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【小渕高慶のWIN5回顧】
安田記念・人気のあの馬より狙いたいのは……
秘書(や):先週のWIN5は、4-15-4-1-3番人気で決着して1億8249万3460円の払戻金。小渕さんは東京8Rのニシノボレロ、京都9RのジョウノボヘミアンがハズレてWIN3でしたね。振り返っていただけますか?
小渕:先週は芝もダートも前残りが多い馬場コンディションだとわかっていながら、東京8Rと京都9Rで前残りを取り逃す始末。後半3Rの見解はほぼ完璧だっただけに、この超高額配当を仕留められなかったのは非常に残念ですね。まぁどちらも若干事故っぽい結果ですが、そのあたりまで許容範囲を広げた予想で、ひと波乱を拾えればこれだけの配当がいただけるのですから、何かが起きそうなところは総流しをする勝負をしてもいいのかも知れません。
秘書(や):東京8R、京都9Rは前残りを警戒しながらもどうしてハズレてしまったのですか?
小渕:東京8Rはニシノボレロが逃げる展開がわかっていたのですが、マイネルテンクウとダノンシンフォニーが番手から早めに動いていくことがミエミエで、ダノンシンフォニーの力をもってすれば、前はあっさり捕まえてくれると考えたのです。それが、抜群の手応えで進みながら、直線で追い出すと左に右にモタレて伸びあぐね、挙げ句は後続の進路を邪魔する始末。おかげでフェデラルホールは歩様が乱れて入線後に下馬していたし、ピュアソルジャーはマトモに不利を受けて大ブレーキを踏んでました。まさに事故です。京都9Rは先行勢をほぼマークしていたつもりだったのですが、ジョウノボヘミアンの突然の先行策までは読み切れず、まんまと押し切られてしまいましたね。デキのいい馬というのは時にこういった賭けに出て、イチかバチかの勝負騎乗をしてくるケースがあるので、今後もこういったデキの良さが目立つ馬には注意が必要です。
秘書(や):今週からはいよいよクラスが再編成されますね。また、馬場の傾向などどのような点に注意したら良いでしょうか?また、具体的に1頭オススメを挙げていただけるとありがたいのですが。
小渕:東京は引き続きの開催で、今週もまたCコース、関西は京都が終わって阪神が開幕週となります。東京の傾向は先週同様と言いたいところですが、今週はあいにくの大雨で馬場はビチャビチャ。日曜の後半にはどうなっているか、今から不用意なことは言いづらいですね。阪神も多少雨が降り始めていますから、微妙なところ。馬場に関しては当日の傾向をしっかりチェックすることが肝心です。そしてそして今週からはクラス再編成が行われるため、オープンクラス以外は降級馬と3歳馬中心のレースが展開されることが濃厚です。ほとんど荒れる可能性はありませんので、しばらくは買い目を絞って勝負できる時期と言えるでしょう。今週の東京メインは安田記念。力関係が掴みにくいレースではありますが、過剰人気が発生しやすいレースでもあり、能力査定をしっかりできれば割と美味しい配当をゲットできるチャンスでもあります。世界一と謳われているジャスタウェイですが、少し前の戦績を考えれば、そこまで抜けて強いのか疑問も感じるところ。海外帰りで鞍上も乗り替わりましたから、ここはワールドエースの方に期待したいですね。初距離だった前走の内容は、マイルへの高い適性を示すモノでしたし、あれでまだデキがひと息だったというのですから、しばらくマイル路線の王者に君臨する可能性だってあると考えています。
【阿部幸太郎のレース回顧】
『運の強い馬が勝つ!この言葉が胸にしみた日本ダービー!!』
サラブレッドとして生を受けた以上、どの馬もダービーを目指すと言われた「日本ダービー」。そこにはオーナーはもちろん、調教師、騎手、担当厩務員、そして生産者。多くのファンを含めた夢や希望を乗せて、選ばれし精鋭、優駿たちは栄光のゴールを目指します。
私は当初からある1頭の馬に目を付けていました。それは皐月賞で◎を打ち、惜しくも3着だったウインフルブルーム。強力な逃げ馬が不在、直線の長い東京で間違いなくスロー。皐月賞よりもウインフルブルームには楽な展開が望める、トゥザワールドは皐月賞の失敗を考慮して、ジックリと行くだろうと予測。となるとスイスイと逃げ脚を伸ばせるウンフルブルームにチャンスあり、と判断したのですが、事態は急変。出馬表が発表されて数時間後には出走取り消し!という衝撃のニュース。
ああ・・と、私は落胆してしまいました。すべてのダービーに寄せる夢や、渾身の予想が砂糖菓子のように崩れ落ちて行く感覚を覚えました。
