僕とアフガニスタン難民の旅
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

僕とアフガニスタン難民の旅

2016-02-06 13:18
  • 1
僕がアフガニスタン難民と一時を共にしたのは、
オーストリアも肌寒くなってきた秋のことだ。


f:id:kiyasu:20151112000605p:plain

ウィーン西駅から、ドイツとの国境に近づくザルツブルグ駅へと向かう電車の中。
映画『ビフォア・サンライズ』でヒロインがザルツブルグへ向かうのと同じルートだ。

f:id:kiyasu:20151112000547p:plain Before Sunrise

電車の中では、食事を食べながら、パソコンで書き物をしていた。
このブロマガを読んだことがある方なら想像がつくだろうが、映画のロケ地探訪の最中。
『サウンド・オブ・ミュージック』の舞台を目指していた。

f:id:kiyasu:20151004021710p:plain サウンド・オブ・ミュージック 製作50周年記念版 ブルーレイ(3枚組) [Blu-ray]


■出会い
彼らが乗ってきた正確な駅名は判らない。
主要な駅を離れ、車掌のチケットの確認が終わって暫くした頃。中東系の人達が、筆者の乗る車両にやってきた。
構成は、中年の男性、中年の女性、そして、年頃の青年達、年頃の女性。総勢7人くらい。
静かな車内とは対照的な、賑やかな観光客であった。中には、うるさいと思っている客もいたかもしれない。この車両で白人でないのは、筆者と彼らだけだ。

f:id:kiyasu:20151112000709p:plain

そのときは、筆者は彼らが難民だとは気づいていなかった

中東のお金持ちの観光客と思っていたのだ。
日本でも、中東からの観光客を以前より見かけるになった。同じように彼らも、モーツァルトの出生地でも有名なザルツブルグを訪れるのであろう。そんな考えが頭をよぎっていた。

モーツァルトの100枚。~決定盤BEST


■きっかけ
(少女A)すいません、いま、何時でしょうか

まず、声をかけてきたのが、年頃の女性(長ったらしいので少女と書く。20歳くらいだったのかな)であった。
時計がなければ、旅行も不便だろうに…。そう思いながら答える。

(筆者)●●時▲▲分ですよ
(少女A)有り難うございます

どことなく、優等生で、聡明そうなオーラガあった。親からしたら、自慢の娘であろう。
彼女は、まだ目的地まで時間があることに安心し、席に戻って行った。


f:id:kiyasu:20160203232339p:plain

次に声をかけてきたのが、青年達であった。
少しずつ目が合い、話すようになった。


■サムライとニンジャ

青年A)貴方は何処から来たの?
(筆者)日本だよ
(青年B)忍者、侍!しゅしゅしゅ!

剣を振る真似をされる。どうやら青年B
は仲間内でも、おふざけ担当のようだ。

NINJA


(筆者)そう忍者!でも、目立った刀の振り方は忍者らしく無い。忍者はスパイなんだ。スパイは目立ってはいけない。あと剣の構えはこうした方がそれっぽい。あと、お辞儀の仕方は、手を合わせるんじゃなくて、こう!


(青年B)む? 忍者と侍の違いをもう一度教えてくれ!

筆者の言葉の返しもどうかと思うが、真剣で、かつ、楽しい会話の始まりだった。
その後、暫く、ノートPCに溜まっている日本の写真を見せる。


■アフガニスタンはどんな国?

(筆者)
貴方達はどこの国からきたの?
(青年Aアフガニスタンだよ

(筆者)日本だとアフガニスタンは危険な国という印象が強いけど、実際、どうなんですか?アフガニスタンでオススメの場所はあるのかい?

