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【東方二次創作】首吊り峠の怪 その一
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【東方二次創作】首吊り峠の怪 その一

2016-02-03 15:13
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東方二次創作注意
独自設定・解釈・妄想などが含まれます
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覚りと思い

 サトリの怪は心を読む妖怪です。その能力のため昔から忌み嫌われ、恐れられる存在でした。人間はもちろん他の妖怪からも。いえ、むしろ人間よりも妖怪の方にこそ嫌われていると言った方が正しいでしょう。人々の想いから生まれ出る妖怪にとって、心を読まれるということは自身の根底を暴かれるような生理的な嫌悪感を抱かせるようです。
 人間社会にも妖怪社会にも馴染むことができず、サトリの一族はどこに行っても迫害される爪はじき者でした。居場所のない彼らは深い山中など勢力図の空白を見つけてはもぐりこみ、細々と食いつないで生きていました。
 しかしそんな生活も人間が文明を発展させていくにつれ難しくなっていきました。
 闇を恐れた人間が火を灯し、死を恐れた人間が医を学び、自然を恐れた人間が科学を信仰しました。人ならざる者、妖怪の住む世界にも手が入り、居場所を失くした妖怪は狭い地域に肩身を寄せる他ありませんでした。限られた土地の中で縄張りや食料を奪い合っていさかいが頻発するようになりました。そんな中で誰からも嫌われるサトリの一族がどのような扱いを受けたのか想像に難くないでしょう。
 里に下りれば人に退治され、山に戻れば他の妖怪に襲われる。次第に数を減らしこのままでは絶滅するまでに追い詰められた一族が選んだ道は自分たちの血を薄めるというものでした。人や他の妖怪と交わることでその血を取り入れ、一族の能力を弱めることにしたのです。
 種を守るために種を捨てる。皮肉めいたその策はしかし一応の成功を収めました。
 交配相手として選ばれたのは主に人間でした。妖怪に比べたらまだ抵抗も少なく、単体で見れば力の劣る人間は相手にしやすかったのでしょう。代を重ねるごとに能力は弱まり、その姿は少しずつ人間に似通っていきました。誰からも嫌われ、そして誰をも恐怖させた力は口伝で語り継がれるおとぎ話となりました。

 父はそんな一族の末裔でした。
 何代にもわたる交雑の末、既にその容姿は人と変わらないものとなり心を見通す能力も精々が機微に敏い程度のものでした。先祖のように深い山中で暮らすこともできず、父はとある峠の宿場町で人にまぎれて暮らしていました。一族の名残か、気色をうかがうことに長けた父は商いに通じ、それなりの生活を送れていたようです。
 父と母が結ばれたのはそんな生活の中のことでした。流れ者の母は立ち寄った宿場町で父に見染められ、間をおかず籍を入たのだそうです。
 両親は互いを愛し、その想いは純粋なものでした。
 だからそのことで父母を責めるのは酷というものでしょう。父も母もただ出会い、愛し合っただけなのです。何も知らない二人の間に一体何の罪があるというのでしょう。
 けれども。それでもあえて苦言を呈するならば、二人はもっと考えを巡らすべきだったのです。ほんのわずかにでも想像してみるべきだったのです。
 自分と同じ境遇のものが他にもいるということに。
 富士の地から流れてきた母はオモイという心を読む妖怪の末裔でした。名こそ違えど忌み嫌われた経緯に変わりはなく、迫害されたオモイの怪は代々その能力を封じることで生き長らえてきた一族でした。
 血を薄めたサトリの末裔と力を封じたオモイの一族。読心の目を失くした二人は素生を隠したまま出会い、気付かぬままに結ばれ、そして私が生まれました。
 私が生まれてしまいました。
 父は私に一族の名前をとってつけました。それは滅びゆく種に対する父なりの哀愁や矜持だったのでしょうが、これほど皮肉なこともありません。生まれ落ちた私の眼には祖先と同じ心を読みとる力が宿っていたのです。
 これがもし生まれた子が私でなかったのなら、あんな無残な終わりにはならなかったのでしょう。どこにでもあるような月並みの悲劇で幕を閉じることができたのでしょう。
 けれどそうはなりませんでした。
 私がそうさせませんでした。
 結局のところ、私が全て悪いのです。




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風邪をひいたり寝違えて背中を痛めたりしたので書きました。
よろしかったらご感想などお聞かせください。
続きは書き終わっているので推敲が終わり次第投稿します。
67ヶ月前
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ガガンボさんが・・・キノコやらずに普通に東方活動してる・・・だと!
明日は花粉じゃなくて胞子が飛んでくるなこれは
67ヶ月前
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ガガンボさんのストリーは秀逸
深く書かれてて面白いです
67ヶ月前
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キノコは入れようとしましたがちょっと入りませんでした。
力及ばず無念です。
67ヶ月前
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