• 家長という強者 2

    2019-01-08 06:17

    私の応援する川崎フロンターレから、嬉しい事に今年もシーズンMVPが選ばれた。
    一昨年の中村憲剛、昨年の小林悠

    二人ともにそれぞれ目に見えた特徴があり、派手に結果を残しての受賞と言ってもいいかもしれない。

    特に小林は
    優勝チームのキャプテン、リーグ得点王、劇的ゴール多数
    あれはそりゃあ受賞するよと言いたくなる結果だった。

    それから比べてしまうと、今年の家長の数値的な結果は、本人が受賞直後に言ったとおり「平々凡々」と言って間違いない。
    しかし、フロンターレファンのみならず、DAZNの中継に出ていた福田氏と水沼氏両名が異議無しと即答したように、しっかり家長のプレーを見ていた人のほとんどは文句無しのダントツ受賞候補だった。

    その家長の活躍をフロンターレに来てからは特によく見ていたフロンターレファンの一人として、家長の強者たる所以を紹介していこうと思う。


    まずは家長の強みを箇条書きで書いて、それを1つづつ解説していこうと思う。

    家長の強み

    ・圧倒的なフィジカル
    ・フィジカルに頼らなくても通用するテクニック
    ・視野の広さ
    ・独創的なプレーの発想
    ・とにかく走る
    ・独自の揺らがないメンタル
    ・背中で語るリーダー


    前回に引き続きなので、まだ読んでない人はこちらから
    https://ch.nicovideo.jp/katusakana/blomaga/ar1713142


    ・独創的なプレーの発想


    まず家長の頭の中はチームメイトですら完全には解明されていないほどに高度な域に居る。
    もちろん頭でイメージした高等テクニックをしっかり表現できる技術があるのは周知の話だが、監督もまだまだできるはずだと言っているように、まだまだ底が知れない男なのである。

    技術も肉体の強さも兼ね備えているので、多くの場面に適応できるのが彼の強みだ。
    相手とコンタクトしながらでも、ドリブルや高度なトラップなど、様々な部分のテクニックを同時や連続して混ぜ合わせることで、多くの状況で活きる選手だ。

    そのため、相手からしてみれば家長という存在そのものがフロンターレというチームを相手にしてる上で、更に一つの壁になる。
    集団で戦うサッカーというスポーツにおいて、協調性を兼ね備えた「異分子」というのは相手からすれば厄介でしかない。
    特に独創性の高さに定評のある憲剛との組み合わせは、予想をしだしたらきりがなくなってしまう。

    加入直後にてこずったのはこの部分が原因で、それを周囲も熟知して、家長自身も周囲を知ったことで「協調」と「異分子」という二つの武器の切り替えがスムーズになったのが、MVP選出の要因だと感じる。
    この二つは片方だけではそこまで怖くはない。スムーズに切り替えてくるから脅威になるのだ。


    ・とにかく走る


    加入前や加入直後の家長の評判は決して良いものではなかった。
    いろいろと理由はあるが、一番のマイナスポイントは「走らない」or「走れない」という走力の部分だ。
    現代のサッカーにおいて、とび抜けたスキルを持っている場合以外、走ることを怠る選手はそれだけでマイナスになってしまう。
    それほど最近のサッカーは全員の動きの量と連動性が求められるようになってきているのは、間違いのない事実だ。

    実際フロンターレデビュー戦の古巣大宮との開幕戦を現地で見ていたが、確かに動きは少なく感じた。
    評判の走らないという部分が目や頭のフィルターになってしまっていただけかもしれないが、間違いなく言える事がある。

    フィットしだす頃から比べれば間違いなく動きは少なかった

    要員としては足のケガなどが考えられるが、とにかく最初の頃は最近と比べて動きは少なかった。
    それがフィットしだした頃からは一気に改善されたどころか、チームメイトやトラッキングデータが示す通り、家長の走力はチーム内でも際立って高い数値になった。
    数値的にはもっと上が居る事もあるが、DAZNの優勝特番などでも語られているし、実際に試合を見ていればわかるが、試合の終盤での走力はかなり効いている。

