素数大富豪小説が誕生するまで
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素数大富豪小説が誕生するまで

2017-12-03 00:00
  • 2
この記事は、素数大富豪 Advent Calendar 2017の3日目の記事です。
昨日はせきゅーんさんの「素数大富豪大会告知」でした。
あまり宣伝していないのですが、実は小説投稿サイト「カクヨム」にて、素数大富豪をモチーフにした小説を書いております。

『QK -1213-』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054882787354

今回の記事では、この小説と、その登場人物たちが誕生した経緯を紹介したいと思います。

小説誕生の経緯
元々私は、少し前から「部活もの」を書いてみたいと思っていました。
しかし、スポーツは全然詳しくないし、楽器もほとんど触ったことがない。数学モチーフの小説は「数学ガール」という大御所がいて手を出しにくい……。
と二の足を踏んでいたところに、流星のごとく現れたのが、そう!
素数大富豪だったのです!

素数大富豪で小説を書こう、と思い立ったのは、確か2016年10月か11月頃です。
MathPower2016で素数大富豪大会が盛り上がったり、サイエンスアゴラで素数大富豪が大受けしたのを見て、「この面白さをもっと広く伝えなくては!」と思ったのです。

なにより、私はMathPower杯でベスト4に入りました。
私は実質、世界4位の実力者だったのです。
素数大富豪の知識も、世界で10本の指に入ると言っても過言ではないでしょう。
私に書けず誰に書けるのか、という思い上がり自負がありました。

さらに「これはいける」と思ったのは、去年の素数大富豪AdventCalendarを見たときです。
多くの人がものすごく熱い記事を、25日間も投稿していました。
これだけの人が熱狂し、しかも25記事分のまとまった知見がそろったのだから、小説を書く下地は整ったと見て間違いありません。
(Advent Calendarを企画された二世さん、ありがとうございます! お礼の意味も込めて、今回記事を投稿します!)

いまこそ書くときだ、と私は腰を上げました。

方向性をどうするか
書くのは「素数大富豪をモチーフにした部活もの」です。
部活ものの方向性には、いくつかあります。

1.熱血バトル物
手に汗握る試合展開を中心に、物語が進む熱いお話です。
『灼熱の卓球娘』とか、『ナナマルサンバツ』とかの方向性です。

2.日常系
登場人物たちがコミカルに、和気あいあいと部活をするお話です。
『ダムマンガ』とか、『ヤマノススメ』とかの方向性です(後者は部活じゃないけど)。

3.ヒューマンドラマ
部活を通して、登場人物たちの成長や人間関係を描くお話です。
『ちはやふる』とか、『はるかなレシーブ』とかの方向性です。

私の頭の中には、まずはこの3つが浮かびました。
もちろん、部活ものにはこれら以外の方向性もあるでしょう。
また、方向性はあくまで方向であって、それだけで話が作られているわけではありません。
どの作品でも、登場人物たちは熱い試合を展開し、楽しい日常を送り、成長していきます。

とはいえ、ある程度方向を決めた方が、ブレずに書けるというものです。
素数大富豪をモチーフにして書く上で、どれを採用するべきか?
どの方向性が、素数大富豪の面白さを一番伝えられるか?

熱血物は、熱くなれてとても好きですが、毎回テンション高い話を書くのは私の苦手とするところです。
日常物は、勝負ゲームに向いてなさそうな気がします。それに「大会」を描きたいという思いもあったので、日常物とは相容れなさそうでした。

ということで、消去法というやや消極的な理由で、ヒューマンドラマ物に決まりました。
今までヒューマンドラマなんて書いたことがないので、不安でいっぱいでした。
いまだに不安です。

登場人物をどうするか
話の方向性が決まったので、次は登場人物を決めましょう。
ここは、自分の好きな漫画を参考に考えてみることにしました。

私の好きな漫画と言えば、「まんがタイムきらら」です。
女の子たちがキャッキャウフフするやつです。
よさこい漫画の『ハナヤマタ』。
ビーチバレー漫画の『はるかなレシーブ』。
野球漫画の『球詠』。
和楽器漫画の『なでしこドレミソラ』。
ライフル漫画の『ライフル・イズ・ビューティフル』。

これらを参考にするしかありません(きららじゃないのも混じっていますが)。

というわけで、登場人物は全員女の子になりました。

……実は初期の段階では男キャラも何人かいたのですが、いつの間にかに消えました。
最初に考えていたときは男主人公だったのですが、彼も消えました。
悲しいなぁ。

主人公誕生
部活ものの王道として、
「なんの取り柄もないと思っていた主人公が、高校(中学)入学と同時に先輩から『君は〇〇の才能がある』と見抜かれ○○部に入る」
という導入があります。
私もこれをやろうと思ったので、主人公はとりあえず
「なんの取り柄もなく内気で人見知りで気弱だが、素数大富豪の才能がある女の子」
になりました。

問題は、
「素数大富豪の才能ってなんだよ!?」
ということでした。

このとき、私自身も素数大富豪を始めてまだ2年と経っていません。
素数大富豪はどうすれば強くなるのか、どのような素質があれば強いのか、全くわかりませんでした。

見ただけで素数かどうかわかる人なら、確実に強いでしょう。
しかし、それはあまりに強すぎです。チート級の能力です。ストーリーがあっという間に崩壊することが、書く前からわかります。

