漠然と考える日本語と英語 part2
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漠然と考える日本語と英語 part2

2018-06-09 06:53

     英語を勉強する際に、嫌というほど説明に出てくる概念の一つとして、「自動詞」「他動詞」がある。改めて考えると、この2つは何が違うのか。日本語でも英語でも、それをきちんと理解した上で勉強している人がどれほどいるというのか。
     一般的に、英語の授業で自動詞は目的語を取らず、他動詞は取ると習う。しかし、この説明で理解できるのか。そもそも「目的語」とは何か分かっているのか。そこで、2つの例文をあげてみた。

    1. 私は毎朝7時に起きる
    2. 私は毎朝7時に弟を起こす

    「起きる」と「起こす」という似て非なる2つの動詞。想像がつきそうだが、「起きる」は自動詞で、「起こす」は他動詞である。決定的な違いは、「弟を」が入っているかどうかである。1番の文に入れるという人はいないだろうが、なぜと聞かれてきちんと答えられるか。英語に直してみると、一層違いが見えてくる。

    3. I get up at seven every morning.
    4. I wake my brother at seven every morning.

    ポイントは動詞の後ろに何が来ているか。3番は「get」、4番は「wake」の後ろに注目する。「up」か「my brother」かの違いがわかる。前置詞か名詞かの違いだ。動詞の直後に名詞が来れば、それが目的語となり、その動詞は他動詞であることがわかる。来なければ自動詞である。ちなみに、「get up」と「wake up」の違いは、「起きる」か「目を覚ます」かの違いだそうで。このような、自動詞と他動詞で似たような意味を持つ動詞というのは思いのほか多く、


    自動詞他動詞
    01暖まる暖める
    02落ちる落とす
    03折れる折る
    04終わる終える
    05帰る帰す
    06変わる変える
    07消える消す
    08切れる切る
    09壊れる壊す
    10倒れる倒す
    11付く付ける
    12出る出す
    13直る直す
    14入る入れる
    15始まる始める
    16冷える冷やす
    17増える増やす
    18減る減らす
    19回る回す
    20破れる破る
    21汚れる汚す
    22割れる割る


    とりあえず例をいくつか書き並べてみたが、もちろん他にもまだまだある。こうして比べてみると、自動詞と他動詞の特徴も見えてきそうではある。共通して言えることは、他動詞には「何を」というツッコミが入れられるという点だ。逆に、自動詞にそのツッコミは不適切であることもわかる。この「何を」に該当するものこそが目的語であり、英語では非常に重要視されるのである。目的語をとらない自動詞はSVだけで文が成立し、これを第1文型と言ったりもする。目的語を必要とする他動詞はSVOが基本形となり、こちらは第3文型と言うことも、高校で英語を勉強した人なら知っていることであろう。第1と第3の文型の違いとして、

    5. I cried.     私は泣いた。
    6. I shed tears.  私は涙を流した。

    ほぼ同じ意味でありながら、5番は第1文型、6番は第3文型の文である。「cry」はご存知「泣く」という意味だが、「何を」というツッコミが不適切だとわかるだろう。一方、「shed」は「流す」という意味であり、こちらは「何を」を聞くことができる。実際に5番の文は主語と動詞しかない非常に味気ないものがあるが、文法的にはこれで成立してしまう。他の例としては、

    7. The store opens at ten.  その店は10時に開店する。
    8. I open the store at ten.  私は10時にその店を開ける。

    動詞はどちらも「open」なのに、「開く」と「開ける」の違いがある。片方が自動詞で、片方は他動詞である。同じ単語であっても、2つの側面を持つというのが英語は一般的とも言えるので、それぞれの違いを把握しなければならない。知っている単語でも意外な使い方があるというのはよくある話だ。この2つの文章の「at ten」は別になくても文としては成立する。別になくてもいいものをわざわざつけるところに文法を勉強する意義というものがあろうか。この例で言えば、「at」がなければならないのだ。そうでなければ、7番の意味は「その店は10時を開ける」という意味不明な文章となってしまうからだ。動詞の後ろに「ten」というような名詞が来てしまうと、それはもう「~を」と解釈しなければならない。まさに他動詞として扱うのである。もう1つ厄介な例として、

    9. He spoke English.      彼は英語を話した。
    10. He spoke about English.  彼は英語について話した。

    「speak」という単語も「何を」を聞くことができるようで、そうでもない場合がある。他動詞として扱いたければ、目的語は「言語」であることが一般的だそうだ。9番は「English」が目的語であるのに対し、10番はそうではない。「about」があるかないかの違いで、自動詞か他動詞かまで変わってしまう。9番の「English」は話す言語として扱っているのに対し、10番は話すテーマになっている。「テーマを話す」という場合、日本語は「~を」で通じるが、英語では「~について」と考えなければならない。だから、前置詞の「about」を入れて自動詞として扱うのだ。

    11. I study English.       私は英語を勉強する。
    12. I study to pass the exam.  私は試験に合格するために勉強する。

    「study」を11番は他動詞として扱い、12番は自動詞として扱っている。もっと言えば、12番の文章はSVしかない第1文型であることが見抜けるだろうか。「to pass the exam」は「~するために」を表す不定詞の副詞的用法である。名詞的用法だったら目的語として扱えるのだが、副詞ではそうならない。「何を」を聞いているのに、「何」の部分に名詞以外は入らないと言えばわかりやすいだろうか。

    13. I stayed at New York.  私はニューヨークに滞在した。
    14. I visited New York.    私はニューヨークを訪れた。

    これもまた、同じような意味なのに自動詞か他動詞かで「at」を入れるべきかどうかが変わってくる。13番は第1文型で、14番は第3文型となる。この2つの文章をもっと飛躍的に発展させると、

    15. New York is the city where I stayed for a week.
    16. New York is the city which I want to visit for a long time.

    どちらも「ニューヨークは都市である」という第2文型の文なのだが、後ろが違う。15番は関係副詞であるのに対し、16番は関係代名詞である。この2つの文法はニューヨークが「どのような」都市なのかを補足説明するというものなのだが、少し違う。わざわざ13、14番の例を挙げたのも、この2つの違いを考えるためだと言ってもいい。先行詞はどちらも「the city」であるのだから、これが2つの違いを分ける理由にはならない。見るべきは「where」と「which」の後ろである。関係詞節とも言うのだが、名前は置いといて、使われている動詞が「stay」か「visit」かの違いがわかる。特に、16番の方は「visit」という他動詞を使っているのに、その後ろに目的語がない。「the city」が来るのは目に見えているし、そもそも同じ表現を二度使うのはくどいとかいう理由で省略されているのだ。いわゆる不完全な文というやつであり、これが関係代名詞の特徴なのである。一方、15番の方は「stay」という自動詞が使われている。自動詞なのだから、後ろに目的語を取ることはなく、そこで文が完成する。これもまた完全な文というやつであり、こちらが関係副詞の特徴である。このように、自動詞と他動詞の区別がつかないと関係副詞と関係代名詞を理解することができないということで、試験に問われやすい部分でもある。


     今回は自動詞と他動詞の違いについて述べてきた。意外と自動詞は難しく、後ろに前置詞を使うことが一般的で、具体的に何を置くのかに悩まされる。日本語を扱う上ではそこまで気にしていない概念でも、英語を勉強した後では深い意味があるように見えてくるのも言語の面白さであろうか。
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