彼らは顔を見合わせて
(少女A)えーと、うーーーん。オススメは・・・無い・・・かな
と答えた

のんびり屋の筆者は、まだ彼らが難民だと気づかなかったので「自分の国を薦めないのか?」と思っていた。難民であれば、離れた国の魅力は殆ど感じていないのであろう。

戦禍のアフガニスタンを犬と歩く



■自己紹介
(少女A)あそこに座っているのが私のお父さん
 ※結局、お父さんとは一度も話す機会が無かった

(少女A)これが私のお母さん
(母A)はじめまして
(筆者)こちらこそ、はじめまして

(少女
A)あとは、私の友達!
(青年達大勢)どうも

笑顔を絶やさない青年達は、家族とは離れて行動しているのだ。家族がどういう状況にあるのか判らない後に彼らが難民だと知った後だと、心が重くなった

さらには、
お互いの名前や、その意味を教え合ったりした。


■観光はしない
(筆者)えっ、ザルツブルグ駅で降りるのに、観光しないんですか?
(青年C)うん、ベルリンへ行くからね

※この辺りから、彼らが難民であることを察する。
シリア難民だけでなく、アフガニスタン難民も引き続き多いのだね。


▼ベルリン



■スマホゲーム
ヨーロッパへの難民はITを駆使して旅をしているという話をニュースで読んだことがあった。
筆者と出会った青年Bは、携帯電話でクラッシュ・オブ・クラン (Clash of Clans) などのスマホゲームをしていた

▼青年Bのスマートフォン。サムスン製携帯であった
f:id:kiyasu:20160203232334p:plain


■日韓関係を心配される
青年B)もっと写真を見せてよ
(筆者)いいよ。これは東京有楽町にある『ゴジラ』の像の写真だ

▼映画
ロケ地探訪シリーズ用に撮りためていたゴジラの写真(加工後)
f:id:kiyasu:20151012210125p:plain

青年A)『ゴジラ』?聞いたことが無いな
(筆者)日本の有名なモンスター映画だ。日本の映画は鑑賞ことはあるか?
青年B)韓国ドラマなら観たことがあるよ!

青年A)馬鹿!日本人と韓国人は仲が悪いんだよ!!!
(少女A)デリカシーの無い話をしてはいけない!!!!!!
(母A)本当にごめんなさいね!!!

青年Bに対して、まさかの非難囂々な状態になる。
日韓関係に対して、難民の方に気を使われるとは思わなかった
こんなことで良いのだろうかと、心の中で憤慨する筆者。


(筆者)いやいや、僕も韓国人の友達は何人もいる。一部の人が騒ぎが、大きくなっているだけさ。

と答えたが、疑いの目である。
12月末に政府間で進展があったので、このまま改善すると良いのだが。
ともあれ、この反応で、彼らが真摯であり、真面目であることがよくわかった。


■上海の魅力
(母A)日本は行ったことがないけど、凄い国よね。是非行ってみたいわ
(母A)中国ーーー上海はどうなのかしら?

※日本の写真を見せるときも、合わせて、中国のことは聞かれたので、日本より中国ーーーというか上海に魅力を感じているのだと思った。質問の目は力強かった

▼上海の様子は、ロケ地探訪『支那の夜(蘇州の夜)』編を参照
f:id:kiyasu:20150629210036p:plain


■地位
この一行は美男美女であった。アフガニスタンから国外へ避難するだけの財力とコネクションがあるのだから、アフガニスタンではそれなりに地位のある人達なのだろう。
そう思うと、不思議な気分の会話はちょこちょこあった。


(少女
A)貴方はどんな仕事をしているの?
(筆者)んー。●●企業に勤めているよ

(少女A)まあ、素敵だわ!(というニュアンス)

すると、母親は真剣な顔で、

(母A)貴方はマネージャーですか!?
と乗り出して聞く。

マネージャーという答えだったら、どういう話の続きがあったのだろうか?