現実的に考えると、暗記が得意な人は強いはずです。
トランプで作れる素数は有限個なので、これを全部覚えてしまえば無双できます。

しかし、主人公はなんの取り柄もない女の子なのです。
これ、部活ものの王道ストーリーが抱える構造的欠陥だと、前々から思っております。
「才能があるのに取り柄がない」という一見矛盾する条件を成立させるためには、
「自分の才能を活かせる場所に十数年間出会えなかった」という状況を作るしかありません。

もし人一倍暗記が得意なら、中学まででとっくに活かせているはずです。
小中学校のテストは、暗記が得意ならそれだけで高得点を取れるでしょうから。

というわけで主人公は、
「暗記は苦手だけど、素数だけは覚えられる」「いざというときの勝負強さがある」
という才能を持つに至りました。

……なんで素数だけ覚えられるんだ、という突っ込みどころはありますが、これにはちゃんと解答を用意してあります。全国大会が終わったあたりで種明かしする予定です。

でもこれだけだと弱いかなと思ったので、
「主人公は12月13日(素数大富豪の日!)生まれ」
という特徴も付けました。
割とノリで決めたものでしたが、意外とうまくハマったんじゃないかと思っています。

あとはキャラデザですが、内気で気弱な女の子なら、そりゃもうロリ巨乳しかないでしょう、という悪魔の囁きによりロリ巨乳に決まりました。
童顔で背が低く、性格は内向的で、胸だけ大きいという、男受け間違いなしの女の子です。
やったぜ。

親友誕生
続いて、主人公の親友キャラを考えました。
これは至極単純に、主人公と対を成すキャラに仕上げました。
スポーツ万能、頭脳明晰、何でもできて社交的で、ボーイッシュな女の子です。
キャラデザも対照的に、背が高く貧乳で、短いポニーテールとぽんぽん決まりました。
でもただボーイッシュなだけだとつまらないので、ギャップとして料理上手で裁縫好きという一面も持たせました。

では、こんな対照的な二人が、どうして親友になったのでしょう?
そもそも、こんなスーパーな親友がすぐそばにいたら、ただでさえ気弱な主人公はさらに劣等感を抱いてしまうんじゃ……。

と考えた瞬間、第5話までのストーリーがパッと閃きました。
二人の馴れ初め、そして主人公の親友への想い。
最初のエピソードはこれにしよう、と決めたのです。

ただ、この子を素数大富豪部に入部させるかどうかは、ちょっと悩みました。
第5話までの話の流れからすると、ストレートに入部するのは不自然です。
しかし入部しないとなると、ストーリーが進むにつれ影が薄くなっていきそうです。

さてどうしたものか……と考えた結果、家庭科部と兼部のマネージャー的存在という役割に落ち着きました。
何気なく付与した料理好き設定が見事に活きてくれました。

素数大富豪と数学
あとは部長と、もう一人ぐらい部員が欲しいところです。
この二人は、並行して考えました。

まずは部長です。
唯一の年上キャラとなる予定なので、お姉さんっぽいキャラにしようと決めました。
その結果、「女の子口調で喋り、ちょっとサバサバしてて、賢そうな女の子」となりました。

そして部員ですが、ここまでに清楚な女の子キャラがいなかったので、黒髪ロングのツンデレ美少女にしようと決めました。

さて、ここに来て、これまで後回しにしていた問題に取り掛からざるを得なくなりました。

数学好きのキャラを出すか否か、です。

「素数大富豪の小説なのに、数学好きを出さないつもりでいたの?」と思う人もいるかもしれません。
実はその通りで、最初期は数学好きを出すつもりはありませんでした。
それどころか、数学の話すらほとんど出さないつもりでした。

なぜか?
それは、素数大富豪の考案者せきゅーんさんが、こんなことを言っていたからです。
素数大富豪は、これを通じて数学(算数)力を高めてもらいたいというような教育目的のゲームでは決してないのですが、そのような観点で遊ぶことも考えられます。
-出典『素数大富豪との出会い - INTEGERS』
(http://integers.hatenablog.com/entry/prime-daifugo)

「素数」という数学要素を使い、一見教育目的っぽく見えるこのゲームですが、考案者本人は教育目的ではなかったのです。

であれば、素数大富豪小説もまた、無理に数学を絡める必要はありません。

素数大富豪の面白さは、数学の面白さとは全く独立なのです。
数学を使わずとも、面白い素数大富豪小説は書けるはずです。

で、どうなったか。
結局、部員のツンデレ美少女が、数学好きの子となりました。

なぜそうなったのか。
それは部活ものの定番、
「勧誘した子が、一度は入部を断るが、ひと悶着のあと入部する」
という流れをやりたかったからです。

この流れをやるためには、その子が部活内容(素数大富豪)に対し、なんらかの因縁を持っている必要があります。
そのせいで一度入部を断るのですが、主人公の節介のおかげでわだかまりが解け、入部することになるわけです。

