【どこよりも濃い】白鳥士郎先生 ラノベのすゝめ 講演会【行けなかった人必見】
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【どこよりも濃い】白鳥士郎先生 ラノベのすゝめ 講演会【行けなかった人必見】

2013-03-15 23:23
  • 2
あの『のうりん』でお馴染みの白鳥士郎先生が去る2013年3月9日(土)に,東京新聞主催の「ラノベのすゝめ 講演会」に行って参りましたのでそのレビューエントリです.

どこよりも濃い!をモットーに書きました.
完全に書き起こし!とまではいきませんが,話のおおまかな流れはほぼ全て網羅したつもりです.
なにかオフレコだったり,載せるべきではないことや訂正がある場合は随時コメントで受け付けます.
また記事を読んで,講演の内容やライトノベルなにか思うところがあったらぜひコメントに残してください!
よろしくお願いいたします.

                           文責 ◯リココ


2013年3月9日(土) 天気は快晴.中々お日柄もよく,それほど寒くもなかった日でした.
30分前にビルに到着.こじんまりとした門構えです.2階が貸し会議スペースになっている模様.



適当にパンを食べて中へ.

看板はこちら.



シンプルイズベストな感じ?
部屋にはすでに20~30人ほどいました.はがきは回収されました.

一応はがきはこんなんです.




席につきまして,さぁいよいよ開演です.

以下記号説明
『』:作品名はこのかっこでくくります.
【】私の主観のコメントはこちら.
(盛り上がる):会場が笑いに満ちた時
■:大きなテーマ
◆:登壇者同士の質問




■開幕
まずは東京新聞の司会者から登壇三人の紹介から始まる.

白鳥先生の作品紹介で,画面が『らじかるエレメンツ』のままなのにのうりんの紹介もやってたのが残念……だったかな.)

その後さらにもう一度補足で白鳥先生から残りのお二人の紹介が始まる.

登壇されたカリスマ書店員さん,「ツタヤグループで一番ライトノベルを売っている書店員」との紹介.すごい.さすがカリスマだ.

編集のこはらごうさんは,原稿を送ったら半年後に連絡された,彼がいなかったら今の私はいないとの紹介.(盛り上がる)

東京新聞についてのご紹介
エイプリルフール記事で,金さん銀さんに親戚の銅さんがいたという記事を書いて一世を風靡したとの紹介.
【これは紹介なんでしょうか笑?】

スライドへ.




■会場の客層チェック
  1. ライトノベルを読んだことがない人 約5人くらい
  2. ライトノベルを読んだことがある人 大半
  3. ライトノベルを書いたことがある人 約10人くらい


■自己紹介

のうりんの出版成績が明らかに.

第1巻~第5巻で約30万部


モデルとなった学校の受験者数は減少している.
(盛り上がる)

しかし同じく農業を扱った漫画である【銀の匙】でモデルとなった学校は受験者数が2倍になったらしい.
(もっと盛り上がる)




■ライトノベルとは?

・漫画みたいな小説
・アニメ調の絵がついた小説
→この2つのような紹介ではまったく本質も伝わらないし,興味もわかないだろう.

・この出版不況の中で(中略)エンタテインメントの源泉であり最前線
→こんな紹介をいつもしている.しかし,果たして本当なのか?




■出版業界の推移と現状

出版全体はどんどん規模が縮小している
新書も同じく縮小
文庫は底が固く,増加も減少もしていない
ライトノベルは年々規模が拡大.

文庫全体で800億円に対してライトノベルは330億という規模なので約4割がライトノベルである.
少子化はどんどん進んでいるのにも関わらず,ライトノベルはどんどん成長している.
ライトノベル凄い.




■ライトノベルの優位性とは?

(a)単純な構造
(b)業界の川上にある
(c)先取制
(d)ネット小説の取り込み


(a)単純な構造

絵と文章でできている
 → 最悪二人いれば作れてしまう
 → 関わる人が少ないということは,コスト・リスクが少ないということである.
 → 参入障壁が低いので競争が促進されている

【ライトノベルの参入障壁に対して言及している作家さんは少ないです.関わる人数が少ないという切り口が,競争が促進されるという循環にいたるまでの流れはとても納得しました.】

ここで主要レーベル創刊時期の歴史表が映し出される.かなりヤバイ.創刊しすぎである.
2005年は549点だったライトノベルも2012年度は1090点になっている.おおよそ2倍.すごい.

