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星雲より遠くから【第5話】「インコンビニエントイデアル」
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星雲より遠くから【第5話】「インコンビニエントイデアル」

2016-11-07 11:45
    さすがにソラが宇宙人だということを疑う余地はなかった。
    出会った日、ぼくは大学にもいかずずっとソラとお互いについて話し合っていた。
    傍から見たらおかしいやつだが、それもよく考えればケータイに話しかけてるだけなので
    普通の行為だったといえる。
    ソラは本当におしゃべりで、1:9くらいの割合で会話の主導権はソラに握られた。
    元々自分の星にいた時にはそこまでコミュニケーション好きだったわけじゃないんだが、
    ピエッタに比べて圧倒的に知識が少ない人類を相手にすると勝手に雄弁になってしまうらしかった。

    「さてソラのせいですっかり大学をさぼってしまったけど、サークルくらいには顔をださないと。」
    「おい俺のせいにするなよ。最初から行く気ないみたいなこと言ってたじゃないか。で、サークルか・・太陽は一体何をやってるんだよ。」
    「キックボクシングだ。こう見えても結構俺は強いんだぜ。」
    自分で言ってしまう痛いやつだった。
    「キックボクシングか。・・・なるほど、人間同士で殴り合ったり蹴りあったりするんだな。痛そうだな、なんでこんなことわざわざするんだ。」
     ソラは会話中わからない言葉が出てくるとその場でネットワークに介在して調べてるらしかった、どうも「・・・なるほど」と言ってる間は調べてる時間らしい。本人曰く文字情報より映像情報を重視するらしく、ほんの2,3秒の間に例えば今のキックボクシングの話題なら、少なくてもネットで検索できるような映像は全部把握できるそうだ。

    「痛いっていう感覚わかるのか。そうだな、たしかになんで痛いことわざわざやってるかといわれると謎なんだが、鍛えてそれの成果を試合で出すっていうのが、生きてるって感じでいいんだよね。レベルを上げてボスに挑むみたいな感じでさ。ソラにはないのかそういうの」

    「そもそも、スポーツっていう概念がないからな。俺らも身体があった時代はスポーツしてたらしいが、知識としてと、ゲームの世界としてしか存在してない。君たちでいうサッカー的なゲームはわりと流行ってるぞ。身体能力がいらないかわりに勝つために必要なのは情報処理速度で、俺なんか全然雑魚だけどな。身体能力の代わりが情報処理能力なのが俺らの世界だと思ってくれ。」
     要はテレビゲームをしてるってことなんだろうな。そうか、文明はきわめるとゲーマーの文化になるんだな。素敵やん。でも・・

    「なんつーか、つまんなそうだな。お前らの世界。」
    正直そう思った。身体がないってそりゃあ、身軽なんだろうし不都合なこととか、不便なこととかないんだろうけど、それって面白いのかな。不都合、不条理がある。それで個体の優劣があってこそスポーツは面白い。それがないっていうのは・・

    「ひどいな、簡単に人の世界をつまらないとか言ってくれるなよ。それなりに楽しいんだ。
    ただまぁ、今日少し地球の文化に触れてみてわかったが、お前らはそんなに不便そうなことばかりなのに、楽しそうだよな。なんていうか新感覚だよ」

    「ピエッタはさ、そんだけ高い情報処理能力を持っていったい何を話したりして楽しんでるの。すぐ何でも把握できるならつまらなくないか。」
    「それは、きみの邪推ってやつだね。あくまでこの文明レベルなら全部把握できるっていう話なだけだ。そうだな、きみは一応大学生なんだから今もし小学生1年生の国語の教科書を読んだら10分もかからずすべて読めるだろう。かなり雑な例だがそういうことだ。」

    なんか馬鹿にされたような気がするが、要は次元が違うということなんだろうな。

    「ピエッタは地球人が今持っていない概念を持ってるからね。それを説明するのは少し難しいな。」

    「って君とおしゃべりしてるとサークルに間に合わなくなる。行くぞ」
    ソラとの会話を断ち切って、サークルに行く準備を始めた。準備といっても大概の道具は部室にあるので、ジャージに着替えてタオルを持っていくくらいだ。もちろんケータイがないといろいろ不便なので、この宇宙人ごと持っていく。変な奴に思われても困るので、移動中のこいつとの会話は、電話を装うことにしよう。