■どんなルートを辿ってきた?
(筆者)アフガニスタンからどうやって来たのですか?
(母
A)それはそれは…困難な旅だったわ
(母
A)20日間かけて、遂に、ドイツまであと一国のオーストリアまで辿り着いたの

かなり、言葉を選びつつ語ってもらった。もう少し、時間をかけている印象があったので意外だった


■ベルリンへの行き方を聞かれる
(母A)あのう…。ベルリンへ行くにはどうしたら良いのでしょうか?
(筆者)えっ。行き方が判らないで(難民としての)旅をしているのですか
(母A) はい

▼ベルリンの様子はロケ地探訪『ラン・ローラ・ラン』編を参照


かなり迷いながら…恐る恐る聞かれた。携帯電話でゲームができるのであれば、道も検索できるのでは?と思ったが、中々そうはいかないらしい。しかも、ドイツまではもう少しの駅まで到着しても判らないのだから驚きだ(ある程度知っていて、筆者に確認をしようとしていたのかもしれないが)

(母A)どんな方法でも構わないわ

(筆者)ザルツブルグからであれば、まずは、電車一本で国境を越えることができます。ミュンヘン行きがありますよ。その後、ミュンヘンからであれば少なくとも電車が…たぶんバスもあるでしょう。それでベルリンへ着きます。

と、筆者が知っているルートを伝える

まさか、自分の人生において、難民の方に、ルートを指南するとは思わなかった
無事、辿り着けると良いのだが。

▼ミュンヘンの様子はロケ地探訪『去年マリエンバートで』編を参照
f:id:kiyasu:20150310012218p:plain


■写真を撮る
最初、写真を撮り合うことを渋っていた筆者。
強引に撮ろうとした青年Bを、周りが一斉にたしなめる場面もあった。

だが、楽しい会話をしている内に、気持ちが変わった。
集合写真を撮り、撮影した写真を見せる。

(少女A)まあ、美しいわ!

ここで筆者は「日本のカメラだからね!」とジョークを言おうとしたのだが、
先んじてジョークを言われた

(少女A)流石、私(の美しい姿)よ!

彼女は、お世辞抜きに、確かに美しかった。うむ。

真面目で、聡明で、にぎやかな 人達。
今もその写真を見返すと思い出す。

現在社会問題となっている難民達、中には当然問題を起こす人がいるし、受け入れ側にも問題のある人達がいるだろう。ただ、この人達は信頼できる。心地よい人達だ。そう感じた。


■さようなら

(母A)有り難う。シリア難民問題がある中で…。私たちは…そう…。やっかいな扱いを受けることが多いのに。
(筆者)全く気にしないよ。幸運を。

(青年たち・少女)さようなら

(筆者)さようなら!

同じザルツブルグ駅を降りても、暫く、彼らはホームから動かなかった。
先にホームから出ると、ものものしい警備がいて驚いた。

▼写真では伝わりにくいが、「緊急事態」くらいの勢いであった
f:id:kiyasu:20160203232343p:plain

かなり多くの人がいたので、何か事件が起きたのか?と思ったが、
もしかしたら、難民対策の警備だったのかもしれない。胸騒ぎがした。

▼こんな状況だった?
http://wien.cocolog-nifty.com/operette/2015/09/post-7c11.html

筆者は、一時を過ごした難民の皆さんを改めて一目見てから、旅を続けたかった。
5分くらいしてからだろうか。服装を少し変え、重ね着をした彼らが出てきた。
見渡している。

