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【No.73】使用済み燃料プールからの取り出しや海洋放出議論など
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━木野龍逸の「ニッポン・リークス」2020/8/3(No.73)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【No.73】使用済み燃料プールからの取り出しや海洋放出議論など━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<スケジュールの遅れを取り戻すために計画を前倒し>使用済み燃料プールからの核燃料の取り出しが、なかなか思うように進みません。建屋上部が吹き飛んだことやメルトダウンしていないために放射線量が低かった4号機は、なんとか完了しましたが、放射線量が高いうえに、建屋の爆発時にガレキがプールに落ちて核燃料の集合体が変形するなどした3号機は、かなり手間取っています。東電の予定では、3号機の使用済燃料プールからの燃料取り出しは、2020年度内に終了する計画です。ところが燃料取り出しのための設備に不良があったり、多くのガレキがプールに落ちていたりで、当初の計画からは大幅に遅れています。それでも東電は、今年春に作業再開してからは予定通りに進んでいると強調しています。作業に係る人員を増やしたり作業時間を延ばしたりすることで、スケジュールに間に合わせようとしています。一方で、東京新聞の作業員日誌が伝えているように、どんな作業でも、スケジュールを早めていくと作業員に負担がかかります。3号機も例外ではありませんが、東電は詳細を発表はしません。現場の実態はなかなか伝わりません。新型コロナの影響で、従来から使っていた作業員の防護服が不足し、質の低いものに変更されていた時期が長く続きましたが、透湿性や耐水性の違いについて、東電からあまり説明はありませんでした。東京新聞は質の違いについて、作業員から、汚染があるのではないかという不安の声が出ていることを伝えていましたが、東電は批判を正面から受けとめていないようでした。こうした情報発信は事故後から一貫しているので驚きはないのですが、作業の質に影響があるのではないかという不安はつきまといます。東電は福島県の「労働者安全衛生対策部会」で、2019年度の労働災害の発生状況を報告しました。6月17日のことです。報告によれば2019年度は18年度に比べて災害人数は45.4%増、人数は22人から32人に増えました。災害の重大性は全国平均に比べると低い状況ですが、人数の増加は見過ごせません。基本的には熱中症が多かったという報告でした。ところが東電は、この報告書を、定例会見では一度も説明していません。福島県に報告した時にも、定例会見ではひと言も触れませんでした。7月2日の中長期ロードマップの会見時に、記者から指摘があり、ようやく説明をしました。 -
【No.72】ドラマ『チェルノブイリ』を見たら日本の事故対応が残念に思えた
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━木野龍逸の「ニッポン・リークス」2020/6/2(No.72)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【No.72】ドラマ『チェルノブイリ』を見たら日本の事故対応が残念に思えた━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━新型コロナウイルスの感染拡大で出ていた緊急事態宣言解除が、5月末に首都圏でも解除されて、晴れて大手を振って外を歩けるようになる……と思っていたのですが、飲食店などへの自粛要請は続き、すっきりしない生活が続いています。おまけに関東地方は梅雨に入ったかのような雨がボソボソと降り始め、天気図を見るとほんとに梅雨前線が北上しているようにも見えて、その前に暑い空の下でビールを飲みたいのだ、と思い始めている今日このごろですが、皆様はお変わりなくお過ごしでしょうか。新型コロナに関しては、毎日のニュースで食傷気味になっているとはいえ、重大事ではあるので厚労省の記者レクを聞くなどある程度の情報収集をしています。妙な論理で世論を2分したようなPCR検査の議論は、陽性率がある程度下がったことで余裕が出てきたように見えます。心配された死亡者数も、爆発的に増えたようには見えず(超過死亡者数をきちんと統計処理して検証しないと状況はわかりませんが、人工呼吸器やECMOの稼働状況を見ると逼迫している様子は見えません)、政府は対策が奏功したのだ~、と胸を張っています。でも実際には、なぜ死亡者数が増えなかったのかは不明です。今のところ、詳しく検証をする様子も見えません。また感染者数についても、数が増えていないということは抗体を保有する人の数が少ないということなので、移動を緩和すればまた増える可能性が高いと言えます。実際、6月2日には増えつつあるようです。しかし、ここでまた話が戻るのですが、死亡者数が少ない原因がある程度把握できれば、今までのような営業自粛をする必要はないかもしれません。だからこそ、現状分析が必要なのですが、どうも日本はそうした科学的な検証をしない風潮があります。安倍首相も、検証を後回しにする姿勢を見せています。今、検証したら失策がバレるとでも思っているのでしょうか。与党の政治家は、自分たちが今の席にいる間は検証をしないつもりなのでしょうか。こんなことをしていたら、次の感染拡大期にはまた同じ政策を繰り返し、もしかしたら不要だったかもしれない経済的な破綻を次々に生み出す可能性さえあります。今こそ、政治家や官僚が好んで使うPDCAを、言葉だけでなく実践していくことが必要なのではないかと思います。そんなことは誰でも思っているとは思うのですが、なにしろ福島第一原発事故の後でも、結局は検証がなおざりになったままなので、残念さだけを強く感じてしまうのです。というわけで、中途半端な検証にとどまっている日本と比べると、チェルノブイリ原発事故はずいぶん早い時期に事故原因の検証が進んでいたのだなあと今さらながらに感心したのが、HBOのテレビドラマ『チェルノブイリ』でした。 -
【No.71】PCR検査は必要か不要か~新型コロナウイルス感染症の議論を考えてみた
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木野龍逸の「ニッポン・リークス」
2020/4/21(No.71)
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【No.71】PCR検査は必要か不要か~新型コロナウイルス感染症の議論を考えてみた
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PCR検査は拡大すべきなのか、抑制すべきなのか。議論が終わる気配がありません。実のところ、この両者の考え方にはそれぞれ納得できるところもるのですが、同時に、説明不足と感じる部分もあります。ちょっと外側から眺めてみたいと思います。
■PCR検査の拡充が必要
基本的には、まずは感染者がどこにいるかを把握して、行動抑制を求め、感染の急速な拡大を抑えるというものだと思います。新型コロナウイルス感染症では、無症状のウイ
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