    引いて守り抜けるチームではないフロンターレにおいて、前からの守備のスイッチが消えるというのは死活問題になってしまう。
    もちろん、オープンな展開になりやすい終盤においては前線の大きな動きも求められる。
    そこで交代枠を使ってフレッシュな選手を投入できる場面というのは限られているが、スタメンの選手がラストにもうひと踏ん張りしてくれるのは、チームとしてはとてもありがたい。

    この走りの質が改善できたというのは、家長のサッカー人生における最大級の転換かもしれない。


    ・独自の揺らがないメンタル


    優勝特番や試合後のインタビューなど、家長の口から言葉を聞けるシーンというのはそこまで多くないが、いくつかはある。
    それらを見聞きしていると、多くの人がこう思う。

    家長って不思議な人だな

    実際に一番わかりやすいのは、家長への長いインタビューを含めたフロンターレ公式サイトにある「F-SPOT 2018 Vol.12 追い求める者」だ。
    優勝特番のインタビューも家長らしさが全開なのでおすすめだ。

    家長は独特の世界観を持っている。
    負けたり失敗したり、逆に勝ったり成功したりしても、他のフロンターレの選手と比べてかなり表情や考えに変化が起きない。
    内気な大島と似ているとも言われるが、家長の場合表に出さない以前にそもそも心境に変化が少ないので全く異なる。

    絶対的な自信もありながら、絶対に満足しない向上心も兼ね備えている。
    これは宿敵とも盟友ともいえるあの本田圭佑にも似ている。

    あべちゃんが王者のメンタリティーをフロンターレに持ってきたように、家長もその独特のメンタリティーをフロンターレに持ってきてくれたと感じている。

    仲良し集団のフロンターレが、優勝をかけて常に臨戦態勢を作れるようになったのは、彼らの力のおかげだと自分は思っている。


    ・背中で語るリーダー


    JリーグアウォーズのMVPインタビューで本人が言っていたように、家長の表現は基本的に実力で示すタイプなのかもしれない。

    口数が少ないけれども大きな存在感を示し、後ろの選手に強い意思表示をするには、そういった手段しかない。
    ある意味年齢も円熟の域になってきて、ベテランとも言われる時期になってきたからこそ、その意思表示方法と立場が合致したのかもしれない。

    フロンターレには実力で示すリーダーに、大久保嘉人という絶対的な存在もあった。
    もちろん憲剛や伊藤宏樹といった存在もあるし、昔で言えばジュニーニョやテセなどもリーダーの立場にあった選手達だが、彼らのリーダー像とはまた違ったものなのが家長のリーダーシップだ。

    多分リーダーが家長だけでは難しいかもしれない。
    キャプテンの小林や谷口、そしてバンディエラの憲剛、そして異分子の家長。
    これらのエッセンスが上手く交わった結果、最高のエッセンスになったのだと思う。


    まだまだ語りつくせない感はあるが、とりあえず今回はここまで。
    投稿ペースが少ないのにJ2も書きたいしもうじき新シーズン開幕だし、家長をずっと書いてもいられない。

    また何かの記事でお会いしましょう。
    では、今回はこのへんで。


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  • 家長という強者

    2018-12-24 15:36

    私の応援する川崎フロンターレから、嬉しい事に今年もシーズンMVPが選ばれた。
    一昨年の中村憲剛、昨年の小林悠

    二人ともにそれぞれ目に見えた特徴があり、派手に結果を残しての受賞と言ってもいいかもしれない。

    特に小林は
    優勝チームのキャプテン、リーグ得点王、劇的ゴール多数
    あれはそりゃあ受賞するよと言いたくなる結果だった。

    それから比べてしまうと、今年の家長の数値的な結果は、本人が受賞直後に言ったとおり「平々凡々」と言って間違いない。
    しかし、フロンターレファンのみならず、DAZNの中継に出ていた福田氏と水沼氏両名が異議無しと即答したように、しっかり家長のプレーを見ていた人のほとんどは文句無しのダントツ受賞候補だった。

