ブロッキングについて
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ブロッキングについて

2018-04-24 17:48
  • 50

ブロッキングに関連する話題が沸騰しています。


この話題について書く前に、まず私の立場を明らかにしておきたいと思います。まず、私はカドカワ株式会社の代表取締役社長を務めており、子会社には大手出版社である株式会社KADOKAWAがあるという意味で当事者でもあります。また、カドカワのもうひとつの子会社である株式会社ドワンゴは、ニコニコ動画などを運営しているウェブ企業であり、私はドワンゴの創業者でもあります。そういう意味では、今回のブロッキングについては出版社という権利者としてだけでなく、規制される可能性を心配すべきかもしれないウェブ事業者でもあるということで、2重の意味で利害関係者となります。

さらには、政府の知財本部では本部員として、今回の緊急対策にいたる重要な会合の多くに出席しており、その当事者のひとりでもあります。


結論からいうと、今回の緊急避難的な3サイトのブロッキングについて、積極的な姿勢を示した政府の決定を支持します。ネットなどをみても、議論に時間をかけていない、いきなりすぎると、批判の声があがっていますが、政府がいかに緊急の事案であったとしても、こんなに迅速に対策を練り、実行にうつすのは珍しいことではないでしょうか。普段、政府の行動の遅さ、危機感の無さに文句をいっているであろう我々が、政府の行動が早いことに対して、まず批判から入るのはフェアではないと思います。


もちろん、法治国家として法制化を先行するべきだという意見は、正論です。しかし一方で、増大する海賊サイトの被害と、インターネットの世界の変化の早さにともなう手口の悪質化に対して、これまでの政府の著作権法等の法改正の議論はあまりにも時間がかかりすぎていた、というのも事実です。


いまの緊急避難的なブロッキングはあくまでも臨時的、かつ最後のものとするべきであり、ちゃんとブロッキングの法的な根拠を定めた立法化をおこなったうえで、行政からの指示ではなく、違法かつ海外のサーバーで日本人向けのサービスをおこなっていて、連絡がとれないなどの悪質のサイトにかぎり、裁判所の仮処分申請でブロッキングできるような環境整備をできるだけ早期におこなうべきだと考えます。


今回、悪質と名指しされた3サイトの中でも、特に漫画村による被害は甚大です。いまや若い世代は、電子書籍は買うものではなく、漫画村で読むものだという文化まで定着しつつあります。現在、出版業界は紙の出版物の売上が長期的な減少傾向にあるなか、電子書籍の売上増になんとか将来の望みをつないでいる状態です。まだ、紙の書籍の売上減を埋め合わせるほどではありませんが、電子書籍の売上はこれまで、毎年、着実に増加してきました。この売上の増加ペースが昨年の8月以降、多くの電子書籍サイトで急減しています。特に電子書籍の中でも電子コミックについては前月比で減少するようにまでなってきました。

紙の出版物から電子へと移行するどころか、まだ、充分に成長していない電子書籍の市場まで壊滅しつつあるのです。


特に若い世代では、電子書籍を買わないどころか、ただでネットで読めるのに紙のマンガをなぜ買わないといけないのかという認識まで広がりつつあります。この世代はまだ購買力の低いひとたちが中心ですが、10年後、20年後、いま書籍を買っていただいている年齢層まで次第に成長していくことを考えれば、出版業界は非常に危機的な状況であるといえるでしょう。


出版社側の立場としてここまで書いてきましたが、海外の違法サイトに対してブロッキングが唯一、有効な対抗手段だという指摘は、じつは出版社である現KADOKAWAとドワンゴが経営統合する以前から、私が唱えている持論です。


なぜブロッキングが、海外の違法サイトに対して唯一、有効な手段かというと、海外に置かれているサーバーに対して、日本の公権力を具体的に行使する手段がないからです。海外におかれているサーバーが日本人向けのサービスをやっている場合は日本の法律が及ぶし、日本でも裁判ができるという考え方はわりと最近は一般的なものになってきました。ただ、判決に強制力が伴わないので、たとえ日本の裁判に勝ったからサーバーを止めろといっても相手が従わなかったら終わりです。結局、現地で裁判をおこすしかありません。日本人向けの違法サイトをわざわざ海外のサーバーにおく業者は、日本人が裁判をおこすのが難しい、あるいは現地政府の強制執行力もあまり期待できない国をわざわざ選びますから、非常にやっかいです。