【ここは男性向けレーベルのみの話だろうと推測します.女性向けも入れたらもっとすごいんでしょうね.
ちなみにこのデータは「積読バベルのふもとから」のゆきともさんの資料からの引用でした.ゆきともさんみてるー!?】

さらに月平均でみると一ヶ月でライトノベルは平均で91点刊行されている.GA文庫は平均7点.
白鳥先生的には,一人の読者は大体3~4冊月に読むだろうという印象らしいので,この91点の中で3~4冊の戦いをしなくてはならないことに.
ここで先月のライトノベル表紙一覧が映し出される.壮観である.


(b)業界の川上にある

【ここでの川上は,川の上流という意味で,川上稔先生のことではないのであしからず.】

・漫画やアニメに展開する.その元になっている.
・キャラクターとストーリーで構成されているので,そのまま他の媒体の「企画書」として機能している

ライトノベル原作アニメの存在感について.
2012年度は154本アニメが出ていて,内ライトノベル原作アニメは19本ある.


(c)先取制

業界の川上にいるということは,時代を先取っていることになる.
漫画やアニメの先にいるということは,流行を先どっているということになる.
ライトノベルを追っていれば流行に乗り遅れることはないのではないか?

【この点に関しても賛否両論ですが,かつてはエロゲが色々なニーズや新属性を切り開いていたのが,エロゲが衰退し始めてライトノベルがその担い手になったというのを何処かで聞いた気がします.】


(d)ネット小説の取り込み

例として『ソードアート・オンライン』や『ダンジョンに出合いを求めるのは間違っているだろうか』『迷宮街クロニクル』が上げられた.

 →ネット小説という媒体のままではマネタイズが出来なかった.
 →ネット小説の収益化の手段として最も効果的だったのがライトノベルだったのではないか.




■編集とカリスマ書店員さんへの質問タイム
◆編集へ:メディアミックスをするという判断はどうやっている?
回答:
基本的には先方から打診が来る.むしろ向こうから,「実際にはその作品がどれだけ人気があるのか?」などの質問が来る時も多い.
ではメディアミックスでどれだけ売上が上がるのか? → ケースバイケースだが,数割から良い時は数倍になることもある.基本的に売上はあがるとみて間違いない.


◆書店員へ:メディアミックス作品はどう扱っている?
回答:
アニメ化などをすれば基本的に平台【ひらだいとは表紙すべてが表になって見れるように本が置かれるどの本屋でもスペースに限りのある場所のことである.】に置くことになる.
つまり単純に買い手の目につきやすいところに行くことになる.
しかしそれが必ずしも売れるとは限らない.
アニメ化した作品をアニメから知って買う人は「アニメが面白いから」買うのであって,それはほぼ「アニメのグッツ」としての売れ方である.
つまりアニメの評判や出来に左右されやすい.
メディアミックス作品はどのタイミングで売れるかは解らないが,ずっと売れ続けることもある.
アニメの出来次第なので,つまりアニメの出来が良ければ継続的に売れるという良循環になる.

◆編集へ:ネットにアップロードされた作品の選び方は?
回答:
『ダンジョンに出合いを求めるのは間違っているだろうか』に関しては受賞後に実は有名な作品であったと知った.
ネットの作品に関しては営業などの社員の目に止まったら取り上げることになっている.
やはり基本的には新人賞を優先している.現状気にはしているという感じ.


◆書店員へ:ネット発の作品はズバリ売りやすいのか?
回答:
売れる.画面で見るものと本で見るものはやはり違う.
客はすでに面白さを知っている状態であることも大きい.
本の売り方としては新刊から1ヶ月くらい売れ行きの数字の動きを見てから展開を考える.
無料で読めたものを本にしても売れるんだ!という気付きがあった.

【確かに.無料のものを本にしても売れるかどうかは半信半疑だったけど,実際前例がたくさんあり,ここまでネット発作品で人気を博している作品が出てきている以上,無料のものでもマネタイズ出来るということはもはや業界にとっての常識になりつつある気がしますね.】

質問ラッシュが一段落.




■誰でも参入できるのか?

実際,新規レーベルの創刊はとても多くなっている.
では,売れる作品と売れない作品の差はどこから出てくるのだろうか?

毎月91点作品が出る以上,かなりシビアな競争が行われていることになる.
デビュー作の『らじかるエレメンツ』は未だに在庫が残っていることから察してほしい.
(会場盛り上がる)
では『のうりん』はなぜそれまでに比べて売れたのか? それを白鳥先生が紹介する.

