【映画の歩き方】今敏監督『東京ゴッドファーザーズ』 新宿・築地など【連載84回目】
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【映画の歩き方】今敏監督『東京ゴッドファーザーズ』 新宿・築地など【連載84回目】

2017-06-04 21:07
    今敏監督が意図した歪んだ空間『東京ゴッドファーザーズ』のロケ地 へ。
    筆者の自由研究『映画の歩き方』の84回目です。ちょうどAmazonプライムで配信されているのですね。

    ■はじめに
    生前の今敏監督に、筆者は一度だけお話しさせていただいた。握手をさせて頂いたときは、その手の大きさと繊細な感触に驚いたものである。氏が監督業を任されるようになった理由が、この手からも伝わってくるようであった。そこで話した内容は、筆者が観てきた古い映画たちのこと。筆者が『100年後の学生に薦める映画2112本』なる文章を書くときも、そのときの会話が頭にあった。もう少しで2112本に達しそうなので、こちら『映画の歩き方』でも、今敏監督を思い出す文章をかせていただく(いつものロケ地探訪です)。

    東京ゴッドファーザーズのシンボル、東京タワー
    f:id:kiyasu:20170601232535p:plainTokyo Godfathers [Region 2] (English subtitles) by Toru Emori

    ▼第084号
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    映画の歩き方®
    新宿『東京ゴッドファーザーズ』
    ロケ地研究編
    KIYASUWALKER
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    ■そもそも東京ゴッドファーザーズとは?
    『パーフェクトブルー』『千年女優』に続く、今敏監督の劇場作品。ただし、だまし絵のような前二作とは、ノリが大きく異なる作品。捨てられた赤ん坊を見つけた、三人のホームレスの コメディである。監督自身は、幅広い作品にチャレンジしてみたかったようだ。監督は、映画『三人の名付け親』などがベースになっていると言う。こちらは、赤ん坊を運ぶ ならず者達の映画で、筆者は、チェスのくだりが好きである。

    「東京ゴッドファーザーズoriginal sound track」 三人の名付け親 [DVD] FRT-133

    ■東京ゴッドファーザーズと東京の関係
    今敏監督が自身で運用されていたホームページに下記記載がある。
    ここに、映画の背景の意図が全てが集約されていると思う。

    引用
    "もちろん、都庁のビル、新宿中央公園、東京タワー、勝ち鬨橋 など、それとはっきり分かるものがが出てきたりはするが、舞台となるほとんどは漠然と「都内にありそうな感じがする場所」という基準で設定している。ロケハンで得た画像はあくまで素材であり、複数のイメージを合成することで「ありそうな場所」を生成している"
    http://konstone.s-kon.net/modules/tgf/index.php?content_id=7

    そして、この「ありそうな場所」は、下のパッケージのように、顔に見えるようなデザインをしていることもある。

    東京ゴッドファーザーズ [Blu-ray]

    他方、今敏監督自身は「場所の特定をされるのは好まない」と記されていた為(細かいロケ地の文脈に物語が引っ張られたく無いのだと筆者は予想する)、今敏監督自身が既に言及しているロケ地とその周り のみ言及する。一箇所、東京タワー周辺と拡大解釈して、ロケ地もどきを紹介するが、詳細は書かない。

    ■著者紹介
    KIYASUWALKER(きやすうぉーかー)
    メディア史の勉強と創作活動が好きです。好きな映画は、ナチス前のドイツ映画、戦後の日本映画、そして、スターウォーズ。問い合わせは、コメント欄か、twitterで@kiyasuまで。
    f:id:kiyasu:20160224222531p:plain

    ◇宣伝
    ・100年後の学生に薦める映画2112本をひたすら書いています。
    ※文字制限でこのページの更新が止まってますが、実際は2100本ほど掲載。もう少しで完成



    ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

    【01.大まかなロケ地と旅程】

    今敏監督が言及していた場所とその周辺を歩きます。具体的には、「都庁のビル、新宿中央公園、東京タワー、勝ち鬨橋」となる。映画に合わせて冬に撮影してみた(公開は春になってしまっているが)。

    f:id:kiyasu:20170601232555p:plain


    【02.治安とか言語とか諸々】

    治安
    東京の街は安全です。主人公たちのようにヤクザやピストルに遭遇することはほぼない。

    言語
    日本語です。ただし、主人公たちのように、スペイン語をはじめとして、他の言語に出会うこともあるかも。今回紹介するのは、外国人観光客も多いエリアです。

    【03.都庁のビル
    東京都庁。あまりに有名なので、こちらは、迷わずに到着できるはずだ。映画では都庁の上から、足元の公園までカメラがパンしていく。
    f:id:kiyasu:20170601232547p:plain

    【04.新宿中央公園
    都庁の足元にある公園が、新宿中央公園である。この道を主人公達が歩いていく。
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    公園の側面。赤ちゃんを拾って歩く場所はほぼ忠実。
    「マッドハウス」の看板が出ているあたりですね。

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    おそらく、この垣根がない道の反対側がよく見えるあたりから撮ったのではないか?
    f:id:kiyasu:20170601232621p:plain