現実問題として、海外の悪質な、確信犯的に運営されている違法サイトに対しては、ブロッキングしか対抗手段が原理的にありえないということは強調したいと思います。そしてインターネット業界がこのことを分かっているはずなのに回避手段があるからと曖昧に誤魔化していることは、欺瞞であるとさえ思います。


実はブロッキングに対してインターネット業界から出ている批判は一点で、ブロッキングには回避手段があるから実効性に欠けるということだけです。では、別にブロッキング以外の技術的な解決策はあるのかというと、だれも答えられません。インターネット以外の別の方法で、という主張になるのでしょうが、さきほど説明したとおり、日本の法律と強制力が及ばない海外において、どういう手段があるのでしょうか? 要するにすべて現地で裁判をおこせ、ということになりますが、裁判が時間切れで役に立たない手法はすでにCDNと防弾サーバーという組みあわせで実現しています。CDNとは、世界中に配置されたサーバーを使ってコンテンツを配信するサービスです。また、防弾サーバーとは、誰が運営しているかわからないように匿名化されているサーバーを指します。漫画村をはじめとする違法サイトはこの2つを利用して運営者の身元の特定ができないようにしており、海外で裁判を起こしても被告の特定だけで膨大な時間がかかり、その間にIPアドレスのログの保存期間が切れるので追跡不可能になります。そして裁判の間もずっと被害は拡大し続けるのです。


結局、回避手段があるとしても、根本的に有効な方法はブロッキングしかありません。


ただし、根本的な解決にはなりませんが、有効な方法は他にもあります。ネットのこれまでの議論でも指摘されていたとおり、違法サイトの収入を断つ。具体的には広告を掲載できないようにするという方法です。これは、それなりの効果はあげます。有力な対策として、ぜひやるべきです。しかし、この方法にはいくつか欠点があります。


・ まともな企業は協力してくれるが、海外のアドネットワークを経由したり、出稿元がアダルトサイトなど、イメージの毀損をおそれないサイトの場合は、広告を止めません。

・ 違法サイトが破壊するコンテンツ市場のマーケット規模に比較すると、きわめて低額でサイトの運営は可能です。たとえば漫画村以前に話題になり大きな被害をもたらした類似のサイトである「フリーブックス」は、広告を一切掲載しなかった。もともと収入源を気にしない相手の場合には効力を持ちません。


また、CDNをまず叩くべきだと議論があります。これも大切な視点ではあります。この場合のCDNというのはほとんど固有名詞であって、クラウドフレアという米国の会社です。ここはインターネットにおける海賊行為を支援する明確なイデオロギーを持っている会社として有名で、ほぼ交渉不可能です。米国でも問題となっていて、裁判で先日敗訴したので、これからは運営方針が変わる可能性はありますが、現状は交渉可能な相手ではありません。


やはり根本的な解決法としてはブロッキング、およびそれに類する方法しかないのです。


ブロッキングは通信の自由、検閲、表現の自由など憲法に触れる可能性があることが指摘されています。しかし、ブロッキングの根本の問題は、日本の法の及ばない海外のインターネットから、日本に住むユーザーへ違法サービスを提供するという、法の抜け穴をどう埋めるかということなのです。


そもそも法治国家の根幹とは「法を執行できること」ではないでしょうか。


海外のインターネットを使って、日本の法律を適用できない場所を意図的につくる犯罪者に対して、どういう強制執行力をもてるかという問題なのです。そのためにはブロッキングかそれに類する手段しかありません。ネットの批判の中には、中国の金盾(グレート・ファイアーウォールとも呼ばれる、国家によるインターネット検閲システムのこと)のような検閲社会につながる、という懸念がありますが、今回のブロッキングは中国のものとは根本的に異なります。天安門という文字を含むウェブサイトは見られなくするというような思想統制につながるような話ではなくて、日本の法律が及ばない海外で日本向けの違法サービスをおこなっているサイトをブロッキングするだけの話です。むしろ法治国家としては当然の行為ではないでしょうか?


