"勝ちたい奴は『休み明け』を買え"は本当か?
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"勝ちたい奴は『休み明け』を買え"は本当か?

2017-08-03 15:17
    あなたは、この本をご存知でしょうか?
    紛れもなく良本であり、私もオススメしたい本です。

    勝ちたい奴は『休み明け』を買え!(amazon)


    今回はこの本のタイトル"勝ちたい奴は『休み明け』を買え"は本当かどうかを検証したいと思います。

    その前に

    予め断っておきたいのですが、この記事は本を批判する目的ではありません
    本から学んだ内容も多く、小倉の馬券師Tさんのメルマガも購読しているくらい信用に足る人だと思っています。
    では、何故今回このような記事を書くのかというと、変動オッズ制における日本競馬で、休み明けが現在でも買いファクターであるのかどうかを調べておきたい。という理由です。つまり、この本の影響力は大きいと考えています。

    小倉の馬券師Tさんは、逆張りを信条とされています。つまり、自分自身が書いた本によって今まで逆だったことが、世間との認識ギャップが失われてしまっている場合には、逆張りにはならなくなってしまいます。
    どういうことか少し詳しくお話します。
    日本の競馬は変動オッズ制であり、オッズを動かすのは世間の心理です。
    つまり、人々の心理偏りによってオッズに歪みが生まれ、勝率に対してオッズに妙味がある(おいしい)馬券を獲ることによって、長期的な収支をプラスにすることができます。

    『期待値=勝率×オッズ』

    どれだけ強い馬でも、それに見合うオッズが低すぎると期待値は低い馬となります。
    競馬は、馬は生き物で騎手も人間、厩舎関係者も人間です。生物がやることにおいて、勝率を正確に計ることはできません(ある程度は予測がつきますが)。
    そして、オッズというのは世間の心理の集合体です。
    つまり、競馬とは正確に計ることができない勝率と、正確に読み切ることができない世間の心理の集合体に対して、何らかのスクリーニングを行うことで、正確には計算できない期待値を稼ぐゲームである、と言えます。

    少し回りくどかったですかね?要は世間との心理バトルだと思ってください。

    では、再度この記事のテーマ「競争馬の『休み明け』は『現在』でも買いファクターなのか?」
    本を出して多くの人に影響を与えるということは、どういうことなのか?
    それを検証するのが今回の記事です。


    "勝ちたい奴は『休み明け』を買え!"の発売日:2014/6/27

    2014年6月27日に発売されてから、世間の人々に影響を与えたと考えます。
    本を出版されてすぐに考え方が浸透するわけでもないでしょうが、一つの区切りとして考えていきます。

    今回、データを検証する方法は
    期間:2010年~2017年7月まで
    対象:単勝オッズ50倍以下
    とします。単勝オッズを50倍以下とするのは、競馬には全く能力的に話にならない馬が全体としての回収率を20%近くも押し下げることになるので、50倍以下に絞ることによってある程度馬券圏内に入り込むと考えられている馬だけで調べます。
    ちなみに、本の中では単勝オッズ20倍以下に絞っておられますが、50倍以下で検索したほうがかなりサンプル数が稼げますので、今回はこうします。

    他にも本の中で紹介されている、休み明けとの組み合わせのファクターについても検証しようかと思いましたが、本のネタバレになってしまいますのでやめておきます。皆さんが買って読んでください(笑)。


    検証

    全データでの勝率、回収率です。
    この数値が基準となります。



    サンプル数は芝とダート合わせて218491頭
    その内、休み明け(10週以上間隔の空いている馬)に該当する馬は、41890頭です。



    全データの複勝率30.0%と比較すると、
    10-25週の間隔で複勝率26.6%
    半年以上の間隔で複勝率23.0%
    馬のパフォーマンスは下がると言えます。

    また、回収率も全体の複勝回収率81%に対して、休み明けの回収率も「買い」と言えるようなファクターであるようには見えませんね。

    実は休み明けに関しては一つ重要なファクターが存在します。
    それは「性別」です。
    牡馬と牝馬では、休み明けのパフォーマンスに明確に違いが出ます。



    上のデータが牡馬、下のデータが牝馬です。
    牡馬は休み明けでもそこまでパフォーマンスを落とさないのに対して、牝馬は休み明けだと酷くパフォーマンスを落とすことがわかります。

    よって、牡馬の休み明けが買いかどうか?をデータでみます。


    年月別で牡馬の休み明けの馬のデータです。



    赤色にした2014年の6月に本が発売されました。とはいえ、一概に本のせいだけでオッズが動くわけではないのですが、今回はそこを基準にデータを分けます。
    一覧でみても少しわかり辛いので、2011/7~2014/6(3年分)までのデータとそれ以降のデータ(3年分)を比較してみます。



    2014/6を区切りにして3年分のデータを比較するとこのようになります。
    注目していただきたいのは、前3年と後3年で勝率連対率複勝率はほとんど変わらない数値であること、単勝平均オッズ、複勝平均オッズにおいて、後3年のほうが低くなっていることです。
    勝率・連対率・複勝率に変化がないのに、平均オッズが下がるということは、当然回収率が下落します。

    とはいえ、牡馬の休み明けであれば、単勝適正回収値80%複勝回収値81%なので悪くありません。しかし、これを『買い』ファクターとして扱うのは、現代では難しいと言えます。

    結論
    • 牡馬の休み明けは、現代では回収率的にフラットにみる
    • 牝馬の休み明けは、大幅に減点評価
    現状では、休み明けの馬が過小評価されなくなっている傾向にあると言えます。
    休み明けに対する認識が是正されてしまえば、世間との認識ギャップはなくなりますので当然ですが、データを見て気付く人が認識を改めるまでの間は、休み明けというファクターは買い続けられる可能性もあります。
    よって、むこう1,2年の間は休み明けの牡馬でもやや割り引くくらいがちょうど良いのではないでしょうか?これは予測の範疇ですが。
    また、牝馬の休み明けに関しては、依然として過大評価が続いており、その理由が「牝馬だから何があるかわからない」くらいでテレビの解説が片付けてくれてる間は、すんなり消しファクターとして使い続けられそうだとも予想しておきます。

    以上。
    ここまで読んでくださりありがとうございました。


    補足

    最後に補足として、牝馬の年月別のデータです。


    牝馬は、基本的には牡馬と比較してスタミナが少なく、持続力やスタミナ勝負のコースでは走らない傾向にあります。しかし、近年の高速馬場化によって、牝馬もスタミナではなく瞬発力を活かして勝てるケースも増えている傾向にあります。勝率や連対率、複勝率が昔に比べて高くなってきているのはそのためです。
    しかし、適性のあるコースになってきたと言っても、休み明けの馬は人々の期待ほどは走らないということをデータが示しています。
    牝馬は何があるかわかりませんからね。

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