アスファルトを掃く竹箒の音で目覚める。歯を磨く。髭を整える。顔を洗う。植物を霧吹きで湿らせる。作業服を着る。玄関に並べたフィルムカメラを始めとする貴重品を身につける。自販機で缶コーヒーを買う小銭をポケットに入れる。手入れの行き届いたシンプルな白いスニーカーを履く。いつも置き去りにされる腕時計がほとんど語られない平山の過去を静かに物語っている。