娘はまだ手を繋いで歩いてくれる。
それでも話すことはだんだん複雑になっている。大人でも返答に困ることだってあるし、時には「そういうの、よくないんだよ」と注意されることもしばしばある。
「パパは極端なんだよ」と。ぼくのアドバイスは半分くらいで聞いておいた方がいいこともしっかり理解している。
今朝、ふと握った娘の手を大きく感じた。
「手が大きくなったね」
保育園まで送り迎えしていた頃に握っていた小さな手を思い出していた。
ほんの数年前のことだ。
「違うよ、パパの手が小さくなったんだよ」という言葉が娘から返ってきた。
「えー?」と自分の掌を見る。手だけじゃない。ぼくの背中だって小さく見えてきているのかもしれない。
通学時の送り迎えの距離もだんだん短くなっている。
見送った娘の背中がまた少しだけ大きく見えた。
手を繋いで貰っているのは、ぼくの足下が覚束なくなって来たように見えているのかも