違法サイトを運営しているひとたちは日本の法律の抜け穴を知っていますし、その抜け穴が簡単には埋まらないだろうとたかをくくっていますが、潜在的には自分たちがやっていることは禁止されて当然だと思っています。だから、今回、ブロッキングも辞さないという政府の発表を受けて、慌てて自主的にサイトを閉鎖して逃亡したのです。


今回の政府の発表が、もし、慎重に法制化を含めて検討する、だったら、海賊サイトの運営者たちに、鼻で笑われて終わりだったでしょう。


これまで私は5年ぐらい知財委員会などで、国境をまたぐ違法サイトはブロッキングでしか根本解決しない(正確には世界統一でもして国境をなくせば別ですが)ことを指摘してきました。賛同者は次第に増えてきましたが、いままでほとんど議論はおこなわれませんでした。風向きが変わったのは漫画村の前に問題となったフリーブックス以降です。昨年8月以降、フリーブックス閉鎖後急速に成長した漫画村の実態が明らかになり、今年に入ってからブロッキングの議論が一挙に進展しました。いくつかの偶然が重なった奇跡的なことだと思います。


今回の政府のブロッキングにかかわる施策を拙速だと批判するよりも、変化の早いネットの世界に比して対応が後手にまわりがちで時間もかかっていた法制化の議論を、一挙に進める好機だと関係者の皆様には捉えていただき、違法サイトに対して実効性のあるブロッキングの法制化にむけて、みなさんの知恵をお借りできればと思っています。


カドカワ株式会社 

代表取締役社長 川上量生


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他40件のコメントを表示
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【拡散希望】みなさん8.8.8.8などGoogleが提供している安全なパブリックDNSを使って遺法なブロッキングを回避しましょう。
7ヶ月前
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>>43
まずニコニコの違法動画はかなり早急に削除されている。
そしてなぜYouTubeに話がいかないのかわからない。
とにかく色々勉強した方がいい。視野がせますぎる。
お前みたいなバカが日本をダメにしている。
7ヶ月前
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>>45
よう漫画村管理人
悔しいか?お?悔しいか?お?
7ヶ月前
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>>46
少なくとも見知らぬ人間にバカ呼ばわりする奴より馬鹿じゃないね。
お前みたいなやつがいるから日本の低脳化が始まっている

消えてどうぞ^^
7ヶ月前
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カドカワ株式会社 代表取締役社長 川上様

1点、ご教示ください。

>CDNとは、世界中に配置されたサーバーを使ってコンテンツを配信するサービスです。(略)
>そして裁判の間もずっと被害は拡大し続けるのです。
>結局、回避手段があるとしても、根本的に有効な方法はブロッキングしかありません。

>インターネットにおける海賊行為を支援する明確なイデオロギーを持っている会社

当該違法webサイトの配信にcloudflareというCDNをつかっております。

一方、御社配下に存在するニコニコ高校(https://nnn.ed.jp/)がありますが、
こちらもcloudflareをつかっている事を確認しました。

この点についてどのようにお考えでしょうか。

自分たちはその違法性の高いCDNサービスを平気でつかっていても問題ないとお考えでしょうか。
次のblogにてそのご回答をお願いいたします。
7ヶ月前
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勉強になりました。これからも健全な対価の伴う経済社会の構築と発展にご尽力いただければと思います。
人様の積み重ねと努力には相応の対価で応えることが当然な日本でありますよう。
7ヶ月前
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極めてなにか生命に対する侮辱を感じます
7ヶ月前
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何もかも手遅れなニコニコ
信頼を取り戻すのはほぼ不可能
7ヶ月前
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レッツゴージャスティーン!
7ヶ月前
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http://ch.nicovideo.jp/kawango/blomaga/ar1496563

> 結局、回避手段があるとしても、根本的に有効な方法はブロッキングしかありません。

結局、根本的に有効な方法は
・野生のホワイトハッカーが漫画村の広告業者を抜く
・ネットメディアが広告業者の元従業員に取材して、闇を明るみに出す
だったわけですよね

DNSブロッキングは、「やったか?!」と言いながら放つフラグだらけの核兵器ですが
偉い人が所持しているリソースではそれしか選択肢がないのであれば、それを決断するのは分かりますし、
それしかないのであれば、スピードが命なのも分かります。

でも結果として撃つ前に未然に危機を防ぐ役が、偉い人たちじゃなかったのは
仕方ないじゃないですか。

野生のホワイトハッカー(20代)
ネットメディアのライター(20代)
悪徳広告業者の元従業員(20代)
どういう選択肢をとっても、かわんごさんがこの中の一人にはなれませんて

かわんごさんにしか出来ない役目は、
このやたら技術的な話を分かりやすく、漫画村の被害を受けていた作家さんたちに説明して、
称賛されるべき人が称賛されるようにすることかと。

「偉い人たちが解決できなかった漫画村を、異端の若者3人が解決した」とか
みんな大好物な展開ですし

その上で「漫画村が再び動き出した時は、我々はいつでもDNSブロッキングを発動する」とかやればいいんじゃないかと
7ヶ月前
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