それでも落胆ばかりしていられません。気を取り直し、頭を前に進めてみました。そこで選んだ馬がトーセンスターダム。きさらぎ賞でクラシック候補バンドワゴンを破った馬です。武豊騎手も皐月賞よりもダービー向きと公言していたくらいでした。実際、皐月賞はインの悪い馬場に脚を取られて伸びを欠いてしまい不完全燃焼。
ところが、枠順が17番枠。この枠から待機策で外々をまわって優勝争いに持ち込むのは至難。救いは流れが遅くなりそうなこと。スタートのいいトーセンスターダムは、前に出て好位置をキープする作戦に武豊騎手は考えているはず。そう感じて大きく取り上げたのでした。
一方で、エキマエという馬が出てきました。ダートの兵庫Chを、やっとこさ押し切ってダービーに登場。芝は1度走ってぼろ負け。普通はこの手のタイプはダート路線を歩むものですが、勝算度外視で、日本ダービーを走らせてみたいという関係者の思いからか参戦に踏み切ったようでした。
となると、この馬が破れかぶれの逃げに出てくるだろう。"先頭はエキマエ、先頭はエキマエです"というアナウンスは、駅前の銭湯のオジサンが泣いて喜びそうなキャッチコピー。このアナウンスは81回のダービーとして、未来永劫出てくるはずです。
陸上自衛隊のファンファーレとともに場内に湧き上がる大歓声。ゲート入りが始まりました。
ややスタートに難があるイスラボニータが好スタート。「他に行く馬がいなかったら自分が行ってもいいくらいの気持ちでいました」と、レース後そう語る横山典騎手。
イスラボニータもまずまずのスタート。トーセンスターダムもポンと前に出ます。ところが、主導権を取るはずのエキマエがワンテンポ遅れてスタート。それでも「オレが行く、オレが行く!」とばかりにエキマエの江田騎手が激しく手綱を動かして先手を取りに行きます。従ってスタートして2ハロン目が10秒6。この流れについて行こうと前に出る1番人気のイスラボニータも口を割り引っ掛かっている様子。内のワンアンドオンリーも掛り気味。懸命に内でなだめています。
2コーナーに向かって離し気味に飛ばすエキマエ。まさに"エキマエ先頭、エキマエ先頭"なのです。2番手でトーセンスターダム。その後に、イスラボニータが引っ張り切れない勢いで3番手。そのあとにインをピッタリにワンアンドオンリー。最後方から追い込んで来るワンアンドオンリーがこの位置をキープ。その直後にはインをピッタリにマイネルフロスト。隣にはタガノグランパ。そしてベルキャニオンが中団の内。アドマイヤデウスがいて、その後ろに2番人気トゥザワールド。さらにその後ろには紅一点のレッドリヴェールとショウナンラグーンが追い込みに賭けます。
前半3ハロンが34秒9、半マイル4ハロンが47秒1。ここからガクンとペースが落ちます。一団は2コーナーをまわって先頭はエキマエ。離れてトーセンスターダム。このあとにピッタリとイスラボニータ。ワンアンドオンリーもやや掛り気味に積極策。中団のインにマイネルフロスト。背後に追走するトゥザワールド。
1000m通過が59秒6平均ペースで流れて行きます。12秒台が続いて3コーナーを迎えました。離して逃げるエキマエは手応えがやや怪し気味。2番手のトーセンスターダムの武豊騎手が少し仕掛けてエキマエを追います。ところが、そのエキマエは4コーナーを前にして急ブレーキ。故障発症で一気に後退して行きます。
4コーナーを先頭でまわったトーセンスターダム。直後にはイスラボニータ。タガノグランパが3番手。内にワンアンドオンリーでマイネルフロストも続きます。中団から外に出すトゥザワールド。
先頭に立つトーセンスターダムに直後で追い出しのタイミングを計るイスラボニータ。直後に忍び寄って来たワンアンドオンリー。そのときでした。外のイスラボニータに並びかけられたときに、驚いたかのように内ラチに激突したトーセンスターダム。大きく立ち上がり落馬寸前。
先頭に立ったイスラボニータを目標にしてきたワンアンドオンリーは、抜群の手応えで馬体を並べて行きます。ゴール前は2頭の叩き合い。懸命に盛り返そうとするイスラボニータ。並びかけたワンアンドオンリー。激しい叩き合いはゴールまで続きましたが、終始余裕があったワンアンドオンリーに軍配が上がり81代目のダービー馬に輝きました。
横山典弘騎手は歓喜のパフォーマンス。天に向かい右手を突き上げ、人差指を突き出し、日本一をアピール。ご来場された皇太子さまも拍手で賞賛。
そういえば、名コンビ横山典弘騎手とワンアンドオンリー同じ誕生日で2月23日。またオーナーの前田幸治さんも同じ2月23日。そして、皇太子さまも同じ2月23日だったのです。
皇太子さまは「そんなこともあるものなのですね・・」と、笑顔で語っておられたそうです。
"ダービーは運の強い馬が勝つ!"その言葉を改めて認識したダービーでした。
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