「朝飯にしよう」

ペニスを抜いた彼が、

「もしできたら産んでいいよ」と言った。

「え? 何ができたら?」

私はぽかんと首を傾げて聞いた。

「赤ちゃんができたら。妊娠したらってこと」

「えっ、妊娠?」

私はびっくり仰天して言った。

「今だって、昨日の二回目だって、避妊していないんだぜ」

「避妊していないときは徹さん、射精していないじゃない。よく洗ったし」

と、私は真面目に言った。

「射精する前から精子は少しずつ出ているんだよ。膣外射精や射精後の洗浄なんて避妊にならない。そんな知識でセックスして、もし俺が悪い男だったらどうするんだよ」

叱られた子供のようにしょんぼりする私に、

「俺は花菜ちゃんのこと大切にするから、ずっと付き合おう」と、彼が言った。

「付き合う?」

驚いて顔を上げた私に、彼はあっさり言った。

「遠距離恋愛になるけどさ、仕事が休みの日には花菜ちゃんの住んでる町に会いにいくよ」

 これは告白なのだろうか。私は今、交際を申し込まれたのだろうか。私は今、世界一幸せな女の子だろうと思った。