私はいつも相手の顔色を見ながら言葉を選んで話してしまう。妹のように強く言い切ることも、真由ちゃんのように可愛らしく振る舞うこともできなかった。そうすることができたらどんなに良いだろうと思いながらも、良い子に見られたいという小賢しさと自分の言動で他者を困らせたくないと思うあまりに、臆病で心配性な側面を持っていた。
うじうじとつまらないことをいつまでも考え、ためらい、思いきったことができない。それが無愛想にさえ見えてしまう。私が口を開かなくても、能弁な母が我先に私の代わりに話してくれることも、私の陰性な性格に拍車をかけていたのかもしれない。
しかし、自分では愚鈍ではない自負があった。理解してくれる人は必ずいる。万人に認めてもらわなくても構わないという開き直った思いも持っていた。