(a)構造の変更
(b)題材の特殊化
(c)地元密着


(a)構造の変更
それまでは,編集にイラストの発注をすべて任せていたが,『のうりん』は全て自分が決めた.

予想される反応
 →「変わったことやってる」
 →これは小説ではないと批判を受ける

しかしこれは優れた先行作品があった.そう『僕は友達が少ない』である.

【この講演会は他の作品もバンバン具体的に出るのが面白かったです.ビクビク.】


フォントを変えたりするだけでなく,
イラストを右側に置いたり,左右に分けて置いたり,イラストに大きな文字を入れたり.
ここでヒロイン林檎ちゃんの「ばぁーっかじゃねーの」が映し出される.
(盛り上がる)

今の時代,ネットでこういうことはすぐに広まっていく.
これは本屋としても売りやすいのでは?と考えた.


(b)題材の特殊化
それまで普通の学園モノだったが,今回は農業高校を舞台にした.
メリット……興味を持ってもらえる.普段ライトノベルを読まない層にも訴求できる.農林水産省に呼ばれたり,色々あった.

【ここ,スルーっと話してましたが,本日一番のビックネームですよね.農林水産省.】

デメリット……話が地味になりやすい.規模感が減少する.内向きになってしまう.
 →しかし(a)構造の変更により対応することが出来た.


(c)地元密着
地元である岐阜に密着する施策をとった.
メリット……イメージがわきやすくなった.方言を使用可能.さらに地元の本屋さんに置いてもらえる.
デメリット……ギフ? どこそれ? となる読者が発生する.


それらの反応はどうだったか?


(a)構造の変更
 →概ね予想通りの反応.書店員も.

(b)題材の特殊化
 →ラノベ読者意外からの反応もあってよかった
 →うちの村が出ているらしいぞ!との声も.

(c)地域密着
 →完全に予想を上回った.
 長良川鉄道にポップを置いたり,なぜかのうりん特大POPもあった韓国のラノベイベントに呼ばれたり,村の公民館に呼ばれて講演したり…….




■またもや質問タイム

◆編集へ;毎月出している作品でヒットというのはどれくらい出ているものなのか? どう言う理由からヒットするしないの差が出るのか?
回答:
GA文庫の場合は3割くらいは重版する.続けて出そうぜ!となる.

なぜヒットするのか? → 後から特定の理由が解ったりするが,概ねよくわからないもの.
なぜダメなのか? → ダメなときはかなり理由が沢山出てくる.

ひとつ言えるのはライトノベルは「パッケージが大事」ということ.
本の内容やイラストだけでなく,表紙・帯・口絵なども重要である.
毎月91点出る中から手を伸ばそうというところまでもってくことが大事.

【編集さんからこういう意見が出てくることに感心した.そうですよねー.やっぱり全部揃ってライトノベルですよ.うん.】


◆書店員へ:売れない原因などはあるか
回答:
まず出版社がプッシュしている作品は自分はあまり置いたりしない.
結局は自分の目で数字を追いかけたりしないといけない.
経験則としては,ある程度の数字の実績がないといけない.
残り1冊や2冊になると大半の書店は平台から棚に戻してしまう.
自分が担当している書店は大きいところなので,1ヶ月は新刊台がもつが,普通の書店は1ヶ月もたないだろう.
その現状は置いておいても,91冊を同じ場所に平等に並べても,たしかに違いは出てくる.
つまり,出版社がプッシュしていない作品でも売れるものはあるのである.逆にプッシュしている作品はすでに認知度もあるのであまり数字が動きづらい.
買いに来る客層がとても大事だといえる.


◆編集へ:内容以外の売りやプロモーション方法などはあるのか?
回答:
表紙について.
最近のライトノベルの表紙は従来女の子キャラだけだったが,最近は男の子が一緒にいるのもアリになってきた.
ヒロインだけでなく,主人公の男の子も押せるようになっている.


◆書店員へ:こういう作品を作ったら売れる,などはあるのか? それを出版社に伝える機会はあるのか?
回答:
こんなことを言うような書店員はほぼいないだろう.出版社に何か言うということはたまにあるが,このようなことは言わない.
ライトノベルは専門知識が必要であり,大抵の書店員であるパートのおばちゃんなどはそもそも理解できていない.
営業の人に注文書を渡したりするが,果たしてそれが作家や編集に届いているのか解らない.書店の意見は必要とされていないのか?
あえて言うなら「ラノベ担当ラノベ」がほしい.
あわよくば取材に来てくれないかと考えたことはある.

白鳥先生も,編集部から何がどれくらい売れているのかという情報は来ないという.




