日本ハムドラフトの「不都合な」現実 後編
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日本ハムドラフトの「不都合な」現実 後編

2016-04-25 23:34
    前回の前編では日本ハムドラフトのポジションの特異性について説明した。

    ③ 指名選手の値段

    さて次に説明しなければならないのは値段についてである。
    日本ハムドラフトの特徴2つめ、それは安いことだ。
    高校生を獲っているんだから安いのは当たり前だろうと思うかもしれないが違う。
    同じ高卒野手と比べてもこのチームはとにかく安いのだ。

    1巡


    (以下契約金、年俸は推定。金額は万)
    高卒野手の場合、限度額の契約金10000、年俸1500はここ8年では一人もいない。
    そして外れ1巡ともなれば契約金額はさらに安くなっていくものではあるが、
    2013年の渡邉がこの8年の全チームで最も少ない金額になっている。
    表ではいわゆる外れ外れ1巡以降の高校生野手のみを挙げておいた。
    渡邉は同じ外れ外れ外れ1巡だった後藤駿太よりもさらに安く、
    後藤は外れ外れ1巡の高橋と同額である。

    2巡


    ここは日本ハム指名選手の中でも森本が断トツで安く、8年での最小である。
    下の例に出した2015年ヤクルトの廣岡同様3巡との連続指名だったことも
    金額に影響しているのだろうか(廣岡は3巡の高橋と同額)。
    なお最近の2巡高校生野手は契約金が他の3人と同じ6000、
    年俸は600~720がだいたいの相場となっている。

    3巡


    3巡は他チームの平均と一見あまり変わらないように見えるが、
    実は最近この順位の金額が値上がり傾向にあり、
    2012~13年頃からはほぼ下3人と同じ5000・600に統一されつつある。
    そんな中で一年目に46試合出場と最も即戦力に近かった
    淺間だけが極端な安値という結果になった。
    というか2巡で挙げた2012年の森本は近年の3巡より安かったことになる。

    4巡


    この順位は日本ハムの傾向がはっきりと出ている。
    ここ近年の相場は概ね4000・500~600となっており、
    昨年の平沼と同額以下の選手は8年計16人中、申1人だけである。

    5・6巡


    日本ハムはこの5年間高卒野手を5、6巡では1人も指名していないため比較が難しい。
    また5巡は他チームも金額にかなりばらつきがあるのが特徴だ。
    なお谷口の2000・480と同額だった選手は5・6巡合わせても2011年横浜の乙坂のみ、
    下回ったのは杉谷だけとなっている。

    7巡


    7巡は高校生野手に限らず指名そのものが少なく、高卒野手もこの6人のみ。
    しかもそのほとんどが岸里指名以降に集中しているので比べようがない。
    むしろ日本ハムの金額が相場の目安になっているような状況である。
    ちなみにこれまでのこの順位は契約金が彼らよりも安くなっている選手も多く、
    野手では独立リーグ出身の大原淳也とソフトボール出身の大嶋が該当する。
    ここ2、3年はこれ以降も指名するチームが増えたためか増額傾向にあるが。

    8、9巡は日本ハム以外高卒野手の指名選手がいないのでここまで。
    8巡の金額は2013年石川が1500・450、2014、15年の太田、姫野が1500・470となっている。

    結局ほぼ全ての選手を見てきたわけだが、これでおわかりいただけたかと思う。
    日本ハムの指名選手は安い。
    2巡だけはやや例外でたいていは他のチーム(の低い金額の場合)とほぼ同額だが、
    あとはNPB全体でもかなり少ない金額になっている。
    しかもこれは野手に限ったことではなく投手にも当てはまる。
    顕著に出たのが2013年2巡の浦野で、2巡最初に指名された浦野は
    なぜか後に指名されたオリックスの東明より年俸が下回ったのだ(契約金は同じ)。

    どうも見ていると日本ハムが全体の相場よりも若干金額を抑える反面、
    逆に他のチームは日本ハムが作った相場よりあえて少し増額する、
    そうした慣習が既に球界の中で作られているようにも感じられる。
    日本ハムからすれば抑えた分の金額は一軍での活躍で取り返せというところだろうか。
    事実淺間は昨年の活躍から年俸が540から900まで上がり、
    2014年と15年に1年目で1、2試合一軍出場した高卒野手5人は全員10ずつの増額となった
    (大卒で15試合出場の岡は1年目840で据え置き)。
    おそらく交渉の際にも細かい条件や他球団との金額の違い等は
    しっかり選手に提示しているのだろう。
    また1巡入札した選手にはしっかり相場通りの金額を支払っている。

    このように日本ハムのドラフト指名選手は他チームの同順位選手より
    契約金・年俸が低く抑えられていることがわかった。
    今回も他チームや選手たちには既に知られているであろう内容である。
    しかしやはり日本ハムが何らかの記事で取り上げられた場合には
    全く注目されることのない部分でもある。
    そしてブロマガタイトルの「不都合な」部分2つ目、それは
    「高校生を指名しているから安く済む」ではなく
    「同じ高校生でも他のチームより安くなっている」である。

    まとめ

    今回紹介した日本ハムドラフトの野手戦略をもう一度まとめるとこうなる。
    「即戦力に近い高校生野手を他より安い金額で獲得し、短期間で育成して戦力にする」
    前回も書いたように「チームの主力は高卒、大社はあくまで脇役」といった固定観念も
    「高校生を獲って優先的に一軍で起用すべき」といった主義もここには存在しない。
    あくまでチームの中で戦力として使える選手だからこそ一軍で使う、
    その戦力になりやすい選手を獲得する、
    それを安くできるなら可能な限り安く、
    この方針が徹底しているのが日本ハムの野手戦略なのである。

    高校生を獲得する最大のメリットは大学・社会人出身選手がアマ時代に稼ぐであろう利得を
    彼らより先にプロで稼いでもらうことにある。
    高校で指名しても大学・社会人より一軍で活躍する機会が
    遅くなってはあまり意味がないのだ。
    そういう意味では日本ハムのドラフト戦略は非常に合理的な、
    セイバー的な発想に基いたものと言えるだろう。

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