カウボーイMUR TISのバックストーリー
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カウボーイMUR TISのバックストーリー

2019-08-04 00:21
  • 15
◇TIS
元菓子人奴隷、20~23くらい?本作の裏ヒロイン的立ち位置。モデルは特にないですが強いて言うなら銀魂のお登勢、ビバップのジェット。

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TISは、奴隷牧場で生まれた。
菓子人のつがいを作りそのつがいが死ぬまで子を産ませ、育て、売る。
人権なんて言葉は微塵もない場所だった。
だがコート人にとって異邦人など犬猫と変わらないものだ。
愛玩動物がどのように増えどのように売られるかなんてことを気にする者がどれだけいるだろう。

TISの親はTISを生み、死んだ。常識外の劣悪環境で子を作り産み続けた末に、未熟児同然のTISを産み息絶えた。
そのせいかTISは歳を重ねても他の人間と比べ背丈が伸びることはなかったが、TISにとっては好都合だった。
子供のような背丈の奴隷なんて「労働用」としても「愛玩用」としても不十分で、買い手がそうそう付くものではない。
それでよかった。

TISの姉「HNS」は成熟したからだと類まれな美貌を持っていたため適齢になるとすぐ買い手がついた。しかし一週間も経たぬうちに牧場へと戻された。死体となって。
死因ははっきりと分かった。体の至る所についた縄や鞭の痕、首についた手の痕、破壊と恥辱の限りを受けた「それ」。
あの姿を見て、買われたいなどと思う者がいるはずもない。

反奴隷制運動「I WANNA MEAN」の奴隷暴徒達が奴隷農場を襲撃したのは、TISが17になる頃のことだ。
奴隷暴徒たちは自分たちを「解放者」だと信じ込んでいたが、やっていることはもはや略奪強盗と変わらなかった。
奴隷がいるままの牧場へ火を放ち、銃弾を浴びせた。
コート人も菓子人も虐殺される地獄絵図。
しかしTISにとってはいつにもない好機だった。

農場に転がるコート人の懐から金をなるだけ集め、扉に手をかけた。
TISには「異能力」がある。それはいつの間にか芽生え、そして誰に教えられるわけでもなくどういうものか理解していた。菓子人の異能力とはそういうものらしい。
TISはドアノブに手をかけ───
ひとりの菓子人奴隷の女の子が泣いているのを見つけた。

女の子「SKRNBU」は、TISと似た容姿をしていた。いや、どちらかと言えば姉であった「HNS」の方が似ているか。
それもその筈である、彼女はTISの「異母姉妹」だったのだから。
母体とくらべ負担の少ないオスは、新たなつがいをあてがわれる。
その新たなつがいから生まれたのがこの子なのだ。
もちろんそんなことをTISが知る由もないが。

気が付けばTISはSKRNBUの手を引きドアをくぐっていた。
そうした理由は、罪滅ぼしのようなものだった。
その子の姿が姉に似ていたことも作用したが、一番にあった気持ちは「逃避」だった。
同じ奴隷たちを見捨てて逃げる罪悪感からの、不幸にも死んでしまった姉への、「でも、私は彼女を救った」という免罪符。
それが欲しかった。

農場を抜け出しどれだけ走っただろう。ついに限界が来た。
力なく二人は倒れた。炎天下の土の上に。
馬車の音が近づき、老齢の男が下りてくる。
離れていく意識の中でTISは自分の末路を呪う。

結果からいうと、それがTISの身に起きた最大の幸運だった。

老人は「ヒラノ」という退役軍人で、倒れていた二人を保護し、看病した。
最初は警戒していたTISとSKRNBUも、悪意なく触れてくるヒラノをいつの間にか信頼するようになっていった。

ヒラノは雑貨店を営んでいた。儲けは多くはないが常連は多く、町でも評判の店だ。
SKRNBUとTISはその店を手伝うようになり、明るさを得た。
SKRNBUはヒラノを実の親のように慕い、TISもそう思っていた。
そうやって何年も過ごしたが、ある日ヒラノは倒れ、寝たきりとなった。
寿命が近づいていた。