    「ときにソラよ。お前のことは誰かに紹介してもいいのかい。」
    ぜひ紹介したいやつがいた、何かあった時にいろいろと頼めるやつでそしてこういうことが好きそうなやつ。最初の方で話に出したメカおたくの後輩だが、絶対食いつくに違いない。下手すりゃあケータイを分解しそうだが、それは止めないとな。

    「俺に拒否権なんぞないだろ。好きにしてくれ。ただ、あんま目立つようなことになると、俺は間違いなくこの世界中のやつに追われるだろうな。そうしたら、俺は身を隠すというかネットの闇に潜むだろうから、それはおもしろくない。できれば口の堅いやつだけに話してくれ。なんでも話しちゃうギャルみたいなやつは勘弁だな。お前はオタクっぽいからその心配はないか。」
     さらっと余計なこと言われた、そうだよ大学生で格闘技やってる奴なんて結構オタク気質で集団スポーツとか嫌いなんだよ。うるせぇよ。
     大体目立つようなこと避けたいとか言いながらついさっきピエ太郎とかいう変なキャラクター作ってめちゃくちゃステマしてるじゃねぇか。今ちらっと確認したら一時間くらいで再生1万超えてる・・・ひでぇねつ造だ。
    「ピエ太郎=太陽ってことにはなるかもしれないが、俺の存在はそんなことちゃばれない。それに別に違法なことはしてないからそんなビクビクすんな。」
     というかばれたくないんだったらピエ太郎って名前も、自分の星の名前使わない方がよかったろうになんで変な自己主張入れたんだかな。とも思ったがこれに関しては口に出すことは避けた。なんとなくソラの何かに触れるような気がしたからだ。
     さてそんな感じで移動中もずっとソラとくっちゃべっていたがようやくサークルについた。

    「大地、今日の帰りちょっと飯食い行こうぜ。相談があるんだ。」
    大地は後輩の名前である。わりと機械系のことで相談があるので食事をおごるという条件でよく一緒に飯を食いに行く。ちなみにめちゃくちゃよく食べる。しかもキックボクシングもかなり強い。
    「いいよー。あれな、今日はデニーズがいいな。」
    「すまん、サイゼリアでがまんしてくれ。」
    「またかよー。先輩はどうせミラノ風ドリアをライスにかけて食べるんだろう。貧乏だなぁ。」
     その貧乏人におごらせるひどいやつだ。絶対こいつの方が金持ってるんだけどな・・
    「私はドリアとディアボラ風行くからね、あとデザートとフォッカチャオもよろしく。」

     ちなみにこの大地蒔苗(まきな)は身長172cmのメカおたく格闘技系長身女子である。

     ふふっ、見たかソラよ俺にだって女の知り合いはいるんだよ!!ゴリゴリの腐女子だけどな! 


     サイゼリヤの入り口から最も遠い席で、今日の顛末を少しずつマキナに話した。
    「最初俺は、全部大地の嫌がらせだと思ったんだよ。昨日の飲み会で行ってただろ。私のケータイに新しいUIを組み込むことに成功しただとかなんとか。」
    「そんな複雑なことしてないよ。にこちゃんがアシスタントとしてすべてしゃべってくれるようにしただけ。音源さがすの大変だったよぉ。」
    「そりゃ今どきアラレちゃんの映像探すのきついだろうな。」
    「誰がにこちゃん大魔王の話したのよ。ラブライブだっていつも言ってんでしょ。」
    ほんとうにラブライブはわからんから、今後会話に出してほしくない・・

    「で、このソラくんはマジなんだよね。やっぱり・・・・ここまでしっかり会話できるソフトなんて考えられないし」

    「まぁ、信じられないなら、ここの伝票いじって会計無料とかにはできるぜ。」

    「いやいや信じるから大丈夫。むしろ嘘でも信じたい、こんな面白い話なかなかないよー。
     先輩が初めて役に立った気がする。いままでの無能っぷりも汚名返上だね。私に蹴られて喜んでるただの変態じゃなかったんだ。」
     おいバカ。僕の隠れた趣味をばらすんじゃない。

    「かくしてないじゃん。私はミットにうとうとしてるのに、なんでわざわざミット外して手で受けてんのよ。私の足が痛いっつーの。」
    「そうか、人類には痛みを受けて喜ぶやつもいるのか。本当興味深いな。俺はもちろん痛みを知らない。概念としてはわかるけどな。」