    その家長の活躍をフロンターレに来てからは特によく見ていたフロンターレファンの一人として、家長の強者たる所以を紹介していこうと思う。


    まずは家長の強みを箇条書きで書いて、それを1つづつ解説していこうと思う。

    家長の強み

    ・圧倒的なフィジカル
    ・フィジカルに頼らなくても通用するテクニック
    ・視野の広さ
    ・独創的なプレーの発想
    ・とにかく走る
    ・独自の揺らがないメンタル
    ・背中で語るリーダー

    まだまだあるだろと言いたい人も多いだろうが、言い出すときりがないので、この程度でやめようと思う。


    ・圧倒的なフィジカル


    まず家長のプレーを想像するとかなりの率で頭に浮かんでくるのがフィジカル。
    しかし、家長のフィジカルは「フィジカルが先に立つフィジカル」ではなく、「テクニシャンのフィジカル」だと強く言いたい。

    家長はフィジカルでどうにかしてるようなパワータイプではなく、テクニックがあるからそれを使っていく一つの選択肢でフィジカルを出してるだけだ。
    もちろんそのフィジカル単体でも国内最高クラスなのは間違いないのだが、それだけでゴリ押してる部分はほぼ無い。


    自分はフィジカルの考え方に「フィジカルは数あるテクニックの一つでしかない」と信じている。

    テクニックの無い選手が力でどうにかするとファウルとの勝負になる。
    ボールを「受ける・運ぶ・出す」
    という基礎の部分において一番重要なのは「ボールタッチの質」であってフィジカルは二の次でしかない。

    ボールを扱う技術は多種多様にあるが、その中の一つであって、重要項目かもしれないが最重要項目ではない。


    だから何度も書く。テクニックがあるから家長のフィジカルは抜群に輝くのだと。


    ・フィジカルに頼らなくても通用するテクニック


    先ほども書いたとおり、むしろ家長の真の強みはテクニックにある。
    足元の技術には様々な分野があるが、家長の場合特に苦手な部分というのは見当たらない。
    あまりヘディングを使わないので頭の印象はそこまで強くないが、印象が無いだけで悪い印象がある部分は無いに近い。

    特に家長を際立たせるテクニックは
    パス・シュート・ドリブル
    の3点だろう


    家長のパスで一番有名になったシーンは大島の最優秀ゴールの時のヒールでのパスだろう。
    だがあんなのは家長の日常でしかなく、日頃から高難易度のパスはよく通している。
    どうしてもフロンターレの大動脈は大島と憲剛の縦関係からになる場合が多いので、比較対象が一昨年のMVPとなれば目立ちにくいのは無理もない。

    しかし、家長の使われ方の一つに「厳しい流れの時は頼みの家長」
    というシーンはかなり多かった。
    パスの出どころや受け手にマークがぴったり張り付かれて、あわやショートカウンターという時には、家長が下がってきたり中央や逆サイドまでに受けに来て時間を作るのだが、どうしてもキープする分相手のプレスも厳しくなる。

    そういった場面でも攻撃の発端となるパスが出せるのが家長のパスの能力だ。

    ゴール前でのパスも7アシストだけでなく、アシストのアシストとなるパスを通していたりするので、ぜひフロンターレのゴールシーンはちょっと前から見てもらいたい。


    シュートの能力の高さはゴールシーンを見てもらえば詳しく言うまでもない。
    ダイレクトプレー、ドリブルからのシュート、レンジの長さ、両足、どれをとっても一級品だ。


    ドリブルはどうしてもフィジカルで押しのけたり、当たってきた相手を跳ね返したりするシーンが注目されがちだが、相手選手だって家長のフィジカルは理解したうえでやっているという事を思い出してほしい。

