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≪注意≫
このブロマガはキノコ屋見習いの観察をまとめたものです。実際の同定に利用できるものではありません。
記事内容に訂正・補足がある場合はコメント等でご指摘いただければ幸いです。
なおキノコの正確な判別は経験者でも間違えるほど難しいものです。慣れない内はベテランの方に付き添って
もらうなどして、素人判断での採取・喫食は行わないでください。死にます。
先にあげた虫草編の同日、いくつかキノコも見つけていたのでまとめてました。ただ前回の記事で述べたとおり、しばらく雨が降っていなかったときの観察なので数はやっぱり少な目です。なので途中で見つけたカエルとか虫とかも乗っけておきます。心ばかりのサービスです。
最初に見つけたのは何かチャワンタケの仲間。黄褐色になっていますが、どうにもこれは退色した後の色っぽい気がします。中央に残る色はやや緑がかっている……、これもしかしてコケイロサラタケ? 周りを見ても若い状態のものがなかったので何とも言えませんね。
ちなみに一応別の場所ではきれいなコケ色の状態を見つけています。個人的な経験則ですが、今までコケイロサラタケに出会ったのはどれも虫草を探しているときでした。虫草が好むような沢沿いや水辺の近くに多いキノコみたいですね。
まあこの写真のがコケイロサラタケかどうかは不明ですけど。
ヤマイグチ。こいつの仲間はやはり鱗片を付着した柄が特徴的ですね。傘表面はフェルト状というか、ややぼさぼさしていますがのちに平滑になるそうです。人間と同じですね。
倒木から出ている半背着生のキノコ。コガネウスバタケでいいでしょう。名前の通り鮮やかな黄金色。この手のキノコは地味なものが多くスルーしてしまうことも多いのですが、こいつは荘厳な色合いが気に入ったので撮っておきました。名前にある「ウスバ」とは「薄歯」のことで、下側に薄い歯のような突起を備えることに由来します。この個体はほとんど迷路状というか、網目状になってますね。
チャダイゴケの仲間でツネノチャダイゴケでいいと思います。周りを覆っている黄色の細毛や黄白色の小塊粒が特徴。チャダイゴケの仲間はまだ蓋が取れる前の姿も可愛らしくて見てみたいのですが、出会うのは既にコップ状になっているものばかり。これの周りも探してみましたが、幼菌は出ていませんでした。
カエル。
いくつかのポイントを回ってみても虫草はあれどキノコは少ない。まあ虫草の方でいくつか収穫があったので今回はそれで良しとするかと半ばあきらめていたところ、大物が来ました。
やってきましたタマゴタケモドキ!
タマゴタケには全然似てないけど、タマゴタケモドキ! 名前付けた人何考えてたんだ。
特徴としては傘は綺麗な黄金色で溝線なし、柄は淡いクリーム色でヒダは白色、白色で膜質のツボとツバを有しています。傘の周囲に溝線がないということで察した方も多いと思いますが、猛毒のキノコです。死亡例もちゃんとあります。
何を隠そうこのタマゴタケモドキ、かの有名なドクツルタケと同レベル、いやある意味でドクツルタケと同じと言っても過言ではないキノコなのです。
みんな大好きドクツルタケには実は以下の二つのタイプがあります。
①高地に生える大型の種
②低地に生える小型の種
これらはそれぞれ生える環境の違いによる個体差とされていましたが、研究の結果別種であるということがわかりました。本来のドクツルタケ(Amanita virosa)は①の方で、これは富士山や日本アルプスのような高山か、東北~北海道のような寒い地方に行かなければまず見ることができません。
で、そこら中で見つかる②の方は現在ニオイドクツルタケ(A.oberwinklerana)やアケボノドクツルタケという名前で区別されています。そしてこのアケボノドクツルタケというのが実は上記で説明したタマゴタケモドキの白色変種なのです。なので学名もタマゴタケモドキのAmanita subjunquilleaに変種を表すvarを付けたAmanita subjunquillea varになってます。
※某亀○郎さんの動画に出ているドクツルタケも正確にはこのアケボノかニオイのどちらかだと思われます。
まあ猛毒なのは変わりないので専門にやる人以外はそこまで詳しく見る必要はないでしょうけど。
しかし惜しいことに二本とも齧られたり傷ついたりで状態があまりよろしくないですね。とてもかっこいいキノコだけに残念。まあ場所は覚えたので来年以降にいい状態が見れるよう期待しておきましょう。
沢の中で立ち往生していたのを助けてやった何かの幼虫。聞くところによるとギンシャチホコという蛾の幼虫だそうです。恩返しに来い。
虫草を探したり虫を助けたりしながら沢を登っていくと、いよいよ進めなさそうな行き止まりに到着。仕方ないので引き返すか、と思ったところで何やら白いものが目に入りました。
なんだこれ? カエルの卵? とよくよく見てみると何やら下部が針状になってます。
これはもしかして、ヤマブシタケの幼菌なのでは!?
ヤマブシタケと言えばブナの老木に生えるキノコです。最近では養殖されたものがスーパーなどにも並んでいるそうですが、天然物はなかなか見れない珍菌です。以前京都の芦生原生林で一度見たことがあるだけだったのにこんなところで出会うとは。確かにここら辺はブナも生えていますし、沢沿いで湿度も十分。発生条件は揃っています。
これは俄然楽しくなってきました。ここからどのように成長していくのか、観察をしていきたいし、いくつか出ているので最終的には収穫して食べてみるのも面白そうです。虫草ばかりでキノコは不作と思ったものでしたが、なかなかどうしていいものが見れました。今後の成長に胸を膨らませながら、私は下山し家路につくことにしました。これからの生長が実に楽しみですね。
これで全然違うのだったらそれはそれでいいオチになりますし。
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