    「真面目に受け取らないでくれ。」
    ソラの発言がボケなのか素なのかは微妙にわからない。

    「ま、おれはソラをマジだと思ってるから、一応本人の意向でそんな目立ちたくないらしいからここだけの秘密ってことにしてくれ。」
     口が堅いのは知ってるからマキナに話したんだけどね。
    「もちろんOK。誰に話しても信じてくれるとおもえないしね。ってなんで私に話したの。」

    「知っての通りコンピューター関係俺強くないし、なんかあった時に頼れる奴いないとさ。
     あと、大地はこういうの好きだろ絶対。しかも飲み会のとき俺絶対お前にはしゃべっちゃうから、はじめのうちに話しておいた。」
     飲んだ俺はとんでもなく口が軽いからな。
    マキナは大きくうなずいてケータイの方を見た。
    すると、ソラが一言
    「マキナ、太陽が言ってるのは後付けの理由で単純な話、太陽がマキナのこと好きなだけだと思うぞ」
     ん、なんだこの宇宙人急に何を言い出しやがった。
    「マキナと会う前と、あった後で体温と心拍数に結構な違いがあるからな。そうなんだろ太陽。」
    おい、宇宙人ケンカ売る気か。というか、お前カメラの映像からそこまで読み取るのかよ怖すぎるだろ。
    「おい、宇宙人。お前、性別なんてないのに男女の好き嫌いわかんのかよ。
     べつに、大地とはそういう風なもんじゃない。」

    「いろいろ調べたが人類の根幹は男女関係にあるようだからな。一番興味のある分野だ。男女が絡み合う映像が一番あふれてるんじゃないか。ひょっとして太陽は今からそれを見せてくれるのかもしれないなって期待してたんだが・・」
     よりによってとんでもないこと言いだしやがった。気まずいじゃねぇかよ馬鹿野郎が・・

     しかし、特に気にする様子もなくマキナは
    「あぁ、ソラ君ごめんね。わたしちょっと先輩そんな風に見れないなぁ。先輩が私のこと好きなのは知ってるけど。まぁ先輩には何度も言ってるけど私ゲイだしね。仲良くはしてるけど、ソラ君が期待してるようなことにはならないかな。」といった。

     はいそうです、ぼくマキナに酔うたびに告白してるんで、(まぁ酔って告白してる段階で相当ダメだけどさ)全部知ってました。それでも付き合いを変えないマキナは本当優しいよね。
    結婚してくんねぇかなぁ、いやもうレズでもいいんだ俺が本命じゃなくていいんだ。
    でも、あらためて素面のときに振られてしまったのですげーショック。

    「そうか、残念だ。」
     ソラはさして残念でもなさそうに言った。こいつおれをおちょくりたいだけだったな。
    「それよりソラ君はさ、そのケータイから移動出来たりはしないの」
    「できるよ。」
    「じゃあたまにはあたしのケータイにも遊びに来てよ」

    「こうか」

    そういうと、俺の画面からソラの姿は消えて、マキナのケータイに移ったようだ。
    「初めまして、マキナ」
    あれ、声が女に代わってる。すげぇアニメボイスがマキナのケータイから聞こえてきた。
    「うわーすごーい。ニコになってるーーー!きゃーー、かわいいーー。」
    手をあげて喜ぶマキナ
    「すごっ、ソラ君すごい。もうさ、あんな変態どMくそ低能先輩捨てて私のところに来ちゃいなよー。絶対わたしのところのほうが居心地いいって。」
    テンションの高さのせいでひどい言われようだった。
    「検討しておきます。」
     またしてもアニメ声で返事をするソラ・・検討すんなよ。

    おいソラ裏切る気か・・・おまえもしここでそっちに移ったら、今からこの話は平凡なオタク男子大学生の日常ってタイトルに代わるからな。

     ん?お前がそっち移ったら宇宙人と長身腐女子強い系女子の話に代わるのか。まずいだろそれ、絶対そっちの方が面白いやつだ。「宇宙人の初カノが腐女子で強すぎる件」とかにしたら本当にラノベにして売れそうだ。

     とそんな雑談を3人?で繰り返しながらサイゼリヤの夜は過ぎていったのだった。

    第6話「アキバウォー」

    7話以降の話はカクヨムの方にも移動しようと思います。
    ぜひよろしくお願いします。
    星雲の彼方よりというタイトルに少し変えます。





















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