    大久保嘉人などフロンターレの選手のドリブルは「適度に晒す」というのが特徴で、相手に飛び込めると錯覚させて飛び込んできたところをかわすのが極意だ。

    家長にまともにぶつかったら厳しい相手でも、晒されるせいで当たりに行きたくなってしまう。もちろん無理は承知で当たりに来させる状況でドリブルをできるという見方もあるが、フィジカル勝負に持ち込めるテクニックというのも家長の武器である。


    ・視野の広さ


    特にフロンターレに来て家長の眠っていた才能の中で出てきた部分は視野の広さだと感じる。

    連携を重視するこのチームにおいて、重要なピースである家長に求められるタスクは多く、それの選択には広い視野が絶対条件だ。
    本人や監督が言うには、逆に多くのものが見えすぎて強硬策ではなく安全策に行ってしまうのが難点との事。

    確かにシュートセンスもある家長なら、急所へのパスと撃ちこみのシュートの両方の選択肢をちらつかせることで、相手としては難しい判断をしなければいけなくなる。

    シーズンレビューで言っていた監督のまだまだ伸びると言っていた真意の多くはこの部分だと思っている。


    かなり長くなってきたので残りの項目は続きに書きます
    今回はこのへんで。


  • ジェフのハイラインハイプレスVS松本山雅

    2018-12-17 10:43

    高い位置からプレスをかけて積極的にボールを奪いに行くという戦術は、実はハイラインハイプレスを志向するジェフとマリノス以外のチームも、部分的にはやっている。

    もっと言えば、J1を 最多得点最少失点という圧倒的な強さで連覇したフロンターレも、中村憲剛やFWが高い位置から守備のスイッチを入れることが最少失点の大きな要因だったことからもわかるように、

    「高い位置から守備をする」

    という考え方は間違っていないどころか、むしろ推奨されるべき守備方法である。

    しかし、ジェフは72失点。
    どうしてここまで守備が脆くなってしまうのか。

    そういった疑問に答えを出していこうと思う。


    一番特徴的な部分は攻撃から守備に変わった直後にある


    ジェフが今年戦った相手の多くは「ジェフと殴り合って勝とう」という戦い方ではなく、「ジェフの攻撃の隙をついて行こう」という守備からスタートした思考のチームが多い。そして、シーズンダブルを食らった相手や戦績がかなり悪かった相手の多くは、守備がベースのチームである。

    ジェフの攻撃力に疑いはない。実際72得点はかなり優秀な数値だし、守備から入るという選択を相手に強要させれるだけの結果と言える。

    しかし、その攻撃の圧力を高めるという選択肢は、守備の脆さを露呈させるという条件と交換で手に入れた結果となってしまった。

    ジェフの攻撃時の守備リスクの管理に注目して見ていこう。


    情報取集に使ったのはDAZNのハイライト動画や、ジェフの親切で情報量の多いホームページの試合記録。それからヤフーのスポーツナビの情報と、ウィキペディアなどで選手の経歴の情報収集などをした。


    試合結果を、特に敗北した試合結果の情報を見て感じたことは

    「被シュート数に対する失点率の高さだ」

    これはジェフの公式ページのデータでの意見

    特徴的な物は

    リーグでの対松本山雅の2試合

    2-4と2-3で撃ち合いの末両方とも敗れているが、その2試合合計の被シュート数はたったの18だ。
    18本のシュートで7失点なので、2~3本に1本は決められているという、感動するほど高い決定力を見せつけられている。

    ちなみにジェフの4得点のために撃ったシュートは17本。
    攻撃でどうにかするチームのはずが、片方の試合ではシュート数すら負けている。
    完全に攻撃がシュートで完結する前にボールをかっさらわれて、それを反撃につなげられているのは容易に想像できるが、実際に映像で見たところ、失点理由は以下の通り。

    ビルドアップに失敗して高い位置で奪われたパターン 1
    セットプレー 2
    前田の裏抜け 3
    サイドの空間抜け 1


    この7点で注目したいのはまず前田の裏抜けの2本

    前田の速さは国内最高クラスだというのは有名な話だが、そういった相手が居るのをわかってても大きく前進しての守備をするのがこの監督だ。
    綺麗に抜き切られたわけではないパターンもあるが、相手の長所をいかんなく発揮させて失点を重ねるというのはどう援護しようとしても無理だ。


