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【イベントレポート】新・音楽夜噺第84夜「同人音楽への招待 ~ 現代日本に花開いた疑似ローカルな音楽実践」にいってきました
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【イベントレポート】新・音楽夜噺第84夜「同人音楽への招待 ~ 現代日本に花開いた疑似ローカルな音楽実践」にいってきました

2014-02-26 00:00

    新・音楽夜噺第84夜同人音楽への招待 ~ 現代日本に花開いた疑似ローカルな音楽実践」

    行ってきました。




    http://ongakuyobanashi.jp/#ichiran

    新・音楽夜噺第84夜はジプシー(ロマ)研究者であり、ワールドミュージックの紹介者でもある関口義人さんがやっておられる「新・音楽夜噺」の第84夜目。

    「同人音楽に関するトークイベント」という非常に珍しいイベントでした。

    会場の感じ

    12から15名ぐらいの参加者がいたような気がします。フロアも大盛り上がり! 3時間近い長丁場でしたが、とっても楽しいイベントとなりました。

    いろいろうるさく発言してすみませんでした!(ジャンピング土下座)

    登壇者は| 井手口彰典先生、音楽ライターの室田尚子先生のお二人。

    イベントはドリンクを飲みつつ、同人音楽の概説、同人音楽の技術的発展とその音楽的な展開、から始まって、同人音楽における「同人文化」と「同人音楽」が同一のものではないことなどを指摘されました。

    お話の内容

    同人音楽が様々なもの(技術やコンテンツなど、具体的にはDTMやミク、歌い手など)を取り込みながら、かつて「同人音楽」と呼ばれていたものが変容していくさま、もはや「同人音楽」というくくり自体が適切であるかどうかすら曖昧になってきたという現状を紹介されました。以下箇条書き。

    ・同人音楽のコミュニティの形成過程としては1997年ごろのコミケのジャンルコードの「MIDI」や「CD」から推測可能。

    ・ただし「同人音楽」という言葉がいつ生まれたのかよくわからない。2000年台前半でも使われていた。

    ・同人音楽の成立を促した要因として「CD-Rの普及」「DTMの普及」がある。これらは80年代後半には登場したものの、90年台後半以降に普及した。

    **なおマックユーザーが多かった模様。作曲に関してはWINDOWSのOSもダウングレードして使っていたケースが多いなどの話題もありました。

    ・M3は1998年に開始。その頃には、音系のニーズの高まりがあった。

    で、音楽については以下のように時代区分を提案されます

    90年代末~00年代初頭
    ・DTMを用いた初期打ち込み
    ・美少女ゲームアレンジの流行

    多様な表現の広がり(00年台前半~中盤)
    ・打ち込み表現の模索と多彩なジャンルの登場
    ・「生音」の登場とデジタル録音の普及
    →ボーカル付きCDの登場と、歌姫ブーム

    ・メジャーデビューするアーティストの増加
    ・ライブパフォーマンスの増加
    ・民族調音楽の流行

     →民族「調」であって特定のワールドミュージックを指すわけではない。
     
    文化の熟成(00年代後半から現在)
    ・「幻想浮遊系」などの独自ジャンルの登場
    ・ジャンル幅の増加→プロアーティストの参加とアマチュアの境界の曖昧化
    ・「初音ミクの衝撃」
    ・ニコニコ動画ユーザーの参加による女性層の聞き手の増加
    ・国際的な参加者の広がり


    五年毎に技術革新と表現の増加が行われているさまを様々な音源を聞きながら追いかけていくのは圧巻で、なんだか涙が出るほど懐かしい曲やら、ほんの十年前には出来なかった表現がこんなにできるようになったんだなぁと感動仕切りでした。

    今後の同人音楽がどうなっていくのか、同人音楽がもつ特性とはどんなものなのか、といったお話にも触れて、大満足の時間でした

    詳しくは先生のご著書を。


    感想とか、気になったことなど

    気になった点として2つ。ひとつはイベンターの興味と同人音楽の実践とのズレです。


    イベンターの関口さんの興味としては、「メジャーがダメなんだけれど、そのダメさとは裏腹に元気のよいミュージックカルチャー」として同人音楽を評価したいということがあったと思います(最初の挨拶でそういう話もでました)。

    室田尚子さんも「すごい音楽があるのかも」といったクオリティを見たかったような点があるかもしれません。


    しかし、この2つに関しては同人音楽サイドからの興味は必ずしも強いとはいえないでしょう。たくさんの人が自分たちの表現が(好きな時に、好きなように)自由にできる、ということが「同人」「音楽」の独自性だった一方それらがメジャーやクラシックシーンに比べて「しょぼい」側面がある(玉石混交〕のは否定し得ないかもしれません。
     
    その意味では、井手口先生のプレゼンでは、イベンターの興味とは少し異なる点が強調されてしていたところが十全に伝わっていなかったようにも思います。ただ、経済的な側面やジェンダーバイアスに関する同人音楽の状況はどんどん変わっていくので、クオリティも含め、なんとも言えないところはあります。


    もう一点が選曲リスト。
    全部で14曲を聞きましたが、最後に室田さんが「面白かったのは最後の一曲だけ」といったのは後出しジャンケンというか、ずるいなと。すでに「玉石混交だから面白い」点を強調したプレゼンで、その前提で話しが進んでいたにもかかわらず、作品の質で同人音楽カルチャーを評価するような発言はちょっとどうかと思いました。

    その点で言えば、選曲リストはあくまでも「同人音楽が可能になってきた技術的発達」を聞き取りやすい形で提案したものと見たほうがよく、クオリティを優先にしたものではなかったかなという感じも全くないわけではなかった。


    そうした「技術の進展と音楽実践の様相を強調する選曲リスト」だった点、他の尺度にあわせた時にも通じる楽曲ばかりではないことや
    、また、同人音楽を「楽しく聞く」ためにはいくつかのバイアスがある事などは少し触れて欲しかったように思います。世界観を聴くといった聴き方や、DTMの腕の見せどころを見せ合うといった聞き方などは、クラシックやWMの聴取の仕方とは異なるものでしょう。


    まあ、つまり、クオリティを対象にするのであれば、やはり「神盤」や冒険的な音楽実践を試みるサークルも紹介して欲しかったかな。ということです。

    しかしながら、室田さんの音楽の「クオリティ」に対する高い要求と批評性はやはり大切なものであろうとも思います。高いクオリティを目指すには、批評は参考にするべ指針としてもあるでしょう。同時に「同人音楽」的な場所にあるべき批評とはどういうものなのか、なんてことも課題かもしれません。

    ぜひ室田さんにもM3に来ていただきたいなと強く思いました次第です(迫真!

    ライブや演奏会も増えてきた同人音楽の世界ですが、こんなふうに「語る」ことも面白いなぁって思いました。次回の「音楽夜噺は「Vol.85 特別企画『アメリカとワールド・ミュージック』」と題して下北沢で行うそうです。

    なんでも「濱口祐自」というすんごいのがでるらしい。僕も全然しらないアーティストなのですが、関口さん曰く「すごい」そうなので、ぜひアメリカンワールドミュージックについて興味あるかたは行かれてみてはいかがでしょうか。



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