しかし、この時点で「素数大富豪は全国大会が行われるほどのゲームだが、知名度は低い」という設定で行こうと決めていました。

となると、この子は知名度の低いはずの素数大富豪と因縁を持たねばなりません。
それはいったいどんな状況だ、となったわけですね。

そこで、素数大富豪そのものではなく、素数大富豪に関連したもの……すなわち「数学」に因縁を持った女の子、というキャラが生まれました。

ここで単純に「数学嫌い」にしても良かったのですが、世の中には数学嫌いはたくさんいます。なので「数学嫌いの女の子」では、あまり個性を主張できません。

その結果、「数学が好きだけど、それを隠している女の子」に落ち着きました。

ではなぜ隠しているのか……という点は、すんなりと思いつきました。
それがどんなものかは、ぜひ小説をお読みください。

ここまで決めた時点でも、まだ「数学は好きでも、計算は得意だろうか?」という疑問が残っていました。
フィクションでは、数学が得意=計算が得意として描かれることが多々あります。
しかし実際には、数学が得意だからといって計算も得意とは限りません。
この子はどうしようかな……と悩んだのですが。

MathPower2016の素数大富豪大会で優勝したみうらさんが、実は「数学が得意な上に計算も得意」ということを知りました。
このような実例が身近にいるので、ならこの子も計算が得意な子にしていいや、と考えるに至りました。

素数大富豪で強くなるには
さて、最後は部長です。
数学好きを出したのだから、数学嫌いも出した方がバランスが取れるでしょう。
というわけで、こちらは数学嫌いの子になりました。
また、素数大富豪は文系の人間でも十分楽しめることが、経験則としてわかっています。
なので、部長は「数学嫌いの文系」にすることに決めました。

問題は、いくら素数大富豪と数学の面白さは別だと言っても、数学嫌いが素数の絡むゲームをやるだろうか、という点です。
そもそも、部長はいったいいつ、どこで素数大富豪を知ったのでしょう?

「高校に入ってから知った」では面白くありません。
この子も素数大富豪との因縁を持っていて、「素数大富豪をやりたくて入学してきた」くらいの気概が欲しいものです。
そのためにはどんな状況であればよいかと言うと……。

そう考えたとき、部長の過去話を思いつきました。

さらにこの過去話から、
「部長は素数大富豪に限らず、ボドゲ全般が好き」
「何より好きなのは、相手の手の内を読むタイプのゲーム」
という設定がぱたぱたと決まっていきました。

素数大富豪で強くなる方法はまだわかりませんが、相手の手札が読めればかなり有利であることは想像に難くありません。
また素数大富豪は、カードカウンティングが威力を発揮するゲームでもあります。
ならば、「カードカウンティングと相手の手札を読むのが得意」という特徴は、素数大富豪で有利に働くはずです。

部長はカードカウンティングと手札の読みが得意。
部員ちゃんは数学と計算が得意。
そして主人公は、素数の暗記が得意で運も良い。

三者三様の特技が、こうして決まりました。

あとは部長のキャラデザですが、四人のうち一人くらい眼鏡っこが欲しいなと思ったので、一番眼鏡が似合いそうな部長にかけさせることにしました。
また髪型は、他の三人と被らず、かつ私が好きなものを考えた結果、「ツーサイドアップ」に落ち着きました。
めっちゃ可愛い髪型なので、ぜひ画像検索してください。
有名どころでは、『けものフレンズ』の博士と助手(アフリカオオコノハズクとワシミミズク)や、『艦隊これくしょん~艦これ~』の鹿島や国後の髪型です。
めっちゃ可愛いです。

執筆開始
キャラ設定が決まったので、名前を決めて、ストーリーを練り直し、いよいよ執筆を開始しました。
名前決めやタイトル決めも割と苦労したのですが、既にだいぶ長くなってしまったので省略します。また機会があれば書くかもしれません。

そんなこんなで書き始めた素数大富豪部小説『QK -1213-』。
よろしければぜひ読んでみて下さい。
『QK -1213-』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054882787354

コンセプトはずばり、「素数大富豪×まんがタイムきらら」です!
可愛い女の子たちが時に楽しく時に熱く、素数大富豪をしながら成長していくお話です。

ちなみに、2017年12月現在、「カクヨム」や「小説家になろう」で素数大富豪を主題にした小説は、この『QK -1213-』しかありません。
「素数大富豪 小説」でググっても、これしかヒットしません。

つまりこれは論理的必然として、世界で一番面白い素数大富豪小説だということです。
……同時に、世界で一番つまらない素数大富豪小説とも言えますが。


明日は9973_prmさんの「戦略編。確率と4枚出し素数について書きます」です。お楽しみに!

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執筆お疲れさまです。
いつもすごい数学のお話が多いのでお堅いかたなのかとおもえば、今回のお話で人となりが少し推し量れて親しみやすい方かなと思えましたw
小説読ませていただきますね
15ヶ月前
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>>1
コメントありがとうございます。全然堅くないですw 普段は漫画ばかり読んでいるような人間です。
ぜひ小説も楽しんでいただけたら幸いです。
15ヶ月前
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