    サイドの空間空けというのは、27節の51分ごろの失点シーン

    ある意味前田にやられたシーンより酷い。
    この画像が得点した岩上にボールが行く瞬間



    何がおかしいかというと、いろいろとおかしい。シーンを振り返って何度も見れば見るほどおかしな部分が見えてくる。

    1つづつ解説していこう。


    1.隙は「高さ」だけでなく「ゴール斜め前」にまでできていた


    白47番の岩上の立ち位置だが、どう見てもペナルティエリアの横幅くらいの広さで走ってきている。しかも大外から回り込んできたのではなく正面への直進で上がってきている。

    しかも最も近い千葉の守備のプレスはこの距離では秒単位で遅れる。
    実際このゴールはゴール前まで侵入してシュートを撃つまでドフリーと言って差し支えないほどの余裕があった。

    写真の時点でゴール前まで松本は2人来ていて、岩上が走りこんでいっているわけだから、守備をすべきは2プラス1人というわけだが、千葉の守備はというと…?

    こんな状態だ





    たった1秒前だが岩上にボールを出す瞬間だ

    見てのとおり人数はかなり多い。松本は左で2枚のパス交換をしてこの形になったが、千葉は2枚は枚数が多い。
    前線にもマークはとりあえずついているし、ボールホルダーと前の距離感があいていて、間に守備もいる。

    画面内に8人居ることからわかる通り、この枚数でしっかり守備をすれば普通に守り切れるだけの枚数は揃っているのだ。

    しかしコートの右半分のこれだけ固まれば、逆サイドは大きく空間が空くのは必然。
    その空間にボールと人を流し込んでの得点というのは、起きるべくして起きた事だというのはわかるだろう。

    どうしてこうなってしまったのか?
    というのを次の項目にする。


    2.プレスをかけきっていない、剥がされてからの再配置が遅すぎる


    本来ここまで相手をサイドに孤立させて、守備が人数揃えることができれば網にかかった相手と言える。それにに対して「網を縮めてボールを奪いきる」作業をしないといけない。

    しかし、このシーンを通して見ればわかるが、身体を当てに行ったら球を叩かれるという状況に対して、周囲の選手が全く連動していない。
    既に岩上のマークを完全に外して視界の外に置いてしまっている状況で、この位置でフリーな瞬間というのは絶対に作らせてはいけないのだ。

    千葉は前線からの遅いとはいえプレスバックもしてきているし、サイドの位置で3対3の数的同数が発生している。
    この状況は松本13番の中美選手がサイドに流れながら受けるることで作った状況だが、この状況を作っている時点で全てのマークが遅れている。


    マークが一切機能していないまま、自分達から見て右サイドにごちゃごちゃと寄ってきてしまったのだ。


    そして最後のパスの瞬間に頑張って寄せているのは22番の前めの選手。もちろん相手を後ろから追う形になっている。
    それを見てなのか、サイドの2枚や相手の前で微妙な間合いで待機している選手の合わせて3人から見えるのは「緊張感の無さ」。

    マークが遅れているのに再配置のための動きが無い、もしくは急いでいる様子が一切見えない。
    人数はいるが守備をしている人数は少ないというのがこのシーンの特徴だ。


    3.岩上のシュートも本来なら止めれたし、岩上がシュートせずとも失点していた


    斜めの岩上へのパスが、微妙な位置に居たジェフの選手の背中に当たって方向が変わるという不運はあったとはいえ、まずプレスバックの選手が遅すぎる。

    大きな空間が空いてるにもかかわらず何の意味もない高い位置で浮いてた上に、戻ってくるのも遅い。

    DFも、最後にキーパーを助けるためにコースを消しに行った選手の動きにも改善ができそうな部分は多い。

    DFで言えばセンターの2枚が最終的にはマークを全放棄してゴール前で慌てているが、もし岩上のトラップがずれたりして一瞬遅れて、ショートではなくパスを選んだ場合、前田も永井もパスコースはがっつり空いていたため、そこから決められていただろう。