改めて彼らの幸運を願うと、旅を続けた。


f:id:kiyasu:20151004021710p:plain

次回は、通常運転のロケ地探訪シリーズに戻ります

KIYASUWALKER®

-----------------------


[このブロマガは?]
チュニジア、ヨルダン、イスラエル、トルコ、中国…
映画のロケ地を中心に廻ってきた旅行について紹介する。

f:id:kiyasu:20150302003344p:plain


★スターウォーズ編 チュニジア
完全版はこちら ←凄くオススメ&凄く人気
旧版 前編はこちら

旧版 中編はこちら
旧版 後編はこちら
補足編はこちら





★ロッキー編 アメリカ
前編はこちら
後編はこちら






★ローマの休日編 イタリア
完全版はこちら ←判りやすくてオススメ&人気
旧前編はこちら
旧後編はこちら






★シェルブールの雨傘編 フランス
前編はこちら
中編はこちら ←映画未見の人もオススメ。筆者が一番好きな回

後編はこちら





★インファナルアフェア編 中国
本編はこちら





★アメリ編 フランス
前編はこちら
後編はこちら




★インディ・ジョーンズ 最後の聖戦編 ヨルダン
完全版はこちら
前編はこちら

後編はこちら
補足編はこちら





★ミッション:インポッシブル編 チェコ
完全版はこちら
旧前編はこちら

旧後編はこちら





★尾道三部作&新三部作編 日本
前編はこちら ←ささやかながらオススメ
後編は更新中







★ラン・ローラ・ラン編 ドイツ
前編はこちら
中編はこちら

後編はこちら




★ロシアより愛をこめて編 トルコ
本編はこちら
f:id:kiyasu:20150302005420p:plain

f:id:kiyasu:20150228191543p:plain

★キングコング編 アメリカ
本編はこちら




★去年マリエンバードで編 ドイツ
本編はこちら ←意外と面白いかも
f:id:kiyasu:20150310012916p:plain

f:id:kiyasu:20150310012711p:plain

★菊次郎の夏編 日本
前編はこちら
中編はこちら

後編はこちら

f:id:kiyasu:20150402212435p:plain

f:id:kiyasu:20150324013249p:plain

★きっと、うまくいく編 インド

前編はこちら
中編はこちら ←最高アクセス
後編はこちら

f:id:kiyasu:20150516025141p:plain

f:id:kiyasu:20150622222209p:plain

★男はつらいよ編 日本
前編はこちら
後編はこちら
f:id:kiyasu:20150628010747p:plain

f:id:kiyasu:20150628002214p:plain

★フォレスト・ガンプ編 アメリカ
本編はこちら
f:id:kiyasu:20150521030134p:plain

f:id:kiyasu:20150320020546p:plain

★ 支那の夜 蘇州の夜/蘇州夜曲 編 中国
本編はこちら

f:id:kiyasu:20150629210253p:plain

f:id:kiyasu:20150629214947p:plain

★バケモノの子編 日本
本編はこちら

f:id:kiyasu:20150722022940p:plain

f:id:kiyasu:20150722023726p:plain

★グッド・ウィル・ハンティング 編 アメリカ
本編はこちら
f:id:kiyasu:20150726023109p:plain

f:id:kiyasu:20150726023206p:plain

★海街diary編 鎌倉
前編はこちら
後編はこちら

f:id:kiyasu:20150812234905p:plain

f:id:kiyasu:20150812024307p:plain

★七人の侍編 伊豆など (黒澤明特集 A)
前編はこちら
後編はこちら

f:id:kiyasu:20150629234053p:plain

f:id:kiyasu:20150629234049p:plain

★椿三十郎編 御殿場 厳島神社(黒澤明特集 B)
本編はこちら

f:id:kiyasu:20150816025311p:plain

f:id:kiyasu:20150816025159p:plain

★野良犬編 上野+?(黒澤明特集 C)
本編はこちら

f:id:kiyasu:20150905021729p:plain

f:id:kiyasu:20150816031432p:plain

★スラムドッグ$ミリオネア編 インド
前編はこのブロマガ

f:id:kiyasu:20150913154121p:plain

f:id:kiyasu:20150913154249p:plain

★ビフォア・サンライズ編 オーストリア
前編はこちら
中編はこちら
後編はこちら

f:id:kiyasu:20151017134457p:plain

f:id:kiyasu:20151012193531p:plain

★コクリコ坂から編 with愛染かつら 横浜
前編はこちら
後編はこちら

f:id:kiyasu:20151118011949p:plain

f:id:kiyasu:20151118015912p:plain

f:id:kiyasu:20151118011917p:plain

★バック・トゥ・ザ・フューチャーpart2編 ラスベガス
本編はこちら


f:id:kiyasu:20160112021655p:plain

★プリティ・ウーマン編 ロサンゼルス
本編はこちら

f:id:kiyasu:20160125073131p:plain


★総集編 ※まとめ記事
こちら


KIYASUWALKER®

広告
×
最初は『伊豆の踊り子』のパロディ風に書こうと思ったのですが、こらえる
60ヶ月前
コメントを書く
コメントをするには、
ログインして下さい。