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むしマガ Vol.4号 【サイエンスコミュニケーションで大事なこと】
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むしマガ Vol.4号 【サイエンスコミュニケーションで大事なこと】

2012-04-23 20:34
     みなさん、こんにちは。今、この原稿をアトランタ発サンフランシスコ行きの飛行機の中で書いています。アメリカに来たのは、アトランタで開かれた、NASA主催の宇宙生物科学会議に出席、発表するためです。学会自体は今日終わったのですが、これからカリフォルニアのNASAエームズ研究センターとスタンフォード大学でセミナー発表をしに行きます。

     アメリカに来たのはNASAを去ってから、およそ2年ぶり。4年ぶりに出席した宇宙生物科学会議、やっぱり面白いです。何といっても熱気が違う。アメリカという国の科学に対する姿勢そのものが、学会でのテンションの高い雰囲気を醸成しているように感じます。

    ・トークコンテスト

     初日のイベントで面白かったのが、学生の3分間トークコンテスト。予選を勝ち抜いたファイナリストたちが、宇宙生物学のトピックについて各自3分間でプレゼンします。このトークは、これから研究者を志す学生にも科学コミュニケーションの担い手になってほしい、という意図が込められているんですね。これは、宇宙生物学者で作家でもあった故カール・セーガンが、優れた科学コミュニケーターであったことに由来しています。

     さて、このコンテストでの学生たちの発表を見て、驚きました。もし彼らのことを俳優や女優やコメディアンだと伝えられていたら、信じてしまうほどの立ち振る舞いをするんです。内容も3分という短い時間できちんとストーリーを作っていて、構成も素晴らしい。これらの内容は以下のリンクから見ることができます。少し長いので、ちょっとかいつまんでご覧になることをお薦めします。

    NASA Features FameLab Finalists

    ・ひそひそ

     ところで一昨年、NASAの研究者らが、ヒ素をDNAに取込む細菌を発見したという発表をしましたが、今回の学会では、この細菌のDNAからヒ素が見られなかったとする結果が、別の研究者らから発表されました。登壇者は、プリンストン大学のReave氏。赤色の蝶ネクタイをしており、几帳面そうな出で立ちでスピーチしていた姿が印象的でした。

     このヒ素細菌にまつわる一連の経過は、僕のブログでチェックいただけると嬉しいです。

    ヒ素細菌のDNAにはヒ素がなかったーライバル研究者らが発表

    ・自分の発表


     で、僕はNASA時代に取り組んでいたヨコヅナクマムシの紫外線耐性に関する研究について発表しました。ヨコヅナクマムシが乾眠状態では紫外線を照射されてもDNA損傷が起こりにくくなること、そして、活動状態の場合は傷ついたDNAを効果的に修復することができるという内容です。この研究内容については、今号のクマムシトリビア取り上げました。

     口頭発表だったのですが、英語が流暢に喋れなくても、クマムシの動画を見せると聴衆が良い反応をしてくれます。それもこれも、クマムシのおかげです。クマムシさん、さんきゅまむし。と言いたいです。阪本かもさんの描いたHP用のクマムシさんのイラストと、僕が作ったクマムシチョコ&クマムシ弁当の写真も最後に見せたのですが、これらも良い反応を貰えました。

     クマムシさん、次の宇宙生物学会議のマスコットキャラになったりして。

    ・クマムシさんTwitter

     そういえば、クマムシさんのTwitterのフォロワー数が3000人を超えました。Twitterを開始してからおよそ3ヶ月ですが、この勢いだと年内にフォロワー数が1万人に到達しそうです。このゆるキャラバブルの中でも、1万人以上のフォロワー数を抱えるのはほんの一握りです。クマムシさんが国民的、いや、世界的なキャラクターとなることも、夢ではなさそうです。

    それでは、今週のむしマガの始まり~。

    ★むしコラム「サイエンスコミュニケーションのために大事なこと」

     上の冒頭で宇宙生物科学会議でのトークコンテストを紹介しましたが、ここ数年、日本でもサイエンスコミュニケーションという言葉を良く耳にするようになりました。サイエンスコミュニケーションとは、科学を啓蒙するために一般市民とのコミュニケーションを持つことと定義されると思います。

     日本でも、サイエンスコミュニケーターを養成するためのプログラムを開設する大学も出てきました。サイエンスコミュニケーションを研究する勉強会や研究会もさかんに開催されるようになりました。

     でも何というか、「サイエンスコミュニケーション」という語を掲げて活動している人たちの印象が、一部を除いてなんとなくぱっとしないんですね。正直のところ。

     本来、サイエンスコミュニケーションは科学に馴染みのない市民に科学的識を授けることなわけですが、サイエンスコミュニケーションの活動をしています!とアピールしている感じの人や団体に限ってどうも内輪で完結してまっているというか、サイエンス好きなコミュニティの外側にはなかなかリーチできていないと思うんです。
     
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