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木野龍逸の「ニッポン・リークス」
2014/12/13(No.019)
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[目次]
1.東電福島第一原発事故トピック
東電が公表しない福島第一の災害発生状況━━ひとつ間違えば重大事故になるケースも
2.気になる原発事故ニュース
3.編集後記
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1.東電福島第一原発事故トピック
東電が公表しない福島第一の災害発生状況━━ひとつ間違えば重大事故になるケースも
<事故が頻発する現場>
東電福島第一原発では事故が頻発していることが、資源エネルギー庁への情報開示請求で開示された資料から明らかになった。
開示されたのは、東電から資源エネ庁に送られた事故発生時の連絡メールだ。事故の大小にかかわらず、また労災の適用かどうかにも関係なく、発生と同時に発生場所や状況、ケガの程度、治療内容などが連絡されている。
このメールによれば、今年4月から9月23日までの間に、骨折を伴う事故が9件、傷口を縫合する必要があったケガが9件などを含む43件の事故と、18件の体調不良が発生していた。
しかしそのほとんどを、東電は日々の記者会見資料に記載していない。記載がないので、会見でも説明していない。
また病院に搬送する必要があった場合の搬送方法は、救急車が13回、ドクターヘリが3回のほか、協力企業などの業務車で搬送したケースが4回あった。このうち業務車両による搬送はすべて未公表で、救急搬送も3回が未公表だった。
11月17日に東京新聞は、「安全二の次 事故頻発」という見出しで、スケジュールありきで作業が進む東電福島第一原発で事故が多発していることを報じた。しかもその多くは、未公表の事故だった。
この記事が出る直前の11月7日には、汚染水を保管しているタンクの増設工事の現場で、重さ390キロの鋼材が13.2メートルから落下し、下にいた作業員3人が脊髄損傷などの重軽傷を負う事故があった。9月22日には、やはりタンクの増設工事で鉄パイプが13メートルの高さから落下し、下にいた作業員が背中の骨を骨折する事故があった。
高所で作業がある場合、下での作業はしないのが普通だが、福島第一原発ではそうした建設現場の基礎が守られていないのだった。東京新聞の記事は、ケガをした作業員は鋼材が落ちたタンクとは10メートルほど離れていたために東電が「上と下の作業ではなかった」と釈明したが、鋼材は長さが25メートルもあるので跳ねたのだとしている。そして、東電が作業の安全を改善する保証はないと切り捨てている。
付け加えれば、東電はこの事故のことを、自社で定めた公表基準に適合していないとして、記者会見で配付しているプラント状況を伝える資料に記載していない。
東電が厳しい工程を課してくるのは、今に始まったことではない。事故直後に工程表が出た時から、実体のないスケジュールありきで現場に負担がかかっていた。
しかも、現場でトラブルがあると東電がペナルティで作業停止を命じることがある。それでも竣工予定は変わらないので、ペナルティの後はさらにスケジュールが厳しくなる……という話を聞いたのは、1年ほど前だった。
こうした状況下、事故が頻発しているという話も耳にしていたが、実際にどのくらいの頻度で発生しているのかは、東電が発表しないために藪の中だった。
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