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その45:謎キノコエニグマ
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その45:謎キノコエニグマ

2016-12-04 20:25
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≪注意≫
このブロマガはキノコ屋見習いの観察をまとめたものです。実際の同定に利用できるものではありません。
記事内容に訂正・補足がある場合はコメント等でご指摘いただければ幸いです。
なおキノコの正確な判別は経験者でも間違えるほど難しいものです。慣れない内はベテランの方に付き添って
もらうなどして、素人判断での採取・喫食は行わないでください。死にます。

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 11月もそろそろ終わりが見えてきて、寒さも厳しくなってきた頃。こりもせずまた地下生菌探しに出かけました。探し回るのは前回の地下生菌探しでアミメツチダンゴヤチチショウロを見つけた山です。終わった後にもうちょっと丁寧に探せば見つかったのでは……というやり残した感が出てきたので再挑戦してきました。

 しっかしまあこれが出ないのなんの。チチショウロたちはもうピークを過ぎたのかまるで姿を見せなくなっているし。アミメツチダンゴは他にも出ているのが見れたので、まああそこは発生地確定とできたくらいが収穫でした。



 あとはクロカワが出ているのを見つけたくらいですかね。この山で見つけたことは初めてだったのでいるんだお前、って感じ。こいつらはもう古くなっていたので採取しませんでしたが、来年以降は遠出しなくてもクロカワに出会えそうです。


 傘表面。なめし革のようになっていて古くなったりこすったりすると黒くなります。


 傘裏。若いうちは小さい管孔も生長とともに大きくなります。傷ついた箇所が赤みを帯びた褐色に変色するのも特徴の一つです。


 地下生菌はもとより普通のキノコも少ないし、こりゃ今回は外れか。それでも何か出ないかなと思いつつガサガサ落ち葉をかいていると、ふと妙なものが目に付きました。落ち葉の表面からひょろりと伸びる何か。なんだこれ。


 ……うん、なんだこれ。枯葉の表面から三本ほど黒い何かが伸びている。しかもその表面に何やらツブツブしたものがくっついてるじゃないですか。


 これはまさか、子嚢殻? ということはこいつは子嚢菌なのか? 見た目は虫草の子実体にそっくりだけど、ひっくり返しても宿主は見えない。この一枚の落ち葉から出ています。よくわからないのでとりあえず持って帰ってみました。


 

 持ち帰ってマクロでよくよく見てみると、やはりこれは子嚢殻みたいですね。子実体の長さが5mmほどで、子嚢殻の大きさは0.2mmという極小サイズです。そしてやっぱり宿主になるような虫は確認できず、落ち葉の表面に黒い菌糸束が伸びているのもわかりました。どうやらこの葉っぱを分解しているようです。

 その後虫草に詳しいどろんこさんにも聞いてみたところ、そういう腐生菌もいると聞いたことがあるが詳しくは知らないとのことでした。うーむ、図鑑でもこんなの見たことないし、ネットで探そうにもどうやればよいものか。



 
 何かの手がかりになるかと胞子も見てみました。これがもうとにかく小さくて、うちの顕微鏡ではかろうじて楕円形になってるっぽいことくらいしかわかりませんでした。子嚢胞子(一本につながってる奴)の長さは170㎛で128個の二次胞子(個別に分かれた奴)からなっています。二次胞子の大きさは長さ2㎛で太さが1.5㎛ほど。担子胞子かってくらいの小ささです。

 しかしこうして連なった子嚢胞子を作っていることから子嚢菌類というのは間違いないでしょうし、胞子の採取も自然に散布されたものを使っているので未成熟ということもないと思われます。単に元が小さいから胞子も小さくなっただけなのか? 謎です。


 というわけで久しぶりに全く分からないキノコに出会いました。そもそもこれはキノコの範疇なのかもよくわかりません。一応子実体が肉眼で確認できる大きさなので、カビじゃなくてキノコってことでいいと思いますが。なんともわからないことばかりで記述に困りますね。こんな内容で記事にあげてしまうのもどうかとは思いましたが、もしかしたら誰か詳しい人が教えてくれるんじゃないかなぁという期待を込めてまとめてみました。

 情報提供お待ちしています。


※ここから追記※
 あのあと色々知人に話を聞いたり自分でも調べなおしたりした結果、やはり一番近いのはマメザヤタケ属の仲間じゃないかと考えるようになりました。もともとマメザヤタケ属の子嚢殻ってもっとぼこぼこまとまってできるイメージなので最初は除外していたのですが、調べなおしていくと謎キノコによく似た外見のものも見つかってきました。たとえば「北陸のきのこ図鑑」に載っているオチバノホソフデタケ(仮称)などはツバキの葉に生えるという特徴も一致しています。

 ただそうなってくるとどうにもしっくりこないのが胞子の特徴ですね。図鑑を見る限りマメザヤタケ属の胞子は長さ10㎛×太さ5㎛前後となっています。今回観察した胞子はそれに比べると明らかに小さい。しかし逆に言えば、胞子の特徴さえ合えば解決する問題でもあります。

 ここに至って、これ検鏡のほうが間違ってるんじゃね? という考えも湧いてきました。私が顕微鏡観察をする環境は私室の一角ですし、減菌滅菌もそれほど本格的に徹底しているわけではありません。何か別の菌糸などを胞子と取り違えてしまった可能性も考えられることです。

 以上のことから、とりあえず件の謎キノコはマメザヤタケ属の仲間(?)という扱いにしておきます。今後もう一度同じものが採取できれば再観察し、同時にマメザヤタケ属全般の胞子の観察と比較も行っていきたいと思います。ご意見を賜りました皆様方、本当にありがとうございます。でもまだ情報があるなら待ってます。

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外観からてっきりXylaria属かと思いましたが、胞子を見る限りではXylariaceae科ですらないですね。なんでしょう・・・
58ヶ月前
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>>3
キノコ図鑑の著者でペンションキノコを開いるかたがいます。虫草に詳しいかはわかりませんが聞いてみてはいかがですか
http://www.ued.janis.or.jp/~bori/saikin.html
リンクです
58ヶ月前
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>>錦田さん
私もあれから調べていった結果、Xylaria属に外見というか胞子以外の特徴が合致する種を見つけるに至りました。胞子の特徴にばかりとらわれていましたが、こうなると胞子写真の方に何か間違いがあったのではという考えも出てきます。最近顕微鏡を使い始めて少し視野が狭くなってきていたようです。これでは遺伝子解析万能説を唱える人と何も変わりませんね。キノコの同定はどれか一つを重視するのではなく、様々な特徴を総合的にとらえていかなければならないなぁと反省しました。

>>アマニタ!さん
ありがとうございます。とりあえず自分の中で一応の落としどころは出たので、今回は追記した通りにとどめておきたいと思います。マメザヤタケ属の仲間だとすると子嚢菌の中でも特に研究の進んでない部分なので、名前はつかないだろうなと思います。まあなんというか、かなり地味な奴らではありますからね。山で見つけても結構スルーしちゃうし……。
58ヶ月前
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地下生菌図鑑買いました。今読んでいる最中ですが
「入門書」だけあって初心者にも優しい内容ですね。
この冬は植物観察に集中するつもりなので、春になったらレーキで
いろいろ探してみようかと思っています。
菌根菌が多いとのことで、樹木との関係を調べるのが楽しそうです。
58ヶ月前
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