    岩上に綺麗に決めきられるという最悪な結果となったが、それを防いでも2の矢3の矢でほぼ間違いなく仕留められていたとなると、もうどうしようもない。



    ラインを高めることでディフェンスの裏に空間ができてしまうのは仕方ないが、中盤にすら大きな空間ができてしまうというのはわかっただろう。

    ビルドアップの時のミスも含めてこういった事例には共通の理由がある。



    「ただディフェンスラインを高くしただけ」



    裏を大きく開けるという状況は、相手が高い位置まで攻撃してきている時には選択できないというのは基礎編で説明したが、ここまで説明したシーンでは軒並み守備のラインは高くなっている。
    守備のラインを上げるための動きをしてから、守備を固めれていないのである。

    いわば「ただ高くしただけ」なのだ。


    ラインを高くできる瞬間は大きく分けて二つあり

    ・攻撃をして攻め込んで高くする
    ・相手にボールを持たれていても守備で押し込む

    この二つだ

    どちらが理由でも、守備のラインを上げるとこまでは皆がやっているが、細かい調整ができてないことが多いのだ。
    よくあるパターンは、マークしてるのかしてないのかよくわからない距離感。人が居るのに守備のプレッシャーがかかっていないという状況。

    裏にパスを通すなら、できる限り近くから蹴り、球の到達までにかかる時間を減らすことが有効だ。
    そうすれば相手のカバーが来る前に貫けるからだ。

    裏を空けながら通させないようにするにはそういった事の逆をすればいい。

    ・まずはしっかり足元に入らせないようにして、選択肢を裏に限定させる
    ・ボールの出所と受け手の距離を遠くするようにする

    といったような守備の考えはハイラインをするうえで絶対に必要なのだが、ジェフの場合、相手の中盤にすらプレスが遅れて行くことが多く、そのセオリーとはかけ離れてしまっている。



    こういったシーンを減らして守備を固くするには



    まずはよく言われているのが「プレスをしっかりかけきること」だ

    前から圧力をかけてショートカウンターが決まるシーンというのはそれができている。そこまで成功することにならなくても、プレスをかけたらしっかりかけきるところまでやるべきだ。


    J1の前線からの守備で嫌だなと思われる選手は、プレスをかけるべきと感じればかなりポジションから外れた位置まで追いかけてくるし、身体当てに行く時にはファウルになる事もあるくらい激しく行く。

    もちろんファウルはするべきではない場合が多いが、ジェフの前からのプレスには強度が足りないというのは見ててよく思う。


    そしてプレスをかけに行く味方が居た時には「空間のリスクをしっかり管理」すること。


    プレスに行って奪いきれなければ、プレスのためにあいた空間は相手の有利な空間になってしまう。
    まずはそういった空間をカバーする動きを周りができなければ、自滅と言ってもいい。

    プレスをしっかりかけに行くと言ったが、逆に言えば、周りがカバーできないのであればプレスには行き過ぎないようにするとか、プレスのかけ方に「プレスをかけに行かない」という選択をする質も求められている。



    そもそもディフェンスラインを上げないのも手


    本末転倒な話ではあるが、42試合で72失点するような守備は普通なら改善をするために必死になるべきだ。
    メンバーも含めて守備に定評のあったマリノスが1試合平均1.647という失点率だったのに対して、ジェフは1.714ともう一回り高い数値になっている。

    しかもJ2の方が試合数が8試合多いので数値の信頼性はさらに高いと言える。

    3シーズン目ということもあって、監督の慣れなども色濃く出てくる頃合いになってきているので、いつまでたってもこんなハイリスクローリターンな事を続けるようなら、解任も手段ではある。

    目安のラインは初年度の6位。ここから大きく下回り、今年のような残留争いが見えるような位置に行ってしまった場合は、やるべき事をやるのが賢明だと思う。