葉を収録させてもらうことができた。それでも、二人は今回顔を合わせていない。
     麻枝氏と久弥氏は、久弥氏が『Kanon』制作後にKeyを辞めてから、およそ20年間一度も会っていないのだ。そうした状況で、いきなり顔を突き合わせて深い話をするということに難しさを感じる部分もあったのだろう。
     それでも、互いが互いに対する関心を持ち続けていたことは間違いない。それは実際のインタビューにおける二人の言葉を読んでもらえば明らかだ。まぎれもなく麻枝 准と久弥直樹のあいだには、それぞれを心の底から尊敬する気持ちがある。
     本企画では、二人が一緒に仕事をしていた当時どのような思いを抱いていたのか、そして2020年現在に互いをどのような存在として認識しているのかについて、徹底的に話をしていただいた。両者の発言を照らし合わせると、事実関係における齟齬が見られるところもあるが、今回そこを調整することはしなかった。久弥氏には久弥氏の、麻枝氏には麻枝氏の記憶があり、それぞれの真実に他人が手を加えることは間違っていると思えたからだ。
     顔を合わせての対談ではなく、それぞれに同じような質問をすることで行われる変則的な個別インタビュー。だが、この形式だったからこそ浮かび上がってくる、二人の特別な感情があったのだと、私たちは確信している。その確信とともに、二人のクリエイターの言葉を、この場で世に送り出す。
     願わくば、そこにある美しい想いが、読者にも届かんことを。
     

    ◎第1部:久弥直樹へのインタビュー
    ――初めに、久弥さんがシナリオライターを目指すようになった理由と、影響を受けた作品について教えてください。
    久弥:
    僕は子どもの頃に特定の作品に深くハマったという経験がないんですよ。小中学生の頃はアニメもほとんど観ていなかったし、ライトノベルにどっぷり浸かったということもない。その中であえて熱中していたものを挙げるなら、TRPG(テーブルトーク・ロールプレイングゲーム)になると思います。『退魔戦記』や『ソード・ワールド』といった作品を友人と遊んで、その時の様子を録音して「リプレイ」 を書いたりしていました。それを友人に面白いと言ってもらえたのが嬉しかったし、今でも物語を書く上での原体験のようになっていると思います。その時の影響で、就職先としてゲーム会社を探すようになりました。
    ――それは何歳くらいのことなんでしょう。
    久弥:
    20歳くらいの時ですね。当時は大阪の実家に住んでいたので、そこから通える範囲の仕事先を探したんですが、そもそも当時のPCゲーム会社は求人自体が滅多になかったんですよ。たまに見つけても実務経験者のみの募集というケースがほとんどでした。シナリオライターになるためには、先にシナリオライターになっていないといけないわけです(笑)。
    そんな中、PCゲームの雑誌を読んでいる時にTactics の『同棲』(1997年)というゲームの広告の中に、シナリオライター募集と書かれているのを見つけたんです。勤務先は大阪だし、何より経験者のみという条件もなかった。これはもう、ここに応募するしかないと考えました。
    ――なるほど。なかなかに運命的な出会いですね。
    久弥:
    当時の僕はシナリオや小説を一切書いたことがなかったんですけど、シナリオを同封すること