おはようございます。むしマガGW特別号として配信したエッセイ「地上最強の動物クマムシと人類」が昨日発売の言論雑誌「kotoba」にて無事掲載されました。

言論誌「kotoba」

 今月からムシマガを購読し始めた方には、本エッセイを無償で送信させていただきますのでhorikawadd@gmail.comかtwitterアカウント@horikawadまでお気軽にお声をかけてください。

 これまでに取材やインタビューなどが商業誌や新聞に載ったことはありましたが、自分の書いた文章が商業誌に掲載されるのは今回が初めてのことで、また一つ人生の中で新しい経験をさせてもらいました。ありがとうございます。

 初の商業誌での執筆、しかも他の執筆陣も豪華な面々ばかりとあって、だいぶ力が入りすぎ空回りしたというか青臭い感じの文章になってしまい、数年後に読み返したときには恥ずかしくなること請け合いなのですが、まぁそれもそれで面白いかなと思い込むようにします。

 ということで、やはり青臭い連載エッセイ、クマムシ研究日誌をご笑読ください。

★クマムシ研究日誌「プチ魔法使いになったような感覚

 私がクマムシの研究を初めて10年以上が経ちました。ここでは、これまでのクマムシ研究生活を振り返りつつ、その様子を臨場感たっぷりにお伝えしていきます。

 乾眠状態のクマムシが高圧酸素環境にどの程度耐えられるかを検証することが、僕の研究内容だ。そこで、クマムシを人工的に乾眠状態にする方法を豊島さんに教えてもらった。

 クマムシは乾燥すると脱水して乾眠状態に移行するが、これにはゆっくりと乾いていく必要がある。

 実験室でクマムシをスライドガラスの上に放置して乾かした場合は、クマムシが急激に乾燥するため、うまく乾眠に入れずに死んでしまうのだ。

 うまく乾眠に入ったクマムシは、酒樽のような形をした樽状態になるが、急激に乾燥した場合は体が伸びた状態でひからびてしまう。こうなると、後で水をかけてもクマムシが復活することはない。

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樽状になった乾眠状態のヨコヅナクマムシ

 野外でクマムシが乾燥する時は、クマムシの住処であるコケごと乾くことになる。このとき、クマムシは水を含んだコケのクッションに囲まれているため、急激に乾燥することはない。

 このとき、クマムシは高湿度の条件でゆっくりと乾いていく。

 例えるなら、お風呂上がりに髪を乾かすとき、頭にバスタオルをぐるぐる巻きにした上からドライヤーをあてるようなものである。バスタオルに包まれた湿った髪は、当然なかなか乾かないだろう。完全に乾くまでには、丸一日かかるかもしれない。

 実験室でクマムシをうまく乾燥させるには、クマムシの周りの環境に高湿度を作り出してやる必要がある。もっと手っ取り早いやり方は、ろ紙を使う方法だ。これが、豊島さんに教えてもらった方法だった。