    これが、ハナちゃんの後ろ姿が映る場面はこのへん。
    赤ん坊の命名理由を語るあたり。

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    消火栓が現実に存在していたことは意外だった。
    ありそうで無い東京を作るという今敏監督の意図があるとのことだが、この新宿の公園は、きっちり現実の世界に似せているということだ(後述する勝鬨橋はちょっと違う)。

    f:id:kiyasu:20170601232643p:plain

    ハナちゃんの歩く方向をそのまままっすぐ歩くと、『君の名は。』にも登場した場所にたどり着きます。その他にも、この公園には、『ロスト・イン・トランスレーション』のロケ地のホテルも隣接しているし、いろんな映画が交わるところである。

    君の名は。 ロスト・イン・トランスレーション [DVD]

    他方、この道で、主人公たちが歩いてきた方角を逆方向に進めば、「聖子(きよこ)」と命名される交差点が予測できる。ただし、この公園の端は、映画中では意図的に、現実とあまり似せられていない。
    映画を観た後だと、歪んだ空間に立っているようだ。

    f:id:kiyasu:20170601232616p:plain

    それでも、映画と現実の場所はある程度現実と似ている。映画中にも階段があるからだ(ただし映画ではすごく長い階段になっている)。その他にも、道の構造も似ている。

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    ちなみに「警察に届けようぜ」と発言するセリフがあったが、この赤ん坊の命名をする場面らしき交差点には現実には交番がある
    さらに言うならば、ギンちゃんの視線の先である。警察が「どうかしましたか?」と言ってきて、物語が終わってもおかしくない。そんなIFを感じさせる危険なスポットである。

    f:id:kiyasu:20170601232631p:plain

    この公園では、まだ映画に沿った場所がある。みゆきが、本を持って歩く場面。公園の砂場にはクジラの遊具がある。

    f:id:kiyasu:20170601232701p:plain

    ただし、映画と同じ場面は再現できない。新しいカバの遊具があるからだ。映画の時からあったようには見えないが、どういう経緯で増えたのだろうか? 比較的近くにある、新宿区落合の「かば公園」のかばと関係があるのだろうか。

    f:id:kiyasu:20170601232656p:plain


    【05.東京タワー と その周辺】
    都庁以上にわかりやすいランドマーク。この写真は、映画の角度と少し異なります。

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    監督が言及していないので、詳細の場所は書きませんが、実は、この写真を撮ったすぐ近くの駅が、映画の背景に登場した駅と似ている。だが、言いたいのは、そのことではなく・・・

    f:id:kiyasu:20170601232505p:plain

    f:id:kiyasu:20170601232513p:plain

    そこを基準に、その該当場面の前後のロケ地を探すと、見事に、似ているようでちょっと違う場所が散らばっていることだ。例えば、この駅の近くに、ギンちゃんが襲われる公園があるはず。そう思って、歩くと、実際に公園が近くに2箇所ある。ただ、どちらも公園の造形が異なるノア。

    f:id:kiyasu:20170601232539p:plain

    タクシーの場所もやっぱり雰囲気が似ているようで違う。今敏監督の意図である「ありそうで、ない、東京の世界」を感じる上で、とても良いエリアであった。

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    【06.勝鬨橋】
    赤ん坊の親を探して、歩き回る。終盤に登場する橋。今敏監督がブログで言及していた通り、勝鬨橋だ。『ゴジラ』『太陽を盗んだ男』『洲崎パラダイス赤信号』でも登場する橋だ。『こち亀』でも登場。
    クリエーターを刺激させる橋なのかもしれない。

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    ただ、新宿公園に比べると、この場所は現実と映画で「歪み」が大きい。そもそも、橋自体も距離感をデフォルメされている。さらに、川辺の景色は、パーツは似ているものの実際のものとは異なるように作っている。

    映画にも水門があった。ただし、ビルはだいぶ違う。
    f:id:kiyasu:20170603025914p:plain

    ただし、水門のデザインは、逆向きの方向にあるものの方が似ているように見える
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    景色が歪んでいるので、橋のどっち側に向かってい歩いているのか迷う。主人公たちの旅を鑑みると、西から東へ向かっているはずなのだが。

    実際に行ってみないと その場所が、今敏監督が意図した「ありそうで、ない東京」の一部あったことを実感しづらい。気づいた瞬間に、自分は異空間に放り込まれた気分になる(監督の意図から外れて、背景をラフに描いた可能性もあるが、ちゃんと意識した上での指示であると思いたい)。

    監督の意図を考えながら歩いた為か、これまでの筆者のロケ地探訪より、奇妙な体験をした旅であった。

    KIYASUWALKER®

    ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

    [このブロマガは?]
    チュニジア、ヨルダン、イスラエル、トルコ、マレーシア、中国…
    映画のロケ地を中心に廻ってきた旅行について紹介する。

    大体、毎週土曜〜月曜のどこかで更新したいと思っていますが・・・。

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    これからロケ地へ行く人の何かしら有益な情報になっていただければ嬉しい。
    行かない人も、映画をテーマにした旅の雰囲気を楽しんでいただければと思う。



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