最後の日、ヒラノは二人に語った。
「私は、ボウヨミ大陸開拓軍に参加した兵士だった」
「だが開拓戦争で少女たちを殺すことに大きな罪悪感を負い、軍を抜けた」
「君たちを助けたのは、自分の罪から目を逸らしたかったからだ」
「だけどいつの間にか、君たちはかけがいのないものになった」
「ありがとう、私の「娘」になってくれて」
TISとSKRNBUは、言葉を返す。
「ありがとう、私たちの父親になってくれて」
ヒラノは、言葉を返す。
「ああ、君たちの晴れ姿を見れなかったことだけが心残りだ」
その言葉に二人は顔を見合わせ、涙を流しながら笑いあった。





「SKRNBU!ちゃんとつり銭管理しとるやろな」
「大丈夫だよおねえちゃん。品出しまでちゃんと終わってる!」
「ならええわ。開店初日からやらかしたら洒落にならんからな」
仲睦まじい姉妹が、騒がしく開店準備を続ける。
ヒラノのものだった雑貨屋は、今は「家族」のものになっていた。
父が守ってきたものを、娘たちが守っていく。
それが今の二人の「生きる意味」だ。

TISはぐっと背伸びをすると、SKRNBUの目を盗み店から出た。
新鮮な空気を吸いたくなった。
表に出て深呼吸をすると、おおよそ新鮮とは言い難い空気が鼻腔を刺激した。

「…人んちの店の前でなにやっとるんやアンタ」
血の匂いに目を向ける。ポンチョを着た傷だらけの男が、こちらを見つめた。
「無視しとんちゃうぞ。いてまうぞハゲコラ」
なおも彼の目は、虚空を見ている。
この目を彼女は知っていた。
奴隷農場にいた時の自分と同じ、絶望の中にいる人の目だ。生きた屍の眼だ。

「ぐんぬぬぬぬぬぬぬ!SKRNBUー!手伝えー!」
「わ、わ!どうしたのこの人!?血まみれだよ!」
「いいからコイツを運ぶの手伝わんかい!」
半ば無理やり店内に入れ、手当てをした。
そうした理由は、単純だった。
ヒラノに自分が救われたように、自分も誰かを救いたくなったのだ。





指でコインを弄ぶ。時計の秒針が鳴る音が響く。
こころなしかTISはどこか呆けていた。
それが何故か、SKRNBUにはなんとなくわかる。

常連の「彼」がここ最近来ていない。
賞金稼ぎのガンマン、この店のお客様第一号。いきつけの飲み屋で同席してる保安官に妙な呼び名で呼ばれてることを愚痴っていたあの人。
どうもおねえちゃんはあの人のことが気にかかるようで、あの人のことで一喜一憂することが多くなってきた。
それがどういう種類の気持ちなのか、測りかねるけど。

「そろそろ弾薬が切れるころやろ」
TISのつぶやきに、SKRNBUは少し笑ってしまう。
からかいたい衝動を抑えていると、ドアが「形」を変えた。
能力の発動を見て、TISは理解した。彼が来訪したのだ。

「おうおう、なんやけったいなヤツのおでましか」
そうやって気丈にふるまうTISに、またSKRNBUの顔がほころぶ。
扉を開けた人物。VIN-JOEと呼ばれるカウボーイは、TISの軽口を流し、言葉を放った。

「この店に、子供用の衣服は置いてあるか?」

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この後、第二話のシーンにつながります。
バックストーリーとして設定はあったけど多分カウボーイMURが完結まで続いてたとしてもすべてを描写することはなかったと思います。あんまり本筋とかんけいないので。







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他5件のコメントを表示
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お前の先輩BB劇場裏設定が好きだったんだよ!
11ヶ月前
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ブロマガで完結させて(懇願)
11ヶ月前
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ssでもいいから完結させてくれよな〜(懇願)
11ヶ月前
×
バックストーリーだけでもこんなに面白いとは…
面白い動画作れる方は、文章も上手なんですね。
動画でなくてもいいので完結まで見てみたかったです。
ありがとうございました。
10ヶ月前
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食糧人間みてーな設定してんな、お前な?
10ヶ月前
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>>8
そうだよ(切実)
10ヶ月前
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こうしてまた一人BB先輩劇場投稿者が淫夢を去っていくんですね… ホモと見るシリーズ禿げろ…
8ヶ月前
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生き返るわぁ^~
6ヶ月前
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続きはよ
2ヶ月前
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そろそろ帰って来て下さい…オナシャス!
1ヶ月前
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