• Play cat's cradle〔2. Create Of Love〕

    2018-10-20 00:30



    天野亜依という名前が気に入っていた。


    愛を縫う天人のような、はたまた亜麻色の髪の乙女のような、それでいて天邪鬼のような.......とかくこの響き、漢字の感じが私は好きだった。

    過去形になってしまったのは、きっと、愛は一人では創ることが出来ないと経験則で学んだからかもしれない。自分本位に云うならば、愛を創ろうと私は努力した。努力というと義務的に聞こえてしまうけれど、私は私に関わる人を心から愛したと思う。けれど返ってくるものは、愛を繕った別の何かだった。みんな愛を創ろうとして、愛を繕ってしまうのかもしれない。そして私から消えていく。私からだって消えていく。それでもきっと、代わりはいくらでも作れるんだろうなと、そんなことを考える。

    同じ人が存在し得ないこの世界で代わりなんてあるはずはないけれど、空いた穴を塞ぐ代わり役はきっといくらでもいるのだろう。

    空いた穴は不思議と早く塞がった。
    だけど、そんな代償の少ない愛なんて要らなかった。うがい薬みたいなもんだって、そう思った。だから代わりなんてない、空いた穴は一生塞がらない、塞ぎ役の代わりもいない、そんな相手と出逢いたかった。

    ......否、いま、私はようやくそんな相手と出逢えたのかもしれない。

    いま、私は愛を作れていると感じている。
    相手はほとほと情けのない男の子だけど、それでも、お互いに愛を作り合っていると信じている。祈っている。

    そう、祈って言える。誓って言えるんだ、私には、この気持ちに嘘なんて微塵もないと。
    それから、どうかあなたも同じ気持ちであってほしいと祈る。心の声はどんなに近くにいても聞こえないから不安になってしまう。


    傷は癒えるよ。
    跡は残っても。
    縫い合わせたら、
    今度はあなたも私を縫って。
    愛は2人で作っていくものなんだよ?


    ......彼はいまこの瞬間に何を考えているのだろうかと、ぼんやりとにのちーのことを思い浮かべながら、ほつれた糸をまた見つけちゃったから、それを縫うために、彼を想う。


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  • Play cat's cradle〔1. Cant' stand be now〕

    2018-10-20 00:26




    僕は一人で口ずさむ。今僕の隣にはもう誰もいない、と。


    本当は"You Cant'stand be now"と口ずさむ箇所なのだけど、youはCant'ではなくて、今の僕には隣にいてくれる人がいる。

    大きな変化だ。それは本当に大きくて素晴らしい変化だと思う。

    思っているにも関わらず、今僕の隣には誰もいないと思い悩み、自分で作った孤独の檻の中で口ずさんでいる。

    何度も、一人で。


    『Cant' stand be now』はThe libertiensというイギリス産のクールでクレイジーでセンシティブなバンドの曲だ。
    いわゆる某SNSで使われるところの#NowPlayingというやつで、さっきから脳内で延々とぐるぐるとレコードが回っている。

    この檻から出たいという気持ちの現れかもしれない。最近はセンシティブな曲ばかり....いや、無駄に上手い言い回しをする必要なんてない、そんな器でもないし。

    だから、要はネガティブな音楽が鳴り止まない日々が続いている。
    脳内レコードの針は止まらない。
    それは不協和音と神秘的が入り交じるメロディーの曲だったり、単純に繊細でナイーブ(同じ意味か)な歌詞の曲だったりする。


    「......苦しいな」


    またため息に甘えた言葉を含み吐き出した。
    苦しくなったのは誰のせいなんだろうねえ。
    ......閑話休題。
    僕の名前は一之江一樹だ。
    名前に間違えはないはずだから、改めて確認してみる。僕の名前は一之江一樹だ。
    うん、よし。
    歳は24、身長は170くらい、猫背、痩せ型、髪は前髪が目にかかるくらいの長さで.......あー、だけど、ほんの少し昔自傷行為のついでに僕は髪をなくした。笑えるよなあ、ほんとに。伸ばしかけで癖毛混じりなショートヘアに、童顔。うん、こんなイメージだ、僕のなかの僕は。
    ちなみに今はちょうど正午のチャイムが鳴ったあたり。寝起き。寝起きは妙に腸がぐるぐると回っている。
    トイレにはなるだけ行きたくなかった。
    強迫性障害を患っているから。

    もうこれだけでぼくがどんな感じの生活を送っているかわかるよね。悲しきかな。ざまーみろ。色々渦巻く、お腹が痛い、今はトイレに全て流すと考えて向かおう。
    木造アパートの片隅の、自分で創った檻の中で、また今日も一日が都合悪く始まった。


  • 遠ざかる前に

    2018-10-18 17:16
    大事な事は 人を選べない
    憎んだ人たちの向こうに 答えがある

    この部屋を片付けて 何かを見つけに行く

    おかしくなっても 上手く歌えても
    画面の向こうには 正しさはない
    行きたくなくても 生きたくなくても
    答えはやはり 其処にしかない


    死んだように見えても まだ良さが残っている
    破かれていない 一枚の手紙

    頭の中で騒ぎ出す 何かを止めようとして

    上手くいっても 調子が良い日も
    本当の姿を見失わずに 
    苦しくなっても 狂おしくなっても
    遠ざかる前に見つめたい


    伝えたいものを探すんじゃなくて
    今出来ることを 今も探している 儚いこの気持ちのままで


    おかしくなっても 上手く歌えても
    画面の向こうには 正しさはない
    行きたくなくても 生きたくなくても
    答えはやはり 其処にしかない


    裏切られても 裏切っても
    この先はよく見えないから
    欲しいものも 探したいことも もう
    この手の中に 既にある