2010年 11月某日


福井県の実家で筆者が母親に放った言葉である。

「お前に産んでくれと誰が頼んだ!」

これが32歳の発言であるから、我ながら驚く。




筆者がニコニコ生放送を始めたのが2010年10月21日。
仕事もなく、就職活動もせず、ただ起きて寝る生活。

何のやる気も起こらなかった。

ニート・引き篭もりから、よく聞く話がある。

「彼女さえ出来れば俺は変われる」

当時、筆者には22歳の彼女がいた。
変われなかった。
思い知る、ダメな奴はどんなに状況が変わろうが
ダメなのだ。


そこへ追い打ち、ニコニコ生放送と出会う。


何も変化もない日常で、どうしても満たしたい欲があった。
人との対話である。
「誰かと話がしたい」その欲を埋める為には
外に出て働かなければならなかった。

しかし、ニコニコ生放送という便利なツールを手に入れてしまった。
容易に人との繋がりが手に入ってしまった。
外に働きに行く理由を失った。

収入0、実家で母親の作る飯を食い
風呂に入って寝る。
それ以外望む事もなかった。
「生きている」事で十分だった。

「寝る・食う」に困らなければそれでいい。
それでは向上心は育たない。
「乞食」の発想である。

陰鬱な日々は未来を真っ暗闇に閉ざす。
何も見えない、生きている意味が分からない。
自暴自棄になり配信では無茶をした。
「これで死んでも構わない」本当にそう思っていた。

配信のことばかり考える。
考えている内は不安はなくなる。
「何かをしている」というだけで心が軽くなった。
ニコニコ生放送をしている時だけは笑うことが出来た。
しかし、配信が終われば元の現実が待っている。

母親からは矢の催促。

「いつ働くの?」

分かっている、自分が駄目なのは言われなくても分かっている。
だから今はそっとしておいてくれ。

「これからどうやって生きていくの?」

今のままでいいんだ、贅沢は言わない。
分かっている、このままじゃいけない事は分かっている。
お願いだから、今日はそっとしておいて…。

「いつまでも面倒みれないよ」

もう十分に自分を責めた。
自分を下げるだけ下げた。
ゴミクズ以下だと認めた。
迷惑にならないよう小さくなっているよ。
あなたの迷惑にならないよう視界から消えよう。
扉を開く時はそっと開き、そっと閉じますから。
お願いだからこれ以上は責めないで下さい。

「産まれてきた意味ないじゃない…」

筆者
「お前に産んでくれと誰が頼んだ!」


母は何も言わず出て行った。
仕事の無い負い目が自分を追い込んだ。
家計を圧迫するだけの厄介者だと分かっているのに
更年期障害を患いながらも
バイトで生計を立ててくれている母親に
俺は何を言っているのか。

もう開き直るしかなかった。
そして何も考えない日々が続いた。

「死にたい…」




それから半年後、
仕事が見つかる!

時給1,200円のパチンコ屋のバイトだ。
月収は手取り20万を超えた。

母を連れて回転寿司に行った。
焼き肉食い放題に行った。
彼女にはバーバリーの財布を買うたった。
弟にはお気にのフィギュアを買ってあげた。

汗だくで毎日充実した日々を過ごす。
上司に褒められた。

「すごいな、一週間で仕事全部覚えたね偉い!」

必死さを認められて有頂天だ。
毎日が楽しくて仕方なかった。

あの陰鬱な日々は何だったのか!!
死ぬ?まさか!
今は楽しくて仕方ないんだ!!

「生きてるって最高!」




その後、パチンコ屋を辞め
陰鬱な自己反省の日々…。

コンビニを辞め
陰鬱自己反省…の繰り返しではあったが
今はガジェに拾って頂き、充実した毎日を送っている。

「働かせて貰える事への感謝」

今、14も同じ心境ではないだろうか。
彼も無職期間を乗り越え、生主ブロマガでガンガン働いている。
無職期間が長ければ長いほどに
「働いていない」という負い目は、人の心を腐らせていく。
きっと今、14も心の充足感を得ているはずである。

天国と地獄。
仕事は金を稼ぐ以外に心の安定を齎す。
金だけでは幸せになれない。

無職との違いはなんだろうか。
それは「覚悟」である。

覚悟のない人生は闇だ。


さて本題に移る。


我々は業者生主と呼ばれている。
企業に雇われ生放送を行う事からそう呼ばれている。

同じく金を受け取って配信を行う生主達がいる。
俗に「乞食配信者」と呼ばれる生主である。
銀行口座を公開し、リスナーから金銭を受け取っている。


両者、特に変わりはない。
違いは何か。
「プロの配信をするか否か」その覚悟である。


筆者は乞食配信者を否定しない。
ただ、考え方を変えてくれればと思う。
「金を貰っている以上、プロである」と。
プロであればリスナーを楽しませる責務がある。
その覚悟が必要である。

筆者は、生主ブロマガに携わり時給を頂いて配信を行っている。
謂わば「プロ」である。
リスナーを楽しませる責務がある。
リスナーを楽しませなければ給料泥棒なのだ。
そのプレッシャーは重い。
重いが、乗り越えなければならない。
何故ならば、プロだからだ。

横山緑
「105円手渡しで返したい気持ちだ」

この言葉は分かり過ぎるくらい、分かる。
無責任な発言ばかり目立つ彼も、また
重圧に藻掻き苦しんでいる。


乞食配信者と呼ばれる生主たちよ。
我々は、お互いプロ意識を持って配信する責務を背負った
謂わば同士である。
どちらが面白い配信が出来るか勝負しようではないか。
評価はリスナーが下してくれる。

その責務に背を向けて、開き直れば心が腐る。
金を受け取っている以上、仕事である。

筆者は二度と陰鬱自己反省の日々を送りたくない。

逃げ口上はもう聞き飽きた。
これからはプロ配信者がニコニコ生放送を作る時代が来るだろう。

勝負しよう。


力也記者名:力也
プロフィール:福井から上京し「綿菓子屋ふわり」を開店
半年で潰すも現在チラシポスティングで生計を立てながら
元気にニコ生で活動中。35歳。
コミュニティ:co352781
Twitter:https://twitter.com/lilyfilter
e-mail:lilyfilter2@yahoo.co.jp
ガジェット通信記者リンク:http://getnews.jp/archives/author/rikiya