■ライトノベルの今後
(a)裾野の拡大
読者の高齢化,投稿数や関係者の増大にともなって,あと20年は読者が増え続ける稀有な構造をしている

(b)海外への波及も加速
アニメ・マンガのもとになっているのが大きい.韓国では日本8割で韓国が2割というライトノベルの現状があったりする.
海外のライトノベルのパッケージングも,日本に全く劣らない出来である.
アジア圏,ヨーロッパ圏にも大きく手を伸ばす可能性がある

(c)内容の高度化
業界の再編すら行われる

(d)電子書籍
流通が本格的に参入してくる(amazonとか)
編集者のコンサル・エージェント化も進む.

【むしろ,現状もかなり進んでいる気がします.色々な出版社の編集者の流動性が近年すごく高くなっている気がします……某編集の移転とか.】




■どんな作品を書けば生き残れるのか?
・読者層の拡大とラインナップの向上
読者の好みもかなり細分化されてきている

・読者の成熟により評価されてないジャンルにも陽の目が?

『這いよれ!ニャル子さん』 クトゥルー 掘り方がうまい
『織田信奈の野望』 従来の和製ファンタジーは売れていなかったが,性別逆転で波に乗った




■最後の質問タイム
◆編集へ:今後業界はどうなっていくのか? GA文庫のビジョンは?
回答:
レーベルなどの参入は増えていくだろうし,新しいところには当然負けたくない.
一時期日常系みたいなものが流行って,流されるような主人公が受けていたが,これからはやるときは頑張る.やるって主人公も良くなってきた.
さらにファンタジーものもまた流行ってきそう.


◆書店員へ:今後業界はどうなっていくのか? GA文庫のビジョンは?
回答:
パイは取り尽くされつつある.結構頭打ちになっているのではないか.
ライトノベルが売れている,というのもアニメがあったことで,ラノベ全体の認知度が広がったから売れているのではないか.個人的には本当の意味で裾野が広がったの?という感じではある.つまり,身内で盛り上がっている,という側面もあるのではないか.内向きの発展でもあるのではないか.

【これについてはかなり賛否両論.有効なデータもないので極論になりやすい所.
個人的には身内で盛り上がっていることは多々あるが,それが全体に影響を与えていたり,全体の兆候として存在するのはちょっとピンと来ない,という感じ.】


自分は作品を売ることしか出来ない.が,これからは出版社にも積極的に発信を行なって色々伝えて行きたい.
あと,下の年代を狙うことは難しいが,上の年代も狙っていく必要がある.さらに女性も狙っていく必要がある.

白鳥:今はラノベ読者向けすぎる傾向にあるのか?

書店員:そういった作品になりがちなのではないか.

白鳥:では外向けのものがあれば?(売れるのか)

書店員:リスクはあるが,新しいものにもどんどんチャレンジをしてほしい.
その点『のうりん』はうまくやっている.ただ農業の上に乗っかるのではなく,農業というテーマに一本の芯を通しているのが良かったのではないか.
結局フォント芸などは所詮一発芸である.それでも売れているというのは作品の力があるということだ.
ただキャラの可愛さだけでなく,芯を通していくことが大事である.



以下質疑応答タイムへ.




質疑応答は一応全部メモったんですが,まぁ現場のアフレコっぽいのもありましたし,質問した人に了承取りたいこともいろいろあったので,現場に行った人だけのお楽しみだったってことで.
白鳥先生がなぜ小説を書き始めたのか,とか某古書堂についてどう思うかとか市議会議員の人の話とか(同じ神奈川県として滾るものが有りました.はい.)
なかなか面白い話もアリましたね~.

終わった後の会場はこんな感じ.




まぁまとめると.

次回があったらもう一回聴きたい!

ってくらい満足度の高い講演会でした.
なによりも編集さんはもちろん,ライトノベルのカリスマ書店員や白鳥先生の業界に対する知識と思慮と考察が物凄くて,大変納得力と説得力のあるお話が聞けました.

色々と自分でも考えることのできた講演でした.

とりあえず

ライトノベル万歳!

ってことでこのエントリは締めます.
ここまで読んでくれてありがとうございました.

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終わリココ.



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「カリスマ書店員」。一昔前に「カリスマ美容師」というものが流行ったことを思い出しました。
73ヶ月前
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コメントありがとうございます.
カリスマ美容師はまだまだ現役だと思います.ソースは近所の美容室笑 自称ってどうなんでしょうか…….
73ヶ月前
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